「電圧上昇中、加圧域へ!全冷却システム出力最大!陽電子流入順調!」
「第二次接続問題なし‼︎」
「全加速器運転開始!強制収束機作動‼︎」
「全電力二子山造設変電所へ!」
「最終安全装置解除!」
「第三次接続!」
「撃鉄起こせ!」
「地球自転誤差修正、プラス0.0019!」
盾を構える。前史では綾波の乗る零号機が装備していた盾。前史では大きく見えた盾が、実際に持ってみるとなんだか小さくて不安に感じる。
(これで…あの加粒子砲を耐えるのか…)
弱音を吐きそうになる口を押さえ付けて、遠方のラミエルを見据える。
「第7次最終接続!全エネルギーを陽電子砲へ!」
節々から火花が散る。
「発射まであと10秒!
9.8.7.6.…」
「目標に高エネルギー反応!」
使徒の中心が光る。身構える初号機。
「くっ、気づかれたか!しかしやつより先に撃てば…勝機はある!」
ポジトロンライフルのエネルギー充填が完了。
「撃てっ」
零号機が引き金を引き、ポジトロンライフルから陽電子ビームが発射されるのと同時に、ラミエルから加粒子砲が発射される。
ビームが互いの影響を受けて軌道を逸れる。
(外した!)
「敵ボーリング・マシン、ジオフロント内に侵入!」
「第二射急いで!」
「ヒューズ交換!」
「再充電、銃身冷却開始!」
「レイ!移動して!時間を稼ぐのよ!」
「はい!」
「目標に再び高エネルギー反応!」
再び光るラミエル。
「不味い…!早すぎる!」
ラミエルが加粒子砲を再び放つ。
光が零号機に迫る。
「レイ‼︎‼︎」
ミサトの絶叫。
その時、初号機が加粒子砲を放った。
初号機とラミエルの加粒子砲が激突する。
「うおおおおお!!!!」
「碇君!」
出力は圧倒的にあちらが上なので徐々に押されていく。
そして、とうとう押し負けた。
加粒子砲を盾で受ける。
「碇君!…早く!まだなの⁉︎」
盾がみるみる溶けてゆく。
「盾がもたない!」
リツコの叫び。
「まだなの?」
「あと6秒!」
(早く…早く!碇君が死んじゃう!)
「うああああああ!!!」
盾が遂に溶けきった。
胸が焼ける。だが、ここで逃げるわけにはいかない。
(綾波が撃つまで…っ!耐えろっっ…!!あの時の綾波も耐えたんだからッ…!)
「碇君!!」
ピーッ、と照準の終わった音。
「今よっ撃って!!」
発射された光は真っ直ぐラミエルのコアを貫いた。
「やった!」
「敵ブレード本部の直上にて停止!完全に沈黙しました!」
…
「碇君!待ってて、今助けるから!」
初号機のプログナイフでシンジの乗るエントリープラグを取り出す。
「碇君!」
零号機から滑り降りて、プラグの扉に手をかける。
「碇君大丈夫⁉︎」
扉を力任せにこじ開ける。
「うぅっ…くうっ…きゃあっ!」
開けた扉からL.C.L.が洪水のように飛び出す。だが構わず中に入る。
「碇君!」
「綾波…」
(生きてた…良かった…)
シンジに抱きつくレイ。
「えっ…ちょっと…綾波…?」
「うっ…ひっく…うぅ…」
「…えとー、綾波さん?」
自分の眼から冷たいものが流れ落ちるのを感じて、これが涙なんだと認識。
「泣かないでよ、ほら。」
シンジの温かな手が、自分の涙を拭う。
そして、自分の体からポカポカした気持ちが溢れ出して…
表情が、緩んでいく。
目が、細くなっていく。
(今なら分かる…これが…この気持ちが…)
「これが…嬉しい…なのね、碇君。」
「……そう…だね。綾波…」
その日は満月が出ていた。
つづく
おまけ:NERV本部のプールにて
「碇君、泳げないのね。」
荒息をたてているびしょ濡れのシンジ。
「じゃあ、また最初から練習しましょう。」
「も、もう勘弁してぇ〜〜」
やりたかったことをやりました。
次回!アスカ、来日
3月16日1時30分公開。