NERV第一発令所の戦闘は、NERV側の勝利で終わろうとしていた。
「上の様子はどうなってるの⁉︎」
「えと、敵エヴァ量産機は4体が沈黙、初号機と弐号機は健在です!」
「なんとかなりそうね…」
銃声の数は、先程の三分の一程になっている。
…
「どぉうりゃあぁぁ!!」
ほとばしる血潮。
量産機の五体目を停止させる弐号機。
プラグを引っこ抜き、握り潰す。
「あと4つ!」
すると、残りの量産機が連携して弐号機に攻撃を始める。
「くぅ…!」
「アスカ!」
初号機が量産機の一体を殴り、大口から血を吐きながら停止する。
しかし初号機にはヘイトが向かわず、弐号機を攻撃し続ける量産機。
「ぐわぁあ゛ッ⁉︎」
量産機の剣が弐号機の胸を貫通する。
「アスカぁぁぁぁ!」
「…Scheiße!!」
量産機を蹴り飛ばす弐号機。
量産機は空高く飛び、地底湖に落下する。
フリーズし、一瞬動きの止まる量産機二体。
できた隙をシンジは見逃さない。
「うおあぁぁぁ!!」
量産機の一体の頭を潰し、停止させる。すると、最後の量産機が飛びかかってきたので、加粒子砲で焼く。
黒焦げになっても、動き続ける量産機。
口を開け、初号機の脚に噛み付くが、蹴り飛ばされて、頭の潰れた量産機に覆いかぶさるように倒れる。
量産機との戦いは、これにて決した。
「はぁ…はぁ…勝っ…た?」
「…どうやら…そうみたいだね…実感、無いけど…」
二体分のダミープラグを破壊する初号機。
「…なんだ…大した事…無いじゃん…」
時間にして、僅か四分。
意外と呆気なかった。
「勝ったんだ…あたしたち…」
「…ひとまずは、ね…」
倒れている弐号機の右の地面に座り込む初号機。
「戦自は撤退中みたいだね。」
「そうね。」
ボロボロになった重戦闘機がジオフロントを離脱していく。
空に吸い込まれていく重戦闘機。
青い空の頂上には熱い太陽。
「もう…昼時か…」
「お腹空いたわね。」
(…なにか…忘れてる気がする…)
先程まで戦闘に夢中だったため気づかなかった蝉の声が耳に入り込む。
(…歯磨きを…忘れた…?…いや違う…)
地底湖から巨大な水柱が立つ。
そこから現れる白の巨人。
「まずいっ!」
量産機を仕留め損なっていた。
初号機の体を起こす。
大剣を投げる量産機。
反射で初号機のA.T.フィールドでそれを防ぐ。
「⁉︎」
大剣の形が灰色の槍、ロンギヌスの槍に変わる。
「…ロンギヌスの槍⁉︎」
A.T.フィールドを破り、初号機の頭を貫く。
「ふぅっ⁉︎…ぎゃあぁぁぁぁあ!!」
「シンジ…⁉︎…シンジィイィ!!」
初号機が力を失ったかのように倒れる。
「イヤアァァァァァア!!」
…
銃声の鳴り止んだ発令所。
「エヴァ初号機!活動停止!」
「なんですって⁉︎S²機関を取り込んでいるっていうのに⁉︎」
「はい…活動限界です…」
モニタからはアスカの絶叫が聞こえる。
「…まさか…コピーしたロンギヌスの槍⁉︎」
「はい!パイロットの意識不明!」
「…シンジ君…っ…」
マヤのPCを覗き込み、青くなるミサト。
『………』
モニタを睨む加持。
『シンジィ!ゔわあぁぁぁぁぁ!!』
「…このままでは…アスカが持たない…」
…
(もう、誰も失いたくない。)
(もう、誰にもいなくなって欲しくない。)
(ずっと、一緒にいる。)
弐号機の背中の装甲が剥がれていく。
(シンジだけは…守る。)
「うおあぁぁぁぁ!!」
弐号機の背中から光の翼。
ジオフロントを光で包む。
(失わない…死なせない…)
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
…
「…羽⁉︎
警報が鳴る。
「衛星軌道上より、接近する物体あり!」
「なんですって⁉︎」
「不味いな…ロンギヌスの槍か!」
苦虫を噛み潰したような顔をする加持。
モニタに映る、紅いロンギヌスの槍が剥き出しになった弐号機のコアの寸前で止まっている映像。
「「「「アスカ!」」」」
「…サードインパクトが始まる!」
…
「ロンギヌスの槍が月より還った。」
「遂に我等の願いが始まる。」
「だが弐号機パイロット…碇の
「神が自ら時を選んだのだ…既に儀式は始まっている。」
「もはや引き返す事は出来ぬ…我々の意思でも…ましてや碇の意思でも。」
「箱舟の行き先はもう決まっている…裏死海文書、
「些か数が足りんが…やむを得ぬ、エヴァシリーズを、本来の姿に…」
「我等人類に福音をもたらす真の姿に…」
「等しき死と祈りを以って人々を真の姿に…」
ダミープラグを失い、動けない筈の量産機が動き出す。
量産機の持つ大剣は、一本の槍に変化し、一本は弐号機の右手に、また一本は左手に突き刺さる。
量産機の羽が展開される。
十字に固定した弐号機を拘引しながら空に飛び立つ。
エヴァシリーズの羽の裏側に大きな眼の紋様が刻まれる。
『エヴァ弐号機、拘引されていきます。』
「…ゼーレめ、弐号機を依り代にするつもりか…」
「エヴァ弐号機に聖痕が刻まれた…今こそ中心の樹の復活を、我らが
量産機の体が光り、青い空にセフィロトの樹を描いていく。
「エヴァシリーズ、S²機関を解放!」
「次元測定値が反転、マイナスを示しています!」
「観測不能!数値化出来ません!」
「…全ての現象があの時に酷似してる…!」
怯え、手が激しく震えているミサト。
震えている右手は、父の形見をしっかりと握り締めている。
「まさか…サードインパクトの前兆なの⁉︎」
…
最深部、ターミナルドグマ。
「…うっ…ふぅっ…ひっく…」
冷たい地面に座り、リツコの骸を抱きしめるレイ。
リツコの金髪は濡れている。
「…ひっく…うぅ…」
『レイ!』
「っ…んぅ…?」
『綾波!』
「…アス、カ…碇、君?」
リリスから自分を呼ぶ声が聞こえる。
「…行かなきゃ…」
足が地面から離れる。
上昇しながらリリスに近づいていくレイ。
「レ…イ……」
掠れた声でゲンドウが自分の事を呼んでいるが、無視する。
リリスの胸に飛び込む。
暖かい懐かしさが、そこにはあった。
「……ただいま…」
…
爆発。
撤退中の戦自ごと箱根の大地が抉れていく。
「作戦は失敗だったか…」
「こうなっては…もう…」
自分達の命を諦め、セフィロトの樹を見上げる戦自隊員。
彼らもまた、爆発に呑まれていく。
「…悠久の時を示す、赤き土の禊を以って…先ずはジオフロントを、真の姿に。」
警報が鳴る。
「直撃です!第1マルボルジェ融解!」
「第2波が本部周辺を掘削中!ジオフロント外殻が露呈していきます!」
『戦自主力大隊消滅!』
『エヴァ初号機、ロスト!』
「まだ物理的な衝撃波よ!アブソーバーを最大にして!」
「…遂に来たか、サードインパクト‼︎」
「分かっちゃいたが…ここまでとはな…」
モニタに映る、球状の巨大な黒い物質。
オペレーター達は言葉を失っている。
「人類の生命の源たるリリスの卵、黒き月…今更その殻の中へと還ることは望まぬ…だがそれも、リリス次第か……」
「!…ターミナルドグマより正体不明の高エネルギー体が急速接近中!」
「A.T.フィールド確認、分析パターン青!」
「…まさかっ…」
下を覗き込むミサト。
「使徒⁉︎」
「いや、違う!」
「ヒト!人間です!」
何も纏わないレイの形をした巨大な『ヒト』が床をすり抜けながら上へ上がっていく。
「‼︎」
発令所の天井をすり抜け、発令所からは見えなくなる。
「…あれは…レイ⁉︎」
…
海の、音がする。
潮の匂い、そんなものはない。
喉が苦しい、頬が濡れる。
右手が動く、包帯が巻かれている右手。
自身の首を絞めている者の頰を撫でる。
首にかかる負荷が消える。
『…気持ち悪い…』
口が動く。
知っている、目の前の少年はこの言葉が欲しいのだと。
『……アスカ…』
『…ん…』
唇同士が触れ合う。
舌と舌が口の中で接触する。
『ぷはぁっ…』
口を離すと、少年を抱きしめる。
『…あたしは…あんたのこと嫌い…でも、あんたはあたしのモノ。最期まで、一緒よ…』
嘘。嫌いではない。
寧ろ、赦したいという気持ちが大きい。
憎しみは、もう無い。
エヴァは無くなった。
憎しみの材料は、存在しない。
いつまでも少年に寄り添って居たいという欲求。
しかし、その欲求は死によって阻まれた。
少年は一人になった。
運動座りをして、顔を膝の間に埋めている。
泣かないで欲しい。
悲しまないで欲しい。
自分を傷つけるのはやめて欲しい。
すると、ファーストが現れた。
『…碇君、世界をやり直すわよ。』
は?…と思った。
何を急に言いだすのだ、こいつは。
『碇君に悲しんで欲しく無いの。』
『…綾波…』
『今から別の世界にあなたを飛ばすわ…』
『…もうエヴァには乗りたく無いのに…』
そいつを…死なせてやってよ…
エヴァから…開放してやってよ…
『…セカンドを取り戻すには…それしか無いわ。』
『…アスカを…?』
『ええ。』
何故…?
『………』
如何して…あたしを救おうとする…?
『…アスカ…』
『決まりね…行きましょう、碇君。』
『…………』
眩い光に包まれる世界。
自身の存在が、別の自分に吸われていく。
世界は、再構成された。
…
(これから、サードが起こるっていうの…?)
停止した弐号機の中で、考える。
(みんなは…どうなったの…?ミサトは…?加持さんは…?赤木博士は…?司令は…?シンジは…?…レイは…?)
穴の空いたように見える両手から視線を上げ、目の前の景色を見る。
雲の上に到達したらしい。
(…もうこんな高さまで…)
雲が盛り上がる。
姿を現わす巨大なレイ。
「綾波……レイ…?」
怖い。いや、気持ち悪い。
「…いやあぁぁぁぁぁあ!!!」
NERV第一発令所。
「エヴァシリーズのA.T.フィールドが共鳴!」
「更に増幅しています!」
「…レイと同化を始めたか…」
量産機の口から、レイの顔が生まれ出ていく。
『いやあぁぁぁぁぁあ!!もうやめてぇ!!』
絶叫するアスカ。
「心理グラフシグナルダウン!」
「デストルドーが形而下化されていきます!ソレノイドグラフ反転!」
「自我境界が弱体化されていきます!」
「アスカ…っ…」
日向のデスクモニタを見ながら青ざめるミサト。
「…これ以上は…パイロットの自我が持たんか…」
…
『これはあたしだ。』
〈あたしがあたしだ〉
『あたしはあたし。あんたじゃ無い。』
〈違う、あんたは偽り〉
『偽りじゃない!あたしは本物の惣流・アスカ・ラングレィよ!』
〈違う、あたしが本物の惣流・アスカ・ラングレーよ!〉
『本物のアスカはそんなにボロボロじゃない!』
〈本物のアスカはそんなに汚くないわ!〉
『このあたしが汚いって言いたい訳⁉︎』
〈ええ、本物はシンジなんかに処女を捧げることはしない…そんな汚い男に。〉
『シンジ”なんか”じゃない!汚くも無い!』
〈ふ…これを経験してもそう言える?〉
病室。
シンジが自分の体を揺さぶっている。
『ねえ、ねえ……アスカ……アスカ、アスカ!』
揺さぶりは強くなる。
『起きてよ!…またいつものように僕を馬鹿にしてよ!……ねえ!』
服がはだける。
胸が露出する。
シンジは顔を赤くすると、自分のモノを取り出し、擦りだす。
嫌悪感。
熱くべとべととした白い液体が、体にかかる。
『…気持ち悪い…』
〈ほら、やっぱり。〉
『それでも…あたしは…』
〈へぇ…まだあいつを擁護するんだ。〉
『…あたしは…シンジが好きだから…』
〈じゃあ、次もあるわよ?〉
『戦いは男の仕事!』
『良かったね、助かって。』
『動かないんだよ…』
『お手本を見せてあげるよ。』
『動かないから…どうしようもないんだ…』『ミサトさんも、綾波も怖いんだ。助けて……助けてよアスカ』『自分みたいで…?』『怖くなんかないよ!』
脳に響くシンジの声。
一つ一つが、自分を抉る。
『う…あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!』
〈ふん…ざまぁないわね…あたしのモノに手を出したからよ〉
…
ターミナルドグマの冷たい床。
「ユイ…」
目の前にいる女性の名を呼ぶ。
「私は…愚かだった…」
『…本当にね。』
「…ずっとユイは側に居たというのに…」
『ええ、そうよ。』
「ユイ…シンジのことは…済まなかった…」
『仕方ないわ…あなた、私がいないと何も出来ないものね。』
「許してくれ…」
『いいのよ。シンジは立派に育ったから。』
「ユイ…」
『あなた…』
パシャッ…
…
「パイロットの反応が限りなくゼロに近づいていきます!」
「エヴァシリーズ及びジオフロント、E層を通過!」
「尚も上昇中です!」
「…アスカ…」
浮遊する黒き月がモニタに映る。
「現在高度22万キロ!F層に突入!エヴァ全機健在!」
「リリスよりのアンチA.T.フィールド、更に拡大…物質化されます!」
「アンチA.T.フィールドが臨界点を突破!」
「…このままじゃ…個体生命の形が維持できなくなる!」
「…ガフの扉が開く…」
「世界の始まりと終焉の扉が遂に開くのか…」
「…!」
ミサトが目を見開く。
「お父さん…?」
虚空を眺め、呟く。
「葛城…?」
「お父さん…私、私…!」
「おい、葛城⁉︎」
パシャッ…
ミサトがオレンジ色の液体に変わり、床に飛び散る。
「葛城!葛城ぃ!」
背中を触られる感覚。
「…?」
後ろに居たのは、死んだ筈の加持の弟。
「…死んだんじゃ…なかったのか…」
パシャッ…
加持の形が崩れ、液体に変わる。
「葛城さん⁉︎」
動揺する日向。
「⁉︎」
すると、母がにっこりと微笑んできた。
「お袋…末期癌…治ったんだな…」
パシャッ…
椅子がびしょ濡れになる。
床に滴り落ちるL.C.L。
「…マコト…!」
目の前で消えた友の名を呼ぶ青葉。
すると、眼前に現れるエレキギター。
「…これは…オレが最初に弾いた…」
パシャッ…
「A.T.フィールドが…っ…みんなのA.T.フィールドが消えていく…」
「これが答えなの…?私の求めていた……サードインパクトの…」
自身の両手に別の人間の手が触れる。
振り返ると、そこにはリツコがいた。
「センパイ…」
「センパイ…センパイ…センパイ…!」
パシャッ…
…
初号機プラグ内…
「…サードインパクト…起きちゃった…」
「…止めれなかったのか…」
僕…やっぱり…駄目だな…
『シンジ君。』
現れる銀髪の少年。
「…カヲル君!」
『また、会えたね。』
「カヲル君!カヲル君!」
パシャッ…
モノリスが消えていく。
「よい…全てはこれでいい…」
満足した顔をしたキール。
「全ては…神の御心のままに…」
パシャッ…
空中から冬月に向かって飛んでくるユイ。
「ユイ君…」
ユイの手が、頰に触れる。
「全て…思い出したよ…」
「…何度も…ここで君と再会していた…」
「なのに私は…君が望んでエヴァに残った事を、ずっと碇に言わなかった…」
「許してくれ…碇…」
パシャッ…
…
〈思い知ったでしょ?あいつが如何に汚く、酷い人間だって事を〉
『はぁっ…はぁっ…』
〈だからあんたにはシンジは渡さないわ〉
『…シンジは…今のシンジは…違うもん…』
〈………〉
『違うんだもん…』
〈どこが違うってのよ?〉
『アスカが…2人?』
シンジが2人のアスカの前に降り立つ。
『!』
〈⁉︎〉
『シンジ!』
シンジに駆け寄る、傷のないアスカ。
『ねぇアスカ?どうしてアスカが2人いるの?』
〈…久し振りね…シンジ。〉
『!』
傷のあるアスカが、シンジを威圧する。
〈あんた…随分いい気になってるじゃない…〉
『もしかして…あのアスカなの?』
〈そうよ。〉
『あの時は…ごめん…』
〈謝って済むと思ってんの?あたしを見捨てた癖に。〉
『…ッ!シンジにそんなこと言ったらあたしが許さな…』
『いいんだ、アスカ。黙ってて。』
『でも…』
〈随分懐かれてるわね!偽物のあたしに好かれて楽しいの?〉
『偽物なんかじゃないよ。』
〈偽物よ!あたしの形をしてる偽物!〉
『違うよアスカ。取り消して。』
〈嫌よ!誰があんたの言葉なんか…〉
傷のあるアスカの両肩を掴む。
『アスカ…偽物なんかじゃないよ。』
〈だったら何よ!〉
『本物だよ。アスカは。』
〈じゃああたしが偽物って訳⁉︎〉
『違う。』
傷だらけのアスカを抱き締める。
〈ちょっ…〉
『ごめんね。もっと早くに気づいてあげられればよかったんだけど…』
〈…………〉
『今になって…ようやく気づいたよ。ずっと…アスカの中にいたんだね。』
〈…っ…〉
『僕がこの世界に来た、あの日から。』
〈………〉
『この世界のアスカの…魂として。』
〈…!〉
『君がアスカの魂で、こっちのアスカはアスカの心。』
『だから両方偽物なんかじゃなくて、僕の好きになったアスカなんだよ。』
〈シンジ…アンタって…ホンットバカね。〉
シンジを抱き締め返す傷だらけのアスカ。
アスカの傷が消えていく。
二人のアスカが融合する。
『シンジ…如何してここに来れたの…?』
『わからない…でも…』
『でも…?』
『アスカが…苦しんでる気がしたから…』
『そっか…』
抱き合う二人。
『…ありがとう…』
『いいんだよ…別に…』
『…アスカ。』
アスカの背後から声。
『…綾波…』
『レイ…』
『…何を、願うの?』
『え…?』
『あなたは今、神の領域にいる。願いは全て叶えることが出来るわ。』
『…じゃあ…世界を元に戻して。』
『…いいの?このまま溶け合っていれば、傷つかないのに…楽なのに。』
『だってここつまんないんだもの。ね、シンジ。』
『うん。』
『じゃあ、ここでお別れ。』
『…え?』
『私は人間じゃないもの。』
『ダメよ。』
『…!』
『レイも一緒に帰るわよ。』
『でも…』
『人間じゃないなら、人間になればいいのよ!』
『…!』
『行きましょ、レイ。』
『…うん。』
…
『アスカちゃん…』
…ママ?
『ありがとね、生まれてきてくれて…』
急にどうしたの…ママ?
『最後の話す機会だからよ…』
もう、逢えないの?
『…いつかきっと逢えるわ…』
あたし…これからどうすればいいの?
『それは彼と決めなさい…彼は良い人よ…心配しなくて良いわ…』
ママ…あたし、頑張ったかな?
『よく頑張ったわ。あなたは世界一の私の娘よ。』
…ありがとう…ママ…
『…さ、もう行きなさい。時間が無いわ…』
うん…さようなら、ママ。
…
電車に揺られる。
『次は、長浜…長浜…』
「ふぁ…」
欠伸をする赤眼の女性。
『お出口は、左側です。』
「んん…っ」
席から立ち上がり、ドアの前に立つ。
『扉が開きます、ご注意下さい。』
扉が開き、駅のホームに降り立つ。
「えーと、駅を出て左、駅を出て左…」
改札を通る。
「おーい、レーイ!」
「あ、アスカ!」
金髪の女性の方へ駆けていく。
「久し振り、アスカ。」
「もう2年だもんね…」
道を歩く。
「しっかしホント寒いわね…今マイナス2度だって。」
「相変わらず日本の
「アメリカどうだった?」
「その話は後でするわ。」
表札に『惣流』と書かれている立派な家に入る。
「お邪魔します。」
「ただいまー!」
「あ、レイ久し振り!」
台所から中性的な見た目の男性が顔を出す。
「ちょっとシンジ!『お帰り』は⁉︎」
「ご、ごめん!お帰り、アスカ。」
「それでいいのよ!」
「兄さん…可哀想。」
「わー!れいちゃんだー!」
とてとて、と部屋の奥から小さな女の子が走ってくる。
「あら、大きくなったわね。アカリちゃん。」
「そーよ、この子ご飯沢山食べるのよ。」
「アカリはね!れいちゃんとあそぶんだよ!」
「遊ぶー?何するの?」
「えっとね!えっとね!特殊相対性理論の矛盾とその理由であそぶの!」
「…へ?」
「あはは…アスカが英才教育仕込み過ぎちゃって…」
「えぇ⁉︎限度ってものがあるでしょ⁉︎」
「最初は止めたんだけど…」
「ゆぅ…?あそばないの?」
「あ、あそぶのはご飯のあとにしようか…っ?」
「はぁーい!」
…
「でさ、その大学の教授がね…」
「なにその人…最悪じゃない…」
「もーホント災難だったわよ。」
「そんなんで2年は辛いね…」
夜。アカリちゃんはもうぐっすりであるこの時間帯。
ビールを飲みながらくつろぐ三人。
「しっかし使徒との戦いからもう14年…早いもんねぇ…」
サードインパクト後、地軸の傾きが増し、紛争が再発するかに思われるも、ゼーレという共通の敵を見出した人類は、ゼーレに攻撃を集中。
数々の犠牲を払いながらも、なんとか勝利した。
「昨日の事の様に感じるわ…」
「NERVは解体されたから、エヴァの管理権は戦自に移ったんだもんなぁ。」
「なんか複雑な感じね…NERVの虐殺事件をやった奴等の所でミサトが働いてるなんて。」
「……時代は変わるって事だよな…」
「ええ…」
「…あ、シンジ、レイ!」
「「ん?」」
「雪降ってる。」
窓の外を見ると、白い雪が降っていた。
「こりゃ明日積もったらアカリが喜ぶわよ!」
「雪かきする羽目にならないといいけど…」
「ま、大丈夫でしょ!」
雪は、降り積もっていく。
三人が寝た後も、降り積もっていく。
外からは、蝉の鳴き声はしなかった。
終劇
終わった…長かった…
最初から最後まで駄文だったけど…
ここまで付き合って下さった皆様、本当にありがとうございました。
また修行して帰ってきます。
…てかカヲル影薄くね?
次回あるならどれがいい?
-
次回なんてイラネー!
-
カヲルが熱血シンジに振り回される話
-
LASなんだと思う、(ry の続き
-
アスカがヒロインであればなんでも
-
レイが最強、異論は認めん