紅い瞳に月が写り、呟く。
「…随分長い旅だった…もうすぐ会えるよ……碇シンジ君。」
金色の頭に包帯を巻いている女性。
「…復旧は厳しそうね。」
独り言を呟く。
その後ろからもっと酷い怪我をした長髪の女性が近づく。
「…もう起きていいの?ミサト。」
「仕事ができれば問題ないわよ!」
「…この非常時に休んでられない、か。」
目の前の参号機の頭は原型を失っている。少し歩くと靴に血が付く。
「…アスカは大丈夫そう?」
「…前よりもシンジ君にくっつくようになった気がするわ。」
「…頼りにされてんのね、シンジ君。」
「甘えてんのよ、シンジ君優しいから。」
「あら、それは悪いことかしら?」
「別に悪いって訳じゃないけど。」
アスカはシンジに依存している様な気がするのだ。
少し危うい。
…
NERV本部第一発令所。
「総員第1種戦闘配置!地対空迎撃戦用意!」
「目標は?」
「現在進行中です。駒ケ岳防衛線、突破されました!」
空中に浮いている巨大な使徒、ゼルエルにミサイルが降りそそぐ。
しかし、強大なA.T.フィールドに阻まれる。目から熱光線を放つ使徒、十字架状の大爆発。
「第1から18番装甲まで損壊!」
「18もある特殊装甲を一瞬で…⁉︎」
狼狽える日向。
「エバーの地上迎撃は間に合わないわ!エバー全機をジオフロント内に配置!本部施設の直援に回してッ!」
ミサトの指示が飛び、発進するエヴァ全機。
「…まずは命令通り、パレットライフルの一斉射か…」
「使徒には効かないと思うけどね。」
「やれることをやってみるだけだわ。」
ジオフロントの天井が爆発する。
爆煙の中から姿を現わす使徒。
「いっけえぇぇぇぇぇ!!!」
A.T.フィールドを中和しながら三人でパレットライフルの斉射。
全弾命中、全く効かない。
「だめ、効かない!」
そして弾切れ。
「まだまだぁ!!」
お次はバズーカ。
しかしこれもダメ。
「やっぱりダメだ!全然効かない!」
不意に使徒が紙のような手を展開し始める。
(あれはッ…まずい!)
「⁉︎…なにあれ?」
「避けてアスカ!綾波!」
紙のように畳まれていた使徒の手が、勢いをもって迫る。
「あっぶな!」
アスカの持っていたバズーカが真っ二つになる。
「…なんつー斬れ味!」
使徒が熱光線を放つ。直撃を食らい、右腕を飛ばされる零号機。
「あぅっ!」
「レイ!」
「綾波!」
「…大丈夫…まだ…いけるわ…」
再び使徒の光線が自分達に襲いかかってきたので素早く避ける。
「同じ手は食らわないわ…っ!」
「ふっ、このアスカ様にかかればあんたの攻撃なんてお茶の子サイサイよ!」
しかし、避けた後の体制を立て直す一瞬の隙を使徒は突いた。
紫の頭が紅い血を撒き散らしながら宙を飛ぶ。
「………ガッ…ァ……」
シンジの言葉にならない絶叫。
「シンジィィィィ!!!」
「碇君!!!」
悲痛な叫び。
『初号機パイロットの心音微弱、いえ、停止しました!』
『パルス送信!心臓マッサージを!』
『救出班急いで!』
頭を失い倒れこむ初号機。
だが、使徒は容赦なく攻撃を続ける。
(くっ…シンジがやられるのは痛すぎる…これで暴走では倒せない!)
「…っ!」
使徒の攻撃を避けながらゲンドウとの個人回線を開くレイ。
「碇司令!」
『なんだ、レイ。戦闘中だぞ。』
「槍を…ロンギヌスの槍を使わせて下さい!」
『なぜだ。』
「このままでは…碇君…初号機パイロットが回収するのが困難で、死亡する可能性があります!」
『…黙れ、作戦に集中しろ。』
「⁉︎」
それでも、それでも碇君の父親なの?
「いやあぁぁぁ!」
「アスカ!」
使徒の攻撃が弐号機に突き刺さり、弾き飛ばす。
使徒の光線を避ける、避ける。
「くぅっ!」
(反撃が出来ない…っ!)
避けた光線が四角錐形の建物、第三基部に直撃する。
『第3基部に直撃!最終装甲板融解!』
『不味い!メインシャフトが丸見えだわ!』
「くっ…!きゃっ⁉︎」
胴が焼ける感覚。やられた。
「はあっ…っあ…っ」
倒れる零号機。発令所から聞こえる絶望の声。
『零号機、活動停止!』
『そんな!くそ!最後の頼りだったのに!』
『レイ…っ!』
『………』
「あたしはまだやられてないわよ。」
完全な不意打ち。弐号機のプログナイフが使徒のコアに吸い込まれていく。
「残念だったわね…!」
発令所が沸く。
まだ弐号機が生きていた!
ナイフが刺さる瞬間、コアを守るように突如蓋が閉まる。
「…え?なにこれ…ぇあ゛っ⁉︎」
『アスカ⁉︎』
使徒の鉄拳。意識が遠のく。
「が…は…っ⁉︎」
(後少し、後少しだったのに…っ…)
発令所がさらなる絶望に包まれる。
『エヴァ弐号機…活動停止です…!』
使徒の光線が弐号機の胸部装甲を破壊する。剥き出しになるコア。
『…⁉︎ あれは…?』
驚くミサト。
使徒がコアを手で突き続ける。
「動いてよォ…お願い…だから…」
はっきりしない意識の中、必死に操縦桿を動かす。
ドクン…
エヴァの鼓動の音。
ドクン…ドクン…
早くなっていく。
『ヴオォォォォォォォォォ!!』
覚醒。弐号機の顎の拘束具が外れる。
「エ…エヴァ再起動…⁉︎」
ゼルエルを蹴り飛ばし立ち上がる弐号機。
「信じられません…弐号機のシンクロ率が…400%を超えてます…!」
「…やはり目覚めたのね…彼女が。」
『ヴオォォォォォォォォォォォォ!』
使徒の紙状の手が凄まじい速さで迫るが、簡単に弐号機はそれを引きちぎってしまった。
ゼルエルのA.T.フィールドが弐号機のA.T.フィールドに自身の体ごと斬られる。
『⁉︎⁉︎』
血を噴水の様に噴き出し、倒れる。
『ヴォ!ヴォ!』
獣の様な鳴き声の後、四つん這いで倒れた使徒に襲いかかる。
使徒も目から光線を出して反撃しようもするが、顔を潰される。
使徒の肉を引きちぎると、人類の脅威だったモノを喰いはじめた。
「使徒を…喰ってる?」
驚愕するミサト。
「…うぷっ…」
ハンカチで口を覆い、吐き気を抑える伊吹マヤ。
「エヴァ弐号機がS²機関を自ら取り込んでいるというの…⁉︎」
「うぅ…ゲェッ…」
「おい、大丈夫かマヤ!」
とうとう吐き出したマヤを青葉シゲルが心配する。
『グオォォォォォォォォォォォォ!」
弐号機の装甲が剥がれていく…
「拘束具が…っ」
「拘束具?」
「そうよ、あれは装甲板では無いの。」
「エヴァ本来の力を私達が抑え込むための拘束具なのよ…その呪縛がエヴァ自らの力で解かれていく…私たちにはもう、エヴァを止める事は出来ないわ…」
ジオフロント、加持の育てているスイカの畑。
「…弐号機の覚醒と解放…こいつはゼーレが黙っちゃいませんな…」
加持が呟く。
「これもシナリオのうちですか?碇司令。」
…
「…少し違ったこともあったが、全てはこれからだ…」
…
「エヴァシリーズに生まれ出ずる筈のないS²機関…まさか使徒を喰うことで自ら取り込むとはな…」
ゼーレの老人達の中核による会議。
「我らゼーレのシナリオとは大きく違った出来事だよ…」
丸眼鏡の白髪老人が云う。
「この修正、容易ではないぞ。」
眼鏡の黒髪老人が云う。
「碇ゲンドウ…あの男にNERVを与えたのがそもそもの間違いではないのかね?」
白髪の若めの老人が云う。
「だが、あの男でなければ全ての計画の遂行は出来なかった。」
キール議長が云う。
「だが事態はエヴァ弐号機の問題だけではない。」
鼻の高い老人が云う。
「左様。零号機と初号機の大破。」
丸眼鏡の白髪老人が云う。
「本部施設の半壊、セントラルドグマの露呈。」
眼鏡の黒髪老人が云う。
「被害は甚大だよ…我々がどれほどの時と金を失ったのか見当もつかん。」
「これも碇の首に鈴を付けておかないからだ…」
「いや、鈴はついてる。ただ鳴らなかっただけだ。」
「だが鳴らない鈴に意味は無い…」
「今度は鈴に働いて貰おう…」
「例え上手く鈴が鳴ったとしてもだ…あの男を使うのはもう潮時だろう。それに碇のことだ…それぐらいは推察の範疇かもしれぬ。」
銀髪の少年の入ったガラスの円柱型の水槽の前に立つゼーレの五人。
「そろそろ、正鵠を射る我々の切り札に目覚めて貰おう。タブリス、我々のシナリオの要よ…」
紅い瞳が開かれる。
「…どうだね、気分は?」
銀髪の少年が、ニヤリと笑った。
つづく
いやー最近体力の消耗が激しい気がする。
この作品は好きですか?(突然)
アンケートに答え宜しく。
あたし(今作)のこと、好き?
-
べりーぐっと
-
よきかな
-
全力でまあまあ
-
かなりまあまあ
-
そこそこまあまあ
-
まあまあ
-
つまらん
-
嫌い、あんたなんか大っ嫌い!
-
野郎オブクラッシャー!
-
今作のアスカ可愛い
-
今作のレイ可愛い
-
今作のゲンドウ可愛い
-
早く次出せks