真剣で甚爾に恋しなさい!   作:ハリボー

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夜蛾学長が…涙

どもハリボーです。

今日のモンハンアプデ情報楽しみだ!


方針

ー禪院家ー

 

この日、新たな門出を迎える事に天も喜んでいるのか、雲ひとつないまさに快晴。もうすぐ冬になろうとしている季節の変わり目だが、日が差している今日は、少し暑いくらいだ。そんな天候にも恵まれた今日、禪院家の新たなる当主がお披露目となる。誰であろう。禪院甚爾その人だ。

 

「若、失礼します。」

 

「おう。」

 

「皆様準備が整いました。移動をお願い致します。」

 

「夜蛾。」

 

「はい。」

 

「最後までついて来い。」

 

「この命尽きるまで。」

 

 

ー大広間ー

 

各分家の当主と家臣一同、そして政界の重鎮や大企業の会長、社長にその息子娘達まで、勢揃いしていた。中でも異彩を放っていたのは、九鬼夫妻だった。妻の弟のであり、自分にとっても義弟。この日を祝うために、連日の忙しい業務をさらに突き詰めて、今日一日時間を作って出席していた。

 

「本日はあの子の為にありがとうございます。帝様。」

 

「なに、愛する妻のそして、俺の義弟の晴れ舞台。最後に見たのはまだ赤ん坊の頃だっけか?」

 

「ええ。母が亡くなり、その葬儀の時に。」

 

「そうだった。」

 

話の区切りがついたタイミングで、夜蛾が入ってくる。

 

「皆様、長らくお待たせいたしました。六十代目当主になられた。禪院甚爾様が来られます。」

 

ドンッ!ドンッ!ドンドンドンドンッ!ドドンッ!

 

畳の音が鳴り、皆姿勢を正す。

 

当主様のおな〜〜り〜〜

 

その声と共に襖が開く。

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

皆の目が点になる。そこには甚爾の姿は影も形もなく、手紙が一つ置かれていた。

 

「どういう事だ!夜蛾!」

 

分家の老当主が夜蛾に慌ててたずねる。

 

「いえ!先程まで確かにここで待っておられたはずです!」

 

「お待ち下さい!この手紙は?」

 

八咫が手紙を手に取り読み始める。

 

「八咫。何と書いてあるんだ?」

 

[拝啓、皆々様方。この度はご足労いただき恐悦至極にございます。手紙での挨拶になったこと、誠に申し訳ございません。お詫びと言ってはなんですが、我が姉、局が何かしらお詫びの品でも用意するでしょう。]

 

「は!?」

 

[本来ならば…めんどくさ、硬っ苦しいの嫌だから簡単にまとめるぞ。まず、当主には俺がなった事を認めろ。それと、もう暫く放浪すっからよろしく。家の事は夜蛾、お前が中心でなんとかしろ。翔鶴や瑞鶴あたりにも頼め。八咫お前も夜蛾のフォローしろよ。まぁ半年ぐらいしたら帰ってくるかもな。もしそれまでになんかあったら、姉貴や冥冥に頼んで頑張って探せ。

 

 

追伸:地下蔵の武器は全部貰っていく。

 

禪院家60代目当主 禪院甚爾]

 

 

「「「「…」」」」

 

「ああ〜」バタンッ

 

「つ、局様!」

 

「若ーーーーーーーーーーーー」

 

局は弟の行動に倒れ、夜蛾の叫びがこだまする。

彼を聞きながら、甚爾はほくそ笑む。

 

「頼んだぜ。」

 

背を向けて門の外へと歩き出す。さてまずは何処に行こう。この前は北海道にいたから、九州にでも行こうか?それとも海外?イタリアなんかいいかもしれない。まだ見ない土地に期待を膨らませながら、門をくぐり、捕まった。

 

「うふふ。何処へ行くの?とうじ?」

 

「翔鶴ねぇの言う通りになるなんて。」

 

後ろから翔鶴と瑞鶴が腕を組んできて、動きを止める。

 

「この度はおめでとうございます。ですが我が主人達を困らせるのはいただけませんね。」

 

「フッ、相変わらずの様だな。伏黒いや、今は禪院甚爾。貴様、コロコロと名が変わるな。」

 

門の外には、九鬼家従者部隊のヒュームとクラウディオ。まさに前門の虎後門の狼。

 

「なんで?」

 

「昨夜、私達が眠った後にこっそりと手紙を認めてるのを見てね。」

 

「お前起きてたのかよ。」

 

「たまたまよ。」

 

「さぁ!大人しく戻るよ!」

 

そう言うが2人とも動こうとはしない。疑問に思い2人を交互に見ると、どちらも何かを堪えているのか内股でかすかに膝が笑っている。

 

「おいまだキツいんなら無理すんな。俺は行くけど。」

 

「わかってるなら言うな!」

 

顔を真っ赤に染めながら反論するも、そそる要因でしかない。

 

「ならば俺が力尽くで戻してやろう。」

 

「リベンジマッチか?受けてやるが…今度は殺すぞ?」

 

二人の殺気が急激に膨れ上がる。両隣の震えが昨夜のダメージのものではなく、恐怖による震えに変わる。

 

「…やめだ。」

 

「怖気付いたか?」

 

「いや。こいつらがあまりに体を擦り付けてくるから、もう一回喰いたくなってな。」

 

「「///!」」

 

「フン。」

 

「おら、戻んぞ。」

 

1人片腕で抱え上げ、家に戻って行く。

 

「どうです?以前と比べて。」

 

「半年前の比ではないな。」

 

そんな話をする従者達。以前戦った時よりも強くなった甚爾に警戒心をさらに上げるのだった。

 

 

 

「つー訳で戻った。」

 

「そこに座りなさい。」

 

「姉貴。」

 

「何ですか。」

 

「…もう座ってるけど?」

 

「正座なさい!」

 

鶴海姉妹を連れて戻って早々、局に捕まり大勢の前での説教タイム。だが、説教など意に返さずヘラヘラも笑う。

 

「若。今後はこのようなことは控えていただきたい。」

 

「やめろとは言わないんだな?」

 

「無理な事と承知してますので。ですが、この様な重要な時はお願いします。」

 

「あいよ。」

 

「聞いているのですか!甚爾!」

 

「姉貴もいい加減にしとけよ。今1番恥ずかしいの姉貴だからな?」

 

「誰のせいだ!誰の!」

 

「じじい。」

 

「お前だ!」

 

方や常に弟を心配し、方や姉さえも殺そうと思っていた。そんな二人の姉弟と言えるやり取りに、涙を流す者も。

 

 

「とりあえず、お集まりの方々改めてご挨拶させてもらう。禪院甚爾だ。このたび当主となった。異論がある奴は潰すからよろしく。」

 

「(理不尽)」

 

心の声が意図せずして、一致した瞬間だった。

 

「硬っ苦しいのはこんぐらいで、飯にしようぜ?」

 

「では皆様此方に。既に準備は整ってございます。」

 

こうして当主襲名のお披露目会は筒がなく進んだ。

 

 

「話ってなんだ?姉貴。」

 

夜。参加者の皆様がお帰りになった後、局の呼びかけで、甚爾、夜蛾、八咫、鶴海姉妹、分家当主筆頭、帝が集められた。夫妻の後ろにはヒュームとクラウディオが控えている。

 

「その前にいいか?この度はおめでとさん、義弟。」

 

「誰だおっさん。」

 

「「「…」」」

 

空気が凍った。義弟と呼ばれている時点で、局の夫たる帝だと言うことは分かりきった事。それをおっさんと真顔で言い放った。

 

「ハハハハッ。確かにお前からしたらおっさんだわなぁ。一応お前さんの義兄になる。九鬼帝だ。まぁ前に会ったのは、まだ赤ん坊の頃の一回だけだし、わかんねぇか。よろしくな。」

 

「じゃあ兄貴で。」

 

「おう!いいぞ!いいぞ!」

 

「んんっ!では双方の紹介も済んだ所で、今後のことについて話し合おうと思う。」

 

視線が局に集中する。

 

「まずは、甚爾。」

 

「おう。」

 

「学校に通いなさい。」

 

「話は終わった。お疲れ!」

 

「こら逃げるな。」

 

即座に瑞鶴に捕獲される。

 

「離せ瑞鶴。」

 

「ダメ。これもアンタの為なんだからさ。ね?ちゃんと局様の話聞こう?」

 

「黙れおっぱい2号」

 

「誰がおっぱいか!てか2号⁉︎」

 

「ふふ、仲がいいことは何よりだけどとうじ、ここは瑞鶴の言う通りよ。私もあなたにあれこれ言いたくないわ。だから座りましょう?」

 

「うるさいおっぱい1号。」

 

「あらあらウフフ。」

 

スラッと瑞鶴は腰から刀を抜き、翔鶴は懐から横笛を出す。顔は笑顔だが、その奥に確かに般若がいた。

 

「「時と場所を考えろ。」」

 

「ハァ〜」

 

大きなため息を一つ吐き出して、観念して座った。

 

「よっこいせ。」

 

「ちょっと!」

 

そのまま瑞鶴の膝に頭を乗せ寝っ転がる。いわゆる膝枕状態になった。

 

「よろしい。では改めて甚爾、学校に通いなさい。」

 

「えっ!このまま話進めるんですか!!」

 

瑞鶴の反論は軽く無視される。そして甚爾は、何も言わず体ごと瑞鶴側に寝返りを打って無言で嫌だと訴える。

 

「こっちに体を向けるな!匂いも嗅ぐな!」

 

「呼吸しないと死ぬだろうが。流石の俺でも呼吸なしは無理。」

 

「うぅ〜」

 

それ以上の反論も無駄だと悟り、ついに観念する瑞鶴。

 

「甚爾、貴方が聡明である事はここにいる誰もがわかっています。ですが貴方はまだ16歳、本来であれば高校に通っている年齢です。」

 

「…」

 

「甚爾、禪院家当主たる者ならば、教養を身につけ皆のお手本とならねばなりません。それに貴方為です。同じ年代の交友関係など鶴海姉妹ぐらいでしょう?学校に行けば、良き友人に先輩後輩にも巡り会えます。」

 

「…」

 

「甚爾。」

 

「分かった。わかったよ姉貴。別に姉貴を困らせたくて嫌だと言ってるわけじゃねぇ。そんな泣きそうな顔してんじゃねぇよ。」

 

「何か嫌な理由があるのですか?」

 

「俺は裏の世界でずっと生きて来た。殺した数なんざ覚えちゃいねぇ。そんな俺が表の世界、しかも同年代達と上手くやれるわけがない。もう洗っても落ちない程の血が、俺には染み込んでる。」

 

ポンッと瑞鶴が甚爾の頭に手を置いて撫で始める。

 

「あ?」

 

「あんたはさ、これまで散々苦しい思いもして来た。まぁだからって、奪って来た命まではフォロー出来ないけどさ。それを言ったら私だって、あんたには及ばないけど家の仕事で人も殺した。そんな私でも学校も通って、友達も頼りになる先輩も可愛い後輩達もいる。あんたは自分の為だとか言いながら、人の為に何かをやる。覚えてる?始まってあった時のこと?」

 

「ああ。お前が初めて家に来て庭で遊んでたら、綺羅に怪我させちまった時だろ?」

 

「そう。それで要様、違うねあのババアに大目玉喰らいそうになって怖くて泣いてたら、あんたが来てボコボコにしてさ。それで代わりに怒られた。」

 

懐かしい日を思い出し少し童心に帰る。

 

「あんたが優しいのはみんな知ってる。初めて会って、いきなり仲良くなんて誰だって無理だよ。でも大丈夫。きっと分かってくれるよ。それに、…わ、私だってあんたと一緒に学校行きたい。」

 

「…」

 

「な、なんか言ってよ。」

 

「長ったらしい言い訳して、結局は自分が一緒に行きたいだけか。」

 

「ちがっ!…そうよ!悪い!」

 

「いや、悪くねぇ。」

 

ガバっと勢いよく起き上がり、局の方を向く。

 

「女にここまで言わせちまったからな、行くよ学校。」

 

その言葉に局は母の様に、優しく微笑んだ。

 

「そうか。そうか。ならばお前が通う学校だが…」

 

「瑞鶴と一緒だろ?お前どこの学校?」

 

「都内にある女子校。」

 

「おい。」

 

「…」フイッ

 

顔を背ける瑞鶴。

 

「この話やっぱ無し!」

 

「いや、瑞鶴お主にも甚爾が通う学校に転入してもらう。」.

 

「えっ!」

 

「2人が通うのは、我の子供達も通う所だ。その名も!」

 

 

 

 

「川神学園!」

 

 

 

 

神奈川県川神市にある学校。文武両道を掲げる学園。この学園には他と見比べて一つ変わった校則が存在する。

 

 

決闘システム

 

 

 

互いの意見が割れた際、決闘において決めるという一風変わった校則である。その為か全国各地、はたまた海外からも武の心得のあるものが多く通う。

 

 

 

「一部じゃ魔境なんて言われてるのよ。」

 

「ふーん」

 

「興味なさげね?てかッ!なに今度は.翔鶴ねぇに膝枕してもらってんのよあんたは!」

 

「私の膝の心地はどう?」

 

「キスもくれたら言うことなし。」

 

「それは今度ね。」

 

「甚爾。以前にお前に依頼していた件、覚えているか?」

 

「…なるほどね。いるのか?そこに、武神が!」

 

1を知り10を知る。全てのピースが甚爾の頭の中で繋がった。

 

「要はこうだろ?九鬼のクローンが世界に発表されると同時に、九鬼の本部もある川神学園へと編入する。そのタイミングで俺達も編入し、露払いもとい、武神がちょっかいかけてくるのを防ぐ。ってところか?クローンを一年時から入学させない辺り、何かしらの理由がありそうだが、まぁ詮索はしないでおくか。」

 

その思考、そして感の良さに口には出さないが驚愕する。我が弟ながら末恐ろしいとさえ思った。

 

「いいねぇ。とうじ、お前さ九鬼で働かね?」

 

「兄貴、喧嘩なら買うぜ?」

 

「売ってねぇよ。ハァ〜欲しいなぁ。」

 

「ともかくそういう訳で頼めるか?」

 

「クローンって事は、歴史的武人だよな。」

 

「「「「!」」」」

 

クローンとしか言っていないのに甚爾はそれを武人だと確信した。

 

「なら、遅かれ早かれ、挑戦者が絶えなくなる。提案だが、そいつらを武神に当てたらどうだ?それなら俺に依頼料を払う必要もないし、武神の抑え?武陵の慰め?にもなるだろ?それに1人も挑戦させないなんて、お前ら九鬼がするはずがない。それの選別にもなる。どうだ?」

 

「お見事。」

 

九鬼の4人は、クラウディオが発した言葉以外、発せられるものなどいなかった。

 

「それに、まだあんだろ?」

 

「(本当に、どこまで見抜いておられるのか。末恐ろしいですね。)」

 

「さっきの案、別に俺が提案しなくても誰かが出しただろうさ。わざわざ俺を雇う理由。武神と戦わせたい理由がお前ら、違うな。お前らのガキの中で理由がある奴がいる。そうだな。」

 

「「!」」

 

反応を示したのは、従者の2人。

 

「言え。」

 

ぞわっ!

 

 

嘘偽りは許さない。無言で殺気を放ち強制させる。今ここにいるのは、まさしく六十代目当主だと訴えた。当主である俺に、ただの従者であるお前達に反論の余地はない。

 

「あ、恐れながら申し上げます。我々は決して貴方様を騙すつもりはもうとうございません。」

 

「利用はするつもりだろ?」

 

ドッパァァァァァン!

 

2人の背後にあった壁は吹き飛び、庭が丸見えになっていた。甚爾はいつの間にかクロを出し、手には游雲を握っている。

 

「俺に、嘘をついたか?」

 

「あ、いえ決して!」

 

「遠回しに言ってこうとも取れますよね?なんてのは嘘と一緒だ。ワリィな、姉貴達。優秀な従者が1人死ぬ。」

 

♪〜♫〜

 

すると笛の音が部屋に鳴る。辿ると翔鶴が横笛を奏でる。どこか落ち着き、戦闘意欲が失せる。そして笛をしまうと甚爾の唇を自分の唇で塞ぐ。

 

 

「ちゅっ…んん……ぷは。どお?落ち着いた?」

 

「ん」

 

ひとつ頷き座り直す。

 

「翔鶴に免じて見逃してやる。ちゃっちゃと企んでる奴吐け。別にそいつになんもしねぇからよ。」

 

「…はい。」

 

クラウディオは全てを吐いた。それはただの兄妹の敵討ちをしたかった、純粋なものであった。

 

「以上でございます。」

 

「ならそのガキに言っておけ。相手を選べ。あと次に俺を利用しようとするもんなら、姉貴達のガキだろうが関係ない、殺してやるってな。たとえ九鬼と戦争になろうとも。」

 

「確実に。」

 

「よし。」

 

「姉貴。」

 

「すまぬ。」

 

「もういい。学校はまぁ、行ってやるよ。姉貴の頼みってことでな。」

 

「甚爾」

 

「まぁなんだ。今度、弟の頼みきけよ?」

 

「もちろんだとも。」

 

こうして川神学園へと編入が決まった。だがいくつか問題があった。

まずは住む所、最初は九鬼の本部ビルに住めば良いと提案されたが、これを却下。では寮に住むか?これも却下。甚爾は、時間はかかるが家から車でいいと言うが、行かんせん東京の郊外から神奈川まで距離がある。そこで翔鶴が提案する。

 

「なら、私達3人で住むのはどう?」

 

「「3人?」」

 

甚爾と瑞鶴が首を傾げる。

 

「そ。川神に一つマンションを家がオーナーとして保有しているわ。そこに住んだらどうかしら?」

 

そして耳を近づけささやく。

 

「そうしたら、私達を可愛がってくれるでしょ?」ボソッ

 

それがトドメとなった。こうして鶴海家がオーナーをしている、高級マンションに決まった。

 

「編入時期ですが、おっしゃる通りクローン達と合わせて編入して頂きたい。」

 

次に上がる問題が編入時期である。それまでどのように過ごすか。

 

「その辺は大丈夫です。」

 

夜蛾がここで割り込む。

 

「若には家の仕事をしていただきます。」

 

「お前やれよ。」

 

「当主になられた今、貴方が仕切らねばなりません。」

 

「現場がいい。」

 

「ダメです。」

 

「へーい」

 

決定!こうして編入まで当主としての仕事をする事に。

 

 

「それでは、決める事は決めたな。今度のそうだな、一週間後に川神学園の学園長に挨拶に伺おう。予定を空けておいてくれ。」

 

「かしこまりました、局様。」

 

「なんで夜蛾に言うの?なんで俺に言わねえの姉貴?」

 

「お前は逃げ出すから。」

 

反論は一瞬にして論破された。

 

 

「では続いてですが」

 

今度は老当主もとい、相談役からの議題のようだ。

 

「此度の件で許嫁であった、香本涼音の裏切り。これにより白紙になり、若の許嫁を早急に決めなくてはなりません。」

 

「あら、その件ならば既に解決済みですよ?」

 

「なんですと?」

 

「私達が嫁入りするので。」

 

「!」

 

「もう初夜もま済ませましたから、ね?瑞鶴。」

 

「翔鶴ねぇ!なんでここで言うの!」

 

「事はハッキリしておかないと。」

 

「そうだけど!恥ずかしいでしょう!」

 

「ちなみに、八咫も一緒でした。」

 

「「「「3人一緒!」」」」

 

 

まさかのカミングアウトに、相談役は腰を抜かし、夜蛾は八咫に当主に何してんだお前という視線を送り、局は呆れ、帝は口笛を吹き、従者2人は沈黙を保った。

 

「ではこの件は解決ですね?」

 

「し、しかしそうなると、鶴海家はどうなされるおつもりか?翔鶴殿、貴女は鶴海家当主。分家当主が嫁ぐなど。」

 

「そこは心配いりませんよ。」

 

そしてまさかの衝撃発言

 

「だって鶴海家は私達姉妹以外、皆亡くなりました。」

 

「ど、どういう事ですか!」

 

「だって、私が当主になったことを良く思わない人達が多くて、そのせいか裏でクソババアと通じてたんですよ。ですので、多血統血の前に処分して来ました。あ、資産とか諸々の権利などは事前に私と瑞鶴に移し替えておいたので、今まで通りで大丈夫です。嫁入りして宗家の事務仕事は増えますが、そこは私達が担当しますのでご心配なく。」

 

「女ってこえーな。」ボソッ

 

「何か?」

 

「翔鶴は美人な上、器量の良い女だなって。」

 

「それ褒めてる?」

 

「褒めてる褒めてる。」

 

相談役は頭が追いつかないのか、目頭を抑え項垂れる。しかし何とか頑張って自身を納得させた。

 

「わ、分かりました。では若の許嫁は鶴海姉妹と言うことでよろしいか?」

 

「いや、よろしくはないな。」

 

「まだ何かあるのですか若!」

 

「いや〜その、何だ。」

 

「とうじ、あなたまさか…他に女がいる。なんて、言わないわよね?」

 

ギギギィと聞こえて来そうな感じで、首だけをこちらに向ける翔鶴。

思わず反対に顔を向けるが、そこにも光のない目をした瑞鶴が刀に手をかけていたので、正面を向く。だが、同じく光のない目を向ける八咫。

 

「…」

 

「「「ねぇ?…どうなの?」」」

 

「正直に言っといた方がいいぞ。俺もまぁなんだ局以外との子供が1人いてよ。そん時はヤバかった。」

 

「マジ?」

 

「ああ」

 

義兄がまさか、姉以外の女と子供を授かっていたとは思いもよらず、素直に驚く。

 

「そいつが今回、お前に依頼を出した奴なんだけど。」

 

「あ、そうなの?」

 

それからしばし沈黙、そして…

 

「いる。2人。」

 

「「「…」」」

 

「だからって、お前らへの好意も嘘なわけじゃねぇ。」

 

「「「…」」」

 

「かと言って他の2人も蔑ろに出来ない。」

 

「「「…」」」

 

そして甚爾は、未だ己の体に巻き付いたままのクロから、天逆鉾を取り出して、床に置く。

 

「そいつで俺を殺せ。お前らにはその権利がある。他のやつは口出しすんな。いいな?」

 

「「「…」」」

 

天逆鉾を手に取ったのは瑞鶴。甚爾はそっと目を閉じて待つ。

 

「クロ、これさっさと閉まってちょうだい。」

 

いいの?とでも言いたげな目で瑞鶴見つめるクロ。コクリと一つ頷く瑞鶴を見て天逆鉾をしまった。

 

「とうじ動かないでね。」

 

バチィンッ!真っ赤な紅葉が頬に出来た。

 

「これで私は勘弁してあげる。けど、私たちを蔑ろにしたら許さないから!その時は心中してやる!」

 

「じゃぁわたしも。ほら八咫貴女も。」

 

「では若様失礼いたします。」

 

続けて残る2人もビンタをかます。

 

「今度、その2人もここに連れて来てね?その2人にもビンタをしてもらうから。」

 

「了解」

 

それからも議題は続き、この日は九鬼夫妻も泊まって行くこととなり、九鬼夫妻と甚爾三人で静かな夕食を楽しんだ。

 

 

 

 

ー九鬼本部ビルー

 

あれから一週間が経ち甚爾と夜蛾は川神へと来ていた。今日は平日の為、瑞鶴は学校に行っている。

 

「首いてぇわ。」

 

「高いですね。」

 

2人はビルを見上げ、その高さに若干引いていた。

 

「耐震設備大丈夫かこれ?」

 

「その辺はしっかりとされていることでしょう。しかし、遅いですね。」

 

なぜここまで来て、いまだに中に入らないのか?それは局が入り口まで来たら迎えをよこすと、事前に言っていたのでこの男にしては珍しく約束時間の10分前に来たのだが、約束時間を20分過ぎても迎えが来ない。

 

「姉貴に関して嘘をつくとは思えねぇ。」

 

「誰かの独断と言うことですか?」

 

「ああ。つうかあいつじゃね?」

 

「さっきから上から見下ろしてくる、あの黒ドレスのご婦人ですか?」

 

「多分な。あれは、要と違った意味で殺したくなる人種だ。」

 

「ご命令とあれば。」

 

「いい。今は待とう。」

 

そこへ、執事とメイドがやって来る。あの2人が案内人だろうと、夜我が声をかけようとする。

 

「貴様ら何者だ!」

 

「「は?」」

 

「ここは九鬼の本部ビルです!即刻立ち去りなさい!」

 

なんと出て行けと警告。

 

「おいおい、何の冗談だ?」

 

「我々は局様から、今日ここで待つように言われたのだが?」

 

「そのような指示はされていない。」

 

「怪しい人達ですね。捕らえさせていただきます。」

 

男はメリケン、女は鞭を取り出し攻撃を仕掛けて来た。

 

「若、ここは。」

 

「めんどくせぇから任せる。」

 

夜蛾が前に出て2人を迎え撃つ。

 

「「覚悟!」」

 

「お前ら、誰に攻撃しようとしてるかわかってんのか?」

 

銀の言葉と共に2人は、鳩尾に強い衝撃を喰らう。そしてそのまま気絶。

 

 

傀儡操術

 

己の気を人形に流し込む事で、自由自在に操作する。気の量によって、強さや強度などが決まる。

 

 

「お待たせいたしました。」

 

「じゃあ待ってても来ないし、行くぞ。」

 

「はい。」

 

こうして2人はビルの中へと入っていった。中に入るとそこには、己の得物を携えた九鬼従者部隊が待ち構えていた。

 

「ハハハッ。…そっちがその気なら、やってやるのも一興か。夜蛾。」

 

「分かりました。」

 

九鬼本部ビルのエントランスにて、戦闘が開始されるのだった。

 

 

一方その頃、局はと言うと。

 

「あの子はまったく。まだ着かぬのか?」

 

「報告は入って来ておりませんね。」

 

「む?」

 

「どうしましたヒューム?」

 

「あの夜蛾とかいう男の気だ。このビルに入ったようだな。ここまで隠すのが上手いとは思わなかった。この俺がビルに入らなければ気が付かないとは。」

 

「夜蛾がいると言うことは、あの子も来たようだな。全く説教だ。」

 

「お待ち下さい局様。」

 

「何だ?」

 

「どうやら、1階のエントランスにて戦闘が行われているようです。」

 

「何だと!どう言うことだ!ヒュームすぐに確認に迎え!」

 

「ハッ!」

 

一瞬にして消え去り、一階へ向かうヒューム。

 

 

ーエントランスー

 

「おいおいこの程度で主人をしっかり守れんのか?」

 

甚爾は小太刀で、的確に向かってくる相手の腱や筋肉の繋ぎ目を切った後、腹部を数回刺して沈めている。この一連の流れを僅か1秒弱でこなす。

 

「くそっ!遠距離が得意なやつを主体に攻めろ!相手は…ゴバッ」

 

先ほどから指示を出す男を頭と仮定して、喉を一突きで沈める。

 

「よくも!ハアアアアアアア!」

 

果敢に突進し、槍で突きを連撃で繰り出す。それを全て紙一重でかわし、足払いからの両肩の付け根を刺す。腕の力が入らず槍を落とす。女は構わず蹴りで攻める。

 

「あの男が言ってたろ?遠距離主体って。俺の間合いに、なってない蹴り技で攻めてくるなんざ、舐めてんのか?」

 

蹴りを体で受ける。入った!と女は思った。しかし、それと同時に蹴った足に激痛が走る。折れていた。あらぬ方向に向き、足をつくことができず尻餅をつく。

 

「うそ。」

 

「蹴りはこうやるんだよ。」

 

甚爾の強烈な回し蹴りが顔面を捕らえる。壁に激突し崩れ落ちる。

 

「夜蛾。そっちはどうだ?」

 

「話になりませんね。弱すぎる。」

 

見れば夜蛾の方は、既に全員血の海に沈んでいた。殆どが意識がなく、数名がなんとか保っている状態だ。

 

「なん…で……にん…ぎょうが」

 

「うぅ…」

 

「若いつまで遊ばれるおつもりで?」

 

「そうだな。……はい終わり。」

 

ブシューーーーーーーーー

 

一気にかけぬて、首を小太刀で切り裂いた。ざっと2人して150人程を倒し、これからどうするかを話し合う。

 

「お疲れさん。」

 

「このまま上にいきますか?」

 

「「!」」

 

2人してこのフロアに向かう。者を感じ取る。

 

「来たか。」

 

「ですね。」

 

「これは一体、どういうことでかすかな?禪院家当主殿?」

 

「コイツらが襲って来たんで、返り討ちにした。躾がなってねぇな。」

 

「…この度は大変失礼をいたしました。こちらへ、局様がお待ちです。この者らは我々にお任せを。」

 

こうしてヒュームに連れられ、やっと局と出会うこととなった。部屋に入ると血相を変えた局に迎えられる。

 

「甚爾!」

 

「おう姉貴。従者の躾ぐらいしろよ。」

 

「夜蛾、何があった!」

 

「はい実は…」

 

夜蛾はことの全てを伝えた。それに局は怒りを露わに、クラウディオとヒュームは驚きの表情。ここにいる誰もそんな指示は出していない。今日のこの時間に弟が来るから迎えを用意させるよう指示した。

 

「!迎えを用意させたのは誰だ。」

 

「はい。マープルです。」

 

コンコン、失礼致します。と外から声がかかる。その声の主に九鬼の者たちは誰が来たのかが分かり部屋へ入る許可を出す。入って来たのは、黒いドレスに身を包んだ老婆。

 

「マープル、これは一体どういう事だ。」

 

ヒュームが怒気を含んだ声で質問をする。他家の当主、しかも主人の弟を襲わせるなどなってはならぬことだ。

 

「申し訳ありません局様。しかし、確認したかったのです。本当にこのものに力があるのかどうか。裏の世界では、武闘家殺しなどと呼ばれてはおりますが、真実をこの目で確かめなければなりません。それにそのようなものが、局様の弟などと。」

 

「貴様!この方は禪院家当主となられたお方だ!それを襲わせるなど万死に値する!」

 

夜蛾が怒り人形を数体動かす。

 

「私は判断を間違ったとは思っておりません。」

 

「貴様にはそれ相応の罰を与える。おって沙汰を伝える。出て行け。」

 

「失礼致します。」

 

「待てよ。」

 

「「!」」

 

今まで黙っていた甚爾が待ったをかける。皆が動けぬほどの殺気を振り撒きながら。

 

「ババア、テメェは目的果たせたから満足なんだろうが、俺は許しちゃいない。」

 

そう言って何かのスイッチをマープルに渡す。

 

「これは?」

 

「さぁな?押したら分かるんじゃね?怖いか?ババア。」

 

押さねば今貴様を殺す。と言外に言われていると分かり、迷う事なく押した。

 

しかし何も起こらない。

 

「甚爾殿?一体なんのスイッチだったのですか?」

 

ジリリリリリリリリリリリリッ

 

突如鳴り響く。

 

「これは!」

 

『火災が発生しました。火災が発生しました。場所は20階治療フロア繰り返します。火災が発生…』

 

火災アナウンスが鳴り響き、火災が発生したと伝える。20階には先程の従者部隊150名がいた。

 

「まさか!」

 

「お前が殺したんだよ、クソババア。そいつはC4の起爆スイッチさ。お高く止まって気持ち悪りぃ。大量殺人ご苦労様www」

 

スイッチを落とし膝をつく。自分が殺した事に呆然とする。

 

「ワリィな姉貴。あんなカスどもはまた補充しといてくれ。それとこのババアの生殺与奪の権利は貰うぜ?2度と俺に舐めたことができないようにな。」

 

「…それは勘弁してもらいたい。こちらで罰を与えるから頼む。」

 

「チッ。姉貴に感謝するんだな。だが覚えとけ?今度俺にお前の独断で間接的にでも関わってみろ…老い先短い人生、すぐに終わらせる。」

 

「ヒューム。此奴を連れてゆけ。クラウディオ、事態の解決に当たれ。」

 

「「かしこまりました。」」

 

 

ー数時間後ー

 

爆発したフロアは、九鬼の建設部門が直すこととなり、マープルは処罰の為に権限は凍結されたのだった。

 

「姉貴お疲れ。」,

 

「半分はお前だということを忘れるな。」

 

「やられたからやり返しただけだが?」

 

「お子様達が、帝様と海外に出ておられて良かったですね。」

 

「まったくだ。後で電話がくるだろうが、問題ないと伝えておけ。」

 

「かしこまりました。」

 

「甚爾お前も、このままやり返したで済ますわけには行かん。それは分かっておるな。死んだ者達にも家族や恋人はいる。天涯孤独のやつもいたが、全員ではない。どうするつもりだ。」

 

「状況だけを見たら俺は、自分が助かるかそれとも、150人を犠牲にして助かるか2択を迫って選んだのはあのババアだ。多少強引ではあったが最終的に選んだのは奴だ。そもそもあんな奴を信用してたあんたらの責任じゃないか?」

 

「私達は呼び出され、襲撃を受けた。身を守る為の防衛。使えなかった奴らを、裏で指示を出していたものが殺した。客観的に見たらそう思うでしょう。」

 

「まぁ揉み消しぐらい手伝ってやるよ。」

 

「ハァ、もうそれで良い。」

 

「姉貴、老けるぞ?」

 

「誰のせいだ!まったく。さぁ、対応で時間を食った。急いで挨拶に向かうぞ。」

 

 

ー川神院ー

 

車から降りると院の門前に老人とジャージを着た中国人がいた。

 

「ようこそ川神院へ。九鬼局殿。」

 

「ようこそ、オいで下さいマシタ!」

 

「お久しぶりでございます。川神鉄心殿。この度はお時間を取っていただき誠にありがとうございます。」

 

「いやいや、老ぼれは時間を持て余していかんのでのう。まったく問題などありはせんよ。そちらは大丈夫じゃったかのう?朝に爆発が起きていたようだが?」

 

「ええ、我々の技術を狙うテロ組織が攻めて来たのですが、たまたま来ていた弟が全て捕らえてくれましたので、問題はございません。」

 

朝の件は架空のテロ組織が攻めて来たと、嘘の報道を流して有耶無耶にすることにしたのだった。

 

「して。その弟君は?」

 

「はい、少々街を見てみたいとのことで歩いて向かっております。もう暫くお待ちいただけますでしょうか?」

 

「ホッホッホ、なに全然構わんよ。ゆっくり見て周りこの街を知ってもらわねばのう。出迎えの方は門あたりに来ればワシかルーが気がつくじゃろうて。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ささ、立ち話もなんじゃ茶でもどうかな?」

 

 

場所は変わり、甚爾は現在九鬼の監視付きで街を散策していた。

 

「これが川神ねぇ。」

 

「いかがですか?」

 

「いかがも何も、何だ?あの橋。いきなりフル◯ンのオッサンが出て来て、川に落としたと思ったら、メチャクチャ際どい下着の女だが出てくるって。」

 

「ありゃ通称変態橋って言ってよ。その名の通りかなりの頻度で変態が出んだよ。」

 

「は?なにそれ?いいのそれ?警察何してんの?てかお前らの監視の目を超えてくる変態って何?」

 

「「さぁ?」」

 

「つかお前ら誰?」

 

「ファック!お前忘れたとは言わせねぇぞ!」

 

「ステイシー、相手はあの禪院家当主、局様の弟君でもあらせられます。失礼ですよ。」

 

ステイシーと李が監視としてついて来ていた。そもそも川神院の位置が分からないので、おとなしく監視されていたのだった。

 

「ほー仕事熱心だな。感心感心。」

 

「フフッ。聞いてくださいステイシー新しい駄洒落ができました!監視に感心。フフフッ。」

 

「あのダージーパイ買おうぜ。」

 

「あっ!良いな!コーラも付けよう!」

 

2人は華麗にスルー。けどへこたれない。がんばれ李!

ベンチに座り、早速買ったばかりのダージーパイを頬張る。

 

「へ〜意外と食べやすいな。」

 

「コーラとも合うなぁ!」

 

「美味しいですね。」

 

座りながら歩く人々を観察する。都会と言っても、武の心得のあるものたちが集う場所だと言っても治安はいいみたいだ。

 

「表向きはってか」

 

「「?」」

 

「あるんだろ?アウトローな奴らがいる所。」

 

「ああ、親不孝通りだな。」

 

「あそこはとても治安が悪い。オススメはしません。」

 

ふと、時計を見る。時刻は3時を少し過ぎた頃。そろそろ川神院に向かっても良い頃合いを指していた。

 

「そろそろ行くか。」

 

「かしこまりました。あら?」

 

「李、どうしたよ。ああ。」

 

なぜか納得する2人。一体だなんだ?2人の視線を追うと、そこには人だかりができ、中心には細身ながらも一目で武闘家だとわかる男と、どこかの学校の制服を着て、黒髪を靡かせ、前髪をクロスさせた巨乳の美少女。

 

「なにあれ?」

 

「これから面白いもんが見られるぜ!」

 

「もう1人は?」

 

「あそこ」

 

見ると李いつの間にか、男女の真ん中に。

 

「これから始まるのは武闘家同士の決闘さ。」

 

 

 

 

「僕の名は猪山!猪真拳伝承者!武神と名高い川神百代手合わせ願いたい。」

 

「良いだろう!久々の挑戦者だ!楽しませてもらう。」

 

「そして僕が勝ったら、嫁に来て欲しい。君に惚れた!」

 

「ほう。まぁいいぞ。勝てたらな。」

 

外野が盛り上がりお祭り騒ぎだ。この町では珍しくもないのか、皆楽しそうに観戦モードだ。

 

「あれが。」

 

「そう。あれが武神。川神百代。わかるだろあの気の量。それだけじゃねぇ。武術の才も合わさって、世界的な壁越えの実力者さ。っておい!何処行くんだよ!」

 

ステイシーの静止を聞かず真っ直ぐに進む。

 

「まさか!おい、李!今すぐ甚爾様を止めろ!」

 

「え?」

 

男はまるで猪の牙のように腕を構える

 

「くらえ猪真拳!王者の牙突!」

 

そしてそのまま勢いよく百夜に突進する。

 

「真正面から来るか面白い!受けて立つ!川神流!無双正拳突き!」

 

2つの技がぶつかるその瞬間

 

「お前が武神ねぇ?女って事は知ってたが、筋肉マッチョゴリゴリを想像していたが、へぇ美人だな。」

 

間に割って入り、正面から百代の拳を、背後には男の技をくらう。しかし、そんなものどこ吹く風。ダメージなど見受けられず、ヘラヘラと品定めをするかの如く笑う。それに対して驚愕している2人。己の技を防ぐのでもかわすのでもなく、受けてピンピンしているこの男に驚愕する。

 

「(私の拳を!本気ではなかったとはいえ、タダで済むはずがない!しかも受けた箇所、心臓だぞ!何なんだこの男は!)」

 

「貴様!何者だ!僕たちの決闘の邪魔をするな!」

 

そして男はもう一度技を放つ。

 

「くらえ!猪真拳!」

 

だがその時、苛立ちを隠そうともせず振り返る甚爾。その圧倒的な圧にこの場の全体が飲み込まれる!

 

「壁の前にすらたどり着けてねぇ奴が、粋がってんじゃねぇよ。」

 

その言葉と共に、甚爾の腕が少しブレたと思ったら、男は真後ろに水平に飛んでいき、そのまま電柱にぶつかり砕け散った電柱の下敷きになった。そして改めて甚爾は百代に視線を戻す。

 

「この程度の殺気に呑まれてる様じゃ話にならねぇな。ガッカリだよ武神。」

 

「まて!お前は一体誰なんだ!」

 

「また会おうぜ。」

 

甚爾が去っていく。慌てて李とステイシーが後を追い、この場から消えて行った。しかし、百代は去った後もしばらくは、その場から動けずにいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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呪術廻戦二期 伏黒甚爾登場! マジで甚爾に恋しなさい!再連載始めるか?

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