パーフェクトオールラウンダーの蓮夜くんは茜ちゃんに告りたい 作:フィン・マコーレー
奈良坂パイセンがちょっとキャラ崩壊してしまったかも……
神風蓮夜です。今現在狙撃手の訓練所に来ています。
触ってみて分かったんだけど、やっぱ狙撃手のトリガーは当てるんじゃなくて当たるんだよ。何を言ってるのか分からんって?
例えば弓道な? よく勘違いされがちだけど、あれはより矢を命中させるんじゃなくて、美しい姿勢を取る競技なんだよ。正しい姿勢で撃つ事によって、その結果矢が当たるっていう訳で。
その点は狙撃手トリガーと同じよ。ましてやトリガーの弾は風とか考慮しなくていいから姿勢の良し悪しが結果としてもろに出る。
事前知識でそういう事が分かっていたからか、こういう狙い撃つ系のトリガーの上達も早かったのかもしれない。奈良坂パイセンと比べりゃ、そりゃ綺麗じゃないが全弾真ん中に命中させられる。因みに通常狙撃訓練でう○こ描いたら怒られました。
「よう、蓮夜。今日はこっちか」
「あっ、荒船パイセン! こんちわっす」
訓練所で狙撃の練習を丁度終えた所で、横から声をかけられた。B級、荒船隊隊長、荒船哲次。アクション映画好きで高学歴、そして攻撃手と狙撃手のポイントをそれぞれ8000ポイント持っている自分の尊敬するパイセンにして、
自分の
「明日時間あるか? 少し射撃の腕を見てもらいたいんだが……」
「あっ、いいっすよ。やっぱり拳銃型に?」
「そうだな。近距離でドカドカ撃ちまくりたいんだが、突撃銃型じゃどうも邪魔臭くてな。多少射程は落としても、取り回しが良い方が合ってると思うんだ」
「そうっすねぇ。ましてやパイセン、孤月使いですから、孤月と突撃銃の同時使用はちょいと嵩張ると思うんで、自分も拳銃の方がいいと思うっす」
自分がパーフェクトオールラウンダーになったと聞くや否や、頭を下げて弟子入り志願してきた時はビビった。自分がパイセンに教わるなら兎も角、自分が教える立場になるなんて夢にも思うめえよ。ましてや俺、多分パイセンより成績下だし、正直俺が教えることある?
「あー、それと一つ聞いていいか?」
「はい?」
「…………やっぱり考え直さないか? チームに入らないっていうのは」
「考えは変わりませんよ。俺はこれからもソロでやり続けます」
そう、自分は現在B級かつ無所属の人間だ。別にソロがかっこいいからっていうのもなくはないんだけども、一番の問題は、自分が何処かの部隊に属する事によって玉狛第二が万一遠征部隊から外れてしまう可能性があるからだ。ましてや自分は玉狛第二の作戦を知っている。落とそうと思えば、多分できる。でも自分としては、当然玉狛第二には上がってもらわないと困るのだ。取り返しのつかないレベルで原作ブレイクが発生した場合、ボーダーが詰む可能性もなくはない。ボーダーにとっての一番の安全策は、玉狛第二が遠征資格を手に入れる事だと自分は考える。
こういう事情があって玉狛第二が遠征資格をGETするまではチームに入るつもりはない。断じて自分がお高く留まっている訳ではない。のだが、この世界の人間はそんな事情知ったこっちゃないので、ソロ活を考え直さないか定期的に説得してくる。オペをその日その日に一緒に防衛任務する隊のオペレーターにお願いするのも合理的じゃないだろというのも正論なので(そういう理由で三輪隊、生駒隊といったような戦闘員四人編成の隊とは一緒に戦ったことがない)このままのスタイルを貫くのも一苦労ですわ。因みにロジハラって言ったらゴミを見るかのような目で見られたぜ。
「まあよく聞け。A級に昇進すれば、防衛任務でトリオン兵を撃破した出来高払いに上乗せして、固定給も手に入るんだ。その上、A級隊員には、トリガーを独自に改造する権利が与えられる。対処が難しいというお前の強みが、更に強化される。悪くない話だろ?」
「い、いや~あんまり興味が沸かなくてですね……」
「ほう…………だとしてもだ。お前に専属のオペレーターとかも居ないわけだ。防衛任務の度に他の隊のオペレーターにオペをしてもらうっていうのもいい加減止めておけ。毎度毎度他の隊に面倒をかけるのもお前の本意じゃないんだろ? 自分の為にも他人の為にも、チームには入っておくべきだ」
「うっ……それは……そうなんですが…………」
「忍田本部長も、お前の一匹狼スタイルを良く思ってないぞ」
「うう……ですが、B級以上の隊員は、チームに加わる義務はない筈です! 俺がチームに加わるかどうかは自由であるのはボーダーの規則が保証しています!」
「規則を持ち出すか……そんなにチームに入るのが嫌か?」
「ソロに拘っているだけです」
少し呆れているようだが、なんとかこの場は切り抜けたらしい。荒船パイセンも説得を諦めたようだ。
「もし気が変わったら俺の隊に来い。歓迎するぜ」
「う、うっす。あざます」
そう言って荒船パイセンは狙撃の訓練をし始める。自分はと言うと、他人の狙撃を参考がてら少し見学することにした。
流石は荒船パイセンと言うべきか、教科書通りのキッチリしていて、分かりやすい狙撃だ。パーフェクトオールラウンダーを量産するという崇高な目標の為に、メゾットを組み込んでいる途中だな。やっぱり荒船パイセンは凄い。将来のパーフェクトオールラウンダーだけでなく、狙撃手全員の教科書となるのだろう。
その奥で訓練をしているのは、個人総合4位、狙撃手一位の当真勇であった。訓練所に顔を出すとは珍しい。がまた的に狙撃で絵を描いてるよ……。しかし天性の才能か、その的は絵心すら感じられた。弓道に曰く、心の乱れは姿勢の乱れ。姿勢の乱れは矢の乱れ。あれ程完成度の高い狙撃をしながらも、心にゆとりがあるというのか。というよりは、狙撃手の矜持と言うべきだろうか。
ブラブラとそこらをほっつき歩いていると、佐鳥賢がいた。二つの的にイーグレットの2丁拳銃による必殺技、ツインスナイプで命中させている。ワンアクションで二回狙撃出来るのは非常に有用でオリジナリティあふれるが、あんな曲芸サトケンパイセンしかこなせないんだよなあ。それにアレやる時バッグワーム切らなきゃならんし、かなりリスキーだ。それを実戦活用出来るのは、偏にサトケンパイセンの実力がなせるものなのだろうが、残念ながらサトケンパイセンの狙撃は参考にはなりそうにない。
その隣で訓練していたのは、鈴鳴第一所属の別役太一であった。狙撃の腕は些かぎこちないが、トリオンが許す限りぶっ通しで訓練に励んでいる努力家だ。来馬パイセンの為に自らが犠牲になる事も厭わない仲間想いの性格も相まって、個人的にとても優秀な隊員だと思っている。一緒に戦いたいとは思わないがな!!
「……おっ?」
暫くふらついて、目に入ったのは我が幼馴染にして天使たる日浦たんであった。どうやら少々行き詰まりを感じているようだ。的を見てみれば、真ん中に命中しているのは30発中5発のようだ。B級隊員としては少し成績不良かなという感じだ。こういう時の為の師匠なのだろうが、どうやら肝心の師匠はいないようだ。
よし好感度稼ぎのチャンスだ(屑)
「日浦、そのままだ」
「えっ、蓮夜くん?」
「そのままだぜ日浦。そのまま、力を抜いて……
「えっ、う、うん!」
日浦たんは困惑しながらも指示通り肩を下げる。
「今だ。撃ってみろ」
これもまた指示通り射撃。日浦たんの狙撃は、見事的の真ん中に命中させた。
「あっ、凄い! 真ん中!」
「ちょっと肩が張り過ぎだな。それにそんなに力んでちゃ銃身もブレる。少しリラックスした方がいい」
「あ……うん、ありがとう!」
「つーわけでよ、リラックスがてらにちょいと話さないか?」
というわけで、訓練所を出てすぐの廊下のソファで寛ぐことに。日浦たんには先に座ってもらって、自分は自販機の前に立つ。五百円玉を投入し、三〇矢サイダーを購入。まだ残金が残っているが、返却レバーを下げる気はない。
「奢るぜ。何がいいよ?」
「えっ、いやいや悪いよ蓮夜くん!」
「オッケ、苺ミルクな」
「話聞いて!?」
日浦たんがそう言うも、時すでに遅し。ガコンという音が鳴り、出てきた苺ミルクを取って日浦たんに差し出す。
「どっちみち俺だけ飲んでんじゃ感じ悪いしよ、それに俺はペットボトル二つ分飲むのは流石に無理だぜ? それとも苺は嫌いだったっけ?」
「もう……ありがと」
そう言われては受け取らざるを得ないだろう。さあ次はコミュニケーションの時間だ。3回話が弾めばパーフェクトコミュニケーションだ(適当)
だがその前にやっておく事があるな。
「兄貴は元気にしてるか?」
「お兄ちゃん? 今の所普通だよ」
「そっか。んじゃ兄貴日曜暇か?」
「日曜日は……多分暇だと思うよ。分からないけど」
「オッケー」
確認を取ると、自分はスマホで仕込みをするのだった。
日浦正平
えっ、やだ。
妹に兄貴の持ってるエロ本のジャンルバラすぞ
やめろくださいお願
がいします
悪魔め……何時に何処集合だ?
もうちょっと手心というかさあ……
せめて10時にしてくんない?
ヨシ!(現場猫)
「お兄ちゃんとどっか行くの?」
「ああ、ちょっくらゲーセンにでも寄ってくよ(大嘘)」
この仕込みについては……まあまた追い追いな?
さて、まず人にリラックスしてもらおうと思ったら、王道としては好きな物に関する話題だろう。具体的には、帽子、猫の事だ。日浦たんは帽子集めと猫の事が大好きなのだ。これのナウな情報は逐一入手しているのだよ。日浦たんはソフトクリームも好きなのだが、流石にこれから冬に突入しようという時にアイスは無理でしょ。
「そういや日浦、猫が好きだったな」
「あ、うん! にゃんこ大好きだよ!」
「そうか。実際に飼おうとは思わないのか?」
「あ〜、お父さんが猫が嫌いだから許してくれないんだよね……」
「それは御哀愁様……しかし猫は相当な我儘とも聞くぜ? 親父さんが嫌いっていうのは、そういう所もあるんじゃないかな?」
「そういう体験談も確かによく聞くね……だけど――」
「そこが逆に可愛い……てか?」
「ふふっ、分かる? 私もYouTubeに上がってる動画みたいに揉みくちゃにされてみたいな〜って思うの」
いい猫愛だ。今度カワイスギクライシスでも貸してやるか。
そう思っていた時だった。
「俺の弟子に何をしている?」
突如かけられたその声の主は、奈良坂透だった。A級7位、三輪隊の狙撃手にして狙撃手2位の実力者だ。羨ましい事に、日浦たんに狙撃のいろはを教えているのもこいつだ。
本当なら自分も尊敬する所だが、自分の誇りにかけてそうはいかなかった。
「な、奈良坂先輩! 違うんです! 蓮夜くんは私にアドバイス――「ちょいちょい奈良坂パイセ〜ン、ダメじゃないっすか〜弟子のコンディションはちゃんと見とかないとさぁ〜(クソデカ煽り)」れ、蓮夜くん!?」
そこで奈良坂は、神風の態度に更なる軽蔑を覚えながらも、2人の様子を見て大体の経緯は察したらしい。
「弟子が世話になったらしいな。それ
「ええ? 何すかそれ? それが恩人に対する態度なんですかねぇ!? 奈良坂パイセェン!?」
「チッ、態度云々の話をするのであれば、お前こそなんだそのパイセンというのは。ちゃんと先輩と呼べ。大体、先輩に対して煽り散らすとは一体どういう了見だ?」
「ああ、あわわわわ……」
神風と奈良坂の喧騒に、恐れと震えが止まらない日浦だったが、2人ともそれを意に介さず喧嘩はヒートアップする。
「ペッ、頭きのこの癖にたけのこ派なクソ野郎に払う敬意なんかねぇですよ! 寧ろ敬語使ってるだけ自分は寛大でっせ!?」
「口だけは達者だな、敗北者。きのこ派は皆こうなのか?」
「あ"あ"!? パイセンあんたもっかい言ってみろオイ!?」
「聞こえなかったか? 敗北者と言ったんだ。きのこの山はたけのこの里より不人気なのは人気投票でもう決着がついただろう?」
「ハァ……ハァ……敗北者……? 取り消せよ……!!! ハァ……今の言葉……!!!」
「取り消さない。いい加減現実を直視したらどうだ?」
「冗談ッ!! ビスケットとチョコの組み合わせがクッキーとチョコの組み合わせより下は あ・り・え・な・い!!」
「それはお前の主観だろう? それにたけのこのクッキーは風味、歯応え、甘味、どれをとっても一級品。対してきのこのあのビスケットはなんだ? パサパサしてるし味も薄い。あれでたけのこより上が聞いて呆れる」
「それこそ主観でしかねえじゃねえですか! それにビスケットの味が薄いのは敢えてっすよ! 焼肉にご飯が合うのと同じっすよ! 主張のデカい味二つより、チョコをメインに味の薄いビスケットを添える事によってハーモニーが――」
神風と奈良坂のレスバは脱線に脱線を重ね、さらに加熱する。「オイオイ、またやってるぞあの二人」「誰か止めに入んないのか?」という声と共に2人の喧騒を聞きつけた他の隊員が集まってくるが、肝心の2人はそんな事目もくれなかった。
「その程度の狙撃の腕で俺に喧嘩を売るのか? 10年は早いんじゃないか?」
「近寄られたら詰むようなクソザコナメクジがよく言いいますねえ!」
「2人とも、そこまでだ」
いつからいたのだろう。ボーダー内で最も頼りになる大人が割って入ってきたのだった。
B級東隊隊長にして、
「さっきの喧嘩、最初から聞いていたが、最初から喧嘩腰だった神風が悪い」
「うっ……」
「東さん……」
「それにしてもらしくないな、奈良坂。それに神風も。ほら、見てみろ」
そう言って東さんが指差した先には……
「どぅわああああ~~~~~~!!」
我らが天使たる日浦たんが泣き出していたのだった。
「ぢ、ぢがうんでず〜〜〜〜〜! 奈良坂先輩も、蓮夜くんも、2人とも強くて優しくていい人なんでず〜〜〜〜〜〜!! だから2人ともそんな風に言わないでくだざ〜〜〜〜い!!」
さっきまで親切にしてくれた神風、自分の師匠として丁重に技を教えてくれる奈良坂、その2人がアメリカとソ連の冷戦のような緊迫した状況、険悪さは肥大化していく一方でついには殴り合いに発展しようかというレベルに。そんな2人の姿など見たくなかっただろう。己の気づかぬ間に怖がらせてしまったようだ。
思い返してみれば、日浦のいる所で喧嘩したのは初めてかもしれない。
「2人とも、何をするべきか分かるな?」
観念するしかあるまい。片や彼氏を目指す者として、片や師匠として恥ずべき事であった。
「す……すんませんした! 奈良坂センパイ! 生意気言いました! 言動も喧嘩腰だったっす!」
「い、いや……俺も言い過ぎた。反省しよう」
「な、な! 日浦、俺ら仲直りしたからよ、泣き止んでくれよ」
「ほ、ほら、この通りだ」
「ひっぐ……奈良坂先輩!」
「な、何だ?」
「蓮夜くんはジュース奢ってくれたり、狙撃の事教えてくれたり、励ましてくれたり、助けてくれたり、とっても優しい人なんですよ!」
「あ、ああ……分かっている」
(あらやだ、日浦たんったら俺の事そんな風に思ってくれてたのか。よかった~少なくとも嫌われてる訳じゃないのね)
「蓮夜くんも!」
「お、おう!?」
「奈良坂先輩は狙撃のコツを丁寧に教えてくれたり、分からない所とかも教えてくれたり、とっても頼りになる人なんだよ! 嫌だよ? 二人が喧嘩なんて!」
「お……おう、そうだな!」
「もう喧嘩しない?」
「しないしない!」
そこでやっと納得してくれたらしい。いつもの天使の笑みを浮かべるようになる。
「じゃあ、私訓練に戻るね。苺ミルクありがとね、蓮夜くん!」
そう言って日浦は訓練所に戻る。それを見届けた神風と奈良坂はというと……
「ケッ!」
「おいおい……2年前はあんなんじゃなかったんだがな……」
案の定懲りない二人に東は呆れ、奈良坂は日浦の指導に、神風は狙撃の自主訓練に励む。
見てみれば、奈良坂はお手本として自分の狙撃を披露していた。動かざること山の如しと言うやつか、奈良坂の狙撃は何一つ身体が微動だにしない。見事と言う他なかった。それは神風も理解している。実力は尊敬はしているが……
(それでもたけのこは認められないのだ……!)
「よう! まーた派手に喧嘩したじゃねーの」
「あっ、当真さん」
話しかけてきたリーゼント頭の狙撃手一位は、どうやら自主訓練(と言っていいのか分からないが)を終えて帰る所らしい。
「毎度毎度よくチョコ菓子であそこまで喧嘩できるなー。」
「きのこの山食べてみれば分かりまっすよ! 試しに食ってみませんか!?」
「や―、奈良坂更に不機嫌になりそうだし止めとくわ」
「あっ、そっすかぁ……」
メンタルがクールダウンした所で狙撃訓練に戻る。自分も10発中10発真ん中に当てられるが、やはり奈良坂パイセンのように弾痕が一つに見えるような綺麗な狙撃は出来ない。悔しいとは思うが、どんな訓練を積めばあんな達人芸が出来るのか見当がつかない。
横を見れば狙撃が終わったらしい奈良坂パイセン。何発も撃ったというのに、弾痕が一つにしか見えない。
「ケッ、狙撃なんざ真ん中に弾があたりゃ一緒だバーカ」
と、悔しさを隠せない捨て台詞をボソッと吐き出して狙撃を開始しようとする。
「……少し右」
「うぇっ?」
突然当真パイセンが語りかけてきた。右……というと、狙撃の狙いを右にずらせという事だろうか。何故? という疑問を目線で送るが、「いいからやぅてみろって」との一点張りであった。
特に損をする訳でもない為、当真の指示通り右にずらして引き金を引く。
「!」
ど真ん中であった。依然、シンメトリーを維持したその狙撃は自分の目には美しく映り、これが自分の狙撃かと一瞬疑う。
「あっ、少しズレたな。次は少し左だ」
また当真パイセンの指示に従ってみると、次は1ミリもズレがなく弾痕が重なる。2発撃ったというのに、弾痕は1つだ。
「よし、いいぜ。そのまま撃ってみな」
またもやど真ん中に命中。その後も「少し上だな」「そのままでいいぜ」「少し腰を落とせ」といったようなやり取りを30回交え、30回全て弾痕一つで終了させる事に成功。
「おお……!」
「やったじゃねーの」
「あざます! 当真パイセン! これで――」
(奈良坂パイセンにマウンティング出来るじゃないか!)
奈良坂の居る方角に渾身のドヤ顔。それに気付いた奈良坂はというと、完全に呆れていた。
「おいおい、まず先にやることがそれかよ。ま、何でもいいや。じゃーな」
「うぃーっす! おーつかれさんでーす!」
機嫌のいい神風に見送られる当真。途中、若干冷めた表情の奈良坂の居る位置を通り過ぎる所で立ち止まる。
「なんだよ奈良坂。そんなにあいつがお前の真似をしたのが気に食わねえのか?」
「そんな事じゃない。ただ……」
「あーはいはい、お前の言いたいことは分かってるぜ。ただまー、何事もコツコツとだろ?」
「何事もコツコツか……あんたが言うと説得力がないな」
「あれま。ひでーこと言うじゃねえの」
「……まあいい、あれで改善出来るようなら、それに越したことはないからな……勝手にやってくれ」
「おう、俺は俺で自由にあいつの事見ておくぜ」
(さっきのやつをやってから、少しだけ狙撃の腕が良くなった気がするぜ。当真パイセンには感謝だなあ……)
神風は現在狙撃手の訓練所を出て、只今帰る所である。三〇矢サイダーを飲み歩きながら出口を目指している途中、C級隊員の注目を浴びる。尊敬、憧れ、侮蔑、妬み、正の感情はそのまま、負の感情は裏返し、どちらにしろ、自分の強さ故の視線だろう。こちらが視線を向けてみれば、決まってあちらは視線を逸らす。
(さっさと離れよ……嬉しくない訳じゃねえが、調子に乗るからいけねえ……)
外を見ればもう夜中だ。冬に差し掛かり、暗くなるのが早くなる時期であった。逃げるようにボーダー本部を出る神風。「明日でやっと金曜日だ~。金曜日が終われば休みだぜ~」と学生相応の呟きをしながら本部を出る神風をあるC級が見ていた。
「は~、あれがパーフェクトオールラウンダーか……」
「確かボーダーでも二人しかいないんだっけ? すげえな……!」
「う~ん……なんか聞いてたのと違うな……」
「あ~確かにパーフェクトオールラウンダーってぐらいだからメチャクチャ頼りになりそうな感じがするけど、あんまりな……俺はもっと身長高くて筋肉マッチョな感じを想像してたんだが……」
「いや、そうじゃねえんだよ」
「ん? そうじゃねえって、何が?」
「いや、俺はてっきり影浦隊の隊長みたいな感じだと思ってたんだよなあ」
「確かにそれはそれで強そうだが、正直それパーフェクトオールラウンダーのイメージとは違くないか?」
「いや、そもそもパーフェクトオールラウンダーのイメージ云々の話じゃなくてだな……もっとこう、近界民だけじゃなく、人間も憎んでるぜ! って感じだと思ってたんだよ。だけど実際に社交性もあるし、とっつきやすそうだし……」
「なんだそりゃ」
「いや、ちょいと小耳に挟んだだけなんだけどよ……どうもあの神風ってやつ――
人間不信らしいぜ?」
神風蓮夜
PROFILE
ポジション パーフェクトオールラウンダー
年齢 14歳
誕生日 12月13日
身長 169cm
血液型 B型
星座 くじら座
職業 中学生
好きなもの チョコ菓子 アニメ 漫画 ゲーム 戦闘 日浦茜
FAMILY
父・母・姉(ほぼ絶縁状態)