隕石降ったら大混乱、SF混ざってさあ大変 ~HSD×D異聞~ 作:ファンリビおもろ~
メメント・モリという言葉を知っているだろうか?
死を想えという意味のこの言葉は、雑にまとめると「人間はいつか死ぬしいつ死ぬかわからないから、そのあたりをちゃんと考えよう」とかそういう意味だ。
俺はこの言葉と同様の感情を、小学校に上がる前から痛感することになった。
人間、身近な人の死を経験するのは大抵が祖父母とがその類だろう。そしてそれはベッドの上で死んでいるところを見ることな印象がある。
だが、俺
幼馴染二人を突き飛ばし、代わりにトラックに下半身を潰された体。
大量に流れてアスファルトに集まっていく血だまりに、それに比例してどんどん真っ白になっていく肌色。
そうして死んでいく幼馴染の一人だった女の子が、俺の人生における初めての死別だった。
そのあとも、はっきり言ってひどかった。
そんな衝撃がきっかけで、離散していく幼馴染。俺も俺でその影響でいろいろ精神的に追い詰められ、両親は気を使って引っ越しすることになった。
そして最悪なのが、その事故の原因が居眠り運転とか酔っ払い運転とかじゃない。
運転手はすでに死んでいて、しかも彼も被害者以外の何物でもない。なら元凶を恨めばいいのかと言いたいが、彼だって好きでやったわけでも不注意だったわけでもない。なにより、その彼もその事故の直後にリンチに会い、無残な死体となったことを覚えている。
じゃあなにが元凶だったのかというと、一言でいえば
俺が生まれるより何年も前、まだ俺たちの星が二十世紀だったころ。ディザスター・レメゲトンという天災が起きた。
民間学者や趣味で観察している者はおろか、NASAという宇宙探査の大御所すら一切気付かず、突如として直径100m近い隕石が、いきなり大気圏突入してきたことが発覚。その隕石は大気圏を突入中に粉々に砕け散ったが、72ぐらいの直径数メートルの大きな破片と、無数の数十センチぐらいの小型の破片として地上に降り注いだ。それも、なぜか大都市とかは避けたが海にはほぼ落ちないという違和感まみれの落ち方をしてだ。
そのことから、宇宙人による意図的な物とか言われているが、本当のところはわからない。
わかっていることは約三つ。
その隕石のほとんどを構成するのは、当時の地球では発見されてなかった未知の元素。いつの間にか触れ回っていた「マセイナ」と名付けられる元素が結晶化した、アステニュウムと呼ばれる結晶だったこと。
そしてアステニュウムの影響を受けたのか、地球でもマセイナが大気中に確認されるようになったことが発覚。それ以来、夜にオーロラが浮かぶことが雨が降る程度の頻度でおきること。
そして何より、その影響で人間離れした超人が出現したこと。世界各地で一斉に発生し、またユダヤ系ポーランド人が最初に発見されたことから、同じ人種と国籍の人物に世界共用語として人造言語エスペラント語を作り出した人物がいたころから、
俺は生まれてなかったから知識だけだが、ディザスター・レメゲトン直後は本当に最悪だったらしい。
第一世代となる、人種年齢性別国籍を一切いとわず、いきなり圧倒的な身体能力を会得し、質によっては空中飛行や独自の異能装備―通称アステライザー―すら具現化する彼らは、その多くが大量殺人者となったそうだ。
世界全土を襲う隕石の墜落という恐慌状態に、いきなり強大な力を手にしたらそりゃ暴走するとは思うけど、それで被害に在った人たちが納得できるかと言えば別。最弱でも拳銃の十発ぐらいじゃ骨折すらしない化け物が、この恐慌状態で、しかも何十万人もいてその多くが大惨事を引き起こしているとなれば、差別感情どころか人狩りを集団で行ってもおかしくない。
当然今でも差別感情が強い地域はあるが、この混乱の中真っ先に隕石が持つ秘めた可能性に気づいた者たちが、アステライトと共に星辰世代を保護し正しく生きれるようサポートしたこともあって、まあ何とか社会的な地位を獲得できる余地があった。
アストール国と呼ばれるその新興国家は、大型破片と小型破片である宗家型・分家型と呼ばれることになる最高品質マセイナ結晶の半分近くを独占したこともあり、関連技術で圧倒的シェアを独占。第一世代星辰世代の生き残りと、ディザスター・レメゲトン後の影響で生まれた時から星辰世代の第二世代の四割以上、そしてそれらの技術からアストール国が編み出した、人工調整型星辰世代である第三世代の半数を確保。自然発生するアステニュウムや第四世代と呼ばれる後天変化型星辰世代の多くも確保しており、アステニュウム運用兵器
あの悲劇を引き起こした要因も、突如として高位第四星辰世代に覚醒してしまった人がパニックを起こしたのが原因だ。力加減がわからずに驚いた勢いで飛び跳ねてしまい、トラックに横からあたって運転手の首をへし折ったんだ。
……まあ、その人に関してはいい。俺もテレビで被災している人を見たら心が痛むけど、そのあと好物の狐蕎麦や寿司が出てくればそっちに夢中になる程度には、一般人染みたドライさを持っているから。
そう、だからまあ、客観的にみると気持ちはわかる。
特に俺の両親は、ディザスター・レメゲトンでいろいろとひどい目にあったことが縁で意気投合して結婚したからな。家族ぐるみでその件の愚痴とかで話が弾むから、まあ客観的に見れば気持ちはわかる。
だけどまあ、俺が第四星辰世代になったとたんに、家庭崩壊でW不倫から電撃離婚&再婚っていうのは、当事者としては納得しづらい。
しかも親族全員そこには納得して、むしろ俺をどうやって合法的に追い出すかばかり考えてたからキッツい話だ。星辰世代が大嫌いだって公言している人たちばかりだからまあ理解できるけど、だからって思うところがないわけじゃない。
……だけど、捨てる神あれば拾う神あり。まあ捨てたのは肉親で拾ったのも神の敵なんだけど。
いや、俺も本当に驚いた。
一昔前のSFが現実になったような世界で堕天使が、キリスト教の神様が作った異能を宿しているとか言って俺に接触してきたからな。
どっちにしても実家に居場所がないと思ったこともあって、俺はそっちに行くことを決めた。親族全員もろ手を上げて喜んだ時は、もう徹底的な差別主義者過ぎて納得できなくても起こる気になれなかったよ。
とまあ、俺の人生は本当に、波乱万丈だと断言できる。
だからこそ、俺は二つの座右の銘をこの時点で刻み込んだ。
すなわち「
目の前であの子が死ぬことに何もできなかったのはもう嫌だ。同じことを繰り返したら生きていくのも嫌になるし、自分がそうなるときだってあるだろう。
都合よく神様が助けてくれるなんて思わない。そもそも俺は神の敵にお世話になっている。それに困ったときもそうでないときも神頼みする奴はまず多い。しかも今まで特に経験でも何でもないのにいきなり命の危機に祈ったり、小銭を賽銭箱に投げ込んで人生の大一番の助力とか、俺が神様だったら心を配れないし、多すぎていちいち確認できない。
だから、俺は自分で自分も誰かも助けられるようになろう。そして、いざという時誰かが助けてくれるに値する男になろう。
勉強もするし鍛錬もする。いつ災害に巻き込まれてもいいように、サバイバル講習はちょくちょく受けるし、どんな時に災害に巻き込まれてもいいように、最低限のサバイバルキットとファーストエイドキットは常に携帯。けが人がいたらそれでどうにかできる範囲で応急処置だ。
実戦だって経験しよう。命がけの戦いとか正直きついが、こっちが何もしなくても悪人は何かしてくるんだから、なら最初から戦いなれて、立ち向かうほうが心の準備ができる。
募金も献血もちょくちょくしよう。むしろ毎月必ず給金から定期的に寄付もしよう。
神頼みだって本気でやろう。幸い日本の八百万の神様は、堕天使たちと多少の交流があるらしい。サバイバルの予習もかねて山籠もりをするときに、釣ったり狩ったりした獲物を、丁寧に後処理して奉納もする。
やらない善よりやる偽善。誰も助けない奴より誰かを助ける人の方が、助けたいと思うはずなんだからそうしよう。日本には「情けは人のためならず」といい、情けは巡り巡って自分に来るからという、「自分のために人助けをすること」を奨励する言葉もあるんだから。
持っている力も鍛え上げよう。どうも汎用性が高すぎて使いづらいうえ、なんていうか究極系は頑張れば必ずできるってわけでもない。だからいろいろ考えて提案したし、その結果生まれたテスト部隊に、言い出しっぺとしてちゃんと配属している。
それが、堕天使の組織である「
とある初夏の午後。高校生が夏服に代わって少し経つ時期の、そんな平日の午後のことだ。
どこにでもある公園で、泣いている子供をあやそうとして、困り切っている少女がいた。
年は十代後半に入った直後。ゆえに、本来なら高校生ぐらいであるがゆえに、こんな時期にいることが不思議な時期だ。
ならば不良かと余人は思うだろうが、彼女は断じてそうではない。
丁寧に整えられた、少し白髪の混じった髪は染められてなどいない。
立ち振る舞いの不良のようなそれではなく、むしろ堅物と言われてもおかしくないような、どこにいるときも気を張って礼儀正しくいようとする雰囲気を感じられるそれだ。
風紀委員や優等生に対する印象を与えるそんな少女は、胸に下げたロザリオをつかむと思わず天を仰いだ。
「……主よ、これも試練なのでしょうか………」
思わずそうこぼしながら、気を取り直して少女はしゃがみ込む。
「びぇえええええええん!!」
大声でなく子供は、盛大に転んでしまったのか額から血を流している。
その子供の泣き声と、時折車が通りすぎる音をBGMに、少女は心からどうしたものかと思う。
ふと公演を通り過ぎようとしたその瞬間、盛大に転んだ子供に気づいて駆け寄ったのが運の尽き。
子供は泣いてばかりで話が進まないし、怪我は軽いが親が見つからないため、どうしたものかと思ってしまう。
土地勘はあるつもりだったが、十年以上たっているせいで交番の場所がわからない。救急車でも呼んでしまおうかとも思ったが、支給された携帯の充電を忘れていて、電池切れだ。
かといって見捨てるという選択肢など、彼女にはありえない。
咎なく苦しむ無辜の民、それも子供をほおっておくなど、信仰に生きる身としてあり得ない。時としてそれを成さねばならないのが世の中のしがらみではあるが、それでも可能な限り善処したいと願いのが彼女の美徳だった。
だが、どうした者か。
「あ、あのね? 額は切ってるけど、それぐらいなら大したことないから、泣かないでください……ね?」
抱きしめてあやすが、けがをしたことでパニックになっているのか子供は全然泣き止まない。
これは本当にどうしたものかと、むしろ彼女自身が思わず泣きそうになったその時―
「――ちょっと失礼」
―そんな男の声がして、すぐ近くにしゃがみ込む気配がした。
飛び跳ねないように慎重に振り返ると、黒髪の少年がしゃがみ込みながら、子供の傷口に視線をまっすぐ向けつつベストのポケットからポーチを取り出していた。
赤地に白の十字マークが入ったポーチは、どう考えても医療用ポーチだ。簡易的なものかもしれないが、そんなものをベストからポイッと出すあたり、ちょっと普通からずれている印象を受ける。
そしてアルコールスプレーで自分の手を消毒し、数十ミリリットル程度のプラスチックボトルに入った精製水で傷口をハンカチで子供の服が濡れないようにしながら洗い、「化膿止め」と書かれた軟膏を塗り、ガーゼを医療用テープで張り付けた。
「よしっ。これでもう大丈夫だからな~……っと」
そう言いながら、小さな紙にペンでさらさらと何かを書き込みながら、少年は子供に笑顔を浮かべる。
そして、いつの間にか子供は泣き止んでいた。
少女があっけにとられる中、少年は子供に書き込んでいた紙を渡す。
「ほれ。これ、今からお母さんに渡しに行ってくれないか? お兄さんからのお願いだ」
「うんっ! ありがとー、お兄ちゃん!」
そして泣き止むどころかにっこり笑って走っていく少年を見送って、少年は立ち上がった。
其の早業に、少女は思わず立ち上がりながら、質問を止められなかった。
「え、え、何がどうなってるんですか!?」
「大したことはしてないさ。そんでもって、したことが重要なんだよ」
そう言って軽く笑う少年は、走り去っていく少年を微笑みながら見送っている。
「不安を和らげるには「対処してもらった」っていう実感が必要不可欠。それがあるかなうかでだいぶ変わるんだよ。あとはまあ、怪我したこととかどれぐらいかとかどんな軟膏使ったとかを書いたメモを親御さんに渡してもらえば、あとは向こうがやることやってくれるだろ」
そう言いながら、少年は少女のロザリオをみて、苦笑いを浮かべる。
「……ま、俺からすれば大したことはないさ。悪魔の縄張りで悪魔祓いと向き合うことに比べれば、な」
「―――っ!?」
その言葉に、少女は一飛びで五メートル以上距離を引く話しながら、腰を落として素早く身構えた。
……彼女は、
古巣のここでとんでもない事態が起きたことから、上層部の意向で補充要因として先遣班との合流を測ろうとしたときだったが、それを指摘されたら警戒するほかない。
そして今いるこの場所も面倒だ。
駒王町。日本にある地方都市であり、同時に異形としての縄張り争いの置いては、教会最大級の敵である悪魔が持っている。
もともとはプロテスタント側がにらみ合っている環境だったのだが、少女が小学校に上がる前に一戦交えており、当時の担当上級悪魔を滅ぼしながらも、プロテスタントは本格的に撤退している。
今の担当はリアス・グレモリー。事実上幼馴染のソーナ・シトリーと半ば共同経営しているこの場所は、戦術的戦略的には大したことがないが、それでも過剰警戒が必須な要所である。
理由は単純。
悪魔を率いる四大魔王。そのうちルシファーを襲名したサーゼクス・グレモリーと、レヴィアタンを襲名しているセラフォルー・シトリー。この両名の妹が彼女たちだからである。
そこに対して「とんでもない非常事態」が関わってしまったため、教会は有数戦力をしかし必要再上限の勝算を得られるレベルで派遣。しかしディザスター・レメゲトンなどで宗教への依存が高まり、更に星辰世代を獲得できたタカ派が自分と縁のある増援を送ったため、ハト派が悪魔との戦争激化は時期尚早と、カウンターとして増援と縁がある自分を送り込んだ。
なので少女からすれば、戦いたくはないが今下手に出くわすとややこしくなるといったところなのである。
上層部からの指示で、拠点にしている廃教会に向かっているころだったのだが、こんなところで悪魔側と接触するのは、後々ややこしいことになる。
それを警戒した少女はしかし、敵意がないことを示すために挙げられた少年の両手を見て、少し違和感を覚える。
その対応で対話の余地ありとみたのか、少年は苦笑いを浮かべた。
「……そっちとやりあうつもりはない。俺としてもグレモリーに接触するために来たんだけど、怪我した子供と困り果てた女の子を見つけたんでな。リーダーが電話でまず接触を図る方向だったから、その間に……って感じなんだよ」
「そ、そうなんですか……? というより、そちらはいったい……?」
その言い方では、グレモリーやシトリーに縁あるものではなさそうだ。
なので、そのあたりをはっきりするために詰問しようとし―
「……基弥まずい! なんかもう、教会とグレモリー眷属がにらみ合ってるとか!」
―飛んできた声に、少女は肩を震わせた。
声が飛んできた方向には、一台のキャンピングカー。その助手席側から二十歳ぐらいの女性が声を上げており、その向こう側では堕天使と思われる女性が、電話で少し緊張感を見せながら会話している。
だが、少女が肩を震わせたのは、それだけではなかった。
「……基弥って……、蒼生基弥……くん?」
「………あれ? なんで苗字まで?」
その反応に、少女は世の無常を悟って天を仰ぎたくなった。
神は天にいるゆえに世はこともないが、だからといってむやみやたらと神が人世に介入するわけにもいかない。
人の社会は人がきちんと向き合ってどうにかするべきであり、何より人生という試練をきちんと生き抜いてこそ、人は天の国に住むに値するのだと思っている。
故に神が過介入することを彼女は望まないが、それでもこの
「十年以上たちますから、わかりませんよね。……
「……………マジか。いや、確かにクリスチャンだったのは覚えてるけど、マジでハリサか」
これは、本来ありえない、運命に巻き込まれる者たちの物語。
本来を上回るハイスクールD×Dにおいて、真紅と白銀に並び立つ、共に漆黒を纏うことになる蒼穹の物語である。
まあ、これはまだプロローグなのでよくわからないことも多いでしょう。
とりあえず、この作品のオリジナル要素はそのほとんどが外宇宙からやってきた要素がかかわっております。
次の話から、原作主人公のイッセーも出てきます! ぜひお楽しみに!!