LASだと思う、知らんけどw   作:かの存在完全に消滅す

3 / 33
「ぐはっ…」

岩のような拳で殴られ、右頬が痛い。

「すまんな、転校生。ワシはお前を殴らないかん。いや、殴らな気が済まへんのや。」

ジャージの少年がそう言う。

「悪いね、この前の戦闘であいつの妹、怪我しちゃってサ。」

眼鏡の少年が続ける。

(やっぱり怪我しちゃったんだ…)

「妹の美脚を如何してくれとんじゃ!」

(美脚⁉︎前は確か頭だった…なんで変わったんだ?)

ジャージの少年が教室に戻っていく。
シンジは、疑問を抱えながら、呆然としていた…



熱中症、そして

「あのっ綾波!」

 

窓際の真ん中、ファーストチルドレンである綾波レイに話しかける。

 

(ネェネェ碇君が綾波さんに話しかけてるわよ!)

(口説くつもりかしら⁉︎)

 

周りの女子が変な事を言っているが気にしない。

 

「…なぜ私の名前を知っているの?」

 

「え…⁉︎」

 

しまった。ここは前の世界ではないのだ。なのにうっかり綾波という知らない筈の名前を言ってしまった!

 

「ク、クラスメ…じゃなくてっ。と、父さんから聞いたんだよ!」

 

「?…そう。」

 

「そ、それより綾波!今日放課後…っ…一緒に話をっしてもいいかな⁉︎」

 

「…いいわ。予定、無いもの。」

 

(キャーッ!ホントに口説くつもりよーーッ⁉︎)

(まさかの肉食系⁉︎肉食系なの⁉︎)

 

 

 

 

「…碇。今日はダミーのデータを取る日では無かったのか?」

 

「シンジのシンクロ率がこう低くてはエヴァの操縦もままならんだろう…」

 

「それは理由になっていないぞ?」

 

「レイとシンジを接近させて精神を安定させる。シナリオを進めるには必要だ。」

 

「しかし、どうするつもりだ?」

 

 

ファーストチルドレン綾波レイは不思議に思っていた。

放課後誘う予定だった相手があちらから誘ってきたのだから。

 

(碇司令の言っていたことと違う…不思議…)

 

……それは昨日のこと…

 

『レイ。初号機パイロットに近づき、親睦を深めてくれ。』

 

『親睦…?…どうすればいいんですか?』

 

『放課後にどこかに誘い、話し合うだけだ。』

 

『どこか…?』

 

『何処でもいい…お前になら出来る。』

 

『…分かりました。』

 

 

 

サードチルドレンである碇シンジは、綾波レイに話したいことがあった。それは、

・自分が逆行してきた事。

・NERVが、いや碇ゲンドウがサードインパクトを目論んでいる事。

・ダミープラグ制作に加担しないで欲しいという事。

 

この3つであった。

流石に一人で抱え込むのは辛いと思った結果である。

 

「じゃ、17時公園で!」

 

 

きーんこーんかーんこーん

 

「…碇君…遅い。」

 

現在時刻16時48分。

集合時刻17時00分。

 

「私が来てからもう1時間は経ったと思うわ…」

 

待ち合わせをする時は相手より早く来る事が礼儀であると本で読んだ…が。

14年間の人生で待ち合わせを一度もした事がないので、加減がわからなかったりする。

 

「おーい。綾波ー!」

 

シンジが駆け足でやってくる。

 

「…遅いわ碇君。待ち始めてもう1時間も経ったわよ。」

 

シンジがギョッとする。

 

「えっ⁉︎こんなに暑いのに⁉︎熱中症になっちゃうよ!」

 

「碇君…」

 

「水あげるから飲んで!涼しい所に行こう!」

 

「…碇君…ぼやぁっとする…」

 

綾波が汗を大量に流しながら言う。

 

「綾波⁉︎」

 

その瞬間、綾波の意識は消えた。

 

「ファーストチルドレンが倒れた!指示を乞う!」

 

黒服の男が木陰から通信機に向かって話す。

 

 

 

 

「碇!ファーストチルドレンが倒れたそうだ!」

 

「原因は?」

 

「熱中症だそうだ!サードチルドレンが応急処置をしている!」

 

「…ならば放っておけ。シンジがいるならば放っておくべきだ。」

 

「碇…!」

 

「聖なる補完計画の遂行のためには、シンジと接近させるべきなのだ、冬月。」

 

 

 

 

木陰に綾波を背負っていき、手を冷やしてから脇と首を冷やす。

手から冷やすのはただ脇と首を冷やすだけでは熱が逃げるのを脳が食い止めてしまうらしいからだ。

 

「綾波!大丈夫か!綾波!」

 

「…碇…君…これはLASな…のよ?」

 

「何言ってんのか全然分かんないよ⁉︎」

 

 

結局、この日は何も話すことが出来なかった。

 

 

「ぷはーっ!やっぱフロ上がりのビールは最高だあね」

 

「どーう?シンジ君もひ・と・く・ち・だ・け❤︎」

「…未成年なんでやめときます。」

 

アホくさいことを言うミサト。とはいえ、恵比寿を12本飲んだので当然といえば当然なのだが。

 

「あっそうそう明日シンクロテストだから宜しく〜!」

 

「…分かり、ました…」

 

 

翌日、NERV本部実験場。

 

 

モニタにシンクロ率が出る。

 

「シンジ君のシンクロ率…38%です!」

 

「随分と上がったわね。」

 

「なんか変なもんでも食ったのかしら。」

 

「シンジ君?お疲れ様!」

 

『あっはい』

 

スピーカーからシンジの声。

喜ぶミサト達の後ろで、シナリオ通りとばかりにニヤリと笑うゲンドウの姿があった。

 

 

 

 

「碇君、シンクロ率上がったの?」

 

「うん。自慢できる数値じゃないけど。」

 

「そう、良かったわね。」

 

(珍しいな、綾波が話しかけてくるなんて。)

 

きーんこーんかーんこーん

 

「きりつ!れい!ちゃくせーき!」

 

「えー今から15年前…」

 

セカンドインパクト。

第一使徒 アダムの魂と肉体を切り離す際、人間の遺伝子をつかった結果起こった大災害。南極大陸は消滅。地軸がずれ、20mの海抜の上昇。各地で勃発する紛争や内戦で世界人口の半分が死亡した。

 

国連は南極に隕石が落下したと虚偽の発表をした。

 

(アダム…)

 

あの大災害の時…カヲル君が生まれたのか…

 

(カヲル君は…今、何処にいるんだろう…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し未来の出来事。

月面、静かの海。

 

無数の棺が円のように並べられている。

その中の三つが開いた状態にあり、中身は既にない。

 

4つ目の棺が開く。中から銀髪の少年。

 

「…分かっているよ。あちらの少年が目覚め概括の段階に入ったんだろう。」

 

空気がないはずの月面で声を発する少年。

 

宙に浮くモノリスが応える。

 

「そうだ。死海文書外典は掟の書へと業を移した。契約の時は近い。」

 

少年は立ち上がり、地球を眺めてこう言った。

 

「また三番目とはね。変わらないなぁ君も。会える時が楽しみだよ。」

 

「碇シンジ君。」

 

 

 

つづく




中身がにゃい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。