真剣で甚爾に恋しなさい!   作:ハリボー

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たどりついた場所

「また襲撃を受けただとッ!?一体いくら貴様らに出していると思っている!!」

 

声を荒げるこの男、依頼主である財閥の会長を務める男である。男は2度の襲撃に大層ご立腹だった。それはそうだろう裏世界ではかの有名な梁山泊に大金を支払ってまで孫娘を守らせているのに二度も襲撃を受けている、もしかしたら命がなかったかもしれない

 

「それについては申し訳ない……。だが私たちも必ずお嬢さんの命は守る。梁山泊の名にかけて」

 

 

「それならばいい、貴様はどうなのだ」

 

「あ?あー最初の報酬に上乗せしてくれんなら嬉しいねぇ」

 

「構わんだが確実に守れ」

 

「へいへい」

 

「それと一つ頼みがあるのですが、屋敷の中を巡回させてもらえないでしょうか?お恥ずかしながらこれだけ奇襲を許した以上隅々まで把握しておきたい」

 

「……好きにしろただし、他に余計なことはするなお前達の仕事は娘を守る事だ」

 

そう言って男は部屋を出て行った

 

「なかなかに貫禄のあるご老人だったなリン」

 

「ああ、よし許可ももらった事だし早速「ねぇあなた達」……君は?」

 

突然声をかけられ見てみるとそこには護衛対象の少女がいた

名は(ホウ)と言うらしい。幼いながらもどこか子供離れした話し方や所作で教育がしっかりとされていることが分かる。

 

「どうかされましたかお嬢様」

 

「ホウでいいと言っているでしょう林冲」

 

「やっほーホウ」

 

「ええご機嫌よう楊志」

 

「ヨッス!ホウ」

 

「ご機嫌よう史進」

 

「ホウ」

 

「ご機嫌よう武松」

 

「おお〜ホウだ」

 

「ご機嫌ようまさる」

 

「うう―、みんなー……」

 

「ぐずるなよ林冲本人がいいって言ってるんなら良いじゃんわっちも堅苦しいの嫌いだしさ」

 

「ハァーもうわかった」

 

3人を丸め込まれて林冲もついに観念した

 

 

「あなたもご機嫌よう甚爾」

 

「……」

 

返答はしない甚爾はこの少女に違和感を感じていた見るからに子供それ以外に表現し難い姿、だが何故だろう甚爾には人の親ほどに見えた。

 

「……じ?……と…じ!………甚爾!」

 

「!…あぁ、何だ?」

 

「急に黙り込むから驚いたぜ、どうかしたか?」

 

「別に」

 

「それでどうかされましたか」

 

「いいえ、話し声が聞こえたから声をかけただけよ、ねぇ誰か話し相手になってもらえるかしら暇なのだけれど」

 

 

「わかりました。よしこれからこの屋敷を見て回ろうと思う私と公孫勝に楊志は二階を

武松と甚爾は三階、史進はおじょ「ホウ」…ホウ様の護衛兼話の相手を1時間後に一度集まろう」

 

こうして役割が決まり屋敷の中を手分けして把握して回ることになった

 

「・・・」

 

「・・・」(じー)

 

「・・・」

 

「・・・」(じー)

 

「おい何か言いたいならさっさと言えやブショー」

 

甚爾は武松と行動を開始してからずっと視線を受けていた流石に鬱陶しくなり質問をしてみた

 

「すまない。いや何ずっと難しい顔をして何かしら考えて歩いているようだったから気になってな」

 

そう屋敷の中を巡回し始めてから甚爾は考え事をしながら動いていた、まるで心ここに在らずといった感じだ。甚爾の中では男のある一言が引っかかっていた。確証はない単なる勘だ、当てにはならないだか無視も出来ない、自問自答を甚爾ずっと繰り返していた、己の考えで新たな疑問を生むわけにもいかない

 

「いや、...なんでもねぇよ」

 

甚爾は己の考え過ぎだと結論づける

 

「そうかと、ここだ次はこの図書室だ」

 

ガチャ…ブワッ

 

扉を開けると一瞬強い風が吹きホコリが舞う

 

流石は財閥、屋敷の中に図書室を作ってしまうとは蔵書の量が尋常ではないこれを全て読み込んでいたとなると尊敬に値する量だった。大図書館とまではいかないが小規模の図書館を開けるくらいの蔵書量だ部屋に入った二人もその量に感心する。

 

「こりゃたまげた」

 

「ああ、私も個人所有でここまで集めているの初めて見たよ」

 

「おいこれ1900年初版って書いてあんぞ、こっちは1907年、1908年...って1800年!!これ売ったらいくらになんだ」

 

「おい甚爾するなよ?」

 

「・・・・・ああ、やんねえよ」

 

「なんだ今の間は」

 

「それよか早く中を見てまわんぞ」

 

「そうだな」

 

 

少し脱線してしまったが二人は図書室の中を見て回る、だが特に何があるという訳ではなく多少時間がかかってしまったが図書室の中を回り終えた

 

 

「ここは何もなかったな次に行こう」

 

「・・・」

 

「甚爾どうかしたのか」

 

「やっぱ変だな」

 

「何がだ?」

 

「匂い」

 

「におい?」

 

「(部屋の奥と手前で匂いが違う、それになんだこの風の感じ方は室内での感じ方じゃねえぞ)」

 

甚爾は図書室の奥に戻っていく慌てて武松は後を追いかける、途中に甚爾は武松に己がこの部屋で感じた違和感を教える

 

 

「俺が最初に変だと思ったのはさっきも言ったが匂いだ、奥に行って部屋の入口まで戻って確信した奥と手前では匂いが違う、手前では本の匂いが強かった、だが奥に行けば行くほど匂いがしない」

 

 

「それは鼻が慣れただけなんじゃないか?」

 

 

「最初は俺もそう思ったけど違った、インクだ」

 

 

「え?」

 

 

「真新しいインクのにおいがした」

 

 

「いやインクって、ここは図書室だインクのにおいがしても普通じゃないか?」

 

 

「かもな、だがこの室内の本の並びを見ろ入口から奥にかけて最近の新書から古書に並んでる、だが奥に行っても古書特有の劣化しカビと合わさった匂いがしなかった。さっき匂いがしないって言ったのはそう言う事、代わりに奥には真新しいインクの匂いがする。な?変だろ?」

 

「いや...私には分からないんだが」

 

「それに」

 

「まだあるのか!!」

 

「お前がこの部屋の扉を開けた時に風が吹いただろ?ただの気圧の差って言ってしまえばそれまでだがこの部屋に冷房装置もなければ気温もそれほど違いがあるわけじゃない、ならなぜだ?俺の答えはこの部屋のどこからか風が吹く場所がある、例えば隠し通路とかな。...っとここだな」

 

甚爾は奥にある一つの本棚の前で止まる

 

「ハハッ見ろよ武松こんだけ整理されてんのに本の高さが中途半端にされてるのがあんぞ、これをきれいに並べてっと」

 

本の高さをそろえると次は本棚の板に0~9までのボタンがでてくる

 

「今度はパスワードね、ならこいつを使おう」

 

甚爾が取り出したのはブラックライト

 

「準備がいいな」

 

「まあな、さてさて****となんだあの嬢ちゃんの誕生日と一緒じゃねえか不用心だねえどんだけ孫好きだよ」

 

ピピ...[認証しました]

 

機械音声とともに本棚が床に埋まり通路が現れる

 

「!」

 

「ビンゴ、行くぞ」

 

二人は通路の中に入っていくしばらく歩きやがて薄暗い光が見えてくる、そして二人は一つの部屋に出た。それはまるで研究室のような所だった、薬品だなに注射器に診察台と奥にはもう一つ部屋があり中には別途と机泊まり込みも出来そうだ。実験で遅くなれば休憩をとるためだろうか。

 

 

「空気が来てたのはここの空調が回っていたからか、それにインクも机の上にあるやつで間違いないな」

 

 

この時、武松は顔には出さないでいるが内心驚いていた。自身も自他ともに認めるほど鼻がいい、だがこの男は己ですら分からなかった極々わずかな匂いを嗅ぎとりおまけに空気の流れの異変にさえ気が付いた。気が一切ないにも関わらず己以上の身体能力に加え人を超えた五感、一体何者なのだろうか確信があるとすれば梁山泊全員でかかったとしても負けるのはこちらだと言うこと、これまでの経験と自身の本能がそう訴えていた。そのようなことを考えているとは知らない甚爾は隠し部屋の物色を始めていた。

 

 

「おっこりゃ日記…いや何かの実験の観察経過を記したもんか...」

 

 

棚にあった観察記録を手に取り読む。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジか⁉」

 

 

そこに書かれていたのは驚くべき内容だった。ならば今回の事件、不自然な部分と甚爾が感じた違和感そして史文恭が言った「灯台下暗し」このすべての説明が付く。そして何よりこの件を裏から手を引いているのは!!

 

 

プルルルル!

 

 

その時、武松のスマホが鳴る

 

 

「リンか私だ」

 

 

「敵襲だ!史文恭が曹一族を連れ攻めてきた!」

 

 

「!わかったすぐに向かう、甚爾!」

 

 

「ああ」

 

 

事件は佳境に入る

 

 




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