自分の作った小説の主人公に転生   作:ロイ1世

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コロラドさん?まだ会えてないのですが…。それどころか他のレア艦もぴったり来なくなったし…。どうなってるの?


ミス

 頭に叩き込んだ監視カメラの位置を思い出しながら鎮守府内を進む。江風と時雨によって全ての位置が分かっているので、気を付けるだけでいい。

 

 最初に行くのは憲兵詰め所、宮本を押さえる。

 

 宮本は艦娘売買の主犯なので確実に逮捕しなければならないのに加え義明よりも賢い節がある。義明を先に確保したら何らかの形で察知されてもおかしくはない。

 

「白露、海兵隊の方はどうだ」

「問題無いよー、ジャックしたカメラで見てるけど執務室前も詰所も動いてないよ」

「分かった」

 

 相棒妖精は海兵隊の指揮を執っているが行く前にカメラを全てハッキングしてこちらから見れるようにした。白露はそれを使って情報を送ってくれている。余談だが時雨と江風は大本営にて詳しく話を聞かれている。

 

 詰所前に着く。中の人数を把握する為、壁に耳を当てる。

 

 

 

 

 

 一人。宮本だ。

 

「失礼します」

「ろ、ロイ監査官!?ど、どうやって…」

 

 動揺している宮本を置いて近付く。奴の手は机の上に出ていて仮に銃を隠していても使えない。

 

「こちらの書類について、少し聞きたいことがあります」

「あ、ああ。何でしょう?」

 

 左腕で書類を顔の前に突き出し視線を集める。少し不自然だが奴も動揺のせいで従ってくれている。

 

「はい、聞きたいことは…」

 

 右腕で紙を突き破って宮本の頭を掴み、机に叩き付ける。

 

「大本営で聞かせてもらおう」

 

 手錠をかけ布袋を被せ、布で包む。既に気絶しているが運搬時に目覚めたら面倒なので保険としてだ。

 

「聞こえるロイ?大本営の憲兵さんが後5分で着くって」

「少しゆっくりし過ぎたな」

 

 監視カメラに映らないだけのルートを走る。出会った奴らはすれ違いざまに気絶させ、絶対に報告が飛ばないようにする。下っ端も捕まえたいが最重要の宮本と次点の義明は何が何でも逃げさせてはいけない。

 

 執務室にまだいることを白露に確認してもらったら3回目のノックと同時に入る。

 

「失礼します、義明元帥」

「な、なんだ。それに、それは一体」

「早急に見ていただきたいものが」

 

 宮本を包んだ布を机の上に置く。何か言う前に言って速攻で済ませる。

 

「開いてください」

「あ、ああ…みやもt…!!」

「ウリャァ!!」

 

 見る為に下げた頭に対して両腕を振り下ろす。意識が飛んでいる間に宮本と一緒に包む。これで逃げられる心配はない。

 

「憲兵隊が正門を突破したよ!!」

「妖精に戦闘開始と通達しろ、俺もすぐに行く」

「分かった!!」

 

 銃声はすぐに響いた。正門から聞こえてくる銃声からして突破に苦労はしていないようだ。やはり、宮本がいないことで憲兵隊は混乱状態になっている。

 

「艦娘寮に近付く人影はないよ、ロイ!!」

「よし。この分なら焦らなくても…」

「止まれ!!」

「ダメそうだな」

 

 この鎮守府の憲兵が三人、既に銃を構えた状態でこちらを見ている。先手は取られた。

 

「貴様、貴様のせいで俺達は…」

「殺す、絶対に殺してやる!!」

「死ねぇ!!このクソ野郎!!」

 

 引き金に指が…。考えろ、リフレックスモードでの早撃ち…リフレックスモードになっている状態で二人を下ろし、銃を出すのは難しい。。それに今は宮本と義明を背負っている。避けれない。

 

 防御、銃撃を防ぐ…壁になりそうなものはないしこいつらには情報を吐いてもらわないと困る。

 

 よって答えは…

 

「待て!!」

 

 話をするしかない。

 

「もし、君達が私に協力してくれたら、南方への左遷や逮捕ではなく協力者として報償を出すよう元帥に進言しよう。仮に君達が私を撃って殺しても、君達が捕まるのは変わりないだろ」

「うるせえ!!ごちゃごちゃ言うなぁッ!!」

「そ、それに、たかだか監査官が、俺達を英雄に出来るわけないだろ!!」

 

 英雄…協力者ならまだしも英雄になれるなどと俺も思わない。このゲスめ。 

 

「これを見ろ」

 

 二人を下ろし、懐に手をゆっくりと入れ、そして一瞬で銃を取り出す。

 

「なっ!!」

「そんな話、あると思うなよ」

「こいt…」

 

 無罪放免になる可能性を見れると思って油断していたのだろうか、引き金から指は離され、銃口も下がっていた。そんな相手に反撃をさせずに勝つなど、造作もない。

 

 腕に数発撃ち込んだら足にも一発撃ち込み倒れさせる。

 

「て、てめえ!!」

「死んでないだけマシと思え」

 

 蹴りで気絶させ、二人をまた運ぼうとしたとき、館内放送がかかる。

 

「こちらは大本営、元帥直属の憲兵隊だ。無駄な抵抗は止めろ。そちらの指揮系統は完全に崩壊した。各自武装解除しろ!!」

「仕事が速いな…」

 

 特に戦闘に参加しないまま、鎮守府の制圧は終わった。

――

「こちらが義明と宮本です。特に宮本は重要な情報を吐くかもしれません」

「成程。ご協力ありがとうございます。中佐」

「ああ。ところでこの鎮守府の後任は誰か決まっているのか?」

「いいえ、そこまでは」

「そうか。鎮守府内の盗品は必ず持ち主に返しとけ。それと義明の肖像画や像は捨てろ。歴史的価値も何もない、ただのゴミだ。後任の迷惑になる」

「了解しました!!」

 

 さてと、こちらも一通りのことはやった。明日の午前中には時雨と江風も鎮守府に戻るだろう。後はこちらがやるべきことはないだろう。憲兵としての職務は全うした。売買の中心人物の宮本も捕まえたし…

 

 ちょっと待て。

 

 思い返せば横須賀第七鎮守府…横七で本編のときに艦娘売買なんてあったか?義明はただの無能クソ害悪で艦娘を解体しまくっていたり補給や入渠をしなかったということが考えられそうなストーリーを立てたが売買はしてなかったはずだ。

 

 そもそもとして、確か本編は始まりとして憲兵を全員倒してから義明を倒し、そのまま就任だった。つまり既に本編に入っている状態のはずだ。

 

「何か…致命的なミスを…犯してしまった気がする」

「ていと…中佐」

 

 相棒の妖精に話し掛けられる。名前何にしようか。

 

「それよりも、あなたのやったミスですが…」

「なんだ、教えてくれ」

 

 呼び名を決めることよりも大切なことは本編と現状がどうしてこんなに違うのかを知ることだ。

 

「あなたがあなただからです」

「?」

 

 何を当然なことを…。俺は俺。ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフではなくロイ1世。注意すべきことは1世の1は漢数字ではないこと…。

 

 ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフではなくロイ1世であることが、ミス?

 

「詳しい動きは知りませんが、本来ならあなたは今、あの五人と共に南方に偵察に行っていました」

「あの五人?」

「鳳翔、大和、夕張、吹雪、曙の五人です」

「ああ…ああ!?」

 

 関係が薄すぎて忘れてたわ。あいつらずっと北方だもん。寒いの嫌いだから自ら行こうとは思はないし。

 

「あなたが南方に行っている間に宮本は憲兵隊内のいざこざで事故死。この鎮守府では艦娘売買が終わる筈でした」

「そして宮本を失った義明はガバガバ無能指揮を行う、と」

「はい。皮肉にも宮本は艦隊運営は義明よりも才がありましたから」

 

 こうなると喜べばいいのか悲しめばいいのか分からない。艦娘売買は轟沈と違ってまだ再会の可能性はあるのだから。

 

「そして次、艦載機の動かし方」

「飛龍と蒼龍…」

 

 艦載機の飛ばし方を教えた空母艦娘、…妖精探しに夢中で艦載機の動かし方なんて頭を過らなかった。

 

 言われて「ああ…」となったが、多くの原因はこの妖精が占めている気がする。五人と行動できなかったのはこの妖精が現れないからであり、動かし方などを教わっていないのはそんな時間は妖精探しで潰れたからである。

 

「分かりますか?あなたはあなたになってしまったが故にこの状況を作り出しています」

「だとしても…な」

「ですが、これを好機と考えましょう」

 

 妖精は土に小学生のように木の枝を使ってものを描く。

 

「まず、この鎮守府。艦娘売買によって残っている娘たちは深く傷つきました」

「そうだな」

「ですが、沈んでいないのなら、再会のチャンスはあります」

「宮本に情報を吐かせて商人を追い、卸先で保護」

 

 海を越えた可能性は皆無な現状、国内を探し回ればいずれは見つかる。

 

「そして、嬉しい誤算は義明の代わりに宮本がいたことです」

「悪役の俳優が代わっただけでは?」

「いいえ、義明はよくも悪くもあなた同様、深海の血を継いでいます」

「初耳学…ハイフリ編の強化の奴か?」

 

 本編の続編のときに義明は殺したのに強くなって帰ってきてた(雑に省略)。それを考えると納得できる話だ。

 

「ですが宮本は全くの無関係。故に再登場はありません」

「嬉しいことだ。次に見るのは尋問会であることを願いたい」

「はい。そして義明はまだ懲役刑で済む可能性がありますが宮本は死刑となるでしょう。よって復讐戦は避けれます」

 

 義明は本編にてしばらくしたら巨大な空母を連れて復讐に来た。だがそれは罪が軽く懲役刑で済んだからだ。しかし今回は艦娘売買。死刑が適用される。主犯ではないが十分に適用はありえるし仮に懲役刑でも生ぬるいところではない。

 

「では、今あなたがとるべき行動は何か」

「決まっているよ」

 

 お前に話し掛けられたときから、それは決めた。何なら結果すらも決めた。

 

「お前の名前、暫定だがアイにする」

「えぇ?」

 

 我ながら素晴らしいセンスだ。相棒の相と俺を支える正しく一心同体となる存在、つまるところ俺自身(I)を掛けた、途轍もなくいい名前だ。ジョニーなどという下痢に悩まされ注射が苦手そうだったり、変装が得意そうな名前よりも断然いい。

 

「し、白露さんにも聞きましょう」

「勿論!!」

 

 余談だが、白露はかわかこ(可愛い見た目だけどカッコいい)妖精と提案し、二対一でアイに決定した。

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