突然ですが、最終回です。
ーパリー
パリの中心地にあるとあるホテル。そのスイートルームに主要面々は集まっていた。
「今回の作戦、成功と見るべきかはたまた、失敗と見るべきか。」
「まさか、あの爆撃を受けて生きてるなんて、噂通りの様ね。武闘家殺し」
「部隊を投入しようとしたタイミングで、狩猟部隊が出て来てしまうとは。」
「で?今後どの様にして動くつもり?」
「今しばらくは、機会を待とう。しかし、次こそ殺すぞ・・・禪院甚爾」
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場所は変わり、甚爾と狩猟部隊はリューベックへと移動していた。
久しぶりのリューベック。
しかし、ここで問題に上がるのが、甚爾の宿泊する場所はどうするかと言うことだ。
すでに現地時間の夜中に当たる時間だ。
飛び込みで入れる、安いモーテルなどは探せばあるだろうが、思い出してみて欲しい。
以前、甚爾がリューベックに来た時、何処で寝泊まりをしていたのか。いや失礼。
誰と衣食住を共にしていたのか。
甚爾は狩猟部隊と別れ、現在はジークの家に身を寄せていた。
当然、普段は彼女の一人暮らしである為、ベッド一つに2人で入っている。
「フフフフッ」
「なんだ突然?なんかおかしな事あったか?」
「ううん、違うの。嬉しいの。また、とうじちゃんと一緒にこうやっていれるのが」
ジークが甚爾に抱きつきながら言う。
彼女の双壁が甚爾に当たり、形を変える。2人は衣服を一切身に纏ってはいなかった。
「遠くからでも分かったよ。あそこにいるのは、とうじちゃんだって。」
「俺はまさか、お前らが出て来るとは思わなかったがな。あの式典に、ドイツのお偉いさんも出席予定だったじゃあ、出張って来るのも納得だがな。」
「とうじちゃんが、依頼を受けた時、そう言った説明や資料なんか貰わなかったの?」
「要約してしまえば、護衛のフリだけしとけば良かったからな。」
「そっか。・・・・・・・・・フンフン」
「なぁ、さっきからなんだ?人の体臭嗅ぎまくってるがよぉ。」
「うーんとね・・・上書きできたかなって。」
「なに?」
「だから、他の女の匂いを、私の匂いで上書きできたかなって」
「・・・」
「好きだよ、とうじちゃん。」
甚爾の唇にキスをして眠りにつく。
ジークが眠りについてから、今回の依頼の不審点を頭の中でまとめながら、明日のマルギッテ達との情報交換会議に備え、自身も眠りにつくのだった。
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ーフリードリヒ邸 会議室ー
「なるほど、それが今回の君の受けた依頼の全てと言う訳だね?禪院甚爾君」
「ああ。それと呼び捨てで構わねえ」
「いいのかい?禪院家、それも当主である君を呼び捨てなど」
「公共の場でもあるまいし、それに同学年の父親からは流石にな。前回の件もあるし。」
「では遠慮なく、とうじ君と呼ばせてもらおう。君も気兼ねなく、私の事をフランクさんとでも呼んでくれたまえ。」
次の日、甚爾はフランクも含め、猟犬部隊と情報交換を行なっていた。
その結果、明らかになったのは3つ。
・連合軍が組織されたのは、上層部同士の合意の上である事
・爆撃に使われた機体は、どちらの軍のものでもない事
・今回の、護衛兼抹殺対象は、爆撃で死亡した事
「そうなって来ると、新たに浮かび上がる問題がある」
「ウム、第3の勢力の存在」
そう、今回の連合軍は正式な交渉と書類を成した上での、正式な組織だった。
武器や弾薬は、必ず使用リストをまとめてある為、今回の件で弾丸が何発使用されたかまで分かっている。
そして、連合軍が組織されたのは理由も消えた。
そうなれば、疑問が残る。
・爆撃に使われた機体は、どちらの軍の物なのか
しかし、どちらの物でもない、ましてや今回の作戦で使用する予定は全くなかった。
よって、第3の勢力の存在が浮かび上がる。
「真実を知っていそうな人物はやはり」
「a・・・だろうな。依頼を持って来たのもあいつだし。だが、俺が聞いた時は、フランスからの正式な依頼だと聞いた。」
「そこだ。それがおかしい」
「そうだよなぁ、おかしいよなぁ。おかし過ぎるんだよなぁ。わざわざ、フランスの正式依頼にしなくてもいいんだ。二度手間になるし、本来出す意味もない。」
「と言う事は、やはりそうなんだね?」
「それしかねぇだろう」
これ以外にはない、そう言い切る甚爾。
では一体、どこの誰が狙ったのだろう。話し合いは、その論点へとシフトする。
「まずは、フランスがあげられるな。」
「隊長のおっしゃる通り、その可能性は高いでしょう。ですが今回、爆撃に使われた機体はフランスの物では無い為、除外してもいいかと。」
「ならば、次は我がドイツとなるが」
「それは初めから除外だ」
「では・・・Libraしかありませんか。」
「だが、あの組織は基本、仲介組織にしかすぎん。それに、依頼人の情報は、得られないとみた方がいい。彼等のような生業の者たちは、信用を得ることで成り立っているからね。」
「・・・」
(上層部内で起きている内輪揉め...本当にそうか?)
今更、そこに疑問を持つのかと、自身で思いつつもやはり、aが言った言葉にどこか引っ掛かりを覚える甚爾。
「おい」
「何かね?」
「フランスが、新大統領の体制になってから、何か変わった所はあるか?もちろん、テレビとかで取り上げてる以外でのな?」
「それは、軍の内部などかな?」
「・・・」
「なるほど。マルギッテ」
「はい。フランスの軍内部での大きな変化は、特にこれと言って大きな変化は見られません。現大統領側の軍上層の者が、権力を強めた程度でしょう。」
「やはり、大きな変化は「なるほどな」何かわかったのかね?」
「ああ、だがここでは言わない。まだ確証がないからな。」
そう言うと、立ち上がり部屋を出ていく。
その後ろ姿を見てフランクは、飢えた獣を連想するのだった。
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「スゥースゥースゥー」
「…」
夜、ジークの家のベットの中に、二人の姿はあった。
当然のように、一糸まとわぬ姿でだ。
隣で眠るジークを起こさぬよう、どこかに電話を掛ける。
「俺だ。……ああ、問題ない。……少し頼みたいことがあってな。今から言う人物と、これまでの事を調べてくれ。…………………………頼んだぞ。」
「んッ…とーじちゃん?」
「起こしたか?」
「ふみゅ」
電話の声に起きてしまったジークを、そっと抱き寄せ頭をなでる。
「…寝てろ」
「うん」
そして再び、深い深い眠りえと落ちていく。
それにつられるように、甚爾も眠りへと落ちていくのだった。
目を覚ませば、朝の五時。
今日は日曜日なので、通勤のための人通りは少ない。
そんなリューベックの町中を歩く小柄な女の子。
コジマ・ロルバッハは協会に足を運んでいた。
彼女が、協会に足を運ぶようになった切っ掛けなどは、ここでは割愛しよう。
毎週の日課となっている教会でのお祈り済んで、朝一で何か食べようかと考えながら外に出ると、知人が一人立っていた。
「おお!とうじだ!」
「よぉ、とりあえずこれ食うか?」
差し出してきたのは香ばしい匂いと、焼きたての証拠である湯気が上るクロワッサン。
「いいの!たべるたべる!」
彼女は小柄ながらよく食べる。それはもう食べる。知らない人が見れば引いてしまうほどに。
今回も、甚爾が差し入れた焼きたてクロワッサン20個を、三分程度で平らげてしまった。
「美味しかった!ご馳走様でした!」
「おう。」
「とうじはどうしたの?今日日曜だよ?ジークとどっか出かけなくていいの?」
「心配すんな。それよりもお前に聞きたいことがあってな。」
「コジマに?」
「ああ、お前よく協会に行くじゃねぇか。そこで最近、協会内で噂に上がる話とかないか?」
「噂?」
「ああ、どんな些細な事でも構わない。」
「うーん、それって悪い噂とか?」
「できればそうであってほしいな」
「じゃあ聞かないな。」
「そうか」
「でも、いい噂話は聞いた。」
何でも、かつての聖女の魂が復活したというものだ。
話を聞いていくうちに、その魂がかなりのビックネームである事に、内心笑えてきてしまった甚爾。
「いきなりニヤケてどうしたんだ?」
コジマに指摘される始末。
「いや、何でも。悪ぃな、ちょいと用事が出来た。そら、これで朝飯を食って来い。」
「いいの!とうじありがとう!」
朝食代をもらい、朝一に駆け出していくコジマを見送って、丁度いいタイミングでかかってきた電話に、ワンコールで出る。
「よぉ、流石だな。一晩で調べて報告を寄こすなんてよぉ。」
電話の相手は、昨夜に甚爾が何かを調べるように頼んだ相手だった。
相手からの報告に、またもや先程、自分が考えたビックネームが出てきて、甚爾の推測が確信に変わる。
黒幕は分かった。なぜ俺を狙うかも。そして、自分がやるべきことも。
「さて、忙しくなるな。散々コケにしてくれたんだ。覚悟しとけよ?」
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「‟ ”様、準備が整いました。」
「わかったわ。」
「失礼するよ。」
「あら?貴方が私の部屋に来るなんて珍しいわね?何かあった?」
「ああ、その前に君、下がってくれるかな?」
「かしこまりました。」
侍女を下げて、男女だけが残る。
「今フランス政府は、我々の手に落ちたも等しい。だが、まだ足りない。」
「分かっているわよ。それに、貴方に煮え湯を飲ませたあの男を殺さないとね。」
「ああ、直観だけど相まみえるのは近い。そんな気がするんだ。」
「そう。でも大丈夫よ。貴方は二度と死なないわ。いいえ死なせない。」
「ああ、そうだね。愛しているよ。」
「ええ、私もよ。」
「本当に愛おしいよ。僕の」
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「その話は本当かね!」
「ああ」
「まさか!」
甚爾は、フランクとマルギッテに今わかっていることのすべてを伝えた。
「それで君はどうする?残念ながら、我々は表立って協力はできないよ。ことが事だけにね、国同士の争いだけではなくなってしまう。」
「ああ、今回は一人で片を付ける。いや、俺が肩をつけないといけねぇ。」
「何か必要な物はありますか?」
「乗り物を手配してくれ。もう一度パリに行く。」
「分かりました。すぐに手配させましょう。」
「じゃあなフランク中将」
「ああ、今度は日本で会おう」
フリードリヒ邸を後にして、急いで空港に向かう。
「軍専用のジェット機を用意させました。」
「悪いな。」
「いえ。それと人数分の携帯食料も用意しておきましたが、すぐにでも片が付きそうならば、そのまま差し上げます。」
「…おい、俺以外に誰を?」
車を降りながら聞くと、答えは日本にいるはずの者から返答された。
「そんなの私達に決まっているでしょう?」
そこにいたのは
「瑞鶴」
瑞鶴だけではない。翔鶴に夜我に七海までもがいた。
「お前等、何でいる?」
「愚門ですね若。」
「フフッ」
「言ったはずです若、この命尽きるまでついていくと。」
「本来なら、家臣全員で来るはずだったんだけど、さすがにそれはまずいって局様に言われてね、他のみんなは留守番。」
「それに、妻が夫の傍にいるのは普通では?」
「あとは戦力的に考えて、このメンバーなら最適でしょう。」
何とも自分の家臣らしい奴らだと感心する。
「なら、行くか。」
そう言って、先頭を切って歩き出す。
「容赦はするな。ただ目の前の敵を殺せ。」
「「「「御意」」」」
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ーパリー
ざわざわ ざわざわ
「おい!出てこられたぞ!聖女様だ!」
「聖女ジャンヌダルク様よ!」
パリの中心部にある教会。そこでは、現代に復活したジャンヌダルクを一目見ようと、多くの人が集まっていた。
「皆さんよく集まってくれました。」
たった一言。それだけで、人々は膝をつき涙を流す。
それを見て、ジャンヌは慈愛の笑みを見せる。
だが内心は、その笑顔裏腹にどす黒いものだった。
(ああ、もうそんな顔で見るな気持ち悪い。ったく、信者を集めて死を恐れない奴隷を増やすためとはいえ、こんな奴らに私の笑顔を見せてやらないといけないだなんて、マジキモイ。)
ジャンヌは異能ともいえる力を有していた。
ジャンヌの声は、人々と精神に働きかけ洗脳してしまう。
その力によってフランス政府を陥落させた。
「皆に神の加護があらんことを」
今日は週に一度行われるミサの日で、多くの信者が訪れていた。
多くの者が訪れることが出来る。
それすなわち、入り込むことも可能ということだ。
「何事ですか!」
「爆発だ!」
「逃げろー!!!!」
教会はパニックになり、もみくちゃになりながら我先にと皆逃げ出す。
その間にも、爆発は続く。
「一体何なの!」
「ジャンヌ!」
男が駆け寄ってきて、ジャンヌを抱きしめる。
「ついに来たみたいだ」
コッコッコッ
「ええ、その様ね」
コッコッコッ
「貴様ら!何者だ!」
「聖女様と教祖様を守れ!」
ジャンヌと男を守ろうと、侵入者に向かっていく。
しかし、向かっていった者たちは、一瞬にして絶命した。
床におびただしい量の血をぶちまけて。
「よぉ、久しぶりだな。まさか生きているとは思わなかったぜ?教祖様」
いや
「やぁ、本当に久しぶりだね無能の猿。」
「参考までに教えてくれよ、どうやって生き残った?俺確かにこの手で殺したと思ったんだけどなぁ?」
「ああ、殺したさ。俺のクローンをな!」
多血統一で甚爾は、綺羅を殺した。
だがそれは、クローンだということに驚きはない。
武士道計画で、クローン達とはクラスメイト。
しかし、気がかりなのは九鬼のクローン技術を綺羅がどこで手に入れたか。
「Mという謎の人物が協力してくれたのさ。実際に会ったことはないがな」
「なるほどね。ジャンヌダルク、テメェは」
「お察しの通りクローンよ」
2人は、いや綺羅はクローン技術を用いてジャンヌダルクを現代に復活させたのだった。
「全ては、お前を殺すための計画だ。」
「用心深いな。」
「俺は
「これがオリジナルの綺羅か。なんかクローンよりかはましね。」
瑞鶴の言葉に、内心皆が同意する。
「まぁ、過程の話は今はいいでしょう。」
「そうだな七海。」
「今は綺羅を殺す」
「違うな。もう殺した。」
上半身が消し飛んだ。
綺羅だけでなく、ジャンヌダルクもだ。
「ペラペラしゃべってるうちに、お前らはもう翔鶴の術中だ。最後にいい夢は見れたか綺羅」
何ともあっけない結末である。
だが殺しとは、本来時間をかけてはならない。
時間をかければかけるほど、リスクが上がる。それ故に手早く、終わらせる。
物語のような展開はいらない。
現実は、どれだけ時間をかけて計画を練って準備を整えても、あっけなく終わるのだ。
ゆえに、喜びもない。
これが当然であるから。
呪術廻戦二期 伏黒甚爾登場! マジで甚爾に恋しなさい!再連載始めるか?
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再連載!
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再連載しない!