白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました次話です。

楽しんで頂ければ幸いです。

11/8/21 8:00
誤字修正いたしました。 (汗


Early Adulthood - To The Lost, Substitute ■■
第102話 静かな(独りの)眠り


 ___________

 

 とあるしょうじょ 視点

 ___________

 

 気付くとほのお()の中にいた。

 

 くず()れ落ちるたてもの(建物)

 火まみれに焼けこげていくナニカ(人型)

 

 どれだけみわた(見渡)しても、まわり(風景)ぜんぶ(赤色一面)の焼け野原。

 大きな火事が起きたのだろう。

 

 いいえ、起き続けている。

 一面が廃墟、あるいは映画で見る『戦場跡』のようだった。

 

 様々なモノが大きなおと(叫び)を出しては静かになる。

 

 たてもの(建物)のほとんどが崩れ落ちた頃には、()()に原形をとどめていたのは自分だけ。

 

 周りのナニカ(人型)は黒焦げで、ここにいるのは『自分』だけ。

 

()()()()()()()』。

 

 なにも判らない『自分()』でも、わか(理解でき)るほどの圧倒的で絶対的な■■(地獄)の中を歩き、次第に周りのくうき(酸素)が薄くなっていたのに気付かなかったのか、息継ぎができない頃に『それ』が見えた。

 

 フラフラとうつろな(死んだ)目で歩く、幼い少年の姿。

 

 その直後、彼は力尽きたのかそのまま前のめりに倒れて、釣れるように自分()()()()()()()()()

 

 マヒした(機能していない)感覚。 衝撃で揺さぶる視野が、地面に体が衝突したことをおしえた(伝えた)

 

 やはり痛み(痛覚)は無かった。

 

 まわりは黒こげになって、ずいぶんと縮んでしまったナニカの姿がゴロゴロあった。

 

 その中、今では理解できることが全神経を支配していた。

 

く る し い』。

 

 ただその一言が体を結成しているかのような思いから逃げるように、そのまま目を瞑って意識を手放した。

 

 

 もう疲れた。

 

 

 

 それでも。

 

 

 私には

 

 

 

 

 

 

 

 

 元から

 

 

 

 

 

 

 

 

 何も

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

「……………………」

 

 嫌な気分のまま目が覚めた。

 

「はぁ……」

 

 胸の中に鉛がつまっているような感覚を、強く意識した深呼吸で新鮮な酸素が肺に出入りする感覚で無理やり塗りつぶそうとする。

 

 まぶしい朝の光にかざした手を額に付けると、もうじき冬だと言うのにひどく汗を掻いていた。

 

 最ッッッッッ悪。」

 

 素直に今日の目覚め具合を口にして息をもう一度吐き出す。

 

 さきほどは長らく思い出す事がなかった、『過去の記憶』の一つ。

 

 独りで寝ると、決まって見る『(記憶)』。

 

 私が『(三月)』として、()()()()当時の記憶。

 

 いわば私が『私』として『認知』した、最初の記憶でもある。

 

 そんな考えをしながらボ~っと朝の支度を済ませながら耳を澄ませると、『トントントン』と包丁が切るリズミカルな音が聞こえ、鼻には朝の食卓の匂いが漂ってくる。

 

 今日はさすがに学校に行かなければいけない筈なので穂群原(ほむらはら)……ではなく空座町の制服にそでを通し、冷え性+冷たくなった風対策のためタイツを着用する。

 

 着替えて朝食をとる為に、ダイニングの扉をあk────

 

「────おお、目が覚めたかべべ(お嬢さん)よ! お早い目覚めで吾輩、感心で────!」

 

 ────バン!

 

「?????

 

 ……………………まだ寝ぼけているのかな?

 

 なんかダイニングに、優雅に朝食を取ろうとするどこぞのヒゲエセラテン紳士系おっさんがここ(現世)に居たような気が────

 

 ────ガチャ!

 

「人の顔を見て血相を変えながら扉を無言で閉めるとは何事かね?!」

 

 「夢じゃなかったぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

「朝から大声とは近所迷惑だぞべべ(お嬢さん)よ!」

 

 「なんで『()()()()』がここに居るのぉぉぉぉ?!」

 

 「『ドルドーニ』だ! いい加減吾輩をうまそうな名呼び────!」

 

 ガシッ。

 

「────二人とも? 近所迷惑(成敗するわ)よ?

 

「「ア、ハイ。 スミマセンデシタ。」」

 

 頭を鷲掴みにされてそのまま二人の体を持ち上げてにっこりと笑うマイに、ドルドーニと三月は青ざめた。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ではディオス(女神)よ、次の機会まで!」

 

「はぁ~い♪」

 

「あふん♡ ……………その穢れを知らない笑顔が、吾輩に無限の活力を与えてくれるッッッ!!!」

 

 手を元気よく振るドルドーニをマイが見送り、彼は『黒腔(ガルガンタ)』の中へと消えていく。

 

 ドルドーニは昨日、虚圏に行ったマイを現世に見送りに来ていただけのようで、長居はしなかった。

 

 尚、マイが虚圏に向かったのは『十刃』の生き残りや、藍染に与していた者たちの警戒と監視の頼みを全快した『十刃落ち』やネルたちにする為だった。

 

 『井上織姫』の能力、さまさまね。

 

「チエは?」

 

「まだ黒崎家に居るわよ~?」

 

「ふーん。 珍しいね?」

 

「そうねぇ~。」

 

 四段弁当箱をマイから受け取って、実に久しぶりの登校をする。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

わ~~~た~~~な~~~べ~~~。 随分と久しぶりだな、ん?

 

「お、お、お、お、お久しぶりです越智(おち)先生。」

 

「あらあら、やっぱり礼儀正しくて感心感心。 どこぞのオレンジ頭よりは。 一か月も急に休むなんて、真面目な貴方らしくないから家に連絡を取ったら『自国の事情で急遽留守にしています~』と聞いたから良かったものの、黒髪の方(チエ)はどうした? どうせ聞いた『入院』なんて嘘だろ?」

 

「えっと……入院しているのは一護であって、彼女はその見舞いに────」

 

「────あ、そうなんだ。 まぁ、座れ。」

 

 「(軽?! それでいいの?! ……いいか。)」

 

 三月は自分をジッと見ていた浅野や水色、千鶴やみちるに竜貴たちを見て『放課後に!』と口を動かし、ウィンクをしてから席に座る。

 

 浅野は胸が痛くなったのか自身の胸に手を置いたが、三月はそれを無視した。

 

「あー、それと今日は皆に紹介したい転入生が居るんだ! おし、入れ!」

 

 入ってきたのは体付きが織姫にも劣るとも言えない金髪碧眼のクールビューティー(160㎝)だった。

 

「アネット・プレラーリです。 上姉様と共によろしくお願いします。」

 

 「なんでさ?!」

 

 クラスがざわめく前に叫んだため、またもや注目を三月は浴びたそうな(無理もないが)。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 放課後、空座高校の屋上にてスペアの学園のテーブルや椅子に浅野、水色、千鶴、みちる、竜貴、茶渡、雨竜、織姫が輪を作るかのように座っていた。

 

 三月と言えば後ろからアネットに抱えられるように、股の上にチョコンと座らされていた。

 

 はたから見ると『姉が妹を抱きかかえている』場面なのだが……

 三月は後頭部から伝わる柔らかい、大きな存在感()の感触を無視して、死神の事などを茶渡や織姫と一緒に話した。

 

 本来、一般人である彼ら彼女らならば信じないどころかただの冗談と笑い飛ばしていたかも知れないが、先日目撃したトンデモバトルと藍染を見ただけでなく、肌で感じた後は信じるしかなかった。

 

 そこから今度は雨竜と一緒に『滅却師』の事を話し始めた。

 

 これも『元星十字騎士団(シュテルンリッター)』と、雨竜が皆の目の前で作り出した霊子の弓矢で皆は納得した。

 

「さすが上姉様ですね♡」

 

「ふーん……で? 三月やチエはその滅却師や死神なの?」

 

 ここで雨竜、茶渡、竜貴たちが注目をするだけでなく、自分たちが持った疑問を問う。

 

「ハッシュヴァルトくんたちが『滅却師』なのも驚いたけど、あれだけの者たちに『姫』と呼ばれている君はどういう身分の者だい? 『ただの滅却師』だけじゃないんだろう?」

 

「えっと────」

 

「────それは俺も同じ思いだな。」

 

「ということはさ、マイさんも貴族的な身分なの?」

 

「その────」

 

 そして最後に織姫がとんでもないことを口にした。

 

「────ていうかこの間見た三月ちゃん、すっっっっっっっごく可愛かったねぇ~?! 眼鏡を外して髪の毛も下ろしただけなのに、()()()()()()()()で!」

 

「「「「「確かに。」」」」」

 

 その場にいたほとんどの者が同意し、竜貴がウンウンと頷く。

 

「当たり前です、上姉様ですよ?」

 

 まるで自分が褒められたかのようにどや顔をアネットがしては三月の眼鏡をとって、それをかけた。

 

 Oh(オー) nooooooo(ノー)! 見られたぁぁぁぁぁ?!」

 

 そこで彼女は頭を抱えて(学友たちの前では初めて)盛大に取り乱した。

 

「『地味』が! 私の『普通の学生生活計画』がぁぁぁぁぁ?!」

 

「「「「「「いやいやいやいや、無理が有りすぎ。」」」」」」

 

「(しまった、声に出していたぁぁぁぁぁ?!)」

 

「そういうお二人は、どういうお関係で? 従妹(いとこ)────?」

 

「────姉妹(しまい)です。」

 

 先ほどから織姫とさほど変わらない(ドッコイドッコイの)体をしたアネットに浅野が問うと、アネットがはっきりと上記を宣言した。

 

「ああ、三月ちゃんの(あね)────」

 

「────私は妹です。」

 

「え゛。」

 

 みちるの言葉をアネットが力強く遮った。

 

「妹です。」

 

「それは……ちょっと無理が────?」

 

「────い・も・う・とです。

 

「……………………………ハイ。」

 

「んじゃ! ちょっと長くなるかもしれない話だから始めるね?」

 

 そこから彼女は以前、チエが織姫たちにしたような()()()()()()()()()()()()を話し始めた。*1

 

 少し違うことと言えば、以前は『非現実的なこと』と思われる部分を(鬼道や霊力に変えて)付け加えたことか?

 

 成り行きで『滅却師』の頭領を倒してしまった辺りとか。

 

 あと個人的な恋愛事情や『他世界の放浪者』などは省いていた。

 織姫にはアネットが『他言はしないでほしい』という頼みをしていたらしく、彼女は深く追及せずにいた。

 

「────なぁ、三月?」

 

「ん? なにタッチャン(竜貴)?」

 

「あたしと一護に出会ったのって、確か小学の頃だよね? 何か貴方のその話を聞くかぎり、年齢的に合わないような気がするけど違うかな?」

 

「(来たか。)」

 

 他の皆が納得するほど、竜貴の疑問はごもっともであった。

 

 彼女たちが最初に会った頃は小学生になったばかり。

 歳でいうと5,6ほどの頃の筈。

 だというのに三月の話し方ではまるで、空座町に来る前まではそれなりの長い時間を過ごしたかのようなものだった。

 

「(ま、隠してもしょうがないか。 この世界(BLEACH)でも見た目に反して長生きしている存在はあるし。)」

 

 脳裏に蘇ったのはこの10年、年末の恒例になっていたとある二人組(浦原と夜一)の誕生日をメインにした、『年越しパーティ』。

 

「もしかして気になる? こう見えて私、二十歳(ハタチ)だよ?」

 

生まれた(自己認識した)世界』の10年。

 後に『正義の味方』の試行錯誤を行った『前の世界』に1年弱。

 そして『この世界』での10年間を合計にすると確かに20歳は超えていた。

 

 彼女は()()()()()()()()

 

「「「「年上……」」」」

 

 ここで茶渡、雨竜、織姫、みちるがそう言い零す。

 それぞれが別の思惑をして。

 

「あ、でもでも! 精神的にはみんなと同じ十代だから! そこんとこヨロピク~♪」

 

 「「合法。」」

 

「え。」

 

 そして()()()浅野と千鶴は互いに荒い息遣いになり始めて上記の意味不明(深い)なことを口走った。

 

「ちょっと待って二人とも。 それ、どういういm────ぐぇ。」

 

 三月は?マークを出し始めた瞬間、彼女を抱えるアネットの腕に力が更に入って変な声が出る。

 

「上姉様は私の(物)です!」

 

 スゥハァスゥハァスゥハァスゥハァ!

 

「え?! アネットもなに息を荒くして匂いを嗅ぐの?!」

 

「いえ、単純にこのシャンプーの匂いが新鮮で堪能したいだけです。」

 

「えっと……それに対して私はどう反応しろと?」

 

「上姉様はそのままで良いです♡」

 

「そ、そうかな?」

 

「あ、私もなんとなくその気持ちわかる。 というか代わってよ。

 

「(ニッコリ。)お断りします。

 

「「…………………………」」

 

 ここでアネットと千鶴が互いの眼を見て、双方の体に稲妻が走る。

 

 目に見えない(同族嫌悪の)火花と共に。

 

 だがこの事に気付いた様子のない竜貴はその質問を続けた。

 

「じゃあさ……三月ってば()()()()()()の? 『死神』とか『虚』────」

 

「────『()()』、だよ?」

 

「「「「「え。」」」」」

 

「『()()』だよ、うん。 (そう、()()()()よ。)」

 

「「「「……………………………」」」」

 

 そこで三月は今まで誰にも見せたことのない表情と苦笑いを竜貴たちに向けた。

 

 どこか寂しいような、『悲哀』を感じさせる『大人の表情』だった。

 

 そんな気まずい空気を作ったことに責任を感じたのか、竜貴が話題を変えようとした。

 

「そ、それじゃあさ! 苗字は『渡辺』なの? それとも、『プレラーリ』ってのが本名? どっち?」

 

「どっちも……違うよ?」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 またもその場にいた者たちに、意外な返答が来る。

 

「違うけど……私にはまだ、それを()()()()()()()()()()……」

 

「「「「「……………………………………………………………」」」」」

 

 さっきより三月が神妙な表情になったことでさらに空気が重くなり、その場にいた者たちは言葉を失くす。

 

 だがそんな思い空気を自ら払うように三月がニヤニヤとし出し、水色を見る。

 

「で、『年上狙い』としてはどうよ?」

 

 話しかけられた水色は眉毛を一瞬だけ上げたが、すぐに対応へと移った。

 彼女の考え(気づかい)を彼なりに受け取って。

 

「ああ! 確かに年上好きだけど……僕的に君は『無い』ね! スタイルがこの中で一番幼いから『守備範囲外』だし。」

 

 水色が満面の笑みでそう断言する。

 

「んが?! し、失礼しちゃうわね! せ、『成長中』なんだからね!」

 

「うん。 応援しているよ? (154㎝)より小さい(140㎝)けど頑張れ頑張れ~♪」

 

「そういえば水色ってこういう奴だった……」

 

「気にしないでください上姉様。」

 

「アネット?」

 

「上姉様の魅力はわかる者にはわかるのです!」

 

「ええと……ありがとう?」

 

 

 

 ___________

 

 『渡辺』チエ 視点

 ___________

 

 藍染の封印後、あれから意識を失って一護の苦しむ声を聴いてからの直後の事はよく覚えていない。

 

 取り敢えずは『医師のいるところに連れて行かなければ』と思い、彼を抱えたまま黒崎家に直行したのはボンヤリと覚えている。

 

 だが()()()()()()()()()()()()()

 

 理解不能。

 

 周りの者たち曰く、私は血相を変えて突然黒崎家に駆け込んだそうだ。

 

 思い出そうにも、()()()()()()()()()()今が悔やまれる。

 

 ……三月から以前聞いた『日記』というものを書くか。

 

 遊子か夏梨に聞いて、筆記帳(ひっきちょう)を譲ってもらおう。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 あれから数日経った。

 

 三月はいまだに瀞霊廷にいるようで、まだ連絡はつかない。

 

「ねぇチエ姉ちゃん? 私にどんな髪型がいいと思う?」

 

「??? 急にどうした遊子? 私に髪形を問うより適任者たちがいるだろう?」

 

「う~ん、お兄ちゃんを驚かそうとしているんだけど……お母さんってうっかり口を滑らしちゃいそうだから。 夏梨ちゃんはそういうのに興味なさそうだし。」

 

「おいちょっと待て遊子、今のは取り消せ。 まだ勉強中なんだよ。」

 

 なるほど、(一心)は論外と。

 

「好きかどうかは知らないが、二つ結びなどはどうだ?」

 

「……それって三月姉ちゃんがよくやっているやつでしょ?」

 

 鋭いな遊子は。

 

 やはり血は争えんということか。

 

「そうだが?」

 

「う、う~ん……子供っぽくないかな?」

「遊子にぴったりじゃん。」

 

 夏梨の言葉に遊子がうなだれる。

 

「遊子にきっと似合うぞ。」

 

「え? そ、そうかな? …………じゃあ、やってみようかな?

 

「その価値はあると思うぞ。」

 

「相変わらずチー姉ちゃんって地獄耳だな。」

 

「悪いか、夏梨?」

 

「ううん、それが面白いんだし?」

 

「……なにがだ????」

 

 よくわからないが、なぜか夏梨がにやにやしながら私を見る。

 

 場所は黒崎家の居間。

 

 黒崎一護の妹たちと共に、今日はテレビを見ていた。

 

「ふ~~~~~~~ん? 叔父に三児もの子供がいるなんてな~?」

 

「あ、アハハハ~~~~~。」

 

「はい、志波さん。 お茶です。」

 

「あ、どうもっす。」

 

 ちなみにどういう訳か、海燕もいた。

 

 今でこそ黒崎家はある程度受け入れられたが、当初彼が現れた時は一心の隠れ子か何かと真咲や夏梨が思い、大変だった。

 

 遊子に至っては珍しく呆けていたな。

 

 いや、あれは風邪か熱があったからか?

 

 頬も少し赤くなっていたような気がしたが、後で聞くとそうでもなかったらしく、ブンブンと手を振って慌てふためくった。

 

 

 

 当時の出来事を簡単に説明すると、流れは以下のようなものだった。

 

 藍染封印後、空座町の住人たちの記憶操作や戦闘のダメージなどを消した後に二つの空座町は入れ替わった。

 

 そして目が覚めていた黒崎家に一護を紺の入っていた体にチエが戻してベッドに寝かせた次の日、黒崎家は騒いだ。

 急に一護が寝たきりになっていたこともだが、チエの服装がチグハグだったことも含めて(なお、霊視で出来ている服は霊力が弱い者には見えない)。

 

 それから数日ほどして、玄関が再び騒がしくなった。

 

「へぇ~、叔父さんの家族か?」

 

「なんでお前は我が物顔で人ん()に入ってくんの?! 『外で待ってくれ』って言ったじゃねぇか?!」

 

「この義骸に慣れるには動き回った方が良いんだとさ。 特注品だからな。」

 

「「「……………………………………………………………………………………」」」

 

「うお?! 母さん待ってくれ! 夏梨もそんな目で父さんを見ないでくれ!」

 

 そこにチエが顔を出すと、自らの実父(一心)軽蔑する(最低のゴミを見る)ような目で夏梨は見ていて、真咲は背後に鬼の形相をした何かが浮かぶかのような、静かに『負』の気を出して一心の胸倉を掴んで彼の体を持ち上げていた。

 

「ん? どうした嬢ちゃん? 俺の顔になんかついてるか?」

 

 遊子と言えば海燕『ポケ~』と見ていたところに、チエが声をかける。

 

「遊子、熱でもあるのか?」

 

「うひゃあ?! ちちちちち違うよ! 違うってば!」

 

「????」

 

 何ともカオスな修羅場と黒崎家は一気に変わった。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 それから真咲達に海燕の事を(理不尽にも一方的に半殺しにされた)一心がボロボロのまま何とか伝えて、わだかまりは徐々にだが収まっていった。

 

 最近までは。

 

 「いやだぁぁぁぁぁぁ! やだよぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 一心は壁に爪を立ててまで、自分を無理やり引きずる海燕に抗おうとしていた。

 

「いい加減に観念しろよテメェ!」

 

 「どの(ツラ)下げて空鶴たちに自ら出向いて半殺しにされなくちゃいけねぇんだぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 「テメェが勝手に『現世』に留まったからだろうが?!」

 

 「母さん、遊子、夏梨! お父さんを助けてくれぇぇぇぇぇぇ!」

 

「遊子、保険証を持ってきてくれるかしら? 確か生命保険があったと思うけど、念のために確認しなくちゃ。」

「はぁーい。」

「骨が残ったら拾ってお骨にするから心配するなオヤジ。」

 

 「死刑宣告いやだぁぁぁぁぁぁ!」

 

 黒崎家全員が『一心が処刑される』の前提だったことに、一心は血涙を出していた。

 

「(一階が一段と騒がしいな。)」

 

 チエは一護の容態が安定したことでそう思いながら、出かける用意をした。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

げぇぇぇぇぇ?! なななななななんでここに来たんやオマエェェェ?!」

 

「久しぶりだな、ひよ里()()。」

 

ていうかいつまでその『さん付けネタ』引っ張っとんねんワレェ?!

 

「……お前がそう私に頼んだのでは????」

 

「正論ボケすんな!」

 

 場所は現世に残った『仮面の軍勢(ヴァイザード)』たちの新しい隠れ家。

 

「というか毎度毎度私たちを発見して結界を破るの、やめてくれまセンか? 砕蜂サンとの約束で浦原サンを拘束していますので……正直きついデス……」

 

 ハッチはハッチで瀞霊廷から帰ってき(連行され)た浦原を砕蜂の前で拘束する結果い維持をしていたらしく、かなりのお疲れの様だった。

 

「ハッチ殿、ここに例の地下室はあるだろうか?」

 

「オイ、まだ話は終わっとらんで?!」

 

「ええ、在りますトモ。 拳西たちが居なくとも、いつもの癖で作られています。 何かと便利デスし。」

 

「そうか。 少し借りるぞ。」

 

「スルーすんな、ボケェ!」

 

「ええ、いいですとも。」

 

 ギャーギャーと距離を取りながら騒ぐひよ里の横を巨大なバッグを背負ったチエが通ろうとする。

 

()()()。」

 

「お、おう? な、なんや?」

 

 珍しく名呼びするチエにキョドリながらも聞き返す。

 

「地下に籠ってくる。 少々長い時間、居ると思うが心配は無用だ。 あと────」

 

「「────お邪魔しまーす!」」

 

「来たか。」

 

 入口から聞こえたのは織姫と三月の声だった。

 

「あの、ワタシそろそろ泣いていいデスか? シクシクシクシクシクシクシク……」

 

 どこかの花系魔術師が『良いとも!』、と元気よく答えたかのようにハッチは静かに泣きだし(いじけ)た。

 

 ………

 ……

 …

 

「えっと……いいのよね、チーちゃん?」

 

くどい。

 

 いつもより今に限って面倒くさいな、こいつ(三月)は。

 

「……分かったわよ、貴方がそう言うのならもう反対はしないわ。」

 

「ああ。」

 

「『投影(トレース)』、『開始(オン)』。」

 

 目の前で様々な構造物が光の因子の中で生み出されていく。

 

 いつも持ち歩いている刀を鞘から抜き出して、私は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___________

 

 一護 視点

 ___________

 

「…………………………」

 

 目が覚めて、見知った天井をボーっと見ていた。

 

「…………………………」

 

 いやそれよりも『妹』とか『すきやき』って……

 

 何を考えてんだよ、俺は?

 

 アイツは────

 

「────ん? おーい! 一護の目が覚めたぞ!」

 

 ドタドタと足音がして、部屋のドアがすごい勢いで開かれると見知った人たちが部屋の中に入ってきた。

 

 ……何気に普通にドアから部屋に入ってくる団体なんて久しぶりに見たような気がする。

 

「黒崎君!」

 

「おう、井上にチャドにルキアか…………あと石田な。」

 

「おまけ程度に僕を付け加えるとは、随分と落ち着きを取り戻したね?」

 

一月(ひとつき)もすれば、自然とそうなるだろう。」

 

一月(ひとつき)……一ヶ月も俺は寝ていたのかよ?! それに、俺の力は?!」

 

 霊圧探知を俺は焦って使う。

 

 ()()

 

 いや、()()()()()と言った方が合っているのかこれは?

 

 井上にチャド、石田たちはまだ何とか感じるが……

 

 近くにいる筈のルキアはどんどんと気配が薄くなっていっていくのが感じた。

 

「俺……」

 

「その様子だと、感づいているようだな。 浦原の見積もりでは『死神の力を失った一護(お前)は意識を失っている間に“断界(だんがい)”での時間経過が逆流するだろう』と言っていた。 お前が感じた激痛は、その逆流の表れらしい。」

 

「……そうかよ。 で、残った霊力もやっぱ消えていくのか?」

 

 一護のかなり冷静な様子にルキアたちがポカンとする。

 

「お、お主かなり平然としておるな?」

 

「さっきからそんな気がしてたからな……………霊の気配を全然感じねぇんだ。」

 

「そうか……」

 

「不思議な気分だ。 小さい頃から周りにウジャウジャいたようなモノが、今じゃ空気が澄んだような感じだ。」

 

「そうか……まぁ、なんだ。 そう寂しそうな顔をするとは意外だぞ? 何せ貴様に見えていなくとも、私からは見えているのだからな?」

 

「それこそ正にプライベートの侵害じゃねぇか、訴えるぞ? それに寂しそうな顔もしてねぇよ……あっちの皆に、よろしく伝えてくれるか?」

 

「ああ。」

 

「……じゃあな、ルキア。」

 

「ああ、お別れだ。」

 

「……ありがとう。」

 

 ルキアの姿はもう見えなくなった。

 

 気配も……霊圧探知も()()しない。

 いや、使()()()()と言った方が当てはまるだろう。

 

 とうとう、ゲーム風に言うと職業が『死神代行』から『()()()()()()』に変わったか。

 

 …………………クソ。

 

『表』は『寂しい』空気を出さないように頑張った分、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『内側』はその気分でいっぱいだった。

*1
21話より




とうとう次話から死神代行消失篇へと繋ぐ『草』に突入です! まさか不慣れな作品をここまで書けるとは、純粋に自分にびっくりしていますです……ハイ……

いつも読んでくださって、誠にありがとうございます! 
m(_ _)m

頑張ります! ╭( ・ㅂ・)و ̑̑
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