真剣で甚爾に恋しなさい!   作:ハリボー

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RISE早くアップデート来て〜

ども!好きなお菓子はグミ、ハリボーです。

皆さんモンハンやってます?基本双剣をモンハンシリーズでずっと使ってるんですけど、最近ボウガンも面白いと思い始めました。今回あるモンスターをイメージした描写を入れてます。分かるかな?わかって欲しいな。分からなかったら僕の文章力が下手だったということで。




夜。月明かりと、陣を照らすために焚かれた火以外は何も明かりがない。綺羅陣営は綺羅と要を中心に、最後の作戦会議を行っていた。各家のもの達は、すでに配置につかせ指示を待っていた。女も武術に心得がある者は前線に、そうでない者と子供は陣営で給仕を任されていた。

今回の多血統血において、本来のものと違う点がある。

 

・今回に限り甚爾陣営は、甚爾1人だけということ。

 

本来ならば二つの陣営同士が争うが、重国の遺言により前例のない構図となった。故に、綺羅達は陣を構えているが、甚爾は構えていない。なので陣を互いに攻めるのではなく、城塞戦のような形になった。綺羅達は、背後から攻められないよう決められたエリア内の1番奥に陣を敷く。これで甚爾は真正面からしか攻められなくなった。

 

 

「背後からの奇襲の心配はしなくていい。とりあえず、奴がここに辿り着くためには、一度川を渡らねばならん。まずはそこで仕掛ける。」

 

「それは向こうも承知の上では?」

 

「然り。故に既に仕込みは済ませた。」

 

要は事前に実家の伝手を使い大量の武器を仕入れていた。

 

「あの川の何処を渡ろうとも一面に地雷を仕掛けてある。それで死なずとも、そこに我らが奇襲をかければひとたまりもあるまい?」

 

「流石はママだ。よしそれで行こう。みんな僕がみんなを勝利に導くよ!」

 

既に勝った気でいるのか、酒や豪華な料理などを振る舞いながらの作戦会議。そして第一の作戦は前線へと伝えられた。

 

 

 

ー禪院家ー

 

「この度は依頼を受けていただき感謝致します。冥冥様。」

 

「いいえ。この程度で三千万も頂けるとは、こちらも感謝しますよ。」

 

「なにせ私1人では、この広大なフィールドを全て見て回るには少々骨でしたのでね。それも貴女のお力があればやりやすくなる。それでは私はフィールドの方へ参ります。報告はお任せいたしました。」

 

「委細承知。ではまた後ほど、クラウディオ殿。」

 

冥冥。裏世界でも屈指の実力者である彼女を、今回クラウディオは雇っていた。いくらクラウディオと言っても、エリア内を全て監視することは不可能。故に彼女に監視の依頼を出していた。

 

「ふふ。さぁ甚爾。どれだけ成長したのか見せてくれ。」

 

 

多血統血開始から3時間が経過した。時刻は午後11時。しかし甚爾が攻めてくる様子がない。定期的に行っている報告でも川向こうに影も形も見当たらないらしい。

 

「まさか既に川を渡ったのでは?」

 

「バカね。それなら地雷か爆発するでしょう。」

 

「怖気付いたか?」

 

「かもしれないな!」

 

「ハハハハッ」

 

当主たちは皆、甚爾が怖気付き、隠れて攻めてこないと笑い出した。1人を除いて。

 

「どうかしたのかい?涼音。」

 

「…綺羅様。」

 

涼音である。ただ1人浮かない顔をして、思考に沈んでいた。

 

「どうした遠慮はいらんぞ。何かあるのならば申せ。」

 

酒で気分が高揚しているのか、要が肩を組んでくる。

 

「恐らく攻めて来ないのは作戦かと。」

 

「「「「?」」」」

 

皆、疑問を浮かべる。作戦?たった1人で作戦も何もない。1人で全てを、相手取らなければならないならば、影に潜み隠れて襲うしか作戦はない。それにはまず地雷の川を渡らなくては。

 

「多分、こちらの油断と緊張を誘っているのかと思われます。常に対岸を見張り、緊張の面持ちの前線。先ほどのように余裕の構えの我々。互いの精神を二つに分け、もしもの時の指示系統の混乱を誘っているのかと。」

 

「涼音ちゃん考えすぎじゃない?」

 

「それに今は深夜。闇は人を弱くします。闇の中にいるそれ自体が恐怖。」

 

皆黙り涼音の話に耳を傾ける。

 

「そしてこれは言おうかどうか迷っていたのですが、少し緊張を持った方が良いと判断いたしましたので、言わせていただきます。」

 

そして涼音は話し始めた。甚爾が裏世界ではなんと呼ばれているか。こなした仕事の数々などを。

 

「は?曹の精鋭を一人で?」

 

「ドイツ海軍も。」

 

「う、嘘だろ。アイツが武闘家殺しだったのか!」

 

「なぜ今まで黙っておったか!」

 

「既に周知の事と思っておりました。裏ではこれほどまでに有名な話。奴の事は幾つか聞き及んでいるものと。」

 

まさかの事に、今更ながら自分たちは何に喧嘩を売ったのか理解する。

しかし、そんなことは関係ないと綺羅は言う。

 

「噂なんて事実は殆ど嘘だ。ホントだとしてもそれは全体の一割にも満たない。後付けばかりさ。心配入らない!みんなで戦えば必ず勝てる!」

 

その言葉に安心出来るものなどこの場にはいなかった。

 

そこに伝達の役目の者が戻って来た。

 

「報告します!」

 

それは終わりの始まりを告げる知らせだった。

 

 

 

 

ー数分前ー

 

 

「なぁ。」

 

「何よ?」

 

「彼から2時間は経っただろ?甚爾はまだ攻めてこないのかよ。」

 

「そんなことあたしに聞かないでよッ!」

 

「わ、悪い。けどそんな怒鳴らなくたって…。」

 

「ごめん。ハァー、結構イラついてた。本当ごめん。」

 

若いながらもその実力を認められて、前線の一部隊を任された男女。歳は甚爾と同い年。昔、甚爾とも仲良くしたいと思っていたが、家の言いつけで接する事ができず、現状に少し疑問を持っていた。

 

「なんで、お互いが殺し合わなくちゃいけないんだろうな。」

 

「あたしに言わないでよ。けど、もっともな意見ね。そもそも1人対14家。甚爾が勝てる確証はないに等しいわ。それでろくな作戦も立てずに、お姉ちゃん達は陣で先に宴会してるんでしょ。」

 

「お前、甚爾と喋ったことあるか?」

 

「ないわよ。近寄るなって言われて。あんたは?」

 

「俺も。一言でも喋ったら家から追い出すって言われた。多分、要様に命令されてたからだろうけど。」

 

「もしかしたら、仲良くなれたかもしれないのにね。」

 

「俺たちは一方的にあいつを知ってるだけ。甚爾は俺たちのことなんか知らないだろ?」

 

「だから、昔に接することができたら変わったかもしれないじゃない?タラレバの話をしてもしょうがないけど。さてと、ほかの部隊からの定期連絡、そろそろよね?」

 

「もうすぐ伝令係が来るはずだ。」

 

しばしの静寂。風がかすかに吹き木々が揺れる。

 

「好きだ。」

 

「は?」

 

「こんな時に不謹慎だって分かってる。けどさ、勝っても俺がもし死んじまって、想いが伝えられないのは嫌だ。だから好きだ。」

 

「ちょ、ちょっと待とうか。うん。告白?え?今!いやアンタが言ってることはわかるけど、唐突過ぎない!てか言うかいつから?」

 

「…5歳の時の迎春会の時から。」

 

恥ずかしくなったのか、後半につれ小さくなる声。しかし女にはしっかりと聞こえていて、こちらも顔を赤く染める。

 

「マジ?」

 

「マジ。」

 

「ピュアか!ピュアピュアか!え?あたしが初恋なの!」

 

「返事は終わってからでもいい。」

 

「いや死亡フラグになりそうだから却下。返事は今する。」

 

「え!今!」

 

「あんただって、今あたしに告白したじゃん!」

 

「や、よし。スーハースーハー。よし来い!」

 

心の準備は万端!期待と不安。初恋が実るか否か!緊張の瞬間。

 

「あたし「おまえらーーーーーーーー!」」

 

それは邪魔をされた。清々しいほどに。タイミングよく。

 

「「…」」

 

気不味い。メチャクチャ気不味い。部屋でエロ本見てたら、母親が入って来たぐらい気不味い。これは文句を言っても良いだろう。2人は、告白の返事を遮った者に顔を向ける。

 

「「ちょっとタイミング考えろバカ!」」

 

向けた支援の先にいたのは、別部隊の伝令係の者だった。2人の文句など聞く暇などないと言った顔で、全速力でこちらにかけてくる。

 

「ちょっと、どうしたのよ慌てて。」

 

「話してる暇はねぇ!走れ!早く!追いつかれ…!」

 

豪ッ!

 

瞬間、上空からまさに辻風が吹き下ろす。2人の間を抜けた風力の強さに、思わず後退する。女の方は尻餅をついてしまい、自分のお尻を労る。

 

「あイタタタ。もう何よ今の突風。それでどうしたの慌てて?」

 

そう言いながら立ち上がり、伝令係の者を見る。だが返答はなく、ただ正規の宿らぬ目でこちらを見て棒のように立ち尽くす。

 

ズルッ

 

「え?」

 

突如、伝令係の顔が地面に落ちた。側面から見たらまるで、後頭部から顎にかけて袈裟斬りなされたかのごとく。

 

「キャアアアアアアッ!ヴッ…おゔぇ。」

 

思わず吐いてしまう。先程まで生きていた者の中身を見てしまった。突如として死んだ。訳がわからない。何だこれは?疑問がグルグル頭の中を駆け巡る。だがこの者は言っていた。逃げろ。何から?分かっている。この戦いにおいて、自分たちの敵はたった1人。

 

「今すぐここから逃げよう。聞いてるの!」

 

自分の事が好きだと言った男。固まって動けないのだろうか。だがこのままでは2人とも死ぬ。

 

「…にげ…ろ」

 

「そう!逃げるよ!早く!」

 

隣を見る。だがそこにあったのは、首のない身体だった。

だが先程聞いた声は間違い無く彼のもの。そう言えば自分より下から聞こえて来た。まさか…。そう思いながら下を見る。そこにはこたらを見る男の頭部が転がっていて、逃げろと首の筋肉をピクピクさせながらずっと呟いていた。

 

「イヤァァァァァァァァァァァッ」

 

じゅわぁ。

 

恐怖のあまり失禁してしまう。もはや立つ力もなく座り込む。

 

「なんで?なんで?なんで?」

 

うわごとのように呟く。それに返答を返す声がこだまする。

 

「なんで?そりゃお前、これは殺し合いだからに決まってるだろ。」

 

さも当然と言うように背後から聞こえた声。禪院甚爾がそこにいた。

 

「あの伝令野郎、森ん中での鬼ごっこは、木の上にも注意しろっての。…?そういやこれ、前にも誰かに言ったような?まぁ良いか。」

 

女は甚爾の言葉に耳を傾けることなく、地面に転がった頭部を持ち上げ抱きしめる。

 

「あたしも好きだよ。」

 

甚爾は幻爪を鞘から抜く。

 

「その、なんだ。向こうで会えると良いな?」

 

そう言って振り下ろす。その時、女は振り向いた。憎しみでも怒りでもない、ただただ笑顔。

 

「あんた、優しいんだね。」

 

その言葉を最後に首から上が飛ぶ。

 

「優しいかねぇ?」

 

そう言い残し、また闇の中を駆けた。

 

 

 

時間は戻り、前線部隊の全滅を聞かされた本陣は混乱を極めた。

 

「前線部隊は、皆同様に首を刎ねられ死亡!中央線も被害甚大!」

 

「どういう事だ!地雷の爆発音はここまで聞こえるはず!不発か!」

 

「何かしらの方法で川を渡ったものと。」

 

「今はそんなことよりも早く指示を出さないと!」

 

「けど作戦なんて最初の以外立ててないだろ!」

 

そこに別の伝令が来た。

 

「報告!中央線壊滅!」

 

中央線も突破されたたった1人に。ありえない。あってはならない。

もはや誰も言葉を発しなかった。そこに給仕の女がやって来る。それは分家当主の妻であった。

 

「あ…あなた」

 

「お前!」

 

夫である男は直ぐに駆け寄る。その時、頭をよぎったのは先代当主の父の言葉だった。それがまさに現実になろうとしている。

 

「(そんなことに絶対させるもんか!)どうした?大丈夫。ここにはみんないるし必ず勝てるさ。だけど少し危険になって来た。いいかい、裏から子を連れてこっそりと家に戻るんだ。」

 

だが妻の女はずっと俯いたまま。そして顔をあげる。涙を流しながら笑っていた。

 

「あなた。ごめんなさい。…あの子を守って!」

 

ドンッ!と勢いよく突き飛ばされる。それと同時に女は爆散した。

 

どぉぉぉぉん!

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

目の前で愛する妻の爆死。男はただ泣き叫ぶ。

 

「惜しいな。そのまま夫婦共々円満に逝けただろうに。」

 

笑いながら、体にクロを巻き付けた甚爾がゆっくりと歩いて来る。手には何やらスイッチが握られていた。

 

「あの女の体に、C4巻き付けてたの気がつかなかったか?本当は何人か巻き添えにできたら楽だったんだが、奥さんに助けられたな?おっと、忘れる所だった。ほらよ。」

 

甚爾が何かを男の足元に放り投げる。それは息のない赤子だった。

それを見た男はとうとう心が壊れる。ただ無気力に座り込む。

 

「なんだ。もっと怒り狂って向かってくるかと思ったのによぉ。つまんねぇな。」

 

それを見ていた他の者達が怒り狂う。

 

「貴様!こんな赤子も容赦なく!それでも人間か!」

 

「ハハッ。…俺を猿だなんだと言ってのはお前らの親玉だろ?こんな時だけ人間扱いか?いいかお前ら、お前らはその馬鹿にしてる猿に、殺されんだよ。」

 

ドカァァァァァァァァァァン!!!

 

C4の爆発など比べ物にならない、爆発が給仕場で起こる。

 

「なっ!」

 

「そんな!ただの爆発にしてもデカ過ぎる!」

 

「お前らが懇切丁寧に仕掛けてくれた地雷。アレを一気に爆破した。あっちは簡単に片付いたし、いや〜集めといて良かったわ。」

 

 

甚爾を見ながら思う。なぜこの男は笑っていられる。なぜここまでの非道なことができる?私達が何をした?逃げる。逃げられない。殺される。無慈悲に、ただの作業の如く。最初から勝てる見込みなんてない。

 

「うわあああああ!」

 

「ちょっと!何逃げてんの!」

 

「勝てるわけない!嫌だ死にたく…」

 

パァン!

 

逃げた男を甚爾が拳銃で背後から撃つ。一体何処から!その疑問はすぐに解明する。

 

「クロ、次だ。」

 

そう言って甚爾は、クロに拳銃を飲み込ませ代わりに、幻爪を取り出す。

 

「なに、あれ。」

 

「ああ?コイツか?こいつはクロって言ってよ、生物だろうが無生物だろうがなんでも格納出来る能力を持っててよ。武器は全部コイツに飲ませて移動してんだわ。」

 

そこで要が気がつく。どうやって甚爾が川を渡ったのか。

 

「まさか貴様!その龍に己を飲み込ませて、川を渡ったのか!」

 

「大・正・解」

 

甚爾はクロに自身を飲ませて川を渡り、幻爪だけを持って前線と中央線を潰して回ったのだ。クロはその間に地雷を回収し、再び合流したのだった。

 

「種明かしも終わった。あとは殺すだけだ。」

 

「皆、武器を取れ!一斉にかかるのだ!」

 

もはや、やけに近い状態で向かってくる。

 

「はぁ!」

 

ドガァン!女がハンマーを振り下ろす。ヒラリと軽く避け、背後からの刀を幻爪で防ぐ。間髪入れずに今度は弓。それを躱そうとするが、背後から奇襲して来たヤツに羽交い締めにされる。

 

「お?」

 

「俺ごとやれ!」

 

「男と心中する気はねぇんだわ。」

 

そう言うとクロが何かを出す。コロンと地面に落ちたそれはフラッシュグレネード。何人かが咄嗟に目を覆う。直後の強い光。その隙に抜け出し男を斬り殺す。立て続けハンマー女も一突。

 

「くそ!仇をうってやる!くらえ!」

 

今度は金棒を持った男。甚爾も幻爪を横薙ぎに一閃。

 

ガキィン。ぶつかる甲高い音。

 

「殺す!」

 

「いやもう終わってるし。」

 

すると男は、スパンと横薙ぎ20枚ほどにスライスされた。

 

「ありゃ?こりゃちょっと、じゃじゃ馬だな。」

 

「どういう事!完全に防いでたのに!」

 

幻爪が有する能力は刀筋の投影。例としてただ真っ直ぐに振り下ろした場合。その刀筋が通ったであろう無数の可能性の刀筋を、そのまま相手に与える。故にいくら防ごうとも、刀が通った可能性がある軌道上にあれば、そこにダメージを与える。ダメージを与えるまでは存在しないゆえ回避は不可能。ただし起動が右から来ていた場合、左からダメージ与えることはできない。故に、多方向から自由自在に斬りつけることができない点を除けば、欠点らしい欠点がないものだった。

 

「お願い助けて!なんでもぎゃ!」

 

「嫌だ嫌だ!ああああ」

 

次々と刀の餌食になる。残りは要と綺羅のみ。

 

「…認めるよ。強い。だけどそれは、その刀があってこそ。残念だったね。その刀の能力が、どのようなものかは分からないが、僕には勝てない。」

 

そう言って取り出した。武器。長くはない。十手のような形をしているが、ナイフに近い。

 

「これは【天逆鉾】と言ってね。蔵に封印されてた代物だ。君を殺して僕は当主に君臨する!」

 

「今となってはお前だけの家でか?」

 

「なにその辺はママの実家のツテを頼るさ。」

 

睨み合う。そしてぶつかった。刃物どうしがぶつかる音。だが、驚愕すべきは綺羅。本気の甚爾の動きについて来ていた。

 

「!」

 

「驚いたかい?これが僕の実力さ!」

 

スパン!一度距離を取る。だが甚爾頬から血が流れる。

 

「君の動きは目に気を集中させればいい!そうすれば捉えられるからね!」

 

「(それはそれで良いとしても、ついて来られるだけの動きは出来ねぇはずだ。それに明らかな興奮状態。)」

 

そう考えて甚爾が出した結論は。

 

「ドーピングか。アホらしい。」

 

「だけじゃないけどね。まぁ正解。神経を過剰にする薬を使ってね。要は反射神経を過剰に起こりやすくしてるのさ。」

 

脳の意識伝達を無視して、行動を起こす反射。それを人智を超えた状態で起こすためのドーピング。

 

「理には叶ってんなっ!」

 

背後に周り横一閃。だがこれも防ぐ。上下右左何度も斬りつけるが防ぐ。それ以上に不可解なのが幻爪の能力が発動していない。

 

「不思議かい?」

 

「それ発動中の能力の強制解除か?」

 

「まぁ流石に分かるよね。」タラー

 

突如、鼻血を流す綺羅。

 

「過度な動きにもう体が耐えらんねぇなら、大人しく死ね猿以下。」

 

「死ぬのは君だよ。クソ猿。」

 

2度目の睨み合い。だか次に動けば。

 

先に動いたのは甚爾真っ直ぐに突っ込む。そして振り下ろす。

 

「何度やっても同じだ!」

 

天逆鉾で防ぐしかし、衝撃は来なかった。

 

「!」

 

「バーカ」

 

無防備な胴体に放つ奥義。闇より黒く走るそれは。

 

 

【黒閃】

 

 

そのまま胴体を貫通する。空いた左手で、空中から降ってくる幻爪をキャッチ。刃をぶつけ合う直前に甚爾は、空に幻爪を投げていた。

 

 

「別によぉ、能力無効にされるなら、されない様に戦えば良いだけだろ。お前、実戦不足なんだよ。」

 

腕を引き抜き屍となった綺羅に言う。

 

「残るはあんたともう1人。」

 

「ヒッ!す、涼音!何処じゃ何処におる!はよう助けろ!何のためにわたしが今まで…」

 

ガシッと要の肩を掴み力を入れる。

 

「ま、待つのだ!わたしは義理とは言えお前の母親!親を殺すのか!今までのことは謝る!この通りだ!これからはお前を真の息子として愛そうではないか!綺羅など、ロクなものではなかった!だがお前な「黙れ」」

 

「お前が謝るのは俺にじゃない。じじいと親父にあの世で詫びてこい!」

 

「や、やめろ!」

 

ザシュ!

 

鮮血が夜にまう。大地を埋めるは人の屍。獣が喰らい、土へと帰す。

 

 

 

 

「はぁはぁくそくそくそ!あの能無し共!」

 

涼音は1人エリアの外に逃げていた。甚爾が陣に現れてから即座に離脱を図っていた。

 

「一度、家に必要なものを持って海外に!」

 

「よう。俺の元許嫁は何処に行こうって?」

 

待ちくたびれましたと言わんばかりの態度で話す甚爾。涼音は、ありえないものを見るような目で、甚爾をみる。

 

「どうやって追って来れたん?」

 

「お前の家、気を香に乗せて相手を操ることに長けてたよな?そのせいかお前の匂いは独特でよ。辿ってくるのは楽だったぜ。」

 

そう、あの場から消えた涼音を甚爾は、臭跡を追って来たのだった。

 

「本当に獣ね」

 

「お前だろ?正確には香本家。要と綺羅だけでなく他の13家を操ってたのは?」

 

「…」

 

「お前の家は格付けで言えば下の下だ。それに他家からも色々言われてたみたいだな?事の発端は60年前か、お前の婆さんはじじいの許嫁候補だったらしいじゃねえか。」

 

「よく調べたわね。」

 

「おう、まぁ俺じゃねえけど。」

 

 

ー昨日ー

 

「なら、さっそく一つ頼めるか?」

 

「香本家の過去と要が嫁いで来てからの、そうだなひと月程の分家との接触について調べてくれるか?」

 

「オッケー。任せて。」

 

「サンキュー」

 

「ちゃんとご褒美頂戴ね。」

 

「へーへー」

 

 

ー回想終ー

 

 

昨日のうちに瑞鶴に頼み、事の真相を調べ上げてもらっていたのだった。

 

「あいつマジで一晩でやりやがったよ。今は熟睡してんだろ。」

 

「瑞鶴」

 

憎いと言わんばかりの声で瑞鶴の名を出す涼音。

 

「続きだ。結局じじいはその件を破棄して、他の女と結婚。酷かったらしいな?お前の婆さん。家で結婚出来なかったからって回されて使われてたらしいじゃん?その上で産まれたのがお前の母親。そして親子共々酷い目に遭わされ続けた。けど能力を使い当主になり復讐に乗り出す。自分をこんな真面目な思いをさせた、じじい。ひいては禪院家にな。」

 

全てお見通しだと分かり涼音は力なく笑みを浮かべる。

 

「おまけに言うなら、要にも能力使って洗脳。綺羅の方にも「もういいわ」お?」

 

「どうせもう意味ないもの。」

 

「…」

 

「結局、ゴミのような人生だったわ。物心ついた時から、復讐の業を背負わされてさ。能力もそのために修行して。」

 

ぽつぽつと話し出す。後悔や怨みなど。

 

「実を言うとね、うち甚爾と結婚出来んなら良いと思ってた。まぁ結局はこうなったけど。」

 

涼音は甚爾に近づく。甚爾もクロから先程、綺羅が勝ち取った天逆鉾を取り出し近づく。

 

「なんか最後に言っとくか?」

 

「じゃあキスして?」

 

「は?」

 

「最後なんやしイイやん。ね?…んっ」

 

唇が合わさる。ソフトから段々エスカレートする。

 

「んっ…ちゅ……う…んんんっ…ぷっはぁ…んっ。」

 

約1分はゆうに経っただろう。2人は唇を離す。

 

「じゃね。」

 

「一応痛みはないようにするが、能力で痛覚は遮断しとけ。」

 

「もうやってます。」

 

「「…さよなら元許嫁」」

 

 

こうして多血統血の幕は閉じた。

 

 

 

多血統血から数日後。あの後、決戦に使われたエリアに放置されていた死体を全て片付け、甚爾陣営は三日三晩の宴が模様された。当然の如く主役である甚爾も無理矢理引っ張り出される。今日はその三日目だった。

 

「若様!よくぞ!よくぞ!この八咫、身を切るような思いで…ううぅ。」

 

「おい誰だ。コイツに酒飲ませたの。」

 

「あら、八咫ったらお酒弱かったのね。うふふ。」

 

そう笑いながら甚爾の隣に来るのは翔鶴。

 

「何しに来た?」

 

「あなたにお酌。」

 

そう言ってピッタリとくっ付きながら、空いたグラスに瓶コーラを注ぐ。

 

「本当にお酒でなくていいの?」

 

「酔えないから好きじゃねぇ。必要な時以外は飲まない。てかそもそも未成年だ。」

 

そう言って翔鶴が抱き締める腕とは反対で、ガラスを持ち上げ飲む。一気に飲み干し、そこにすかさず翔鶴がおかわりを注ぐ。

 

「今回の一件で分家の膿出しも終わって良かったわね。」

 

「まぁ瑞鶴には感謝だな。」

 

「そうよ。あの子すご〜く頑張ってたんだから。今度ご褒美上げないとお姉ちゃんが怒っちゃうんだから。」

 

ぷくーと頬を膨らませて言うが迫力が全くなく。本気なのだろうが、全く怖くなかった。

 

「女の嫉妬や怨みってのは怖いな。今回件でよく分かった。後、スゲーめんどくさい。」

 

「女はそういう生き物よ。」

 

そう言いながら自分の顔を甚爾近付ける。

 

「おや?お邪魔だっだかな?」

 

「んな事ねぇよ。冥。」

 

声をかけて来たのは冥冥。今回は監査と事後処理のためにとても奮闘してくれたようで、想定の倍の額を請求されたとクラウディオが言っていたのを思い出した。局とクラウディオはすでに九鬼に戻った。いち早く新しい当主が決まった事を報告する為に。帰り際に甚爾を抱きしめて離さず、このまま連れて帰ると駄々をこねていたが、瑞鶴と八咫が阻止した。ミサゴも今回の護衛の報酬を受け取る為についていった。冥冥は振込。

 

「一応、年上なんだけどね?」

 

「今更だろ。」

 

「また、腕を上げたみたいだね。君は、どこまで強くなる気なのかな?」

 

「知らん。」

 

「自分の事なのに?」

 

「自分の事だからだ。」

 

「ふふ。まぁ何かあったらいつでも呼んでくれ。」

 

「行くのか?」

 

「これでも忙しい身でね。時は金成さ。」

 

そう言って去っていく。後ろ姿に、相変わらず守銭奴な女だと思う甚爾。

 

「ちょっと。」

 

グイッと腕引かれる。

 

「…何膨れてんだ?」

 

「知りません。」

 

何に対し膨れているのか分からず疑問に思いつつも、コーラを飲むそこにまたまた客。

 

「あっ!いたいた翔鶴ねぇ。甚爾のとこいたんだ。」

 

瑞鶴が翔鶴と反対側に座る。結果甚爾は美人姉妹を両手に花状態。羨ましげな視線がそこらじゅうから降り注ぐ。

 

「今回ありがとな。」

 

「いいよ別に。ご褒美くれるんでしょ?」

 

「何がいい?」

 

「うーん改めて言われると良くわかんないなぁ。」

 

「ゆっくり決まれば良いさ。」

 

「うん」

 

時間を見れば深夜を回った2時。そろそろお開きの時間帯だ。

 

「お前ら俺は寝る。後やっとけ。」

 

そう言って自室に向かう。着くとすぐに布団に横になりボーッとする。

 

「俺が当主ね」

 

未だ実感が湧かないと言った面持ち。するとそこに来客が来た。

 

「とうじ入って大丈夫?」

 

声のからして瑞鶴だと分かり入室を許可する。

 

「なんだ?言い忘れたことでもあったか?」

 

「いや、その〜なんて言うか」

 

「?」

 

「今回の事でさ、その当主になったでしょう。」

 

「ああ。」

 

「それで涼音さんもさぁあれだし。」

 

この場で涼音の話を持ち出した瑞鶴。甚爾は答えが分かったとばかりに押し倒す。

 

「だからその、隠れて昔から喋ったりしてたあたし…キャ!」

 

「で?」

 

ニヤニヤと笑いながら瑞鶴に顔を近づける。

 

「だ、だから!」

 

ニヤニヤ

 

「ニヤニヤ止めろ!」

 

「じゃ早く言えよ。」

 

「うう〜、あたしを婚約者にしたらどうかって話!」

 

「したら?」

 

「して下さい。」

 

「よく言えました。」

 

そして瑞鶴の唇に優しくキスの雨を降らす。

 

「んっ」

 

「んっ…とうじ」

 

続きをしようとする前に、不届き者を逃すまいと声をかける。

 

「2人もどうだ?こそこそ見てないで入って来い。」

 

「「!」」

 

言われて観念したのか、入ってくる2人に瑞鶴は驚愕する。

 

「八咫さん!翔鶴ねぇ!」

 

「スミマセン」

 

「バレちゃった〜」

 

「話は?」

 

「聞いてるわ。あなたはどうなの?」

 

「かまわねぇよ。それにっと」

 

翔鶴を引っ張り胸に抱き寄せる。

 

「さっき宴で冥に嫉妬してたろ?」

 

「なんで今気がつくのよ。」

 

「で?どうする?」

 

「言わせないで…んっ」

 

こちらもただ触れるだけのキス。

 

「八咫…違えな、菜々。」

 

「はい。わ、いえご当主様。」

 

「お前も俺のものになるか?」

 

「我が身はいつまでも貴方様と共に。」

 

「ふっ。できた家臣だな。それと若でいいぞ。様なんざ付けるな。命令だ。」

 

「はい。若…んっ。」

 

 

宴は未だ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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呪術廻戦二期 伏黒甚爾登場! マジで甚爾に恋しなさい!再連載始めるか?

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