【ご報告】
誤字報告ありがとうごじゃいます!今回も絶対誤字っています。確信しています。
本日3/9の23:00から、この前の配信でご提案いただいたペルソナ4Gをプレイしようと思います。ほとんど雑談ですが、興味のある方はぜひ喧嘩を売りに来てください。
以下のリンクから飛べるようにしておきます。
https://www.twitch.tv/pmgojimaru0426
【2023 3/11】
神の嘘センサー、原作では神が下界の人間に対してのみ行使できる能力で、神が神に対して行使することはできないとの指摘があったため、神の宴での描写を変更しました。ご報告感謝します!
神の嘘センサーという言葉がなくても、会話の整合性が奇跡的に取れたため、一部削除したのみの編集となります。
あと誤字報告感謝感謝!またいっぱい書きたいな、描写!シャ!シャ!シャ!シャ!シャ!ハッピーオオォォォォォォォォォォォォォォン!
今日は神はいない。
なにやら神の宴というものがあるらしい。ベルは少しの寂しさと少しの期待を胸に抱いていた。
寂しさとは、ダンジョンから帰ってきた時、いつもそこで待ってくれているはずの神がいないこと。たとえバイトとやらで遅くなっても必ずここに帰り、必ず共に食卓を囲む。
囲む、というほどの人数もなく、また豪勢な食事というわけではない。しかし、そこには
しかし、今日はそれがない。
期待というのは、その神の宴にて、神が自分の気になっていることを聞いてくれているということだ。
ベルにとって気になっていることはふたつあった。ひとつは己の憧れに異性の関係があるかどうか。そしてもうひとつは、それとは異なる憧れについて詳しい事を聞いて来てもらえるということだった。
ベルは先日、豊饒の女主人でひとつの冒険譚を聞いた。
その冒険譚の主人公は狼という忍びだった。ベルは極東の文化に明るくない故に、なにやら忍び隠れる者が自分の主を助けに強敵に立ち向かう、といった程度の理解でしかなかった。
しかしそこには、ベルが感動するほどには感情を動かされる冒険があり、戦いがあり、昂ぶりがあった。
その冒険譚の語り主は妙な格好をしていた。汚らしい橙の外套、色褪せた白妙の首巻、左手にはなんとも常ごとではないような義手が装着されていた。
肝心の顔は酒を含んだせいかすこし赤かった。
しかし、そんなことよりも気になったのは酒で顔が赤みがかっていても、すこし怒ったような、困っているような表情をしていたことだった。
語り主は重々しく口を開けた。
「――…主の為に、仕えていた」
と。
失礼だとはわかっていても自分の気持ちを抑えられなかった。
食を進めるフリをして聞き耳を立てていた。あまりの冒険ぶりに頬が緩んでしまうのを、飲み物を飲むフリをして誤魔化した。
口下手なのか、ところどころ物語がどうなっているのかわからなくなった。それでなくても大衆向けの居酒屋だ。ギャーギャー騒ぐ客もいれば、乾杯の音頭とグラスのぶつかる音で大事なところが聞けなかったりもした。注文する客や店員の声で語り主の声が掻き消えたりもした。
それでも…。
ベルとその語り主のテーブルの周りにはずっと聞いてられるような落ち着いた低い声が響き、時間が止まった様な空間が広り、みんな黙ってその声を聴いていた。
数時間聞いていたような気もするし、数分の物語だったかもしれない。いや、その人が話していたのは数分だったのだ。言葉も足りないし、口不調法だった。
それでも物語が終われば一転。語り主を取り囲んでいたロキ・ファミリアの人たちは口々に語り主に感想を語り始めた。
――オオカミ!オオカミ!
ベルはいてもたってもいられなくなった。
ロキ・ファミリアの人たちのように感情を表に出して興奮することは無かった。いや、ベルも明らかに興奮していた。だけど表には出さなかった。何かがメラメラと胸の中で燃え滾るのを感じた。
自分はやはり冒険者なんだと自覚した。
だから、お代の勘定もままならないまま。おつりを受け取る暇もないまま。その店を飛び出し、向かったのだった。
<><><><><><><><><><>
その神たちは取っ組み合いの喧嘩の真っ最中だった。
片方は頬をつねり上げ、もう片方は煽るように胸を揺らしてもう片方の神を嘲っていた。
周りの神々には、もうそろそろやめろよと制止する者もいれば、もっとやれとヤジを飛ばし助勢するも者もおり、どちらが勝つかと賭博を始める者までいた。
そんなギリシャの神々よろしくカオスが始まる直前、神ヘスティアは神ロキに自分の子どもから聞かれたふたつの事を尋ねた。
「君のファミリアのヴァレン何某には、付き合っているような異性はいるのかい?」
すると
「アホ、アイズはうちのお気に入りや。ちょっかい出す奴は八つ裂きにしたる」
ヘスティアは舌打ちしながら次の質問をした。
「それともうひとつ。僕のところの子どもが君ところのとある
「
勘のいいロキは、大体の察しはつきながらも聞き返す。
「そうさ、話によると、オレンジ色のコートと白いマフラーをまいた
「ほぉう、なんや噂が早いな」
「そう言うってことは、やっぱりいるんだね。君の所に」
「まぁ、詳しいことは言えへんけど。そうや、とは言っといたる。それで、うちのその
「さっきも言ったけど、僕の子どもがたまたまその
「気になってるねぇ?」
「なにも君の所から盗ってこようなんて思ってないさ。ちょっとだけその
「アホぬかせ。アイツはひょいひょい神を取っ変えるような奴とちゃう。でもせやな…ドチビんとこの子どもに変に跡付けられても嫌やし、特別に教えたるわ。うちのオオカミのこと」
ヘスティアはお互いに嫌悪する神でも静かに聴いた。
名は狼。曰く極東の地からここに来たらしい。レベルもまだ1で、刀を扱う。
「そ、それだけかい?」
「それだけや」
「なんだ。なんか拍子抜けだな。僕が思うに、ただ話が面白いだけの人に思えるけど」
「まぁ、間違ってはないんとちゃうか?」
「他にはなにかないのかい?僕のベルくんが惹かれるくらいなんだ。何か特別な事情があるとか、力があるとか?」
「ハン!これ以上聴きたかったら100万ヴァリスもってこい。ド・チ・ビ!」
「なんだとぉ!」
そう言って始まったのが先の喧嘩だったのだ。
ロキからしてしまえば、最低限の情報しか与えずにうまく狼を秘匿できた。
ヘスティアからすれば、自分の子どもが大層気に入っている者が、特段注目するに値しない者で終わってしまっているわけである。
―なにか隠している。
それはわかるが、これ以上ロキに聞いても仕方がない。それもわかりきっていることだった。
二柱の神が取っ組み合いの喧嘩をする中、何かを理解したように、不気味な笑みを浮かべてその場を後にする神もいた。
<><><><><><><><><><><>
この日、ガネーシャ・ファミリアは闘技場をまるまる貸し切り、ダンジョンから連れてきたモンスターの調教を行う。
祭りというだけあり、様々な人が見物に来る。神や冒険者、オラリオ外の者も。そしてそれは、狼も例外ではなかった。幹部のいない中、館に残すのは危険だということもあり、半ば無理やり連れてこられたようなものであった。
天真爛漫という言葉が似合う者、そしてその者と似た服装をしている者、そしてどこか幼げな長い耳を持つ者。もう既に始まっている怪物祭を、それぞれが輝く眼で観戦していた。
露出の多い服装をしている者の内の一人が狼に話しかける。
「ねぇ、オオカミ。さっきから一言も話してないけど。退屈?」
「………」
狼は首を横に振って唸る。どうやら退屈ではないらしい。
「そっか。じゃあよかった!」
事実、狼はそこらで観戦している者とは違う眼で怪物祭を見ていた。その目でよくモンスターと調教者を見ており、まるで自分があそこにたった場合どうするかなどを考えているようだった。
そして、少なくとも狼の周りにいる者は、この祭りを主催している者どもがそわそわとしていることにも気が付いているのだった。
「…何か、起きているようだ」
「確かめた方がよさそうね」
ロキ・ファミリアの者たちは闘技場の中を後にした。
闘技場の外には、既にロキ自身がいた。
「何かあったの?」
ティオナがロキにそう聞く。
すると、神であるロキは驚くべき内容を口にした。どうやら怪物祭で調教するはずのモンスターが街に逃げ出してしまったようだった。そして、それを討伐すべくアイズに対応を任せたとも語った。
そしてロキは狼にこんな提案をする。
「なぁ、オオカミ」
「………」
狼は黙って顔を向ける。
「オオカミもアイズのこと手伝ったってくれへんか?」
そういった瞬間、周りにいた三人がそれを止めようとした。
「ちょ、何言ってるのよロキ!」
「そうです、オオカミさんはまだレベル1なんですよ」
「危険すぎるよ」
ロキはニヤリとしてこう言った。
「まぁまぁ、黙って見とき。それでええな?」
「……御意」
狼は小さくそういうと、周りにある家の屋根に、左手から出した鉤の付いた縄をひっかけて飛んで行ってしまった。
「すごい身のこなし…」
「ロキ、本当によかったの?」
「言うたやろ。黙って見とき」
三人は諦めたようにため息をついた。そして。
「じゃあ、私たちもモンスター、探しに行こうか」
そう言って、彼女たちもまた、逃げてしまったモンスターを討伐しに狼の背中を追いかけた。
アイズを見つけるのに時間はかからなかった。そこら中にモンスターを倒した後の魔石が落ちていて、それを追いかけてこれば簡単な話だった。
魔石を見るに、少しサイズの大きいものや変わった柄の物もあり、それは少なくともレベル1のモンスターの落とす魔石ではない事がわかった。だから、余計に狼の事が心配であった。
金色の髪が舞う。
またゴトリという音を立て、モンスターが霧散し魔石となった。そして、剣姫が舞うようにモンスターを蹂躙する姿からは、後方から追いついた仲間たちは一つの安堵を覚えるとともに、すこし退屈を覚えた。
「この様子じゃ、私たちの出番はなさそうね」
「ここはアイズに任せよっか」
「そうですよ。私たち、武器も持ってきていないんですし」
少し幼さを孕んだ耳の長い少女、レフィーヤはそう言う。
そして、何やら違和感に気が付く。
――狼がいない。
確かに、狼が屋根を跳ねながらモンスターを斬り去っていくのを見ていた。しかし、此処で一息つこうとしている間に、どうやらアイズと狼が入違ってしまったようだった。
そんなことを気にしている刹那。
地面が揺れる。
揺れた地面を見ると、轟音と共に石造りの道を破り、緑色の蛇のようなものが突き上げてきた。
冒険者ではない者たちは逃げ惑い、モンスターの出現した方とは逆の方に走っていく。
ティオネが号令する。
「叩くわよ、ティオナ。レフィーヤは詠唱を」
「は、はい!」
レフィーヤは強張ったような声で返事する。しかし、何かに頼ったり迷っている暇はない。
アマゾネスの二人の動きを見つつ、その場で最適な魔法を詠唱しようとする。
しかし。
「レフィーヤ!」
その声が聞こえた時、何が起きているのかわからなかった。
とてつもない轟音と衝撃、遅れてやってくる酷い痛み。フラッシュバックのように自分がどうなったかを思い出す。
気が付けば、出店の残骸と共に地面に横たわっていた。そして、遠くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。きっと、自分の身を案じて前衛の二人が叫んでくれているのだろう。でも体が動かない。口の中からは鉄の味。
目を開ければ、そこには先ほどまでは蛇のようなモンスターだったが、それは変形して食虫植物のような悍ましい口を開き、こちらにとどめを刺そうと向かってきていた。
薄れゆく意識の中、レフィーヤは自覚した。
死そのものと、助かったとしても、それはきっとあの人に守られるという事実を。
そしてやはり、レフィーヤの予想は現実となった。食虫植物の口を一閃。レフィーヤの眼前にいるのは、風を纏った
食虫植物は霧散した。
しかし、ホっとしたのも束の間。
少なくとも同じ形状のモンスターが同時に三体、先ほどのように地面から突き上げて出現する。
それを見た剣姫は飛び上がり、モンスターに向かう。
だが、アイズがモンスターに向かう寸前。レフィーヤからすれば時が止まったようにも感じた。大好きなあの人の口が小さく開く。その声はレフィーヤに届くか届かないか、そんな声量だった。ただしかし、自分の憧れの人、大好きな人、目標としている人、そんな人の言葉を聞き漏らすわけがなかった。たとえ腹が抉れ、血を吐き、地に伏せていようとも。
彼女の唯の独り言。そういわれてもおかしくない声でこう言った。
「――迷えば、敗れる」
これは、多分独り言ではない。レフィーヤはそう思った。自分でも目を見開いているのがわかる。それは酷く自分に突き刺さる言葉であったのだ。唯の独り言ではなく、憧れの人が自分にくれたメッセージ。
そんなことを考えている時。脳で言葉を咀嚼している時。目にはアイズの仮の武器が粉砕しているのが見えた。
レフィーヤは強く思う。
憧れじゃダメだ。守られているだけじゃダメだ。迷っていてはダメだ。
足手まといになる。隣で戦うことも許されない。でも、追いつきたい。
レフィーヤは立ち上がり、自らを鼓舞し、魔法を詠唱し始める。
それを見た前衛の三人は、何とか詠唱を繋げるためにモンスターの気を引く。
今一度、自分の心の中であの言葉を。
――迷えば、敗れる。
そう。モンスターが怖いだとか、プレッシャーがどうだとか、憧れの人の前だからだとか、迷ってなんかいられない。あの人の隣で戦い続けるためにも、追いつくためにも、迷ってなんかいられないのだ。
レフィーヤは詠唱を完成させる。前衛三人はタイミングを見計らって退避した。
その刹那。絶対零度の凍風がモンスターを襲う。モンスターは冷気によって動きを封じられ、次第に凍り付いていく。そして生命を保っていられなくなったのか、霧となって散っていったのだった。
レフィーヤはホっとして地面に膝をつく。前衛で耐えてくれた三人も駆け寄ってくる。
「レフィーヤ!」
そういってティオナが抱き着く。まだ治療も何もしていない腹が痛む。しかし、存外に気分の悪い痛みではなかった。
そして気が付くのだ。
「…で、結局オオカミは?」
タイミングよく、ロキも合流する。アイズの使う新たな剣を持って。
「あれ、オオカミはどないしたん?」
「いま探そうと思ってたとこ」
「なんや、また迷子かいな。まぁええ」
そう言ってロキは手に持っていた剣をアイズに投げる。
「アイズたんは残ったモンスターの後処理。残ったもんでオオカミ探すでぇ」
狼は一体どこに行ってしまったのだろうか。
一つの仕事を終わらせたと思えば、関係のないところでまた一つ仕事を増やしてしまう狼だった。
レフィーヤは、自分でも気が付かないうちに独り言が出てきた。
「迷えば、敗れる……」
何かボソボソと言っていることにアマゾネスが気づく。
「ん、何か言った、レフィーヤ?」
「…い、いいえ。なんでもないです!」
レフィーヤは独り言が出てしまっていたことに顔が赤くなっていた。しかし、まだレフィーヤは気が付いていない、アイズの言ったこの言葉は、アイズは自分自身に言い聞かせていた独り言だということと、そのありがたい言葉はいろんな人の受け売りの末であったということに。
絶対に誤字ってる。自信がある。