ここ最近変な効果を付与するという違法マイクが出回っている。
そんな不穏な気配漂わせる話を聞いたのはチームメンバーとの久しい食事の席だった。
「そいうこともあるから注意しとけっつう話さ」
カラン。話の終わりと同時にグラスの氷が崩れる。違法マイク。武器にとって代わり相手の交感神経系に作用する『ヒプノシスマイク』で言葉を放ち全ての勝負が完結するようになったこの時代、唯一警戒しなくてはならないもの。しかもそれが自分たちの住む街あたりで一番目撃されてるという。スウッと酔いが回ってたはずの頭が冷えていく。
「ほ、ほへぇ〜よう知っとるなぁ零は」
平常を保ちつつ感想を口にすると目の前のサングラスをかけた怪しげなおっさん…チームメンバーの一人天谷奴零は俺たちにはない大人の余裕を含ませた笑みを口元に浮かべた。
「まあな。情報収集はおいちゃんの命にも等しい。なぜならこれは真っ当な仕事、だからな」
「詐欺師がどの口聞いとんねん…」
「まぁしゃーないしゃーない。一応本人は仕事言うてるんだし、な?盧笙」
のらりくらりしたいつもの調子の零に不満げな様子のもう1人のメンバーを宥める。
「はぁ〜そないこと言うて簓、いつかお前が零に本領発揮されても俺は知らんからな」
言葉とは裏腹に相手を労るような目でこっちを見てくるそいつは今まで出会ってきたどんなタレントよりも綺麗で俺は思わずじっと見つめてしまう。そいつ…盧笙はレンズ越しに切れ長の瞳をスッと細め困ったように笑った。
「なんや簓、俺になんかついとるか?」
「や、別に…」
なぜ、だろうか。いつもの盧笙の、いつも通りのはずの言葉になんて反応すればいいか分からなくなった。それだけなら仕事で疲れていた、そう考えるだけで済むのだが問題はその後、だった。本当に、本当に一瞬だけ盧笙のその笑顔に意識がまるごと持っていかれた。あの時胸の辺りがどうしようもないほどギュウッて苦しくなった。
(まだドキドキいっとる…)
知っているような感覚ではあったがどうにも思い出せない。でも。
(いや、ではなかった、な)
「簓?」
黙り込んだ俺を見て盧笙が更に顔を近づけてくる。顔なんていつも見られてるはずなのに今はそれが妙に恥ずかしい。
「っとああすまんな盧笙。ちょっと呑みすぎたわ。久しぶりにこうやって会えてなんやけどそろそろお開きにしてもええか?」
これ以上このままだと気が持ちそうになくてとっさに浮かんだ言葉を口にする。しまった思わず早口になってもうた。察しのええ盧笙ならこの時点でなんか聞いてきそうで怖いわ。そう少し肝を冷やしながら恐る恐る様子を俺は伺うと。
「お、おぉええで。なんや珍しいな。いつもなら俺が止めるまで零と悪乗りして飲み続けるんに」
珍しく動揺してた。でもやっぱりさっきの余韻がまだ胸に残ってるせいか。意識もしてないのに俺の目は全然関係ない景色を写した。
「すまんな。なんや体重くてな」
サッと盧笙が顔青ざめさせたのが見なくても分かった。
「す、すまん!簓、仕事終わったばかりやったのに俺、気づけへんくて…」
「おうおう大丈夫か?簓。あんまし、無理すんなよ?」
零はともかくとしていつも体調管理が〜とか突っ込んで怒ってくれるはずの盧笙がまったく違う反応を示す。それを見て俺はまたいらぬ不安をもたせてしまったか…と軽く心の中で落ち込む。さっきまであんなに楽しかったのに今の心の中は晴れるどころか、曇り始め今にも雨が降ってきそうだった。
「かまへんかまへん!盧笙やっていつも色んな生徒さん囲まれとって苦労しとるんやろ?」
「せやけどお前に比べたら、全然…」
まだ暗い顔して落ち込む盧笙になんとか笑って欲しくて無理矢理にでも明るい声をかける。
「今日はちょっと無理やったけど辛かったまた今度俺を頼ってくれや!いつでも待っとるから!!」
これで少しはましになるはずだったが…
「あぁ…そうさせてもらうわ」
なぜが相方の声は一段と変わった雰囲気を纏ってるように聞こえた。
難しい…。自分の妄想を文に直すだけでも大変なのに、更に他にも膨らんでって収集つかなくなっていって…ってなる未来が見えてならない…です。(´ . .̫ . `)
一応ざっくりした次のものもできているので頑張って読めるものに仕上げます…。
ご閲覧ありがとうございました!m(_ _)m