Mobile Suit Gundam MUV-LUV G-ALTERNATIVE 作:武者ジバニャン
それとですが、この作品にはマブラヴのストーリー内の原作時系列、設定などを無視したり改変したり、ご都合主義な部分があります。
並びにガンダムシリーズのキャラクターが今作にパラレルワールドの人間として登場したりしますし、並びにオリジナルキャラクターなども登場します。
それも含めてよろしくお願いいたします。
イメージOP1「閉ざされた世界/劇場版機動戦士ガンダム00」
イメージED1「signs ~朔月一夜~/マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス
」
とうとう出会った新月託未と香月夕呼...二人は互いに顔を見つめながら内心で相手の印象を考えていた。
託未「(この女が香月夕呼...第四計画の責任者、か。頭がキレそうな部分がありそうだな。勘も冴えていそうな面も持ち合わせてる)」
夕呼「(この男が新月託未...白い悪魔。なるほど、他人を近寄らせない雰囲気を確かに感じるわ。それに出し抜くには骨が折れそうかもだわ、こんなことなら社を連れてくるべきだったかしら...)」
二人は互いに相手の印象をそう評価する中、託未が艦内の案内するべく夕呼たちにガイドすることに。
託未「ではここから艦内を案内します。付いてきてください」
悠陽「はい託未さま。では博士、参りましょ」
夕呼「はい」
そのまま彼らはディーヴァの中を散策する。悠陽と真耶は一度ディーヴァの中を案内されているため馴れたが、今回初めてであり、そして科学者でもある夕呼にとってどれもこれも自身の探究心を昂らせれるぐらい興奮していた。
そして格納庫ブロックにたどり着いた彼女は、漸くその眼で間近で見たかった存在...ガンダムと対面する。
夕呼「これが、白い悪魔...ガンダム」
彼女は徐に目の前に聳え立つHi-νガンダムの足元まで近寄り、じっくりと観察する。今彼女の目の前に現代の人類では作ることなど不可能なオーバーテクノロジーの塊たるガンダムが存在している。
夕呼はガンダムを眺めながら託未に尋ねた。
夕呼「このガンダムたちは、動力は何で動いていますの?まさかバッテリー駆動と言うわけではありませんよね?」
託未「この五体のガンダムの動力源は熱核融合炉で動いています」
夕呼「核融合炉...それは私たちでも作ることは可能ですか?」
託未「無理でしょう。今の人類に核融合炉を作る時間や余裕、何よりもその為の材料などを用意する独力をこの時代の人類には無い。
なので不可能です」
バッサリと切り捨てるように否定する託未、それに対して夕呼は眉間に皺を寄せて内心愚痴を漏らすのには十分だった。
夕呼「(言ってくれるじゃないこの男...しかも眼でも物語ってるわね、お前たちには真似出来ないから無駄だって...気に入らないけど事実ね)」
確かに宇宙世紀のモビルスーツの動力源である核融合炉にはヘリウム3が必要なのだが、それを地球の大気から収集するのに時間を要するのだかそれに見合う程の量は期待できない。
やはり木星から採取し運搬するのが一番なのだが、この時代で有人での木星探査などやったことなど無い。
それに有人探査するにしても今の人類にそんな技術を生み出す時間なとなく、そこに費やす資源や人材を回す余裕すらないのだ。
彼女はガンダムに視線を戻して更に質問を託未に投げ掛ける。
夕呼「ではどうやってその核融合炉を動力とするガンダムを使ったのですか?不可能なら貴方方が持っているのは可笑しいはずでしょ?」
託未「...殿下、よろしいですか?」
悠陽「はい」
託未は悠陽に話していいかと問いかけ、彼女は微笑みながら首を縦にしてみせる。託未は夕呼に自分たちが何者かを教え始める。
託未「ガンダムはこの時代、と言うかこの世界で作るのは不可能だ。何故なら元々俺たち同様、異世界の代物だからだ」
夕呼「異世界?ハッ、冗談でしょ?」
鼻で笑いながら彼の言葉を疑う。無理もないだろう、託未たちが異世界からきたと知っているのは悠陽を始め、五摂家では嵩継や恭子、斯衛では紅蓮や真耶、祐唯ぐらいで帝国軍では巌谷、政府からは榊首相とその他ぐらいでそれ以外では未だ託未たち素性を知るものはいない。
そこへ悠陽が会話に挟み込む。
悠陽「博士、彼らは本当に異世界からの来訪者です。それはわたくしからも保証します」
疑う夕呼に対して悠陽は託未を擁護する形で彼らが異世界から来たと証言する。自分の計画の後援者であり日本の政威大将軍がふざけた冗談を口にするはずなどないと夕呼は思い、託未に対して先ほどの自分の態度を謝罪する。
夕呼「新月さん、先ほど鼻で笑うような失礼をしてごめんなさい」
託未「いえ、信じられないのは無理からぬことです香月博士、あなたの疑念は正しい。
しかし我々は本当に異世界からの来訪者です」
託未は懐から携帯端末機を取り出しそれを夕呼に渡す。受け取った彼女は手渡された端末機を眺めながら口を開く。
夕呼「これは?」
託未「携帯式の小型端末機です。それを博士に差上げますよ」
どういうことかと夕呼は訝しげに彼を見つめる。怪訝な態度を見せる彼女に託未は...
託未「博士は、我々に協力してほしいのでしょ?....オルタネイティブ第四計画に」
夕呼「っ!?どこでそれを...」
真耶「っ!?」
悠陽「託未さま!その計画の名をどうやって?!」
オルタネイティブ計画に関しては本来極秘中の極秘であり、第四計画は現在進行中でそれを知る者は一部とされている。
その第四計画の責任者たる夕呼からすれば第四計画を知っている託未に強い警戒心を抱いてしまう。しかし託未はそんなの気にしないとばかりに警戒しながら自分を睨んでいる夕呼、そして驚く悠陽や真耶に彼は言う。
託未「我々の情報収集力はこの世界の諜報機関よりも優秀です。博士の第四計画なんてこの世界に来たその日に知りましたよ」
夕呼「...なるほど。では、新月さんは私の計画にご協力してくださるのですか?」
託未「それに関してですが.....こちらが貴方の計画に協力するメリットはあるんですか?博士」
夕呼「メリット...?どういうことです?」
託未としては正直第四計画が潰れてしまおうがどうでもいい、寧ろ興味は薄い。彼らが第四計画に対して協力したとしてもそれにプラスに返ってくる旨味がないと感じている。
託未「博士の計画には正直現実味がないし、更にそれは未だ何の形を成していない処かいい成果を出していない。
それに対して我々が協力するにしてもメリットが感じられない」
夕呼「....」
託未の話に夕呼は黙って聞いていたが、その表情は苦虫を嚙み潰したかのようになっている。だが託未の話は続く。
託未「更に言えば、我々が貴方の計画に協力するとしてまず貴方は我々に何を求めるのですか?」
夕呼「それは...」
託未「我々の技術が貴方の計画に正直役に立つとは思えない」
夕呼「なんですって...?」
彼の口から自分たちの技術は夕呼の計画に役立たないと言われて訝しむ。だが託未からすれば香月夕呼が望む物を用意できるかと聞かれれば、恐らく用意できるであろうがしかしその為だけに自分たちの技術を彼女に提供するのには拒否を感じる。
実際夕呼としては彼らに自身の第四計画に協力させ、更に彼らが持つ技術とそのデータを我が物としようと考えている。
だがそれは己が私利私欲の為ではない。BETAとの戦争に勝利し、人類と地球を存続させるため何よりも第五計画のたった十万人を宇宙に逃がす為に残りの十億人を見捨てると言う、愚かな計画を実現させない為にやっているのだ。
しかし彼女の研究は現在難航しており思うようにいかないのが現状である。彼女は人類の為ならば形振り構っていられない、目的を達成するできるなら手段は選らんでられない。
夕呼「...役に立つかどうかはその時になれば分かるじゃないのかしら?」
託未「先の見通しがハッキリ見えない計画の為に、俺たちの貴重な技術を浪費するのは無駄だと言わなきゃ分かりませんか?」
夕呼「じゃあ貴方は、このまま第五計画が発動されてもいいと言うの?」
託未「種の存続と言う点に関してなら懸命な判断かもですな」
夕呼「たった10万人だけが生き残って何になるの。残された10億人が無駄死にして地球と共に滅ぶだけなのよ?そんなの、ふざけんじゃないわよっ!!!!」
彼女は声を荒げ怒声を挙げて託未を睨む。彼女にとって第五計画はそれほどまで嫌悪を抱く物があるのだろう、だが託未はそんな心中など意に介さず冷たく問う。
託未「だから第四計画を成功させたいと?」
夕呼「そうよ!私は何があっても第四計画を成功させたいのよ!!!」
託未「.....」
夕呼の強い眼差しを冷めた風に見つめる託未は静かに口を開いた。
託未「...殿下」
悠陽「はい、なんでしょう?託未さま」
託未「殿下が第四計画を推していることは知っていましたが、正直自分は彼女の計画に積極的に協力すること躊躇います」
悠陽「た、託未さま...!?」
夕呼「....っ」
真耶「....」
悠陽は余りの発言に驚愕してしまう。彼女は夕呼の第四計画に推しているのはアメリカ主導の第五計画が多くの者の命を見捨てていくのと同じで、それを快く思わない。
それが彼女の第四計画を推す理由である。そして託未たちには夕呼の計画に協力して貰おうと願っていたが、しかし今こうして彼の口から出た消極的な言葉に彼女は動揺せざるを得ない。
託未「....だが」
夕呼「...?」
託未「博士....あんたはそれでも俺たちに協力して欲しいのか?」
夕呼「っ....ええ」
託未の口調と雰囲気が変わりその場の息が詰まりそうなぐらいだ。文民出身の夕呼は冷や汗を搔き、武家の出である悠陽と真耶も思うように言葉が出ずただ黙って見守るしかなかった。
託未は彼女たちの様子など気にも留めない。
託未「俺たちは善意や良心なんてない。ましてや人類を救いたいというお人好しでもない。俺たちはただ自分たちの保身を守り、害ある敵は...根こそぎ屠る。それだけだ」
夕呼「....」
託未「俺たちに協力して欲しいのなら、あんたは何を差し出す?」
夕呼「...なんですって」
悠陽「託未さま...?」
託未「言ったはずだ。善意や良心なんてない、ましてやお人好しでもないと...それにあんたは国連の人間だ。帝国に属する俺たちがアンタに従う義理はないのは当然だろうが。しかも計画協力はアンタ個人的の頼みなら尚更だ、従う気はない」
夕呼「それは....」
託未の冷たい言葉の数々に夕呼は何も言い返すことが出来ない。確かに夕呼は国連の人間であり、帝国側にいる託未に指図することが出来ないのは自明である。
ただただ言われっぱなしの彼女は悔しさからか、顔は俯き下唇を嚙みしめ両手には血が滴るぐらい力が籠ってしまう。
そんな彼女に託未は近寄ってきた。
託未「博士、協力するにしても条件がある」
夕呼「条件...?」
託未「俺たちは自分たちの保身とBETA殲滅が優先だ。アンタはBETAの根絶と第四計画の成功、そして第五計画の阻止...だな?」
夕呼「えぇ、そうよ」
上から見下ろすような目で見てくる託未に、夕呼は負けじと強い眼差しで真っ向から見返す。彼女の反骨心に痛くも痒くもないと淡々と告げる。
託未「俺たちは利害が一致する関係、上も下もない。そっちが協力を要請するならそれに答えるし、こちらが要請する際にはそちらも引き受ける」
夕呼「....技術関係も?」
託未「それはそちらの研究内容次第でこちらが決める。アンタが根こそぎ頬張るなんて形で俺たちの貴重な技術を無駄遣いされて他国に漏れたりでもしたら話にならない」
夕呼「私がそんなヘマすると...?」
託未「言っとくがこの世界の情報管理なんて、俺たちから見ると余りにも笊すぎる。現にオルタネイティブ計画を知ったのだってそうだ、鍵なんて無いようもんだ。特にこの国では」
真耶「むっ」
託未の発言に真耶は眉を顰めるが悠陽が目で配って自分を窘めように見つめる為に、大きく出ることはなかった。
その間にも夕呼は託未の話に考えるような素振りを見せる。
夕呼「(彼らが協力してくれるならこの際我儘を言ってる状況ではないわね。なら彼らの心象に悪くさせないよう利用すべきだわ、私の敵はBETAであり、そして第四計画を確実に成功させる為なのだから...なら)」
夕呼は意を決して託未に顔を向ける。その目には確固たる物が滲ませていた。
夕呼「いいわ。その話、引き受けるわ」
託未「裏切りはなしだ。出抜くなんて通用しないからな」
夕呼「えぇ、いいわ。その代わり、そっちも同じよ。一蓮托生...いいわね?」
託未「了解だ」
会合は終わり夕呼は一足先に白陵基地に帰る、そのヘリの中で彼女は笑みを浮かべていた。
夕呼「フフ、新月託未――食えない男だけど面白い奴だわ。興味が更に湧いてきた」
彼女がいなくなったディーヴァでは託未は宗陰たちに事情を説明する。
託未「というわけだ。あの女の計画に協力することになった」
宗陰「まぁ、内容的に俺たちにとって悪くはないな」
睦城「えぇ、それにこちらも知りたいこともありますし」
蒼真「ん?何を」
森羅「おい、殿下が話があるみたいだぞ」
彼らが話し込んでいる中、悠陽と真耶近寄ってきた。
託未「いかがなさいましたか?殿下」
悠陽「託未さま、この度はありがとうございます」
託未「何がです?」
悠陽「博士の計画に協力してくださることは、わたくしにとっても喜ばしきことです」
彼女はそう微笑みを浮かべている。しかし真耶は眉を顰めたままだ。
真耶「新月託未」
託未「なんだ?月詠真耶」
真耶「貴様はどういうつもりであの女の計画に協力するのだ。しかも彼奴は国連の人間だ」
託未「国連を介してアメリカがちょっかい出してくると危惧しているのか?」
真耶の心中としては穏やかではない。日本帝国にとって恩人である託未が国連の人間である夕呼との接触は気に入らないのだ。
しかも国連の実態はアメリカの傀儡と言っても過言ではない、それに託未が関わるのは好ましくない。
だが託未は....
託未「別にそれでアメリカがちょっかい掛けてくるなら、その時は...」
真耶「その時は...?」
託未は静かに告げる。
託未「嬲り、狩る...それだけだ」
真耶「(なんて光もない虚ろな瞳なんだ、一体どうやって...こんな)」
悠陽「(託未さま...)」
彼にとってBETAであれ人間であれそれが敵という枠に居る存在であれば躊躇いなどない。彼らが引くのは無情の引き金、振り下ろすのは非情の刃、彼らは利用できるものは何であれ使えるなら使い潰すまで使う。
そんな冷酷な面を見せる託未に二人は複雑な心境である。
しかし何であれ、悪魔と魔女が手を携える形となったのはアメリカにとっては不愉快なことこの上ないだろう。
だがこの先のBETA大戦に大きく変わることは間違いないだろう。
今回はここまで。