もぞもぞと何かが入って来て、更に暖かくなる。
「…シンジ、頭撫でて…」
「うん…?アスカぁ?」
「いいから、早く…」
「うん…」
やわらかいアスカの髪。触ってて心地がいい。
「…だいすき…」
しがみつくアスカ。昨日の参号機の事からずっとこんな調子だ。
「……」
時計が日付が変わった事を知らせる。
「もう遅いから…寝よっか。」
「うん、一緒に寝る…」
コンフォート17の葛城家。
「ごちそーさん!」
「お粗末様でした。」
「え!別にシンジの料理はお粗末じゃないわよ!」
「違うよ、こういうもんなの。」
昼飯を済ませた後、アスカと作戦会議。
「次の使徒…明日来るんでしょ?」
第14使徒ゼルエル。
この世界における第10使徒の可能性がある使徒。
一言で言えば、最強。
「多分、そうだと思う。」
来ない可能性もあるが、来ると思った方がいい。
「A.T.フィールドが過去一固くて、おまけに中和しても攻撃が通らない。攻撃力も桁違いで、まともに食らったら一撃で戦闘不能にされる可能性大って言う話でしょ?」
「うん。前が初号機の覚醒で倒しただけに倒し方も分からない。」
「じゃあどうすれば良いのかしら?」
「う〜〜ん。三人がパレットライフルでコアを射撃すれば…」
「劣化ウラン弾では厳しいんじゃない?」
「だよね。となるとロンギヌスの槍?」
「なにそれ?」
「ええっと、アスカは知らないんだっけ。アンチA.T.フィールドで出来てる槍の事だよ。」
「アンチA.T.フィールド?」
「A.T.フィールドを一撃で貫くことが出来るんだよ。多分NERV本部の最深部にあると思うんだけど。」
「そんなのがあんの?それさえあれば無敵じゃない。」
「…問題は使えるかどうかなんだよな…」
「不完全な状態とかそゆやつ?」
「違う、単純に父さんの許可を貰えるかどうかがね。」
「あぁー。ま、無視で良いんじゃない?」
「えぇ…?」
ぴーんぽーん
「あら?誰かしら?」
『碇君、アスカ。私よ。』
「レイ?こんな真昼間にどうしたの?」
『…ちょっと話がしたくて。』
いつも通りの制服の綾波。だが、大きな鞄を持っている。
「…お昼、もう食べたの?」
部屋に入り込むと、アスカに話しかける綾波。
「食べたわよ。というかあんたちゃんとお昼ごはん食べてる?」
「食べてないわ…今までも食べた事なかったから…」
「じゃあ僕、軽い物なんか作ろっか?」
「…お言葉に甘えて。」
「で、なんで急に家に来たの?またあたしが心配だったとかないわよね?」
「…その通りよ。あなたが心配だったから来た。」
「…そう。」
「元気そうで良かったわ…」
「そう…かしらね?」
「…紅茶、入れる練習したの。アスカと碇君に…その…飲んで欲しい。」
「ほう。それは楽しみね。」
やかんにお湯を沸かし、茶葉を用意。
ポットとカップにお湯を注いで全体を温め、ポットのお湯を捨てて茶葉を投入。熱いお湯を勢いよく注いで、直ぐに蓋を閉め蒸らしておく。
「…できた。」
「あら、良い匂い。」
「ネットで…調べたから…」
「じゃあ、頂きます。」
ゆっくりと味わいながら飲む。
苦さは前より緩和され、暖かさが前よりある。
優しい味だ…
「…美味しいわね、これ。」
「そう…なら良かった。」
赤い紅茶に顔が写る。
(あれ?…あたし、泣いてる?)
「…!…どうしたの?急に泣き出して?」
「な、なんでもないわよ、目にゴミが入っただけ…っ」
ごしごしと目を擦る。
「…タオル、貸してあげる。」
「…ありがと…気がきいてるわね…」
レイの着ている制服。
ヒカリのものと同じ制服。
(やだ…なんであたし泣いてんのよ…シンジならともかくレイの前なのに…)
オロオロと困った顔のレイ。
「出来たよ〜!綾波〜、ってアスカどうしたの⁉︎」
台所から出てくるシンジ。
手にはピザのような食パンをのせた皿。
「なんっ…でもないわよ、ゴミが目に入っ…ただけだっつーの!」
皿を机に置き、アスカの頭を手で撫でる。最近こればっかし。
「碇君…私どうしたらいい?」
「大丈夫だよ、それ食べといて。アスカ、部屋行こうか。」
「うん…」
アスカの部屋に消えていくシンジとアスカ。
ぱくっとピザ(?)を食べる。
「…おいしい…」
…
「………」
シンジの膝を枕にして寝転ぶ。
すりすりと背中をさすられる感覚。
「…落ち着いた?アスカ。」
「あのねシンジ、あたし…」
「どうしたの?」
「レイの制服見てヒカリのこと思い出しちゃって…紅茶があったかくて……それで…」
「うん…」
「あーもう!なんて言うんだろ!わかんない!」
「温かい紅茶を飲んでたら悲しくなっちゃったの?」
「…そうじゃなくて、えーとなんか自分だけ幸せになってて、ヒカリに悪い気がして…」
「別にアスカが幸せなのは悪いことじゃないと僕は思うけど?」
「そうなのかしらね…?」
「僕はアスカに幸せになって欲しいと思うよ。」
顔が紅潮するのを感じ、シンジに見えないよう顔をシンジの膝に埋める。
「…ホント?」
「嘘は言わないよ。」
「…あたしの事、好き?」
「…そう、かもしれない。」
照れたような口調。
「ばか…男ならはっきりしなさいよ…」
この時シンジは、気持ちを、中途半端だが…伝えてしまったので頭真っ白である。
「と、取り敢えず綾波の紅茶、飲みに戻ろっか。」
「……うん。」
…
「碇君、これ美味しかった。今度作り方教えてくれる?」
「うん、いいよ。」
ピザ(?)は綾波の口に合ったようで良かった。
赤い紅茶を飲む。
とっくに冷めていたが、まあまあ美味い。
「…冷めちゃったから、もう一度入れ直した方がいい?」
「いや、これでいいよ。」
「あたしも…これでいい。」
「そう。」
日が地平線へと近づいていく。
テレビをボンヤリと観る。
『はぁーい、今日は以前にも紹介した算数の出来るワンちゃんがまた番組に来てくれました! 』
『ワン!』
『元気な鳴き声ですね!今日は以前より難しい問題です!』
『ワン!』
『それではいきます!√1×√1は?』
『ワン!』
『わー!とっても頭が良いですね!』
「…犬…可愛い…」
「なにこの番組…バッカじゃないの?」
「あ、あははっ」
がっちゃん!
「ただいま…」
ミサトさんが病院から帰って来たらしい。
「あっ…ミサトさんお帰りなさい!」
「お帰りミサト。」
「お邪魔してます葛城三佐。」
「あら、レイ来てたの。」
「はい、アスカと話しに。」
「へーえ。シンちゃんじゃないのね。」
「…変ですか?」
「いや、そゆわけじゃないけど…そうだシンちゃん、夕食のメニューは?」
「まだ決まってないですけど…リクエストありますか?」
「そーねぇ…レイもいる事だし無難なやつ…味噌汁とご飯ってとこかしらね。」
「わかりました。」
「じゃあ私はこの辺で失礼します。」
「あら?帰っちゃうのレイ?てっきりここで食べてくと思ったのに。」
「…良いんですか?」
「シンジさえ良ければ良いと思うわよ。」
「僕は別に構わないけど…」
「「じゃ、決まりね。」」
「…はい。」
…
「…これが味噌汁…」
白っぽいスープの中に人参や大根、豆腐が浮いている。
「「「頂きます!」」」
三人が先に食べ始める。
「ぷっはぁ〜〜!くぅぅう!1日の最後のビールが美味いッ!」
「程々にして下さいよ、ミサトさん。」
大怪我してるんだし。
「わかってるわよ!」
「さっすがシンジ、今日も美味しく出来てるわよ。」
「アスカにそう言う事言われると嬉しいな…」
「言って欲しければ幾らでも言ってあげるわよ!」
「ほんとシンちゃんとアスカは随分仲が良くなったわねぇ…キスとかもうした?」
「な、なに言いだすのよミサト!」
「な、何を言うんですかミサトさん!」
「うふふぅ〜赤くなっちゃって…もしかして、図星?」
「んな訳…ッ⁉︎………」
否定しようとするも、言葉に詰まってしまうアスカ。
「やっぱそうなんだ?」
「うるっさいわねミサトぉ!」
ミサトがアスカとシンジをからかう横で、レイは未知の料理を前にして、唾を飲み込む。
(綾波レイ、行きます。)
「…頂きます。」
高速でかき込む。口一杯に広がる味噌の味。
「…うっ…美味しい…」
ご飯も一緒に食べると、更に美味しい。
「はうぅ…っ」
食べれば食べるほどもっと食べたくなる味。
謎の中毒性が脳を支配し、この味を求める。
あっという間に空になってしまった。
「おかわりならあるよ、綾波。」
「食べたい…お願いします。」
「わかった、器貸して。」
楽しい時間は過ぎていく。
外は真っ暗になった。
「ぐぅぅぅぅ…」
「ほら、ミサトさん寝るなら布団で寝て下さい!」
「ほひゅ〜〜っ…加持ィ…赤ちゃん欲しい…」
ナンの夢見てるんだよミサトさん。
「…うーん…シンジ…だいすきぃ…」
「味噌汁…いっぱい…天国…」
「…これってどうしたらいいのかな。」
シンジ以外、全員寝た。
「…取り敢えず全員にバスタオル掛けておくか…」
カチ、カチ、と時計の音が静かな部屋に響く。
12時。とうとうこの日がやって来た。
「…使徒ゼルエル…絶対倒す…頑張るぞ…」
つづく
暫く休止すると言ったな…あれは嘘だ。
感想、高評価よろしく。
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