これまでの数日に一回から一、二週に一回のペースに最低でもなるように頑張りますので、皆さん、どうか、この作品を、よろしくお願いしまーす!!
実の父の友で育ての父、そして上司である山吹智久(やまぶき ともひさ)に呼び出された。
盃二世との一件で自身の出自も分かり、そして実力を示した。山吹元帥としては実力もあり、信頼できる人間だから親衛隊に入れたいと思っているのだろう。
大本営海軍元帥室の扉を叩く。
「入れ」
「失礼します」
山吹元帥は静かにこちらを見ている。扉を閉め、机の前まで行くと、山吹元帥は話始める。
「中佐、いやロイ。ここから先は引き返せないぞ、いいな」
「既に後戻りが出来ない状況です。後はもう進むだけです」
「そうか…」
生き延びるには、原作知識を最大限利用するしかない。取り敢えず原作ルートに入れば相棒妖精が出てくるだろうから、親衛隊に入らない理由はない。
「ロイ、君の母親は君を産んですぐに死んだと聞かされているよな」
「はい。父からそう伝えられました」
「長い間騙していてすまなかったが、君の母親は今も生きている。君の母親は深海棲艦で、海に帰って言ったんだ」
知ってます。知識で作者に勝てると思うなよ。この爺。
「母が父と結婚して私を産むまでは、艦娘の姿で生活していた」
「そうだ。ところで君は艦娘と深海棲艦の差を知っているかね?」
「…同質であり同じ存在。コインの表と裏のようなものだと」
この世界では艦娘=深海棲艦で、転生するような形で深海棲艦は艦娘になるんだよな~(イキリ)。ちなスペック的には深海棲艦の方が艦娘より強いけど、転生前の記憶を引き継げた艦娘(紅海の奇跡の艦娘5人)は深海棲艦と同じ。
だから今後建造されて現れるだろうどの艦娘も、あの5人を超えれない。だからこそスターターファイブスという最初の艦娘と最強の艦娘を表す名を与えられた。
「君の言う通りだ。艦娘と深海棲艦は同じ存在だ。では君が言うようにコインなら、ひっくり返る力は何だと思う?」
「死…ですかね。輪廻転生という概念もありますし」
「ああ。だが全ての深海棲艦が艦娘になれるというわけではない」
What!?そんな話知らないぞ。
「そもそも深海棲艦は、陸で生きていた生物だったんだ」
あっ、長くなりそう(小並感)。
「だが彼女達は陸で栄えることはなかった。他の陸上生物…肉食動物に襲われ、武器という武器を持っていなかった彼女達は各地を転々と、逃げるように生きるしかなかった。そしてある生物が地球を支配する」
人ですか?
「子供の頃、誰もがかっこいいと思ったあの生き物…恐竜だ。恐竜の登場によって彼女達は徐々に海へ追いやられていった。そして、追い込まれた彼女達は海へと逃げて行った。だが、そこも安住の地ではなかった」
へぇ~、初めて聞いた。
「水中にも恐竜はいた。彼女達は水中での足が遅く、恐竜にとって格好の餌となり、多くの者が喰われた。だが、彼女達は引き返せない。彼女達は進んだ、より深く、暗い深海へ」
水圧でペシャンコにならない強靭な肉体を持っているからこそ、艤装無しでも十分強いのか。
「深海はそれまでの過酷な環境と違い、平和そのものだった。襲ってくる生き物も、集団でいれば問題はないようなのばかりだったからな。そんな環境だからこそ、彼女達の多くはある気持ちを忘れていった」
「その気持ちは?」
「陸地を闊歩し、風を感じ、太陽の光を眩しく思う気持ちだ」
なんとなく分かる気がする。前世で引き籠り気味だった俺は、外に出る度に太陽の眩しさにいつも懐かしさを感じていた。窓が北向きのせいかもしれないが、普段見ている青空が違うように感じる。
「あるとき、深海にとある生き物が沈んできた。二足歩行で、身なりのよい、かつて陸地で暮らしていた頃の深海棲艦とそっくりな生き物が」
「その生き物が、人間」
「そうだ。彼女達は人間を、正確にはその死体を見て、陸に戻るときが来たと察した。だがそれには大きな問題があった。陸地は既に人間が支配していて、その土地を守る武器を持っていたことだ。いかに深海で生きてきたとしても、その皮膚は柔らかく、鉄の刃で容易に断たれる。故に彼女達は君のような混血を作らせた」
深海棲艦の血を引く者は女王へ忠誠を誓う。それは例え赤子でも、女王という存在を知らなくてもだ。
「私も君も、盃親子も、君の父も、私の父も。全員に深海棲艦の血が流れている。我々は陛下に命を捧げ、彼女達の為に戦う」
かっこよく言ってるけどごめんなさい、私死にたくないです。命なんて捧げれないです。
「ああ、それで、艦娘になれる深海棲艦となれない深海棲艦の差はなんです?」
「すまない、なれるのとなれないの、その違いは陸への憧れだ」
「憧れ?」
「憧れがなければ人間に、かつて陸を闊歩していた頃の姿に戻ろうとは思わない」
憧れ…引き籠りには理解できん。
「私たちの母も、陸に憧れたからこそ艦娘となって父の前に現れ、私を産んだ。元から先祖返りする深海棲艦は一定数はいた。そのメカニズムが最近明らかになったんだ」
つまり、昔は偶然生まれた艦娘を陸に送っていたのか。
「ところで、既に各地で艦娘の建造が始まっているが、何故同一艦が二隻以上いると思う?」
「分かりません…」
艦これには基本的にドロップ制限はない。あるとしても期間限定ドロップのような特別なものだ。無意識だがその無制限ドロップがあの作品を作るときにも反映されているので、理由なんて書いたことは一度もない。
「深海へ彼女達が移住した時にも言ったが、彼女達は武器という武器を持っていなかった。だがそれに転機が訪れる。帆船、蒸気船、内燃機関搭載艦、etc。人間が戦争をし、それらが沈むことで彼女達はそれらの技術から艤装を手に入れた。そして艤装を装着し、艦娘になれば…記憶を失うことで、艤装の記憶が彼女達の記憶となる」
「…艤装は量産され、記憶は艤装によって与えられる。だから二隻以上存在する」
「同じ事は建造でも起こる。艦娘に必要なのは艤装と彼女達の魂だからな」
その質問を聞いて一つ疑問に浮かぶ。響や雪風のような沈まなかった艦はどうなるのだ。
「史実で沈まなかった艦も建造されているようですが、先程の説明だと沈まなければ艤装は手に入れれないのでは?」
「そうだ。その艦の艤装を直接手に入れることはできない。だがその魂はどうだ?船員が病や事故で亡くなり、遺骨が海に撒かれれば。船員たちを通じて艦の魂は海に還り、同型艦の艤装に宿る。まぁ、それで出来る艤装の数は少ないけどね」
――
一通りは喋りつくした。では本題に入らせよう。
「なぜ閣下はそれらを御存知で?」
「…本題に入ろう」
場の空気が引き締まる。山吹元帥は机から紙を出す。
「私は深海棲艦…彼女達の女王が指揮する部隊である親衛隊の一員だ」
ナッ、ナンダッテー(棒読み)
「君は盃二世の逮捕で彼女達への優しさと実力を証明した。私は君を親衛隊の一員にしたい。君さえよければ、この書類に名前を書いてくれ」
山吹元帥から紙を貰う。ざっと目を通すと誓約書のようなもので、秘密の厳守や任務遂行、忠誠やらなんやらが書いてある。俺は山吹元帥の机からペンを取り、署名欄に名を書く。
「即決か…ところで、親衛隊では本名を使わず、コードネームで呼び合う。私の場合は将軍だ。自分で決めるか陛下から与えられるか、どちらがいい?」
「自分の名前ですから、自分で決めます…V。Vでお願いします」
「V?ヴィッフェのVか?」
「違います。勝利のVです」
負けない。原作において、ロイの敗北はバッドエンドに繋がる。負けるわけにはいかない。
「君にも直に深海の方から妖精が専属でつく。親衛隊との連絡や報告は妖精を通じてくれ」
あっ、相棒妖精君の強制合流か。
「改めて頼んだぞ、V。彼女達との真の理解の為に」
「彼女達との真の理解の為に」