(…あたし、どうなったんだろう…)
(レイは…?シンジは無事かしら…?)
無数の魚が泳いでいる。
(あたしは…いつまでここにいるんだろう…)
目の前に全裸の長髪の女性。こちらも金髪。
『…ママ?』
『おいで、アスカちゃん。ずいぶん大きくなったわね。』
『何故…?如何してママが生きてるの?』
『ずっとここで生きてたのよ…貴女が此処に来るのは分かっていたからね…』
『ママ…?』
『これからはずっと…ママと一緒よ。』
『あたし…シンジのところへ帰らなきゃ…エヴァに乗ってみんなに認めて貰うの…』
『アスカちゃんはママが認めてあげる。だから此処にいていいのよ。』
『…ママ…!』
『大好きよ…アスカちゃん。』
心のかたち、人のかたち
「ケイジに拘束…大丈夫でしょうね?」
包帯を巻かれたエヴァ弐号機の前に立つミサト。
「内部に熱・電子・電磁ほか化学エネルギー反応無し。S²機関は完全に停止してます。」
日向による説明。
「…だと言うのにこの弐号機は二度も動いたわ…」
弐号機の暴走を止めたのは、対使徒要塞都市のシステム。
(もしかすると…最初からそのつもりの防護システムだったとしたら…?)
…
「…いやはや、この展開は予想外ですな。ゼーレの方にはどう言い訳するつもりですか?」
加持が質問。
「…これは不慮の事故だよ。弐号機は我々の制御下でなかったからな。」
冬月が答える。
「よって弐号機は凍結。委員会の別命あるまでは…だ。」
対応を答えるゲンドウ。
「適切な処置です。しかし、御子息の嫁さんを取り込まれたままですか?」
最高責任者をからかうやばい奴。
「……サルベージを急がせるか…」
…
「弐号機プラグの映像回路繋がりました!主モニタに回します。」
モニタに映るはプラグの中に浮く赤いプラグスーツ。
「…なによ…これ⁉︎」
「これが…シンクロ率400%の正体…?」
「アスカは一体どうなったの⁉︎」
怒鳴るミサト。
「エヴァ弐号機に取り込まれてしまったわ…」
「どう言うこと…?エバーって何なのよ?」
「発音が違うわ。エバーではなく、エヴァよ。」
「分かった、やってみるわ。エバァ、エブァ、イェバー…ってそんな事は聞いてなぁい!」
「そうね、私が悪かったわ。」
「で、エバーって何なのよ。」
「人の作り出した人に近い物体…ってとこかしら。」
「人が作り出した?あの時南極で拾った物をただコピーしただけじゃ無いの…オリジナルが聞いて呆れるわ。」
「ただのコピーとは違うわ。人の意思が込められているもの。」
「これも誰かの意思だっていうの?」
「或いはエヴァの…」
平手。破裂したような音が響く。
「酷いわね…母さんにもぶたれたことないのに…」
「そんな平和に呑気なこと言ってんじゃないわよ…なんとかしなさいよ。」
「作ったのはあんたなんでしょ!最後まで責任持ちなさいよ!」
「………」
…
目覚め。
白い肌が青く見える病室。
紅い瞳が記憶を映し出し、そこには覚醒した弐号機。
「…アスカ…」
「お早う、綾波。」
「…!」
ずっと自分の横の椅子で座っていたらしいシンジ。首に包帯が巻かれている。
「話したいことがあるんだ、ちょっと。」
「…なに?」
そして、シンジはレイに逆行を明かした。
…
「…アスカのサルベージ計画?」
「アスカの肉体は自我境界線を失い量子状態のままエントリープラグを漂っていると推測されます。」
「そう。彼女の精神…魂と呼ぶべきものと一緒に。」
「プラグ内の成分は原始地球の海水に酷似しています。」
「生命のスープか…」
「つまりアスカは私達の目では確認できない状態に変化しているという事よ。だからアスカの肉体を再構成して精神を定着させるわ。」
「そんな事ができるの?」
「MAGIのサポートがあればね。」
「理論上は、でしょ。でも今はその理論に縋ってやってみるしかないわね…」
…
作戦会議室。そこでパソコンと格闘しているミサト。
加持が突然入り込んでくる。
「何か用?」
振り向かずに質問。
「用がなきゃ来ちゃいけないのか?ここんところロクに寝てないし食ってないだろ?大丈夫なのか?」
「こんな時に呑気に寝たり食ったり出来ないわよ…」
「…シンジ君の学校、調べたわ。まさかあのクラスの全員がパイロット候補だったとはね…一体NERVの手は何処まで伸びてるの?」
「そんな堅い話はメシ食ってからにしろよ、ほらお前の好きなマックのハンバーガー。」
「あんたが簡単にペラペラ話すとは思わないけど…人を滅ぼすアダムが何故地下に保護されているの?」
加持がスパイをしていることを知ったあの日。そこに居たのは面を被った白い巨人だった。
「碇司令はあれで何をしようとしているの?人類補完計画って一体何なのよ?」
「葛城、一旦落ち着けよ。」
「アスカがあんな風になってるのに、何故司令もリツコもあんなに冷静でいられるの?」
「おい…葛城…?」
「ネルフの本当の目的は一体なに⁉︎」
ミサトの口を塞ぐ、勿論自分の口で。
「んむぅ⁉︎」
ミサトの動きが止まる。
数秒舌を絡ませた後、唇を離す。
「…落ち着いたか?葛城。」
「なに考えてんのよ!時と場合をッ…考えなさいよ…」
「ちょっとリラックスさせようと思っただけさ。」
「こんな事でリラックスなんか出来ないわよ!出てけバカジ!」
「分かった分かった、退散するよ。」
無言でミサトを1、2秒見つめる。
「な、なによ。」
「…葛城、オレの気持ちは8年前からずっと変わってないよ…オレはずっと君を…」
扉が閉まる。
部屋から消えた加持。
(口の中に異物…?これは…?)
…
綾波に話そうと思ったのは、弐号機が覚醒した以上、凍結される可能性が高く、アスカは動けなくなってしまう。となると一人でやらなくてはならなくなるのだが、一人はキツイ。だからである。
結果、綾波は泣いた。
「そんな辛い…ことが…ひっく…あったのね…」
「そ、そんな泣かなくても…⁉︎」
「…碇君が悲しんだなら私も悲しくなるのよ。」
「えぇ…?」
「…碇君、補完計画絶対止めましょう。」
「…うん、頑張ろう。」
「…次は何するの?アスカのサルベージのサポート?」
「サポートいるかなぁ?ま一応それで。」
「…任せて、リリスの力で余裕よ。」
「大丈夫かなぁ…?」
「なんとかするわ。」
病室を出る。やっぱりおどろきの青さ。
「…じゃあ、後でね綾波。」
「どこ行くの?」
「ちょっと用事。」
次の目的地に向かう。
病室の扉を開く。
「こんばんは、委員長。」
「…碇君!」
「ごめん…助け出してやれなくて。これ、お見舞い。」
「…アスカ、元気にしてる?」
「いや、一昨日の使徒戦で一時的な戦闘不能になっちゃったんだ。」
ぼかして言う。
「そう…怪我しちゃったのね…心配…」
怪我したとは言ってないけどね。
「なんとかなると思うべきだよ。」
ここはポジティブに行こう。
(碇君の手…震えてる…アスカの事がよっぽど心配なのね…)
「アスカの事より自分の怪我の心配した方が良いんじゃない?」
「…義足はNERV側から提供されるらしいし問題ないって話よ。」
「そっか…」
「アスカに私は大丈夫、って伝えといて。」
「うん、分かった。」
「アスカ優しいから…きっと思い詰めてると思うの。」
「確かにちょっと思い詰めてるかもね。」
✖️ちょっと ○ かなり
…
円柱形の水槽にL.C.L.が満たされ、中でレイが裸で佇んでいる。これは、レイがレイのかたちを保つための装置。
「レイ、上がって良いぞ。」
目を開け、水槽から出る。
バスローブをゲンドウに被せられる。
「碇司令、アスカはどうなるのですか?」
「それはまだ誰にも分からんよ…分かっているのはエヴァだけなのかもしれない。」
ゲンドウの右手がレイの左頬に触れようとする。
「やめて下さい…”せくはら”です。」
手を払いのけその場を離れる。
「…レイ…?」
…
『全探査針打ち込み終了。電磁波形ゼロ・マイナス3で固定されてます。』
サルベージの準備中、その時を柵の後ろで待つレイとシンジ。
「自我境界パルス接続完了。」
「…了解、サルベージスタート!」
弐号機からのアスカのサルベージが遂に始まる。
「第1信号送信します。」
「エヴァ信号を受信、拒絶反応なし。続いて第2第3信号送信開始。」
「対象カテクシス異状なし。」
(…アスカ…)
弐号機の中。
無数の爆発音。
背中が痛い。
『あたしは…此処に居ていいの…だから邪魔しないでよ…!』
アスカの前に舞い降りる服を着たミサト。
『アスカ、あなたはもうあなただけのものじゃないのよ…あなたはエヴァのパイロットなの…私達はあなたに未来を託すしかないの。』
後ろから現れる加持。
『戦うんだアスカ、逃げてはいけない、真実から目を背けるな。』
次々と現れる人々はアスカにエヴァに乗る事を強要してくる。
『使徒を倒し、』
『サードインパクトから世界を救えるのは、』
『エヴァンゲリオンだけだ。』
『いやよ!もう傷つきたくない!ずっと此処にいるの!』
アスカが悲鳴を上げる。
警報。
「ダメです、パルスがループ状に固定されてます!」
「全波形域を全方位で照射してみて!」
エラーの音。
「ダメです!」
「発信信号がクライン空間に捕らわれてる!」
「どういうことよ⁉︎」
「つまり…失敗。」
「‼︎!」
「エヴァ信号を拒絶!プラグ内圧力上昇!」
「不味いわ!作業中止、電源落として!」
「ダメです!プラグが排出されます!」
プラグから溢れ出すL.C.L.とアスカのプラグスーツ。
「「「アスカ!!」」」
レイとシンジ、ミサトが叫ぶ。
手を合わせるレイ。
弐号機に干渉を試みる。
(まだ…間に合う!)
頭を抱えたアスカの後ろから裸の姿のレイ。
『戻るつもりはないの?アスカ。』
『レイ…』
『碇君が悲しむわよ…アスカが大事だから。』
『だって…』
『どうするかはあなたが決めればいいわ…ただ、碇君はずっと待ってくれているわ…あなたの為に。』
『どうすればいいのよ…』
『自分の好きなようにするのよ…あなたはどうしたいの…?』
『……シンジと…一緒に居たい…』
『じゃあ戻りましょう…碇君の所へ。』
『待て!』
アスカとレイの間に割り込む四つ目の怪物。
『アスカちゃんは渡すわけにいかない、あんな辛い思いをさせる訳にはいけないからな…!』
『…あなたが弐号機ね。』
『アスカちゃんは傷ついてきた、これ以上可愛い娘を傷つけさせるわけにはいかない。』
『どいてママ!シンジの所に帰りたいの!』
『アスカちゃんはワタシが守る!』
『あなた…それが本当にアスカに必要なことなの?』
『そうに決まっている!』
『通して…ママ…』
『違うわ…それはあなたの自己満足。この小説のようなね。』
『何を言っているんだ?オマエ…』
『何言ってんのレイ?』
『あなたは成長の機会を潰すダメな母親よ。そうでありたくないなら道を開けなさい。』
『だが…ワタシがいなくて誰がアスカちゃんを守る?』
『僕が守りますよ。』
裸で舞い降りた少年。
『どうやって此処に来た?リリン。』
『こんにちは、惣流・キョウコ・ツェッペリンさん。』
『何故、ワタシの名を?』
『教えてもらったんです。母に。』
大嘘。
『此処に来れたのは、自分でもどうやったか分かりません。』
『そうか、アスカちゃんを守ると言ったのは?』
『僕はアスカが大好きです。他に理由がいりますか?』
『…いや、ない。』
『…シンジ…!』
『行こう、アスカ。…いいですよね?惣流さん。』
『……勝手にしろ…』
…
「人1人救えなくて…何が科学よ…」
赤いプラグスーツを持ち、泣くミサト。
パシャッ
水音。
L.C.L.から蘇ったアスカの裸身。
「…っアスカ⁉︎」
「先輩!アスカが……成功です!」
「………私の力じゃ無いわ、多分ね。」
へたへた、としゃがみ込むシンジとレイ。
「よかった…アスカ…」
「どうなるかと思ったぁ…っ」
…
NERVのカードを眺める加持。
(最後の仕事、か)
「まるで、血の赤だな…」
つづく
更新遅れました。すいません。
代わりに文字数多めです。
読者博士、お許し下さい!
高評価、感想よろしく。
今作のレイは可愛い?
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いえす
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のー
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ああぁぁぁぁぁあ(発狂)
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早く次だせks
-
ゲンドウの方が可愛い。
-
アスカ最高