真剣で甚爾に恋しなさい!   作:ハリボー

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ども、ハリボーです。

突然ですが、最終回です。


敵は

ーパリー

 

パリの中心地にあるとあるホテル。そのスイートルームに主要面々は集まっていた。

 

「今回の作戦、成功と見るべきかはたまた、失敗と見るべきか。」

 

「まさか、あの爆撃を受けて生きてるなんて、噂通りの様ね。武闘家殺し」

 

「部隊を投入しようとしたタイミングで、狩猟部隊が出て来てしまうとは。」

 

「で?今後どの様にして動くつもり?」

 

「今しばらくは、機会を待とう。しかし、次こそ殺すぞ・・・禪院甚爾」

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

場所は変わり、甚爾と狩猟部隊はリューベックへと移動していた。

久しぶりのリューベック。

しかし、ここで問題に上がるのが、甚爾の宿泊する場所はどうするかと言うことだ。

すでに現地時間の夜中に当たる時間だ。

飛び込みで入れる、安いモーテルなどは探せばあるだろうが、思い出してみて欲しい。

以前、甚爾がリューベックに来た時、何処で寝泊まりをしていたのか。いや失礼。

誰と衣食住を共にしていたのか。

甚爾は狩猟部隊と別れ、現在はジークの家に身を寄せていた。

当然、普段は彼女の一人暮らしである為、ベッド一つに2人で入っている。

 

「フフフフッ」

 

「なんだ突然?なんかおかしな事あったか?」

 

「ううん、違うの。嬉しいの。また、とうじちゃんと一緒にこうやっていれるのが」

 

ジークが甚爾に抱きつきながら言う。

彼女の双壁が甚爾に当たり、形を変える。2人は衣服を一切身に纏ってはいなかった。

 

「遠くからでも分かったよ。あそこにいるのは、とうじちゃんだって。」

 

「俺はまさか、お前らが出て来るとは思わなかったがな。あの式典に、ドイツのお偉いさんも出席予定だったじゃあ、出張って来るのも納得だがな。」

 

「とうじちゃんが、依頼を受けた時、そう言った説明や資料なんか貰わなかったの?」

 

「要約してしまえば、護衛のフリだけしとけば良かったからな。」

 

「そっか。・・・・・・・・・フンフン」

 

「なぁ、さっきからなんだ?人の体臭嗅ぎまくってるがよぉ。」

 

「うーんとね・・・上書きできたかなって。」

 

「なに?」

 

「だから、他の女の匂いを、私の匂いで上書きできたかなって」

 

「・・・」

 

「好きだよ、とうじちゃん。」

 

甚爾の唇にキスをして眠りにつく。

 

ジークが眠りについてから、今回の依頼の不審点を頭の中でまとめながら、明日のマルギッテ達との情報交換会議に備え、自身も眠りにつくのだった。

 

 

 

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ーフリードリヒ邸  会議室ー

 

「なるほど、それが今回の君の受けた依頼の全てと言う訳だね?禪院甚爾君」

 

「ああ。それと呼び捨てで構わねえ」

 

「いいのかい?禪院家、それも当主である君を呼び捨てなど」

 

「公共の場でもあるまいし、それに同学年の父親からは流石にな。前回の件もあるし。」

 

「では遠慮なく、とうじ君と呼ばせてもらおう。君も気兼ねなく、私の事をフランクさんとでも呼んでくれたまえ。」

 

次の日、甚爾はフランクも含め、猟犬部隊と情報交換を行なっていた。

その結果、明らかになったのは3つ。

 

・連合軍が組織されたのは、上層部同士の合意の上である事

 

・爆撃に使われた機体は、どちらの軍のものでもない事

 

・今回の、護衛兼抹殺対象は、爆撃で死亡した事

 

 

「そうなって来ると、新たに浮かび上がる問題がある」

 

「ウム、第3の勢力の存在」

 

そう、今回の連合軍は正式な交渉と書類を成した上での、正式な組織だった。

武器や弾薬は、必ず使用リストをまとめてある為、今回の件で弾丸が何発使用されたかまで分かっている。

そして、連合軍が組織されたのは理由も消えた。

そうなれば、疑問が残る。

 

・爆撃に使われた機体は、どちらの軍の物なのか

 

しかし、どちらの物でもない、ましてや今回の作戦で使用する予定は全くなかった。

よって、第3の勢力の存在が浮かび上がる。

 

「真実を知っていそうな人物はやはり」

 

「a・・・だろうな。依頼を持って来たのもあいつだし。だが、俺が聞いた時は、フランスからの正式な依頼だと聞いた。」

 

「そこだ。それがおかしい」

 

「そうだよなぁ、おかしいよなぁ。おかし過ぎるんだよなぁ。わざわざ、フランスの正式依頼にしなくてもいいんだ。二度手間になるし、本来出す意味もない。」

 

「と言う事は、やはりそうなんだね?」

 

「それしかねぇだろう」

 

 

 

 

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これ以外にはない、そう言い切る甚爾。

では一体、どこの誰が狙ったのだろう。話し合いは、その論点へとシフトする。

 

 

「まずは、フランスがあげられるな。」

 

「隊長のおっしゃる通り、その可能性は高いでしょう。ですが今回、爆撃に使われた機体はフランスの物では無い為、除外してもいいかと。」

 

「ならば、次は我がドイツとなるが」

 

「それは初めから除外だ」

 

「では・・・Libraしかありませんか。」

 

「だが、あの組織は基本、仲介組織にしかすぎん。それに、依頼人の情報は、得られないとみた方がいい。彼等のような生業の者たちは、信用を得ることで成り立っているからね。」

 

 

「・・・」

 

(上層部内で起きている内輪揉め...本当にそうか?)

 

今更、そこに疑問を持つのかと、自身で思いつつもやはり、aが言った言葉にどこか引っ掛かりを覚える甚爾。

 

「おい」

 

「何かね?」

 

「フランスが、新大統領の体制になってから、何か変わった所はあるか?もちろん、テレビとかで取り上げてる以外でのな?」

 

「それは、軍の内部などかな?」

 

「・・・」

 

「なるほど。マルギッテ」

 

「はい。フランスの軍内部での大きな変化は、特にこれと言って大きな変化は見られません。現大統領側の軍上層の者が、権力を強めた程度でしょう。」

 

「やはり、大きな変化は「なるほどな」何かわかったのかね?」

 

「ああ、だがここでは言わない。まだ確証がないからな。」

 

そう言うと、立ち上がり部屋を出ていく。

 

その後ろ姿を見てフランクは、飢えた獣を連想するのだった。

 

 

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「スゥースゥースゥー」

 

「…」

 

夜、ジークの家のベットの中に、二人の姿はあった。

 

当然のように、一糸まとわぬ姿でだ。

 

隣で眠るジークを起こさぬよう、どこかに電話を掛ける。

 

「俺だ。……ああ、問題ない。……少し頼みたいことがあってな。今から言う人物と、これまでの事を調べてくれ。…………………………頼んだぞ。」

 

「んッ…とーじちゃん?」

 

「起こしたか?」

 

「ふみゅ」

 

電話の声に起きてしまったジークを、そっと抱き寄せ頭をなでる。

 

「…寝てろ」

 

「うん」

 

そして再び、深い深い眠りえと落ちていく。

それにつられるように、甚爾も眠りへと落ちていくのだった。

 

 

 

 

目を覚ませば、朝の五時。

今日は日曜日なので、通勤のための人通りは少ない。

そんなリューベックの町中を歩く小柄な女の子。

 

コジマ・ロルバッハは協会に足を運んでいた。

彼女が、協会に足を運ぶようになった切っ掛けなどは、ここでは割愛しよう。

 

毎週の日課となっている教会でのお祈り済んで、朝一で何か食べようかと考えながら外に出ると、知人が一人立っていた。

 

「おお!とうじだ!」

 

「よぉ、とりあえずこれ食うか?」

 

差し出してきたのは香ばしい匂いと、焼きたての証拠である湯気が上るクロワッサン。

 

「いいの!たべるたべる!」

 

彼女は小柄ながらよく食べる。それはもう食べる。知らない人が見れば引いてしまうほどに。

今回も、甚爾が差し入れた焼きたてクロワッサン20個を、三分程度で平らげてしまった。

 

「美味しかった!ご馳走様でした!」

 

「おう。」

 

「とうじはどうしたの?今日日曜だよ?ジークとどっか出かけなくていいの?」

 

「心配すんな。それよりもお前に聞きたいことがあってな。」

 

「コジマに?」

 

「ああ、お前よく協会に行くじゃねぇか。そこで最近、協会内で噂に上がる話とかないか?」

 

「噂?」

 

「ああ、どんな些細な事でも構わない。」

 

「うーん、それって悪い噂とか?」

 

「できればそうであってほしいな」

 

「じゃあ聞かないな。」

 

「そうか」

 

「でも、いい噂話は聞いた。」

 

何でも、かつての聖女の魂が復活したというものだ。

話を聞いていくうちに、その魂がかなりのビックネームである事に、内心笑えてきてしまった甚爾。

 

「いきなりニヤケてどうしたんだ?」

 

コジマに指摘される始末。

 

「いや、何でも。悪ぃな、ちょいと用事が出来た。そら、これで朝飯を食って来い。」

 

「いいの!とうじありがとう!」

 

朝食代をもらい、朝一に駆け出していくコジマを見送って、丁度いいタイミングでかかってきた電話に、ワンコールで出る。

 

「よぉ、流石だな。一晩で調べて報告を寄こすなんてよぉ。」

 

電話の相手は、昨夜に甚爾が何かを調べるように頼んだ相手だった。

相手からの報告に、またもや先程、自分が考えたビックネームが出てきて、甚爾の推測が確信に変わる。

黒幕は分かった。なぜ俺を狙うかも。そして、自分がやるべきことも。

 

「さて、忙しくなるな。散々コケにしてくれたんだ。覚悟しとけよ?」

 

 

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「‟   ”様、準備が整いました。」

 

 

「わかったわ。」

 

「失礼するよ。」

 

「あら?貴方が私の部屋に来るなんて珍しいわね?何かあった?」

 

「ああ、その前に君、下がってくれるかな?」

 

「かしこまりました。」

 

侍女を下げて、男女だけが残る。

 

「今フランス政府は、我々の手に落ちたも等しい。だが、まだ足りない。」

 

「分かっているわよ。それに、貴方に煮え湯を飲ませたあの男を殺さないとね。」

 

「ああ、直観だけど相まみえるのは近い。そんな気がするんだ。」

 

「そう。でも大丈夫よ。貴方は二度と死なないわ。いいえ死なせない。」

 

「ああ、そうだね。愛しているよ。」

 

「ええ、私もよ。」

 

「本当に愛おしいよ。僕の」

 

 

 

 

 

()()()()()()()

 

 

 

 

 

________________________________

 

 

 

「その話は本当かね!」

 

「ああ」

 

「まさか!」

 

甚爾は、フランクとマルギッテに今わかっていることのすべてを伝えた。

 

「それで君はどうする?残念ながら、我々は表立って協力はできないよ。ことが事だけにね、国同士の争いだけではなくなってしまう。」

 

「ああ、今回は一人で片を付ける。いや、俺が肩をつけないといけねぇ。」

 

「何か必要な物はありますか?」

 

「乗り物を手配してくれ。もう一度パリに行く。」

 

「分かりました。すぐに手配させましょう。」

 

「じゃあなフランク中将」

 

「ああ、今度は日本で会おう」

 

 

フリードリヒ邸を後にして、急いで空港に向かう。

 

「軍専用のジェット機を用意させました。」

 

「悪いな。」

 

「いえ。それと人数分の携帯食料も用意しておきましたが、すぐにでも片が付きそうならば、そのまま差し上げます。」

 

「…おい、俺以外に誰を?」

 

車を降りながら聞くと、答えは日本にいるはずの者から返答された。

 

「そんなの私達に決まっているでしょう?」

 

そこにいたのは

 

「瑞鶴」

 

瑞鶴だけではない。翔鶴に夜我に七海までもがいた。

 

「お前等、何でいる?」

 

「愚門ですね若。」

 

「フフッ」

 

「言ったはずです若、この命尽きるまでついていくと。」

 

「本来なら、家臣全員で来るはずだったんだけど、さすがにそれはまずいって局様に言われてね、他のみんなは留守番。」

 

「それに、妻が夫の傍にいるのは普通では?」

 

「あとは戦力的に考えて、このメンバーなら最適でしょう。」

 

何とも自分の家臣らしい奴らだと感心する。

 

「なら、行くか。」

 

そう言って、先頭を切って歩き出す。

 

「容赦はするな。ただ目の前の敵を殺せ。」

 

「「「「御意」」」」

 

 

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ーパリー

 

 

ざわざわ ざわざわ

 

「おい!出てこられたぞ!聖女様だ!」

 

「聖女ジャンヌダルク様よ!」

 

 

 

 

パリの中心部にある教会。そこでは、現代に復活したジャンヌダルクを一目見ようと、多くの人が集まっていた。

 

 

 

 

 

「皆さんよく集まってくれました。」

 

たった一言。それだけで、人々は膝をつき涙を流す。

 

それを見て、ジャンヌは慈愛の笑みを見せる。

だが内心は、その笑顔裏腹にどす黒いものだった。

 

(ああ、もうそんな顔で見るな気持ち悪い。ったく、信者を集めて死を恐れない奴隷を増やすためとはいえ、こんな奴らに私の笑顔を見せてやらないといけないだなんて、マジキモイ。)

 

ジャンヌは異能ともいえる力を有していた。

 

ジャンヌの声は、人々と精神に働きかけ洗脳してしまう。

その力によってフランス政府を陥落させた。

 

「皆に神の加護があらんことを」

 

今日は週に一度行われるミサの日で、多くの信者が訪れていた。

多くの者が訪れることが出来る。

それすなわち、入り込むことも可能ということだ。

 

 

ドカーン!!

 

 

 

「何事ですか!」

 

「爆発だ!」

 

「逃げろー!!!!」

 

教会はパニックになり、もみくちゃになりながら我先にと皆逃げ出す。

 

その間にも、爆発は続く。

 

「一体何なの!」

 

「ジャンヌ!」

 

男が駆け寄ってきて、ジャンヌを抱きしめる。

 

「ついに来たみたいだ」

 

コッコッコッ

 

「ええ、その様ね」

 

コッコッコッ

 

「貴様ら!何者だ!」

 

「聖女様と教祖様を守れ!」

 

ジャンヌと男を守ろうと、侵入者に向かっていく。

 

しかし、向かっていった者たちは、一瞬にして絶命した。

 

床におびただしい量の血をぶちまけて。

 

「よぉ、久しぶりだな。まさか生きているとは思わなかったぜ?教祖様」

 

いや

 

 

 

 

 

()()

 

 

 

 

 

「やぁ、本当に久しぶりだね無能の猿。」

 

「参考までに教えてくれよ、どうやって生き残った?俺確かにこの手で殺したと思ったんだけどなぁ?」

 

「ああ、殺したさ。俺のクローンをな!」

 

多血統一で甚爾は、綺羅を殺した。

だがそれは、クローンだということに驚きはない。

武士道計画で、クローン達とはクラスメイト。

しかし、気がかりなのは九鬼のクローン技術を綺羅がどこで手に入れたか。

 

「Mという謎の人物が協力してくれたのさ。実際に会ったことはないがな」

 

「なるほどね。ジャンヌダルク、テメェは」

 

「お察しの通りクローンよ」

 

2人は、いや綺羅はクローン技術を用いてジャンヌダルクを現代に復活させたのだった。

 

「全ては、お前を殺すための計画だ。」

 

「用心深いな。」

 

「俺は(クローン)とは違う。あいつとは母にばれないように入れ替わった。そしてお前を入念に調べていくうちに、お前の危険性は俺の中で膨れ上がっていった。俺があの家から出たのは、母から離れる為。あんなのといたら俺まで無能になっちまう。」

 

「これがオリジナルの綺羅か。なんかクローンよりかはましね。」

 

瑞鶴の言葉に、内心皆が同意する。

 

「まぁ、過程の話は今はいいでしょう。」

 

「そうだな七海。」

 

「今は綺羅を殺す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違うな。もう殺した。」

 

上半身が消し飛んだ。

 

綺羅だけでなく、ジャンヌダルクもだ。

 

「ペラペラしゃべってるうちに、お前らはもう翔鶴の術中だ。最後にいい夢は見れたか綺羅」

 

 

何ともあっけない結末である。

 

 

だが殺しとは、本来時間をかけてはならない。

時間をかければかけるほど、リスクが上がる。それ故に手早く、終わらせる。

 

 

物語のような展開はいらない。

 

現実は、どれだけ時間をかけて計画を練って準備を整えても、あっけなく終わるのだ。

 

 

 

 

 

ゆえに、喜びもない。

 

これが当然であるから。

 

呪術廻戦二期 伏黒甚爾登場! マジで甚爾に恋しなさい!再連載始めるか?

  • 再連載!
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