真剣で甚爾に恋しなさい!   作:ハリボー

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朧霞から幻爪に改名しました。

最近モンハンにハマり過ぎて執筆が疎かに。

ヤバいな。


14対1

甚爾が当主になる事を決意した翌日、甚爾の下に面会に訪れた者たちがいた。

 

「若様。」

 

「ん?どうした八咫。」

 

「はい。鶴海家当主、鶴海 翔鶴様とその妹君、鶴海 瑞鶴様が若様にお目道理を願いたいと。」

 

「…いないって言っとけ。」

 

甚爾が八咫に居留守を使い、面会を断わるように指示を出した時、部屋の襖が勢いよく開け放たれた。

 

「そうは問屋が卸さないわよ!とうじ君!お姉ちゃんが会いに来ましたよ~!」

 

「翔鶴ねぇ!いきなり走らないでよ。みっともないでしょ!」

 

「あら、私は早くとうじ君に会いたかったんだもの。瑞鶴だってそうでしょ?」

 

部屋に入ってきて早々、姉妹でじゃれ合う。めんどくさいのがまた増えた、心の中で甚爾はため息をつく。

 

「翔鶴様、瑞鶴様。若様の前です。そのくらいにしていただきましょう。」

 

八咫が二人を止めに入る。

 

「で~?何しに来たんだ?じいちゃんにはもう会ったんだろ?明日は葬式、そんで火葬。それまであてがわれた部屋にでもいろよ。」

 

「そんなつれないこと言わないでよ。そういえばもう涼音ちゃんには会ったの?」

 

「風呂で襲われた。」

 

「襲ってません、愛の営みです。拒まれましたが。」

 

「涼音様!おられたのですか!」

 

「瑞鶴が来たタイミングで、廊下で聞き耳立ててたんだろう。」

 

甚爾の耳は、かすかな足音をも拾い、涼音が聞き耳を立てていることすら見抜いていた。

 

「明日から忙しくなりそうでしたので、本日は挨拶に。甚爾様この度は、禪院家当主になられる覚悟を決められたそうで何よりでございます。鶴海家当主である私、翔鶴と妹の瑞鶴。挨拶とお願いに参った次第でございます。」

 

「翔鶴さん。挨拶は分かりますけど、お願いとは?旦那様に何を頼むのですか?」

 

涼音が、翔鶴に質問をする。甚爾が当主になる覚悟を決めたとはいえ、まだ確定してはおらず、これから葬儀も控えているというのに、何をお願いしに来たのか見当がつかなかった。

 

「ハッ。食えね女。」

 

「私のような女はお嫌いでしょうか。」

 

「まさかお願いってそういう!」

 

「まぁいいぜ。好きにしろよ。俺にはどうでもいい話だ。」

 

「ありがとう。とうじ君。さぁ瑞鶴。これ以上はお邪魔になりそうだから、お部屋に戻りましょう。」

 

「分かったよ翔鶴ねぇ。とうじ…また…ね。」

 

そう言って翔鶴は瑞鶴を連れて部屋を出て行った。去り際に、瑞鶴が見せた反応が不覚にも可愛いと思ってしまった。涼音は頬を膨らませる。

 

「何むくれてんんだ?」

 

「さっそく愛人を二人も作るなんて、新しい当主は何とも逞しいですね。」

 

「は?何の話だ?」

 

「今の話!お願いってそういうことでしょう!もう、翔鶴さんも瑞鶴も前から旦那さんの事が好きなのは知っとったけど、うちの前で言う?まぁ知らん仲でもないから、旦那さんが良いならうちは構わないけど。」

 

「「…」」

 

甚爾と八咫は揃って何言ってんだこいつ。という目で涼音を見る。

 

「涼音様…はぁ。」

 

「八咫さん。なんで溜息?」

 

「そりゃお前にあきれてるからだよ。」

 

「ええ!あきれられる理由がわからんのやけど!」

 

「翔鶴と瑞鶴が言うお願いってのは、お前が思ってるもんじゃねえ。」

 

「じゃあなに?」

 

「あいつらは俺が当主になった暁には、()()()()()()()()()()()()()()っていう証言が欲しいのさ。」

 

「はい?」

 

葬儀後に行われるであろう、新しい当主を決める中で甚爾が当主なりそこで鶴海家が、甚爾の陣営に最初に味方に付いたと宣言できれば、今後の分家の中で発言権は高くなり同時に重鎮の中でも一番高い位置に籍を置くことが出来る。翔鶴と瑞鶴がお願いしに来た内容は、まさにそれだった。故にいち早く甚爾に挨拶をしに来たのだった。

 

「仮に俺が当主になれなかった場合、翔鶴と瑞鶴もあの女に前当主と代わるように言われてなったんだろ?だからもし綺羅が当主になっても、それなりの地位が約束されてる。どっちに転んでもあいつらには得しかねえのさ。だから言っただろ?食えねぇ女だって。」

 

甚爾の言葉に涼音は開いた口が塞がらない。

 

「そもそも、あいつが当主候補から外れてたのだって、そう仕向けてたからだしな。」

 

「仕向けていた?」

 

「あのシスコン、妹が当主になるように裏でずっと動いてたんだよ。次の当主になるはずだった、あいつらの叔父。死因覚えてるか?」

 

「えっと確か…奥様との仲のもつれで無理心中。まさか!」

 

「そのまさか。鶴海家に代々受け継がれてきた技は、音に気を乗せ操る技術。それを使って、嫁の方を操って無理心中に見せかけて殺したのさ。」

 

「犯行現場が家だったからな。鶴海の屋敷ならいざ知らず。この家ならどこにいようが血の匂いがしたら気が付く。それに音も聞こえてたしな。まぁ俺の場合、気がないから逆に耐性を得ていたおかげで操られなくて済んだが。」

 

過去に起きた事件の真相を、まさかこのような形で知ることになろうとは、誰も思いもしなかった。ただ一人、甚爾だけがうっすらと笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

お経が読まれる中、喪服に身を包んだ分家の者達や家臣達。そして国の重要人物達も葬儀に出席していた。1000年の歴史を持つ禪院家は、政界とも繋がりが深く、分家から嫁を出すことも多々あったからだ。甚爾も慣れない黒いスーツにネクタイをして式に参加している。しかし、今座っている席は親族ではなく、参列者側の席。こうなるだろうとは予測はできていた。若手の分家当主達は疑問にも抱かない。だが、重国の代より支えてきた当主達は違う。この場において死人が出てもおかしくはない。気が気ではなかった。冷や汗が止まらない。

 

「(あからさまに俺だけを標的にしてやがる。姉貴が親族側の席にいるのがいい例だ。どうせ今は伏黒だからとか言ってこの先にしたんだろう。葬儀の事なんざ初めからどうでも良いんだろう。葬儀が終わった後の当主を決める会議。)」

 

じわぁ。まるで、吸収し切れなかった水のように滲み出る殺気。これに耐えられるのは、果たしてこの場において何人だろう。威嚇でも威圧の意味も持たない、ただ純粋な殺気。過去に一瞬殺気を放つだけで、集団ショック死をさせた男の殺気は、例え武の道を歩む者であったとしても、毒のように蝕み命を奪う。

 

バタンッ!

 

「おい!子供が倒れたぞ!」

 

「妻が!おい早く医者を!」

 

「お婆様!しっかり!」

 

老若男女問わず倒れ出す。

 

「急いで医務室へ運べ!八咫お前は医者の手配だ!」

 

「はい!」

 

頼れる男、夜蛾が指揮を取り倒れた者達の救護にあたる。しばらくして、倒れた者達を運び終え葬儀は再開された。なぜいきなり倒れる者が出たのか、疑問に思う者達が多かった。中には先代の呪いなどと言い出す罰当たりもいた。そんな中、甚爾の隣に空いた席に座った者が。

 

「ちょっと甚爾。この場で殺し合いでもするつもり?」

 

「瑞鶴。」

 

「あの殺気は故意?それとも無自覚?多分後者だろうけど。それは葬儀が終わるまで我慢して。じゃないと小さい子まで死んじゃう。」

 

そう言いながら手を握ってくる。そして気がつく。自身の拳を堅く血が流れるほど握りしめている事に。それに気がつき力を抜く。瑞鶴は、持っていたハンカチで甚爾の血を拭う。

 

「あんたが考えてる事はなんとなく分かる。私も正直、要様の事は嫌い。やり方も間違ってる。このままじゃ、禪院家千年の歴史が終わっちゃう。甚爾、やっぱりアンタが当主になるべきだよ。これは損得抜きの私個人の本心。だから私も協力する。」

 

瑞鶴の目は真っ直ぐだ。ただ純粋な思った事を言っている。それが分かったからこそ。

 

「なら、さっそく一つ頼めるか?」

 

 

 

 

葬儀が終わり深夜。要と綺羅。そして若手当主が集まり会議を行っていた。

 

「明日の火葬が終わり次第、ここにいる綺羅の正式な当主継承の宣言をする。無論、先代より使える者達の意見も出るであろうが、最後は多数決。数はこちらが勝る。皆頼むぞ。」

 

「「「「「「「ハッ」」」」」」」

 

最終的な打ち合わせだったのだろう。確認を最後に皆退出する。その中で一人部屋に残った。

 

「で?奴等の動きはどうだ?」

 

「はい。甚爾殿は未だ動きも見せておりません。そして一つお耳に入れておきたい事が。」

 

「なんじゃ。」

 

「鶴海家当主をあまり信用しない方がよろしいかと。」

 

「裏切りかい?」

 

「どちらに転んでも良いように、保険を打っている模様で。奴等とも裏で協力を結んでいます。」

 

「あの小娘!当主にしてやった恩を仇で返すか!」

 

「ママ落ち着いて。大丈夫。1人減っても数はまだこちらが上なんだから。」

 

「そうじゃな。そうであったな。取り乱した。すまぬ。」

 

「いかが致しましょうか?」

 

「もし奴等が邪魔をしてくるとすれば、あの儀式を使うやもしれん。準備は進めておけ。その時は貴様があの猿を殺せ。よいな?」

 

 

 

香本家当主   香本 涼音

 

 

 

その頃、甚爾達の元に重国の代から支えてきた、分家当主達が来ていた。要の策で既に当主を辞めた者、現当主の者すべて。

 

「こんな夜中になんだ?爺婆どもが。年寄りはさっさと寝ろよ。それか美人よこせ。」

 

「甚爾様、ふざけている場合ではございません。明日はいよいよ新当主を決めるのです。綺羅では禪院家に相応しくありません。それに聞き及んでおりますぞ。当主になると宣言をなされたと。さすれば多数決ではこちらが不利。貴方様が取れる手段は一つ。」

 

「多血統血」

 

「左様。」

 

「あの〜多血統血ってなに?」

 

ここで唯一部外者であるミサゴが質問をする。

 

「申し訳ないが、いくら貴女が局様の護衛であろうと、これは禪院家の問題。この部屋から退出していただけますかな?」

 

至極もっともな意見。しかしそれに局が待ったをかける。

 

「では、我も退出しよう。嫁に行きもうこの家とは関係ないからな?」

 

その言葉に老人達は戸惑いを見せる。これでは埒があかない。仕方なく甚爾がミサゴに説明する。

 

「多血統血ってのは…」

 

{多血統血}

当主を決めるにあたり、票が割れた際に用いられる解決策。互いを支持する分家を率いて戦う小規模合戦。

 

・互いに全戦力を投入し戦う。

 

・外部の協力者、または戦力投入は禁止。

 

・勝敗はどちらか一方が全滅するまでとする。

 

上記の三つを原則とし、互いが合意すれば成立となる。

 

 

「まぁざっとこんな感じ。なんか質問ある?」

 

「そうねルールの2と3は分かるけど、ルール1これってどこまでが全戦力?」

 

「言ってる意味がわかんねぇな」

 

「それって局さんみたく外に嫁いだ人も含まれるの?」

 

「いいや、親族であることには変わりはないが、外に嫁いだ時点で家の方針に対する発言権を失ってる。だから姉貴は戦力としてはみなされない。」

 

「もう一ついい?」

 

「なんだ。」

 

「つまり嫁いだり婿入りして、外に出てしまった時点で多血統血への出る事は出来ないのよね?」

 

「だから何だ。」

 

「それってさ外に出る手段がない、つまりは分家に嫁いで来た人や、子供達なんかはどうなるの。」

 

ミサゴの発言に、皆息を殺し沈黙を保つ。しかしそれが明確な答えだった。

 

「全戦力って言うそういう事⁉︎じゃあルール3の全滅ってまさか!」

 

気がついてしまった。嘘だと言って欲しい。だが予想するまでもなく非情だった。

 

「ああ、女も子供も関係ない。全滅するまで続く。文字通り、多くの血を流し流させ、一族を統一する血を決める。それが多血統血だ。」

 

今の現代において、こんな残酷な決め方があるだろうか?女も子供も病を患っていても、怪我をしていても、強制的に参加をさせられ戦わされる。どちらか一方が全滅するまで。

 

「…蠱毒。」

 

「ハハッ。確かに言われてみりゃ似てるな。」

 

ここで1人の旧当主の男が発言する。

 

「時間は幾ばくもございません。さっそく作戦を練りましょう。」

 

「必要ない。」

 

しかし、甚爾はこれを却下する。この後に及んで何を言っているのか。そう思い甚爾を見る。そこには圧倒的捕食者が己を見ていた。目が語る。意見するな。ただ黙って大人しくしていろと。

 

「作戦は明日伝えてやるよ。ハイ解散解散。」

 

皆何も言わずに部屋を追い出される。局とミサゴを同様だ。

 

「局様。甚爾様は何をお考えなのでしょうか?」

 

その質問に、局はある確信を持って答える。

 

「あの子が何を考え、何を思い、当主になろうとしているかはわからぬ。」

 

局はここで言葉を区切り、再び重く険しい表情と声音で口を開く。

 

「だが、皆覚悟するのだ。禪院家千年の歴史上、類を見ないほどの惨劇と理不尽が起きるぞ。」

 

 

 

重国の火葬は慎ましく終わり墓に埋葬された。局をはじめ、家臣一同そして重国より支えてきた者達、皆涙を流す。

 

「さっさと戻るぞ。これから私の可愛い可愛い綺羅の当主になるお披露目会じゃ。」

 

そう言って本家に戻る要。それに続く綺羅に若い分家当主達。

 

「あの女!」

 

「八咫。やめろ。」

 

「夜蛾さん!しかし!」

 

「やめろ。」

 

夜蛾に言われ悔しそうに歯噛みする八咫。

 

「こんな思いをするのも、後少しだ。」

 

皆、覚悟を決めた表情だ。これから起こる戦に向け歩みを進めた。

 

 

 

ー禪院家ー  大広間

 

現在各分家当主と要、綺羅が集まり新当主を決める話し合いが行われていた。

 

「では、これより新たなる当主を決める会議を始める。と言っても既に決まっているがな。ここにいる、綺羅を六十代目禪院家当主とする。賛成の者は挙手を。」

 

「お待ち下さい要殿。これから話し合い決めると言うのに、綺羅殿を既に決定しているとは些か強引では?」

 

一人の当主が発言する。

 

「然り。それにまだ香本家の当主が来ておられません。」

 

また一人重国より支えた当主が発言。

 

「そうじゃった。おい、入るが良い。」

 

「失礼致します。」

 

入ってきたのは涼音。その事に老当主達は驚き、要はニタリと笑う。

 

「言い忘れてあったな。本日よりそこの涼音が香本家の当主になる。異論はないな?」

 

老当主達は、してやられたと歯噛みする。投票に移れば15対13で綺羅に決まってしまう。

 

「ではあらためて綺羅を当主に賛成の者は挙手を。」

 

そして手を挙げる。駄目だ。決まってしまった。あの馬鹿親子にこの家は食われる。顔を伏せ心のなかで重国に謝罪を始める者もいた。

 

「どういう事じゃ。」

 

突然、要が動揺を隠そうともせず声を上げる。

皆一同に要を見る。その要が見る視線を追うと、翔鶴がいた。

 

「どういう事だ鶴海殿?早う手を挙げい。」

 

「なぜでしょう?」

 

楽しそうに笑いながら遠回しに拒否をする。

 

「小娘、よもや当主にしてやった恩を忘れたか!」

 

「私はお願いしてもいないのに当主にさせられたので、恩を受けた気はさらさらございません。むしろ、ふざけんなクソババアと思っております。」

 

とてつもなく良い笑顔で言い切る翔鶴。逆に要は、茹で蛸の様に顔を真っ赤にし怒りを露わにする。

 

「やはり涼音より聞いていた通りか!」

 

「あら、やはり涼音さんは内通者だったんですね。甚爾殿の許嫁を賜っておきながら。」

 

「ええ。うちもとい、香本家は前々から要様側。許嫁の件は重国様に恩を売っていたから成立した話。けど最初から見抜かれてたのよね。あの時はびっくりしたわ。」

 

 

ー10年前ー

 

 

「甚爾の許嫁にお前の孫娘をねぇ。どう言うつもりだ?」

 

「いえ、何も他意はございません。ただ孫の願いを聞き入れたい、それだけにございます。それに涼音とは、歳も一つ違いですゆえ悪くないかと。」

 

「嬢ちゃんはどうなんだ?」

 

「はい。うちは必ず甚爾様の嫁になると、宣言致しました。」

 

「宣言ねぇ。誰に対してからしらねぇが。」

 

「「!」」

 

「まぁ良いぜ。甚爾の許嫁として認めてやるよ。」

 

「ありがとうござ「ただな」はい?」

 

「我が儘小娘がそのまま大人になっただけの奴に、振り回されてるお前らじゃあアイツは到底無理だ。それとも逆か?まぁ好きにしな。後は当人の問題。そのまま嫁になるもよし、暗殺するもよし、利用するもよし。アイツの試練にはちょっと足りないがいいだろう。精々、悔いの無いよう生きるこった。」

 

 

      回想終了

 

 

 

「その言葉にうちもお婆様も冷や汗が止まらなかったわ。けどようやく今日という日を迎えた。」

 

その話を静かに聞いていた翔鶴。だが聞き終わると共に上座、要と綺羅を見る。正確にはその後ろにいる2人。

 

「だそうですよ〜。甚爾様。」

 

「「「「「「「!」」」」」」」

 

要と綺羅は身体ごと勢いよく振り返る。そこには甚爾と夜蛾。

 

「そんな事だろうとは思ったけど。お前さぁ、俺を騙したかったらもう少し演技、上手くなった方がいいぜ?目が雄弁に語ってる。」

 

ヘラヘラと笑いながら涼音に言う。ここで控えていた夜蛾が前に出て、懐から何かを取り出した。

 

「ここにあるのは、重国様が亡くなる前に私にお預けになられたものです。今この場をお借りして、僭越ながらこの夜蛾が読ませて頂きます。皆様、どうか静聴願います。」

 

 

 

 

 

[七十九代目当主、禪院重国の名を持って伏黒甚爾を八十代目当主とする。これにより伏黒の姓を返上し、新たに禪院に戻す事とする。]

 

 

 

「ふ、ふざけるでないわ!この猿を後釜に据えるだと!既に死んだ分際で!」

 

そう言い切る要。カナメの発言に怒りをあらわにする者、逆に賛同する者。だそれは一瞬にして静寂へと戻る。

 

「がっ!」

 

グシャッ!

 

「ママ!」

 

いきなり顔面を殴られて、大広間の中央まで飛ばされる。鼻血をボタボタと流し、口の中も切れ歯まで折れている。

 

「き、貴様!何をしたか分かっておるのか。夜蛾!」

 

要の顔面を殴りつけたのは夜蛾であった。その表情は怒りで染まり、強者の闘気を放っていた。

 

「俺は、黙って聞けと言った。」

 

「ひっ!」

 

「我慢し続けた。若の事、そしてお前らの振る舞い。亡き重国様に対する今の発言。その一発でこの場は見逃してやる。分かったら最後まで黙って聞け、ゴミども。」

 

今まで、一度も見たことのない夜蛾の姿に皆慄く。そして理解する。この男は、今ここにいる者達を数分とかからず皆殺しにできると。

 

「お前がキレたの初めて見たな。」

 

「申し訳ありません。若様。」

 

「早く次のやつ読め。」

 

甚爾はそう言って続きを促す。

 

「若様。これは重国様から若さに宛てた手紙になります。」

 

銀は2通目の手紙を甚爾に差し出す。

 

「夜蛾、お前が読め。予想が正しかったら、爺ちゃんは最後まで爺ちゃんらしいことが書いてあるはずだ。」

 

「…分かりました。」

 

2通目の手紙を開け、読み始める。

 

[甚爾、おめぇが当主になるにあたって、ちょいとわしから試験だ。一応だが、お前が当主になるよう任命状は書き残して置いたが、まず間違いなく多血統血はやるんだろうさ。そこでだ、甚爾。お前1人でやってみろ。お前が負けたらお前の陣営は全滅って事で全員腹切らせろ。甚爾、昔わしが言ったこと覚えとるか?今それを証明して見せろ。]

 

 

夜蛾は読み終え静かに懐にしまった。

 

 

「じゃあ改めて聞くとするか。俺が当主に相応しいと思う奴は手ェ上げろ。」

 

その言葉に、老当主達と翔鶴が手を挙げる。

 

「これで14対14だ。多血統血を行う。文句はねえよなぁ?」

 

「よかろう。だが貴様は我々にたった1人で挑むのだぞ。それを分かって発言であろうな?こちらは約1500人。対してお前1人。せいぜい足掻くが良い。」

 

「そういや判定はどうすんの?」

 

要の言葉を軽くスルーして、老当主達に判定は誰がつけるのかと聞く甚爾。後ろで、スルーされたことに怒り散らしているが知った事ではない。

 

「それは我に任せよ。」

 

そう言って入ってきたのは局。後ろにはミサゴともう一人。

 

「お久しぶりでございます。伏黒様。いえ今は禪院様でしたね。ですが局様の弟君であらせられるので、甚爾様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」

 

九鬼家従者部隊のクラウディオがいた。

 

「判定はこのクラウディオに任せようと思う。心配せずともジャッジは公平に行う。」

 

「俺は良いぜ。」

 

「よかろう」

 

「では局様より伺いました、多血統血のルールを改めておさらいさせていただきます。」

 

 

・互いに全戦力を投入し戦う。

 

・外部の協力者、または戦力投入は禁止。

 

・勝敗はどちらか一方が全滅するまでとする。

 

上記の三つを原則とし、互いが合意すれば成立となる。

 

「ここに更に追加ルールを加えます。甚爾様陣営は戦力を甚爾様お一人と致します。もし負けてしまわれた場合には、ルール3が適応されます。よろしいですね。」

 

「ああ」

 

「うむ」

 

こうして多血統血の舞台へと移動を開始するのだった。

 




うん。

出したかったの。翔鶴と瑞鶴。アニメで動いてるの見た時すごい感動したもん。ゲームでも愛用してるもん。

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書いてて思う事。感想を読むのが密かな楽しみ。

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