白膠木簓(ぬるで ささら)
今をときめく若手のピン芸人。オオサカディビジョン代表「どついたれ本舗」のリーダーでもある。かつてコンビを組んでいたが…。
躑躅森盧笙(つつじもり ろしょう)
オオサカの私立高校の数学教師を担当している。大勢の人の前に出るとしどろもどろになってしまい、いつも周りの生徒や教師陣に支えてもらってる。一部の生徒の間ではかわいいと評判。しかしこのあがり症には彼の以前の職業が関わっているようで…?
サブ
天谷奴零(あまやど れい)
自称詐欺師。「どついたれ本舗」3番手にして最年長。色々と謎があり読めないところもあるがラップの実力は確か。簓と盧笙とは仕事(本人は真っ当なものと言ってる)で出会った。
「やーっと終わったなぁ」
柔らかい暖かな夕日が今日も賑やかに騒ぎ尽くしたオオサカの街を暖色に染める。こない夕日って綺麗やったかと思ってそこではたと気づく。
「そういや久しぶりやな…こない早く仕事終わるん」
眼前に広がる混ざりゆく群青と橙の美しさに思わず目を細める。ひんやりとした風が前髪を揺らす。冷たく澄んだ空気が肺を満たす。年明けから多少日が経ってはいるがまだまだ寒い冬だ、流石にこの時間帯の通天閣展望台は冷える。11月中旬から今日、1月中旬までの約2ヶ月ちょっと。やれ秋の食い倒れ特集やら、クリスマスお笑いライブやら、年末年始新春スペシャルやら…色んな所から引っ張りだこで最近帰りは夜遅くばかりだった。せっかくこうして夕日が拝める時間帯に仕事を終えられたのだ、飲みに待たせている仲間もいるしそろそろ移動せなアカンなと足をエレベーターへ向ける。遅れてしまったらまたあいつに「自分から誘ったくせに遅いわ、ワレェ!」って怒られてしまう自分の姿が容易に想像できた。と、足元に一筋の金色の光が伸びてるのが見えた。辿って見るとそれは三日月、だった。満月とはまた違いどこかつんけんな印象を抱かせられるそれは俺にある人物を思い起こさせた。
見た目も中身もヤンキー顔負けの凶悪面のモーゼで。
『(あんなヤンキーも来とるんか…)』
初めて見たときはそら驚いたわ。
『失礼なんはお前らやろ!お前らもおもろい奴の顔やあらへんがなっ!!』
養成所の面接では机蹴っ飛ばして思っきし喧嘩売っとったっけ。
『これはなんや?』
『なめとんのか。ガラスに決まっとるやろ』
コップでも見せようものならそんな答えを返すちょっと視点がずれてる、でもおもろい奴で。
(あんときのムッとした顔よー覚えとるわ)
出会いからまるで今までずっと憧れてきたコンビのようなやりとりばかり共にしてきた、妙に義理堅かったあいつ。そら前みたいに毎日、とはいかへんけど。なんだかしばらく顔見てないだけなのにそれだけで胸のあたりが勝手に苦しくなる。
「全然、会えへんなぁ…」
ポツリ、と零れた自身の声が幼き日の自分みたいに酷く頼りなく震えていて思わず目を見開く。
でも、と。あの頃に比べたら、と。
「何倍も、ええやん…」
自分に言い聞かせるように。
(思っとらん)
もう二度とあんなことは起こすまいと。
(別にあの頃に)
今の幸せを思い出しながら。
(戻りたい、なんて)
暴れだしそうになる己の心を鎮める。
(俺は…)
「思っとらん…っ…!」
頬を伝うこの感覚はきっと偽物だ。だって
俺にそんな資格はないから。
それは今の幸せというものを噛みしめているのと同時に自分の心の叫びを無視し掻き消しているようにも思えた。
いかがだったでしょうか?実力はまだまだですが少しでも二人の関係を今後綴れるよう邁進していきます。不定期になってしまいますがよろしくお願いします!