Mobile Suit Gundam MUV-LUV G-ALTERNATIVE 作:武者ジバニャン
それとですが、この作品にはマブラヴのストーリー内の原作時系列、設定などを無視したり改変したり、ご都合主義な部分があります。
並びにガンダムシリーズのキャラクターが今作にパラレルワールドの人間として登場したりしますし、並びにオリジナルキャラクターなども登場します。
横浜ハイブ攻略の話までまだ掛かります。大変申し訳ありません。
イメージOP1「閉ざされた世界/劇場版機動戦士ガンダム00」
イメージED1「signs ~朔月一夜~/マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス」
時間は昼間に差し掛かった。ここは彼女、篁唯依が使用する執務室である。
黙々と報告書をまとめるべく、素早く指を走らせPCと向かいあっている。
彼女が今作成しているのは、自分たちが評価試験を行っている戦術機の詳細である。
彼女が所属するホワイトファング中隊は、崇宰恭子の元で彼女の護りや斯衛軍の試験部隊の任を務めている。
主に兵器の評価試験が主任務ではあるが、主である恭子の命があればそれに全身全霊をもってあたる。
唯依「…………ふぅ」
漸く仕事が終わり、椅子の背凭れに寄りかかり身体を伸ばして、ずっと座りっぱなしであったせいで間接がポキっと鳴る。
今までシミュレータや、今のようにデスクワークばかりであるので、思うように休みなどとってはいない。
唯依「……いけない。この程度で疲れてるなど、斯衛の、武家の者として情けない」
しかし律儀であり、真面目で堅物な彼女は弱音を吐かうとは思わない。
彼女には斯衛の衛士として、この日本を一刻も早くBETAを追い払い、日本の国土を取り戻すという強い意志を持っている。
それに彼女には、もうひとつ…
唯依「…………託未さん」
彼女には会いたいと願う人物がいる、彼にもう一度逢えるそのときまで弱音なんて吐いている余裕はないのだ。
そう意気込む唯依の机上の電話が鳴る。
唯依「はい」
『篁中尉、帝国斯衛技術局の篁裕唯中佐からお電話です』
唯依「(父様?なんだろ?)…分かった、代わってくれ」
『はい、ただいま』
電話の相手が代わり、彼女の父•裕唯の声が聞こえてくる。
裕唯『唯依、しっかりやっているか?』
唯依「父様。はい!篁の名に恥じぬよう、励んでおります!」
父との通話にも関わらず、律儀に毅然とした姿勢と声音で答える。
電話口からは父の微笑むような優しい笑い声が聞こえる。
裕唯『はははっ、そうか。だが無理はいけないぞ、余り根を詰めないようにな?栴納も心配していたぞ』
唯依「はい、父様…ありがとうございます」
父が娘である自分を按じてくれる、何よりも嬉しい。
此処のところ、実家である篁の家に帰っていない彼女に、親の言葉は心から素直にその大切さを噛み締める。
そんな娘に「そうだった!」っと話題を代える裕唯。
裕唯『唯依、今日は家に帰れそうか?』
唯依「はい、今日は帰宅しようと…」
裕唯『そうか。なら丁度いい」
唯依「丁度いいとは…?」
父の話にまったく要領を得ない唯依は理解出来てない。
娘に対して大事なことを話すと裕唯は告げる。
裕唯『今から家に帰るのだが、その際御客人も一緒にくるんだ』
客?…唯依は不思議がる。もしかしたら巌谷中佐のことだろうか?っと彼女は予想する。
裕唯とは長年の親友であり、余り会う機会がない巌谷にも会ってみたいと思う。
先ほど自分が焦がれる人物に対してとは違い、巌谷にはもう一人の父親と言う認識でいる。
唯依「おじさ…いえ、巌谷中佐ですか?」
昔ながらの呼び方で言いそうになるが、軍人として己を律しておかねばとする唯依。
そんな真面目な娘に苦笑する父は言う。
裕唯『確かに榮二も来るが、あいつはまぁ、おまけだ」
唯依「お、おまけって…父様」
親友であるからして出来る言い方である。彼女としては苦笑を浮かべずにはいられないが、父は本題を話す。
裕唯『今日家に招くのは………新月くんだよ』
唯依「……………………え?」
その時、彼女の思考が停止する。父親は何を言っているのか、また誰のことを言っているのか、理解しきれなかった。
裕唯『唯依?どうした?』
唯依「っ!…い、いえ!何でもありません!!…そ、その、父様」
裕唯「ん?」
彼女は先ほど父親の口から出た名前の人物が、自分が知るあの人物なのか問いかける。
その際、彼女は無意識に受話器のコードを指で絡めたり放したりと繰り返しながら、頬を赤く染めてモジモジしだす始末。
唯依「あ、あの…先ほど誰のこと、を…?」
裕唯『ん?新月くんさ。京都でお前を救ってくれた彼だよ」
唯依「た、託未さん、が…?」
唯依は気のせいではないと再確認した。そしてその内では何ともどう表現すればいいか分からないでいる。
彼女は譜代武家である篁家の次期当主であり、実直で生真面目、他人に厳しく己にも厳しいという正に堅物。衛士としても優秀である。
その生まれと立場から常に私情を抑えて生きて来た。訓練生時代に、託未に出会ったあの日、彼女にとって大きくそれを揺るがした。
居た時間はそんな長くはなかったが、それでも彼との時間はまだ初心な少女には貴重なものであったのは確かである。
これは恋愛なのか、それともただの憧れなのか、それは彼女にはわかってはいない。
だが彼…新月託未が、今日自分の家に来ることに胸が高鳴った。
裕唯『これから、彼を乗せて家に戻る。栴納にはもう伝えてある』
唯依「わかりました!」
裕唯『それじゃあな』
通話が終わり、彼女は受話器を置く。しばらくずっと沈黙し、ボーッとしているのか固まったしまっている。
そんな彼女の執務室のドアをノックが聞こえる。
入ってきたのは彼女の副官である雨宮鞠子である。
鞠子「中尉、雨宮です……中尉?」
唯依「っ!?雨宮か!入れ!」
鞠子「失礼します。どうかなさいました?中尉」
唯依「いや、なんでもない。それよりもどうした?」
自分が先ほどまで間の抜けた表情をきっとしていたに違いない、部下に悟られることのないようにしなければと気をしっかりと持ち直す。
鞠子「はい、報告書を持って参りました、こちらを」
唯依「あ、ああ」
気取られることなく平静を装う唯依、そんな彼女に鞠子が…
鞠子「…………もしかして中尉、何か良いこと在りましたか!」
唯依「うっ!」
図星と言わざる得ない反応をする唯依。それを見て「ほう?しめしめ」とニヤニヤして唯依にからかう。
鞠子「ではでは、私はこれで退散しましょう。何やら嬉しいことがあった中尉の邪魔をしてはいけませんから」
唯依「あ、雨宮!」
鞠子「では!」
唯依「むぅ…まったく」
そのまま彼女は退散していった。部下に気取られからかわれるようでは自分もまだまだと、心で戒める唯依ではあるが、彼女自身…無意識に嬉々としてニヤけた顔をしていたことに気づいていない。
そして時間は夕方へと変わり、彼女は迎えの車に乗り、実家である篁家の屋敷に向かう。
その車中で…
唯依「(た、託未さんと、どんなことを話をすればいいだろうか………ま、まず!髪を伸ばしてみました!とか言ってみるか?
ほ、褒めてくださるだろうか………そ、そうだ!その前にちゃんとご挨拶せねば!あ!なら私がご馳走を作ってさしあげよう!!
以前託未さんの船では肉じゃがを振る舞うことが出来なかったから、私お手製の肉じゃがを!
は!バカバカ!大事な、それも将軍殿下に近しく日本を救ってくださった英雄に振る舞うのが肉じゃがなど、無礼だろ!
で、でも…出来れば、た、食べて欲しい……あー!!!もう!!私のバカバカ!)」
「えぇ…?」
自問自答…一人でずっとソワソワしていたと思ったら、嬉しそうになったり、どころか今度はいきなり落ち込んだり、そして終いには自分の頭をポカポカと叩く始末。
それを偶然、篁家の運転手がバックミラーで偶然目撃して唖然とする。
そんななんやかんやで、篁家の実家に到着した。
「お嬢様、御家にご到着しました」
唯依「ありがとう」
しばらくぶりの実家、そして今日来る大切御客の為にもすぐに自分迎える準備をせねば!っと、唯依は強く意気込み家の門をくぐり、玄関を開けて入る。
唯依「ただいま帰りました!…………え?」
彼女はそのまま硬直してしまう。
栴納「あら?」
巌谷「おー、唯依ちゃん。お帰り」
裕唯「唯依、今戻ったか。お疲れ様」
玄関口を開けてすぐに両親と巌谷、そして……
託未「あ?」
彼女に降る向いたその男、彼女は忘れもしない。
白い髪、鋭い目付き、血のように赤い眼…その男、新月託未と彼女は漸く再会を果たす。
唯依「た、託未さん…」
今回はここまで。コメント、感想ありましたらどうぞ。