LASだと思う、知らんけどw   作:かの存在完全に消滅す

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まーた投稿に時間掛かってるでねぇか
遅筆だべなぁ



(アイ)

 そうだ。私はこれでいい。

 

 たとえ新生のあたしにシンジを奪われたとしても。

 

 どうせ私は死人だ。こうして意識があって、生きているシンジを見れているということだけでもかなり幸運と言えるだろう。

 

 体を、新たな命から奪う必要はない。奪っていい筈がない。

 

 私は、所詮死人なのだから。

 

 だから、これでいい。

 

 このままで……

 

 

 

 

 

 

 

 新生のあたしとシンジの二人組によるユニゾン訓練。ネルフ本部の作戦室を今作戦の為だけにダンススタジオに作り変え、そこで訓練を行う。

 

 曲に合わせて2人で踊り、息をぴったりに合わせておくことで、2体に分裂した使徒のコアに同時荷重攻撃をすることを可能にする、という話らしい。

 

 しかし、これを5日間でやるというのはかなり無茶振りである。

 

 まずはダンスの振り付けを覚えることから始まった。新生のあたしはすらすら覚えているようだったが、シンジはちっとも覚えられていないようだった。

 

(これじゃ相当時間かかりそうね…)

 

 シンジがちっとも覚えられないので、ミサトは「振り付けはやりながら覚える」ということを提案し、早く優秀さを見せつけたくてウズウズしているらしい新生のあたしは、その案に賛成した。

 

 だがまぁ、当然うまくいくはずもなく、新生のあたしが綺麗に踊るのを真似しながらシンジが踊るので、どうしてもワンテンポ遅れてしまう。

 

 それを見物していた加持さんに、「鶴と猿の小踊り」なんて事まで言われてしまった。

 

(こら!バカシンジ!カッコ悪いわよ〜!)

 

 結局、シンジは振り付けは昼までになんとか覚えたものの、新生のあたしとはまったく合わせることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 やっと訪れた昼食の時間。ぐったりと疲れている様子のシンジの手を新生のあたしが引っ張ってカフェテリアまで連れて行く途中。

 

 ネルフの総司令、碇ゲンドウと出くわした。

 

「あっ…司令!」

 

 シンジから手を離し、司令に話しかける新生のあたし。

 

「どうだね?調子は。」

 

「はいっ!順調です!4日後の決戦では必ず勝ちます!」

 

 司令に認められたい…いや、他人に認めてもらいたい新生のあたしは、そう嘘をついた。

 

「そうか…期待している…」

 

 そう言って去る司令。シンジは廊下を歩いていく司令を目で追っていたが、新生のあたしが「ほら、何してんの行くわよ七光り。」と手を引っ張る。

 

 それでも、シンジは司令が気になっているようだった。目には少しだけ憎しみが見えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 昼食の後、変わり映えのしないユニゾン訓練の見物をしているのにも飽きてきた私は、昼寝をする事にした。

 

 今寝ておけば、夜中に目が覚めるはず。夜の間、またシンジが撫でてくれるかもしれない。そんな淡い期待を持ちながら意識を薄れさせていく。

 

(今度は…悪い夢、見ないといいな…)

 

 沈んでいく意識の中でおぼろげにそう思うと、私の意識は完全に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇバカシンジ。』

 

『…何?』

 

『今日の晩御飯、決まってる?』

 

『いや…なんかリクエストあるの?』

 

『…別に?ないわよ』

 

『…なんで聞いたの?』

 

『……なんとなくよ、なんとなく。理由は無いわ。』

 

『…?』

 

『ねぇバカシンジ。』

 

『うん…』

 

『…もっかい…キス、しない?』

 

『え⁉︎またやるの⁉︎』

 

『遊びよ遊び。』

 

『そんな…遊びでキスするのはどうかと思うけど…』

 

『昨日したくせに。』

 

『そりゃそうだけど…その…』

 

『なによ。』

 

『えと…キスっていうのは…好きな人にするものだから…』

 

『あたしがあんたを好きって言ったら…どうする?』

 

『え⁉︎…そ、そんなのわかんないよっ!』

 

『…ふーん…そう。』

 

『…アスカは…僕とキスがしたいの…?』

 

『んな⁉︎そ、そんな訳無いでしょ⁉︎ただの暇つぶしよ!キモッ!気持ちわるっ!信じらんない!!』

 

『そ、そんなに言わなくたって…ただの冗談じゃないか…』

 

『冗談でも言っていいことと悪いことがあるのっ!』

 

『ごめん…』

 

『ふんっ!もういいわっ!』

 

 

 

 

 

 

 懐かしい、夢を見た。

 あたしにとってはじめてのキスを、シンジにあげた次の日。

 

 キスをしたら、シンジが抱きしめてくれるかもしれない。そう思ってキスをした次の日。

 

 もしかしたら、と思ってもう一度キスをしようとした。

 

 だけど、シンジはそれを拒絶した。あたしはその時なんだか凄く寂しくなって。凄く恥ずかしくなって。自分の部屋のベッドの中に逃げ込んだ。

 

(その後…どうなったんだっけ…)

 

 古い記憶は、頭の中の引き出しに固くしまわれ、思い出すことができない。

 

 思い出すのを中断し、意識を外側に向ける。

 

 夜になったらしく、視界は瞼によって閉じられている。どうやら寝る前の目論見通り、夜間に起きることが出来たようだ。

 

(さて…なにしようかな…)

 

 体を奪うことを考えるのをやめたので、時間が大きく余っている。

 

(…………)

 

 静寂。微かにエアコンの音が聞こえるが、それ以外になにも聞こえないほど静かだ。

 

(…面白くないわね…)

 

 その時、頰に冷たいものが流れた。

 

(…また、夜泣きが始まったか…)

 

「うぅ…ママぁ…」

 

 新生のあたしが泣き出したということは、昨日と同じように、シンジが撫でてくれるかもしれない。

 

 そして、期待通りの展開が訪れる。

 

 頭を優しく撫でる温かい手のひら。その感覚はとても心地よく、もう十分寝たはずだというのに、その心地よさは眠気を誘う。

 

 頭に感じる優しさに集中していると、瞼がうっすらと開かれた。

 

(あっ…起きちゃった…)

 

 まずい。新生のあたしをシンジが頭を撫でている事がバレてしまえば、新生のあたしはそれを拒絶して、二度とこの心地よさを感じれなくなってしまう。

 

 そう危惧したが、予想は外れ、何故か新生のあたしは拒絶せず、瞼を再び閉じてシンジの温かい手に身を預けた。

 

(…なんだかよくわからないけど…どうやらバレなかったみたいね…)

 

 この心地よさが失われなかったことに安堵し、再び心地よさに意識を向ける。

 

 眠く、なっていく。だんだんと意識が消えて…

 

 また、私は寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

「あら?シンちゃんクマできてる。夜ふかししたの?駄目よアスカと生活リズム合わせなきゃ。」

 

「すいません…」

 

 翌朝。朝食を済ませた後、再びユニゾンの訓練をするためダンスルームに集まるアスカとシンジの2人。

 

 昨日寝すぎたせいか、ぼうっとする。

 

「じゃ、昨日の続きね。ミュージックスタート!」

 

 音楽がスピーカーから大音量で流れる。鼓膜を大きく震わせる音楽は、朦朧とする意識を叩き起こす。

 

 音楽に合わせ、踊り始めるシンジと新生のあたし。新生のあたしは昨日よりも遥かに美しく踊り、シンジは相変わらずへなへなだった。

 

「シンジ君!もっと動きをこうバッ!バッ!とやるのよ!」

 

 全く参考にならないミサトを助言を懸命に聞き、生かそうとするシンジ。額には、大粒の汗が流れている。

 

 それに対し、新生のあたしはより一層ダンスを上達させることに努め、汗を殆どかかずにメキメキと上手くなっていく。

 

 誰の目から見ても、2人の息はあっていなかった。

 

 

 

 

 

 

ゲッソリ。

例えるならそんな顔をしているシンジ。

 

(あんたはよく頑張ってるわよ。)

 

 そう褒めてあげたいが、実体のないあたしにはそれが出来ない。それを少し残念に思う。

 

「ねぇ七光り…」

 

「うん…?どうしたのアスカ…」

 

「あんた昨日あたしが寝てる間に頭、撫でてたでしょ。」

 

(うわっ…バレてた⁉︎)

 

 動揺。

 

「えっ…なんで知ってるの⁉︎」

 

「えっ…ホントに撫でてたの⁉︎マジ⁉︎」

 

「鎌かけたのアスカ⁉︎」

 

(…やられた…)

 

「…作戦中なんだからあんまりそういう事しないでよ!生活バランスを揃えなきゃいけないんだから!」

 

(やっぱり…あの時拒絶しなかったのは…ただ寝ぼけてただけだっての…?)

 

「…ごめん…」

 

「もうっ!そういうのは気持ち悪いから、ぜった…あんまりしないで!いいわね!」

 

 そう言ってシンジに拳骨を食らわせる新生のあたし。

 

(終わった…拒絶された…もう、撫でてもらえないんだ…)

 

 

 

 

 

 

 2人の息がまったく合わないまま、ユニゾンの訓練も最終日になってしまった。

 

 私はシンジ達が使徒を倒せないんじゃないかと不安に思っていたが、どこか新生のあたしとシンジのユニゾンがうまくいっていないことに安心感を感じていた。

 

「アスカ!何度言ったら分かるの?自分だけとばすんじゃなくてもっとシンジ君と合わせなきゃいけないのよ!」

 

 ミサトが新生のあたしを叱る。その事にムッとして、ミサトに反抗する新生のあたし。

 

「でも、碇君に合わせて自分のレベル下げるなんて…合わせるのは碇君の方じゃないんですかぁ?」

 

 がっくりと肩を落とすシンジ。とても可哀想だ。撫でてあげたい。

 

「それに、どうしてさっきからずっと綾波さんが見てるんですか?なんだか集中できないんですけど。」

 

 ミサトの横には、優等生がいる。人形みたいな冷たい表情であたし…いや、新生のあたしを睨んでいるのが気に入らない。

 

 新生のあたしの言葉を聞いたミサトは、数秒間考えた後、ファーストに指示を出した。

 

「レイ、アスカの代わりにちょっちやってみて。」

 

「…はい。」

 

(…このパターンは見た事がある。)

 

 音楽が流れる。踊り始める優等生とシンジ。2人のダンスは上手いとは言えず、むしろ下手だった。だが、息はぴったりと合っていて、下手な筈のダンスがとても美しい。

 

 音楽が終わると、ミサトが2人に拍手を送る。再びムッとする新生のあたし。

 

「お見事だわ。…零号機が修理中で無かったら、迷わずレイとシンジ君を組ませるところね。」

 

 視界がぼやける。誇らしげな顔をしているファーストがどんどん見えなくなる。

 

「そんなんだったら…あたしの弐号機にファ…綾波さんが乗れば良いじゃないですかっ!!」

 

 部屋を飛び出す新生のあたし。目から生暖かい水滴が溢れるが、左手で拭う。

 

(やっぱこうなるわよね。しっかしこんな事で泣くなんて…こっちのあたしは脆弱ね。)

 

 走っていると、美しい庭園に出た。水のせせらぎの音が、耳を癒す。全力疾走をした為、息切れを起こしてしまった新生のあたしは、庭園の真ん中で座り込んだ。

 

 今にも目からこぼれ落ちそうになっていた悔し涙を再び左手で払う。

 

「…アスカ!」

 

 背後から聞こえるシンジの声。足音は段々と近づいてくる。

 

「…なによ、なんでついてくんのよ…」

 

 運動座りをしながら、顔は決して後ろに向けずにシンジに言葉を返す新生のあたし。

 

「なんでって…アスカが心配だから…」

 

「……なんであたしの方が怒られるの?あたしは完璧にやってるわ、あんたがグズでドンくさいから上手くいかないのに…」

 

「…………」

 

 どう対処していいか迷っているようで、黙り込んでしまうシンジ。

 

「なのになんで⁉︎」

 

「…ごめん…僕も精いっぱいやってるんだけど…」

 

「バカね…そもそもあたしとあんたじゃ相性が悪いのよ…」

 

「アスカ…」

 

「元から無理だったのよ…知りもしない奴と合わせるなんて…」

 

「出来るよ、アスカ。」

 

「…出来ないわよ!」

 

「……確かに出来ないと思ってれば出来ないと思うよ…」

 

「…どっか行って!」

 

「…うん。先に戻ってる。でも、もしアスカが戻ってきたら、僕も全力で合わせ続けるから…」

 

 庭園からシンジが去ったことを確認すると、新生のあたしは膝に顔を埋めて、愚痴を言いながら泣き始めた。

 

(まったく…弱虫ね…)

 

 

 

 

 

 

 泣き止んだ後、新生のあたしはおもむろに走り出し、ベッドルームに駆け込んだ。

 

「…アスカ。」

 

 少し驚いたような、分かっていたようなシンジの顔を横目に。

 

「そこだっ!」

 

 飛び蹴りを放つ。ネルフの監視カメラは衝撃でバラバラになり、床に音を立てて落下。

 

(…監視カメラを壊した…?何をするつもりなの?)

 

「な、何をするつもりだよアスカ!」

 

 その疑問はシンジも同じなようで、動揺しながら新生のあたしに質問する。

 

「決まってんでしょ?特訓よ!」

 

 

 

 

 

 

 

「違う!もっと高く跳ぶのよ!それに入りが半テンポ遅れてる!」

 

 新生のあたしの厳しい指導。シンジはそれを全力でやろうと必死である。

 

 しかし、その指導はミサトのそれより遥かに適切だった。

 

「…ありがとう…アスカ、戻ってきてくれて。」

 

「ふん!そんなことより、いい?シンジ、何が何でも明日までにユニゾンを完璧にすんのよ!そんでもってミサトやエコヒイキを見返してやんだからね!」

 

「わかった、もう一度最初からやってみよう。」

 

 2人の息が揃っていく。息が合っていくのが楽しいのか、備え付けの小さな鏡に映る2人の表情は徐々に明るくなっていく。

 

(…退屈…)

 

 だが、私は特に面白いわけでもない。昼間ずっと起きていたので、今は眠くて仕方がないし、シンジがあたしではないあたしと楽しそうにしている事があたしを苛立たせた。

 

 部屋に響く明るい音楽と、自分達を照らす暖かい光は、あたしの睡眠の邪魔をする。

 

(…お願いだから私を寝させてよ…もう寝たいのに…)

 

 結局、特訓は2人が疲れて寝落ちするまで続いて、私はそれまで眠る事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ、アスカ!決戦よ!用意はいい⁉︎」

 

 ミサトの声で目がさめる。昨日新生のあたしが床の上で寝てしまった所為で、身体の節々が痛い。

 

「ギャーッ⁉︎ ちょっとォなんでまだ寝てんのよ! 警報鳴ったでしょうが! ほら!早くプラグスーツに着替えて出撃よ!」

 

 なんとかシンジと新生のあたしを起こそうとするミサトだが、疲れきっている2人を覚醒させるのは簡単なことではない。

 

「ねみゅ〜〜い」

 

 だらしない声を漏らす新生のあたし。

 

「んもう!お願いだから起きてェ…!」

 

 

 

 

 

 

 そこから先の戦闘は、見事としか言いようが無かった。

 

 息がぴったりとあっており、音楽に合わせて放たれる攻撃はどれも確実に使徒にダメージを与えていった。

 

 2人の戦闘(ダンス)は、とても美しく、輝いていた。

 

 発令所のオペレーター達は皆感嘆の声をあげ、ミサトは歓喜した。

 

 そして、2体のエヴァにほとんど満足に反撃も出来ないまま、僅か62秒で使徒は殲滅された。

 

 エヴァが活動限界を迎え、発令所から届く歓声を聴きながら、目を閉じて穏やかな眠りにつく新生のあたしの中で、私という存在だけが、孤独な不快感を感じていた。

 

 自分でもよく分からない、大きな悲しみが、私を包み込んでいた。

 

 

 

つづく




《軽いお願い的ななにか》
この小説(?)の改名案、あったらメッセージで送ってくれると嬉しい。

あと高めの評価も欲s(殴

《反省》
…アスカの気持ちが…分からない…
…実力不足ですんません…これでも全力でやってます。

《予告》
第七使徒の殲滅に成功した新たなアスカとシンジ!
そして、前史と同じ同居生活が始まる!
しかし、古きアスカの望む時間はそこに無く、自分のかたちをした人間とシンジの同居生活を見せつけられるだけだった。
自分が忘れ去られる不安を感じながらの虚しい生活が始まるだけだった。

次回、『撫。』

さぁてこの次も〜サービスしちゃうわよん!

今一度問う!この小説のタイトルを変えるべきかっ!

  • 変えろ(圧力)
  • 変えるな(命令)
  • ( ・᷄ὢ・᷅ )
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