自分の作った小説の主人公に転生   作:ロイ1世

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今回はパソコンからスマホに作業場を変えました。理由は艦これとハーメルンを両立して投稿ペースを上げるためです。ですがスマホの入力に慣れていないので誤字等があるかもしれません。その都度ご指摘いただけると嬉しいです。


解放

「さあ、お次は1467年、応仁の乱で焼失したと言われてきた水墨画の名作『東山壮観図』2000万からのスタートです!!」

 

 スクリーンに映された水墨画とオークションの司会の声を聞きながら待つ。ここは横七の艦娘たちが売られるはずのオークション会場だ。だが未だに艦娘はおろか艤装すら売りに出されていない、場が廃墟であること以外は普通のオークション会場だ。

 

「続きましては...」

 

 寝よう。アイや海兵隊の連中は潜入に成功して待機中だ。少しの間寝ようとも問題ない。

ーー

 どれ位眠ったのだろうか、元から空いていた客席から更に人が居なくなった頃、ステージに女が出てきた。

 

「あれは···」

「真のお客様方、大変お待たせしました。これからオークションに掛けられますわ、深海棲艦を唯一倒せる存在、艦娘です!!」

 

 女は手足に枷が着けられ、衛生環境が悪い場所に居たのか青みがかった髪もボサボサだった。

 

「実験に使うもよし、世界に売りに出すもよし、女として欲求を解消するのに使ってもよし。値が張りますよ?20億から!!」

「近付いて見てもいいか?」

 

 手を挙げ司会に言う。司会は喜々としながらそれを許してくれた。ステージを上がり女の真ん前に立つ。

 

 女の目は開かれていたが焦点は合っておらず、生きている死体と言っても差し支えがなかった。

 

「おい、加古」

「!!」

 

 名前を呼んだ瞬間、まるで目覚めたようにこちらを見た。

 

 いかんな、嫁艦が売りに出されているという現実に腹が立って口調が強くなっている。しかも待ち時間が長かったこともあって直りそうにない。

 

「所属はどこか、言えるか?」

「あ、あんたは・・・」

「所属を言え」

「横須賀第七鎮守府・・・です」

「確認した。私は大本営元帥直属の憲兵だ。君達を助けに来た」

 

 加古の目に光が宿る。希望を持った目はこちらを見つめた。

 

「他に何人いる」

「30人...」

「合致した」

 

 屈み、一瞬にして足枷を破壊する。立ち上がったら手枷も同様に破壊した。忍ばせていた無線を付けて待機中の連中に合図を送る。

 

「出番だ、張り切っていけ!!」

 

 天井から10人も男が現れ、客を締めていく。

 

「何だ貴様らは!?」

「憲兵隊だ!!大人しくしろ!!」

「憲兵!?に、逃げろ〜!!」

 

 司会はバックヤードに逃げようとして、止まった。いや、止まらざるを得なかった。

 

「制圧完了しました」

 

 大男が小脇に男を二人抱えて現れた。

 

「御苦労、護送の準備とメンタルケアを」

「了解です」

 

 アーマーが間に合わなかったスパルタンに新しい指示を出す。ミョルニルアーマーが無くてもやはりスパルタン、劇場を完全に制圧してみせた。

 

「こいつ・・・殺してやる!!よくも、よくも!!」

 

 司会は懐から拳銃を出し、こちらに向ける。場にいる部隊は全員意に介せずに確保した連中の拘束をしている。加古は・・・ダメだ、恐怖で固まっている。

 

 銃弾は一つ。放置していると当たる弾道なのでリフレックス状態になり回転する銃弾を摘んで止める。

 

「何だこいつ、化物か!?」

「艦娘売って私腹を肥やす奴には言われたくないね」

 

 再び撃たれる前に床に叩き付ける。肺の中の空気を吐き出させたら胸に蹴りを入れてダウンさせ、手錠で拘束する。

 

「アイ、護送車はまだか?」

「正面に到着しました。海兵隊員が付いていきます」

「スパルタンは周辺をもう少し見張ってもらう」

 

 客と運営は大本営に連れて行かれる。そこから先は知ったことじゃない。宮本の奴は数日間だったが監査対象だったから最後まで付き合ったがここにいるのはどうでもいい。

 

 バックヤードに行き、拘束が外された艦娘たちを見る。目立った外傷は無いが誰も何も言わない。後ろに付いてきた加古もまた、何も言わずに目線を下げていた。

 

「よく聞け!!」

 

 声を張って全員に聞こえるようにする。

 

「これからお前らは大本営で入渠と休息を行い、元の所属の鎮守府に再配属される」

「元の鎮守府って・・・横七のことっぽ・・・こと、ですか?」

「そうだ、夕立」

「私、戻りたくない、です。あんなところに・・・」

「義明英朗や宮本大尉を始めとする所属していた連中は全員逮捕された。後任はまだ決まってないが悪いことにはならないだろう」

 

 山吹元帥に話を聞いたところまだ未定とのことだった。いや、むしろ未定じゃないと困る。後任には俺がなる。

 

「宮本・・・あの男!!」

「死んだぞ。尋問室で処刑が執行された」

「なっ・・・!!」

「ホント?ホントに死んだの?」

「頭に銃弾撃ち込まれたんだ。死ななければ困る」

 

 何かしらの・・・それこそないと思うが深海棲艦の血を輸血したら復活した、なんて展開を避けるために死体は焼いて灰や骨は山に埋めた。海に撒くのは説明ができないが怖かった。

 

「終わった・・・終わったんだよね」

「どうした?」

 

 振り返ると加古が膝を付いて泣いていた。加古だけじゃない、夕立も、宮本を恨んだ瑞鶴も。皆が膝を付いて泣いていた。

 

 当然だ。宮本は彼女たちを地獄へと叩き落とした。その悪魔が死んだのだ。喜び・・・いや、恐怖から解放された安心感が、彼女たちを泣かせたのだ。

ーー

「全員いるな?」

「艦娘三十名、一、二号車に分乗しています」

「スパルタンチームも全員います」

「発車しろ!!」

 

 護送車の屋根から廃墟となっても利用された劇場を見る。そこには笑いも喜びもなく、ただ涙と恐怖から解放された安心があった。

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