転生ヒルチャール   作:芝神

7 / 7
VS西風騎士団&千岩軍

 

 

 

 

自分の身体が少し変わろうと、絶望が押し寄せようと、次の日は来る。そして、自分は人間ではないのだから襲われることもある。

だから、無理にでも気持ちを切り替えて、先日作り出した棍棒の使用感を把握するためにヒルチャールの拠点を潰しまわった。

 

重さも威力も上がってはいるがそれでもまだ許容内。ヒルチャールを人と見立てて殺さずに済む程度の力加減を把握し、トドメを刺す。

 

【このくらいか】

 

一つ息をつき、ゆっくり空を見上げる。近くにいたヒルチャールの声はしない。つまり全滅させれた。暴徒も手間取ることなく頭を潰せたし、シャーマンの技も単調で軽く蹴散らせた。武器一つでもここまで変わるとは。いや、自分自身の体が変わったのもあるが

 

【まだ、大丈夫。なんとかなるはずだ】

 

目のあるあたりに手を当て深呼吸をする。あの時から、生きたい、生き残りたいという気持ちだけが先走るようになっており、先ほどまでやっていた手加減の練習も、最初は残滅になってしまったし、武器を弾き飛ばすつもりが腕を捥いでしまったりもした。

 

力が強くなったのはいい。ただ、それでも『殺したくない』という気持ちが『生きたい』という気持ちに潰されかけている。それでは化け物ではないかと自制しているのが現状だ。

 

【ままならんな。ああ、本当に】

 

ため息を更に一つ

 

 

 

そしてようやく、()()()()()()()()ことに気がついた

 

【馬車が近くを通った音も、遠くの、自分が殺しに行ってすらいないやつ(ヒルチャール)の声すらしない?】

 

 

慌てて風スライムが飛んでいる方角を見て

飛んでいた風スライムがこちらへと飛んでこようとして

矢によって破裂した

 

咄嗟に棍棒を横に振るい槍の先を弾き、背後から迫る剣を避けた

 

【魔力の反応が多数!? 囲まれていた!?】

 

感知できた数は24。自分を中心として囲んでいるのが分かる。

千岩軍が16で西風騎士団が8とまさかの混成軍。璃月とモンドの間にいたからこないだろうと思っていただけに、衝撃はでかい。

 

西風騎士が今まで見た冒険者たちよりも疾く駆けより、首のあたりを切り裂かれそうになり棍棒で間一髪弾くが、反対から駆けてきた騎士により浅く腕を斬られる。

1人でも減らそうと追いかけるも、即座に千岩軍の裏に回られて盾により守られ、反撃に槍を受けそうになり退がる。

 

一撃離脱の西風騎士、カバーと逃走を潰す役の千岩軍。まさしく風と岩で、攻めるのが難しいし逃げもできない。

道具の類も持ってきていない現状、どうしても逃げれるビジョンが浮かばない。

 

「こいつ強いぞ!」「レンジャークラスの強さで、耐久は王クラスを想定!」「意義無し!」「下手に攻撃を受け止めるな! 衝撃を流さないと体ごと吹き飛ばされるぞ!」

 

情報の共有をしつつも目はしっかりとこっちを向いている。わざと音を鳴らしたりすることで集中が少し乱れそうになり、背後から駆け出してきた1人の足音が紛れて反応が遅れかけた。

 

神の目を待っているものがいないから、誰か1人(強いやつ)に注目することもできない。誰が1番強いのかもよく分からない。いや、そもそもリーダー格がいない?

 

【やっかい極まりないな】

 

奥歯を噛み締め、あらためて自身の身体を確認する。先日新調した棍棒、鉄の仮面、革のブーツ、革の服。⋯⋯あとは、変異した(龍のような)手足と体の一部。手に意識を向け魔力を流すと、思ったよりも通りが良く強度が上がった感じがした。

 

駆ける音が聞こえる。前後と左右。それぞれタイミングがずらされているが、いまなら何とかなるだろう。

1人目を回避、2人目を棍棒で受け

 

「もらっ【ここ】た!?」「は!?」

 

剣の中ほどを鷲掴み、相手を引き摺り込むように身体を回転させて4人目に投げつける。そして足を魔力で強化して素早く踏み込み間合いを潰し、上体を下げ棍棒を掬い上げるように振るう。

 

【踏み込み・斬り上げ】*1

 

鈍い音と共に2人の体が空へと飛び、地面へと叩きつけられた。シンと静まり返り、2人が動かないことに動揺している周りへとゆっくりと視線を向ける。

困惑、恐怖、怒り。そんな感情を宿した彼らはすぐさま抜けた穴を埋めるため包囲を縮める。先程までは半径約6メートルほどだったが、5メートルほどに。

 

駆ける音が聞こえるが、遅い

 

魔力を体内で回す。回す。回し続ける。速度をもっと早く。回しながら更に精錬し洗練させ先鋭にする。そしてインパクトの瞬間に合わせてその場所に流し込む

 

「はや(【遅い】)

 

咄嗟に構えたのであろう剣を棍棒で叩き折り、勢いのまま吹き飛ばす。

駆けてきていた4人目が少し怯んだ隙をついてその場で体を捻り棍棒をカチ上げる(振り向きホームラン)

 

「は、あ?」「なんでだよ、さっきまで優勢で」「もういいやるぞ!所詮は少し大きいだけのヒルチャールなんだ!」「そ、そうだ!数で押せばなんとかなるんだよ!」

 

数分もせず更に2人が倒れて困惑が広がり、焦りからかもはや陣形など無視して全員が攻撃を始めた。

迫る気配を感じながらも深く深く、大きく息を吸う。肺を限界まで膨らませ、その空気に魔力を含ませ上を向き音として爆発させる

 

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(模倣・大咆哮)!!!!》*2

 

魔力を込めたティガレックスを参考とした咆哮は、衝撃波として近寄った者を吹き飛ばした。

 

数秒、しっかりと動きが止まったのを確認してゆっくりと息をつき

 

 

 

 

「次は私と遊びましょ?」

 

雷撃が身を貫いた

 

 

 

 

 

 

 

*1
エルデンリングに登場。踏み込み斬り上げるだけではあるが、シンプルで強い

*2
モンスターハンターシリーズにて登場。大咆哮などと呼ばれる。ティガレックス種が主な使い手。顔の向いている場所から前方に向かって扇状小範囲にダメージを与えられる。





Q.なんで上向いて咆哮?
A.前方小範囲から周囲への攻撃にするため。回避方法は相手の下に潜り込むことです(なお鼓膜は死ぬ)

なんか質問等あれば後書きにて載せますので、よろしければどうぞ。

神の目の変質(つまりオリジナルの神の目)は有り?無し?

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