白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

100 / 193
お待たせしました、次話です!

そしてやはり長くなってしまいました。 (汗

今後の展開&etc.に多大な影響を与えるアンケートを出しました!

お手数おかけ致しますが投票にご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます! m(_ _)m

勢いのまま書きましたが、一連の出来事や詳細などはアンケート期間内に書くつもりです。

楽しんで頂ければ幸いです! 楽しんで頂ければ幸いです! (胸ドキドキ&汗ダラダラ :(;゙゚'ω゚'):

10/29/21 7:53
誤字修正しました(汗

10/29/21 21:01
尚アンケートに投票できない方たちも感想欄にての感想投票できるようにしております! 先に入れてなくて申し訳ないです、次話の前がきにも入れます。 (;´・ω・`)


第98話 To Me, She is

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 場と時間は市丸が背後を藍染に取られ、脇腹を抉られた瞬間。

 

 ヒュッ!

 

 ズドォン!

 

 市丸は消えるかのようにその場からいなくなり、高層ビルを半分にもぎ取ったような破片が丸ごと藍染を頭上から落ちてきた。

 

「ではジュエル殿、彼の治療をお願いします。 彼は死神の筈ですので、そのおつもりで。」

 

「ギン!」

 

「はいは~い♪ ってわお、大胆な死神ぃ~♪」

 

「……………あ、貴方たちは誰?!」

 

 そこに気が付いた乱菊がその場に現れて、未だに放心する竜貴たちを代弁するかのように目の前にいる人物たちに、正体を問いかけた。

 

「ん? ああ。 心配ございませんよ、女性の死神譲。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。 ()()の命にて、ここへ馳せ参じいたしました。」

 

 乱菊と竜貴たちの目の前に次々と現れたのは、白い軍服のようなものを着た集団。

 

「またこの服を着る羽目になるとはな。 メンドクセェぜ。」

「そうか? アタシはストレス発散の良い機会だと思うぜ?」

「あれぇ~? でもぉ、キャンディーは確か『裏稼業』をしていなかったっけ~? (´・ω・`)?」

「皆さん静粛に。 敵の眼前ですよ?」

 

 多少のバリエーションはあるものの、ほぼ統一された服装の中で竜貴たちは見覚えのある顔ぶれに驚愕した。

 

「え?! ハッシュヴァルトくん?!」

 

「おや。 これは少々お久しぶりですね小川(おがわ)さん。」

 

「あう?! (ポッ)」

 

 ハッシュヴァルトが両刃剣と盾のようなものを持ちながら、にっこりとした笑みをみちる(小川)に向けると彼女が赤面する。

 

「おうおうおうおう! なに堂々と浮気してんだユーグラム! テメェはあのちっこいのを狙ってたんじゃなかったのかよ?!」

 

「失敬な。 私はキャンディスと違い、浮気性はございませんよ? ああ失礼、君の場合は『飽き(くせ)』と言うべきかな?」

 

「おおおお? 意外だ。 いくら引き篭もりなハッシュヴァルトでも、クソビッチ(キャンディス)のビッチさが分かるか。」

 

「きゃ、キャットニップにランパードさん?!」

 

「んあ? テメェは…………ええと…………『おツル』だっけ?」

 

「『(つる)』なのはそうですけど『千鶴(ちづる)』です……」

 

「同じcrane()じゃねぇか。」

 

 千鶴はシュンとしながら訂正を付け加えたが、リルトットは反省するどころかそれを気にかけていないような毒舌を披露した。

 

「よぉーし! バンビーズ勢揃いの出陣! やるわよ、皆!」

 

「えっと~、ミニーはもう補強化したビルを敵さんに落としたので、それでもう良いかなぁ~……なーんて思っていたりぃ~?」

 

「「バンビが居ると乗り気にならねぇ~。」」

 

「ちょっと皆ぁぁぁぁぁ?!」

 

「はいはーい! あっちの死神さんの出血は終わったよ~! ……あれ? もうバンビちゃんをイジメる時間なの?」

 

「なんでそうなるのよ?!」

 

 ドヤ顔のリ-ダー(気分)なバンビエッタの高らかな宣言にミニーニャ、リルトット、キャンディスの各々が愚痴り、バンビエッタは駄々っ子のように声を上げながら地団駄を踏む。

 

「皆さん。 乗り気では無いにしても我々には『義務』がございますのをお忘れずに。」

 

「って、アンタは確か……ミーちゃん(三月)()()────?」

 

「────ええ。 『ロバート・アキュトロン』でございます、可憐なお嬢様。」

 

「か、かれッ?!」

 

 ハッシュヴァルトに負けない、ロバートの愛想よい笑みと言葉に竜貴が珍しく顔を真っ赤にして慌てふためく。

 

 ガラガラガラガラガラガラガラ!

 

 そのとき、落ちてきた瓦礫の中から無傷の藍染が出てきた。

 

 正確には、彼の周りの物がまるでバラガンの『死の息吹(レスピラ)』にあてられたかのように崩れていく。

 

「なるほど、『滅却師』か。 だが今のは『飛廉脚(ひれんきゃく)』とは少し違うようだね?」

 

「…………………(なるほど。 霊子圧縮装置の応用で強化した建物をミニーニャの全力で食らってもダメージが全く無い上に、私の『神の歩み(グリマニエル)』と『飛廉脚(ひれんきゃく)』が違うことを一目で看破するとは……『“前陛下(ユーハバッハ)”と同等』、とはよく言ったものですな。)」

 

 ロバートはさっきの『老紳士』が嘘のような、キリっとした真剣な表情になりながら藍染を見ていた。

 

 藍染が姿を見せるに釣られて『ザッザッザ』と靴やブーツがアスファルトの上でリズミカルな(訓練された)足音が鳴る。

 まさに『軍人』と言った、訓練された統一感のある動きと服装で隊列のようなものが出来上がる。

 

 その集団の少し後ろに三月が上空から静かに舞い降りて、カリンが竜貴たちを護る結界のようなものを展開する。

 

「おう、死にたくなかったらむやみに動くなよお前ら?」

 

「あ、ああ……」

 

 竜貴たちの誰が声を出したのは定かではなかったが、それは重要ではなかった。

 彼女たちはただ、目の前の出来事に全員が放心していたことを示したいと思う。

 

「……………さて皆さん。 目の前の(藍染)は、主戦力の死神たちが束になっても阻止出来なかった『脅威』です。 そんな彼らに、『この世に貴方がたのような者が未だに必要だ』と思い知らせる時が来ました────」

 

 三月は深く息を吸い込んでから、気迫の乗った声で怒鳴る。

 

 それは子供からの付き合いのある竜貴でさえも初めて聞くような声だった。

 

 「────Was seid ihr(汝らは何ぞや)?!

 

 「「「「「『Wir sind die Quincy(我らは滅却師)! Ein Wächter der menschlichen Welt sein(人の世を守護する者たちなり)!』」」」」」

 

『(フハハハハハハハハハハハハハハハ! よもや人形ごときが、かように人間を統括するとは大した道化ぶりよな! フハハハハハハハ!)』

『(うるさいよ金ぴか(ギルガメッシュ)?!)』

 

『(そうだよ! ミッチャンってマジ努力してんだかんね?!)』

『(フン、思いあがるなよ貴様ら。 どれだけ“人”を真似ようともしょせん、本質は“人形”や“獣”よ。 “()()”や“()”と我が呼ばないだけ光栄に思え。)』

 

「(あー、マジ金ぴか(ギルガメッシュ)ってばムカつく……)さて皆さん。 覚悟は、よろしくて?」

 

「「「「「Ja(イエス)! Eure(ユア) Majestät(マジェスティ)!」」」」」

 

 ここで三月が素早く息を大目に吸い込んでから一言叫ぶ。

 

「スゥー……Überlaufen(蹂躙せよ)

 

『(フハハハハハハハハハハハハハハハ! 今のはもしや、イスカンダル(ライダー)のセリフをパクったのではあるまいな木偶人形?!)』

『(いつかこの金ぴかに“ギャフン”って言わせちゃる。)』

『(その時はアタシも呼んで。 アタシもマジむかつく)』

『(ハッハッハ! その時は遠慮なく私も見学しようではないか!)』

『『(へっぽこ農民は引っ込んでいて(へっぽこ農民は引っ込んでいて)!)』』

『(Ha(はっ), ha(はっ), ha())』

 

 三月の掛け声で元星十字騎士団(シュテルンリッター)たちが未だに余裕の笑みを浮かべる藍染へ一斉に襲い掛かる。

 

『原作』には全くなかった流れが今、繰り出されようとしていた。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ここで少しだけ、上記の一連の流れを簡単に追記しよう。

 

 三月は一護や『拘流(こうりゅう)』を固定していた一心や海燕より一足先に、ソウル・ソサエティにある空座町へと『断界(だんがい)』をカリンと一緒に出ていたのはもちろんの事だが、ちょうど藍染たちの行く道先で気が付いた住民を誘導、または藍染の霊圧に中てられて瀕死の傷を負った人たちの治療をするために身柄をジゼルのもとへと住人たちを連れていた聖兵(ソルダート)を彼女たちは後をつけて、ロバートたちのいる場所へと着いた。

 

 そこでは、虚圏から先行してさらに先に真・空座町へ戻っていたハッシュヴァルトとツキミがロバートたちと話し合っていた。

 

 話の内容は『死神の事情に、いま介入するか否』か。

 つまりは『話し合い』と言うよりは『議論』だった。

 

 ハッシュヴァルトを含めた約半数は『被害がこれ以上“現世”に広がる前に介入すべき』と主張をする反面、ロバートたちは『介入はこの新しい敵が瀞霊廷の残存戦力と全面衝突して、弱ったところを狙うべき』という二虎競食(にこきょうしょく)の策を提案していた。

 

 ハッシュヴァルトたちはすでに瀞霊廷から出ていた隊長格のほとんどがすでに敗れ去ったことを説明するも、ロバートたちは『王宮』に残った者たちを挙げたところで、三月が念話経由でツキミに時間を稼ぐ指示を出し、ツキミから上記のやり取りを念話で取り込んだ情報をベースにその場へと着いた瞬間、ハッシュヴァルトやロバートたちが話しかける前に満面の笑顔でこう言い放った。

 

『“死神たちが止められなかった敵を止められた”という“実績”を示すいい機会の到来よ♪』、と。

 

 ハッシュヴァルトたちは内心『ああ、姫ならやはりそう言うのですね』と安心に似た感情を感じた。

 

 そして口には出していないが、それでも乗り気ではないロバートたちを見て彼女が次に言ったことでその考えが一転する。

 

『それと、()()()()()()()()()()()()()()()()()わ。 それほど貴方たちの“前陛下”と同じくらい()()()()だもの。 』

 

『“前陛下(ユーハバッハ)を消した”と言った者が前線に出る(共に戦う)』というのは、いろいろな意味でロバートたちには魅力的な宣言だった。

 もちろん彼女はそれが狙いだったのだが。

 

 それが三月と彼女に現世へと付いて来た『元星十字騎士団(シュテルンリッター)』たちが藍染と相対する、少し前から現在へと至るおおまかな流れである。

 

 

 ___________

 

 『元星十字騎士団(シュテルンリッター)』 視点

 ___________

 

「「「「「(視える。)」」」」」

 

 滅却師たちはどこぞの何某メカパイロットの口癖を考えながら互いの聴覚と視覚を()()し、それらの情報を元に(藍染)が次にどう動くかような薄透明な幻覚がAR表示のように見えていた。

 

 普通ならばこのような現象に混乱、または脳へと直接入っていく情報の増加に頭がパンクしても不思議ではないのだが、どういう訳か彼ら彼女らは瞬時にこれを()()して活用できていた。

 

「(凄い。 姫様(三月)は、ボクやユーハバッハ様とは違う意味での『突然変異体』だったのですね。)」

「(ひゃー! すっごい戦いやすいー! バックダン、バックダン、バックダンサ~!♪)」

「(オレたちの能力は同士討ちしやすいモノがあるから、こういうのはありがたいな……ちょびっとだけ、あのガキを見直したぜ。)」

「(思いっきり全力を手加減なしで振り回せてミニー、か・い・か・ん♡ (≧▽≦))」

「(うっわ。 ミニーの野郎、完璧にメスの顔してやがるぜ。 ま、アタシも今を()()()と感じているんだから無理もねぇけどな!)」

「(ヒョー! アパートの管理人代理(マイさん)を見て予想はしていたが……あの嬢ちゃん、将来はやっぱり致命的な大物になるなこりゃあ!)」

 

 ハッシュヴァルトたちはそう思いながら藍染とは近づかず離れずの距離を保つ、ヒット&アウェイの攻撃を各々の『聖文字(シュリフト)』の応用や武器でしながら様々な関心をしていた。

 

「(なるほど。 あの小娘、『前陛下』やハッシュヴァルトの『力を分け与える』と言った能力の一種を持っていたか。 これはこれで、利用価値が更に出てくるな。 Very(ヴェリー) good(グッド)。)」

 

 ロバート(腹黒紳士)は別の意味で感心していた。

 

 上記の『聖文字(シュリフト)』が何なのか一言で説明すると、それは『ユーハバッハから一人一人に与えられた固有能力』の事。

 

 これは死神の『始解』のようなもので、各々が違うものを持っている。

 例えば先ほどのロバートが使用した『神の歩み(グリマニエル)』は、『一瞬だけ自身の敏捷を動く物体としての極限』まで高めた上でそれに付いて来られる反射神経を()()()()()()()()()()()()とする。

 

 切り(もぎ)取った高層ビルを持ち運びさせることが出来るミニーニャは『任意での腕力/筋力の調整』。

 

 先ほどから藍染が小手調べなのかどうか、詠唱破棄で放っていた鬼道を()()()()変質して巨大化した口で次々と防ぐ(丸呑みする)リルトットは(その動作から文字通り)『何でも食らい尽くすことが出来る』。

 

 藍染の周りの『あらゆる物質を爆弾に変質』させ、小規模な爆発で彼の不意を突いたりバランスを崩すバンビエッタの能力もその一つである。

 

 そしてロバートに頼まれて重傷の傷を負った空座町の人たちや、市丸の治療を頼まれたジゼルは厳密には『治療』では無いのだが、『治療の応用が出来る』といったモノ。

 

 詳しい詳細は後に表示する予定だが、今はこれでどれだけのことが現世組の竜貴たちや、市丸と乱菊たちの前で行われているか想像が付くと思う。

 

「………………………………」

 

 この止まない雨のような攻撃等を、藍染は未だに薄い笑みを浮かべながら己の頭と胸にあった崩玉は防御し、その他の攻撃を無視していた。

 

 その行動はまるで、攻撃していた『元星十字騎士団(シュテルンリッター)』の一人一人を観察していたようなもので、このことを脳の隅で気付いていた滅却師達も全力は出していなかった。

 

 幸か不幸か、互いが互いを観察する行動と滅却師達の持っていた『外部霊子収集圧縮装置』が藍染の漏れ出す霊圧を集め、各々の能力をさらに底上げしていたのがこの膠着状態を可能させていた。

 

 あとは『原作』では『共闘』どころか、『実績の為の引っ張り合い』を今この場にいる『元星十字騎士団(シュテルンリッター)』がしなかったのも幸いだった。

 

『総員、視野に表示された火線上から退()け!』

 

 頭に直接聞こえて来る少女(三月)の声に従うように、ハッシュヴァルトたちが一斉に左右へと動く。

 

 その先には、竜貴たちの前で黒い弓のようなものと螺旋(らせん)状の短槍らしきモノを矢代わりに構えていた三月がいた。

 

 彼女の周りにはバチバチと赤い色の何かが宙で弾けていて、異様な空気の歪みと共にどこからともなく彼女の周りを風が吹いていた。

 

 表情はいつもの幼い見た目相応の元気な、または陽気なモノとは程遠い真剣なもので、()()()()()()()()()

 

 一言で済ませようとすると、『凶暴な獲物を眼前にした()()』のようなモノとも言えた。

 

I am the bone of my sword(我が骨子は捻れ狂う)偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)』!!!

 

 ズッ!!!

 ボギュッ。

 ゴオオォォォォォ!!!

 

 弓から『槍らしき矢』が解き放たれたと思った次の瞬間、青い光線が藍染に直撃して巨大な振動音と砕蜂が撃った卍解、『雀蜂雷公鞭(じゃくほうらいこうべん)』にも負けない規模の爆発が藍染と彼の周りを呑み込む。

 

「………………」

 

 それを『真剣な表情(かお)』でジッと見ていた三月と先ほどからの行動や言動は、長年彼女を知っていた筈の竜貴からでさえも、『自分が知っている知人』からあまりにもかけ離れていたことに放心していた。

 

 さっき()()()()()()()()()()()()()()り、()()()()()()()()()()()()()()()()り、()()()()()()()()()()()()()()()()()り、()()()()()()()()()()()()りなどの出来事は言うまでもなく、竜貴をひどく混乱させていた。

 

「あ、アンタ……本当に『三月』、なの?」

 

 ゆえに彼女は自分や浅野たちを護るかのように立っていた夏梨の後ろから思わず、驚愕と放心したまま上記の問いを出していた。

 

 そんな竜貴に三月が向けた表情は複雑そうな、『大人の事情的な物を持った者の気まずい半笑い』だった。

 

「……うん、そうだよ? 驚かせてごめんね、タッちゃん(竜貴)。 あとで()()、話すから。」

 

「って渡辺さん! 腕! 腕ぇぇぇぇ?!

 

 ハッとして浅野が注目したのは服の袖も含めてボロボロになり、いびつな方向へと曲がり痛々しい見た目に変わった三月の右腕だった。

 

「あぁ、これ? んー、()()()()()だよ?」

 

 その三月の近くに、ロバートたちが降り立つ。

 

「さすがは姫様。 このような奥の手をお持ちとは感服です。」

「スゲェなクソチビ、あれがお前の『神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)』か────?」

 

「────油断しないで。 アレで倒せたなら苦労はしないし、皆に迷惑はかけていないわ。 (少なくとも、動きが止まっていれば────)」

 

「────なるほど。 『久しぶりに“恐怖”を味わせてくれてありがとう』、とここは言うべきかな?」

 

 まるでタイミングを計らっていたかのように、巻き起こった土煙の中から歩いて出てきた藍染は所々から血を流し、左胸から指先までの部分がぽっかりと無くなっていた。

 

 彼が『崩玉』を己に埋め込んで、初の『流血』と『大ケガ』となるにもかかわらず、彼の足取りは態度同様にゆったりとしていた。

 

「(……………いやいやいやいや。 即席の『偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)』だったとしても、()()バーサーカー(ヘラクレス)は一回ぐらい殺せるほどの攻撃が直撃して『()()()()()()()()』ってどんだけよ?)」

 

 三月は決して表情を崩さなかったが、冷や汗が彼女の頬を伝って彼女の内心で感じた『焦り』を示していた。

 

「さて、なかなかの威力だったが……次の策はなんだ? どうする? 今度はどんな手段を取る?」

 

「(やっぱり、私が言うのもなんだけど藍染は()()()()ね。) でも、目的は果たせたわ。

 

 スタッ。

 

 三月の零した独り言と同じタイミングで藍染の背後に一心を担いだ髪の伸びた一護と、一心と同じようにぐったりとした海燕を担いだ()()()()()()()()()()()が降り立った。

 

「ん? 黒崎一護と……ネガシオンを貫いた者か。」

 

 チエは海燕を下して、一心を一護から預かる間、一護は周りを見渡していた。

 

「……やたらと軍服を着た奴らが多いな?」

 

「ハッシュヴァルトとロバートたちの手回しだろう。 あそこに二人もいる。」

 

「知っているのか? つーかこの感じ……全員、滅却師なのか?」

 

「ああ。 それに一応、私は彼らの『陛下』だからな。」

 

「………………………き、聞きてぇ事が一気に増えたけど……石田がこのことを聞いたら卒倒するぜ? 色々な意味で。」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。」

 

「お前が言うのならそうなのだろう。」

 

 次に一護が見たのは周りの人たちだった。

 

「たつき、啓吾(けいご)、水色、本匠、小川、観音寺のおっさんと……………………………………………………」

 

 一護がハッシュヴァルトたちを見て、いったん言葉を止めた。

 

「…………………………ハッシュドポテト(ハッシュヴァルト)ディズニー(バンビエッタ)ロバのおっさん(ロバート)チャラ男(アスキン)────」

 

 「「「「「────違うから! 分からないならそうとハッキリ言え!/言えよ?!/言ってくれたまえ?!」」」」」

 

「黒崎一護とその友人……………場所を移そうか?」

 

「……ああ。」

 

  ヒュッ!

 藍染の提案に乗った一護、そしてチエがその場から消えると今までの緊張感を息で示すかのように、三月は息と声を吐き出す。

 

「……………………………………ブハァ~~~~~~~~~~~! ああああああ!!! 疲れた~!」

 

「……姫様、これでよろしいのでしょうか?」

 

 一番近くにいたハッシュヴァルトが声をかけ、ニコニコし始めた三月が答える。

 

「ん? うん。 あの二人なら、()()()()()()()()()()()()()()。 (『浦原喜助』も前もってここに来させたし、彼の術が発動して()()()…の筈。)」

 

「「「「「………………………………………………………………………」」」」」

 

 未だにニコニコとする三月以外、その場にいた者たちは言葉を失くしたか、困惑するか、呆気に取られるかのどれかをした。

 

 またはその全てが混ざり合わさったようなモノになった。

 

 ドォォォォォォ!!!

 

 町外れより更に遠い距離とはいえ、地鳴りを鳴らせる炎の柱が天へと高く舞い上がった。

 

「(今のは、『原作』で藍染が一護を襲ったやつね。 と言うことは、次はあれかな? 『俺が月牙(げつが)になることだ』の奴……)」

 

 ────!!!

 

 次にさっきより巨大な『黒い膜』のようなものが見え、『耳の鼓膜が破れた』と錯覚するほどの音量で現れる。

 

「一護……なの、今のって?」

 

「うん。 そうだよタッちゃん(竜貴)。 (確か『無月(むげつ)』、って呼んでいた技かな? ………………私にとっては縁が悪いネーミングだけど、実物は凄いなぁ~。)」

 

 カッ!!!

 

 更にここで『原作』には無かった、新たな光と波動に三月も周りの皆のように驚愕する顔となる。

 

「(今のは……………もしかして()()()()()?)」

 

 

 ___________

 

 浦原喜助 視点

 ___________

 

 目の前の封印された藍染を、ボクは見上げていた。

 すぐそこでは息を切らした『黒崎一護』が『渡辺チエ』に肩を貸されていた。

 

 ここまで自分が練った計画は()()に、予想通りに事が運んだ。

 

 ……いや、『完璧すぎた順序』と言ったほうがいいだろうか?

 

 偽・空座町で限られた時間内で、出来るだけ身を隠しながら崩玉と合体した藍染の観察と対策を練っていたボクを三月さんたちが『黒腔(ガルガンタ)』から出てきてすぐに見つけて来たのにビックリしましたが………………

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 まず三月サンが『携帯用義骸(けいたいようぎがい)』でボクになりすまし、その間にボクを前もっていずれ藍染が移動するであろう、ソウル・ソサエティの荒野に『藍染封印型の鬼道』を数個、各場所に設置。

 

 そしてそれらが終わると同時に『藍染惣右介』、『黒崎一護』、そして『渡辺チエ』の三名が本当にそこへと着いた。

 

 焦ったボクは自分特製の霊圧遮断外套を思わず落としそうになり、一連の出来事を見守り、驚愕した。

 

 あの『黒崎一護』が崩玉と融合した『藍染惣右介』を圧倒したことに。

 

 見たところ霊圧、そして純粋な腕力は軽く藍染を凌駕していた。

 

 最後には『無月』と言う技で藍染を真っ二つにして、そこから急激に『黒崎一護』が弱り始めた瞬間に藍染は動いた。

 

 己の体が再生中なのを無視するように黒崎サンに襲い掛かりながら、『貴様さえ死ねば!』と叫びながら。

 

 初めて聞く、『必死な藍染の声』だった。

 

 その時点で、『渡辺チエ』が動いた。

 

「『壱ノ型・龍閃(りゅうせん)』!」

 

 素早く黒崎サンと藍染の間に入り、ほとんど右半身を失った藍染の右わき腹から左肩まで逆袈裟(さかげさ)でさらに斬ると、『無月』とは違う輝きと共に藍染の体はさらにバッサリと斬られて胴体と頭だけの状態となった彼を『渡辺チエ』が左手で殴った。

 

おのれ! ワタシのジャマをスルな! クロサキいちごがシニさえすれば────!」

 

 そこでやっとボクの術が完全に起動して、藍染が封印された『現在()』となる。

 

「お疲れ様っス、黒崎サンにチエさん。」

 

「浦原さん……」

「浦原か。」

 

 ボクの声に、黒崎さんが何か言いたげな顔を────

 

「────ああ、『なんでここに居るのか』ですか? そりゃ勿論、見ての通りっス。 アタシが見たところ、『崩玉と融合した藍染を殺すのは不可能』と判断しただけっス。 だから『封印』に方針を変えて、新たに開発していた鬼道を使用しました。」

 

「…………………」

 

「ああ、お疲れのようでしたら友人たちへの説明はアタシが────」

 

「────いや、いい。 もう隠すのはヤメだ。 俺の口から直接伝えるよ。」

 

「私も付き合うぞ、一護。」

 

「そうっすか……………」

 

 黒崎さんは、何とも言えない顔で藍染が封印された『封印架(ふういんか)』を見上げる。

 

「時期に瀞霊廷に運ばれて、四六室に彼の処遇が決定されるでしょう。 ……皆さんの命や、この世界を藍染から護ったんスよ? もっと胸を張ってください。」

 

「…………………………なぁ、浦原さん。」

 

「ん?」

 

「俺……藍染と戦って、アイツの刀に触れたとき……流れ込んできたのは『()()()』だけだったんだ。」

 

「……なんですって?」

 

アイツ(藍染)は……もしかして────」

 

「────らしくないぞ。 胸を張れ、一護。」

 

『渡辺チエ』がピシャリと、黒崎サンの言葉を遮って、彼は驚いたような顔を彼女に向けた。

 

「けど、俺だけの────」

 

「────奴は胸に戦火(せんか)を持ち、お前に挑んだ。 それを、お前が()()()()()で打ち取った。 弱ったお前を奴は玉砕覚悟で葬ろうとしたのを私が止めたとしても……ここでの『勝者』はお前なのだ、一護。 もし後ろめたい心が残っているのなら、(藍染)の心をお前が預かって、先を行け。 それが……『勝者の責任』だ。」

 

 あらら。

 これは驚きですね。

 

 彼女、黒崎サンの前では彼を気遣うような言葉だけではなく、こんなにも多弁になるんすね?

 

 ……………………フム。

 彼も、どこか満更でもない表情っスねぇ?

 

「そう────ガッ?!

 

 急に黒崎さんの顔が青ざめて、ひどい痛みに苦しむかのようにゆがんだ。

 

「一護?!」

 

 

 

 ここで浦原は思わず驚愕した。

 

 今までは『この子、表情筋(ひょうじょうきん)がマヒしてるんじゃないっスかねぇ~?』と思っていた彼の前で、チエが目を大きく見開いたことに。

 

 ___________

 

 ■崎15 視点

 ___________

 

 目を開けると、『そこ』は暗かった。

 真っ暗闇の中、俺は浮いていた。

 

 いや、そう思っただけかも知れない。

 

 なにせ平衡感覚自体があやふやで、どこが上下なのか、右も左もわからない状態だった。

 

 そんな暗闇の中を俺は歩いた。 もしくはそう錯覚しただけかも知れない。

 

 ……アイツ風に言うと『フラッシュ無しでトンネルを移動した』ことになるのか?

 俺には無理だけど。

 

 そんな中、遠くで蛍の光のようなモノが見えて俺の足取りは自然と早くなった。

 近くまでくればそれらは海の中で漂う泡のように浮いていて、数も多かった。

 

 シャボン玉のように小さく、数多いそれらの中を見ようとすると俺の記憶だということが分かった。

 

 まるで昔、学校の社会科見学で経験したプラネタリウムのように目の前でそれらが広がって映し出される。

 

 ……………ああ、これはガキの頃だな。

 遊子も夏梨も小さいし、俺の視点も低い。

 空手の道場にも頻繁にまだ行っているし。

 

 けど不思議なことにそれらを見ていく中、俺はある違和感に気付いた。

 

『チエや三月が居ない』。

 

 ………………変だな。

 同じ空座町の景色とかだけど、あの二人がいないだけでなんか……違うな。

 

 悪戯好きで口うるさいアイツは別として、チエがいないのは……()()()()()()

 

 だって、アイツは……

 

 俺にとって────

一護にとって、チエは────

  • 世話の焼ける妹だ
  • ぶっきらぼうで無口な姉だ
  • す…す…す…すきやきぃ~(気になる奴?)
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