白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話です!

仕事やリアルで急に寒くなって体調はイマイチですが頑張ります!

少し長くなってしまいましたが、楽しんでいただければ幸いです!


第103話 That [Kansai] Word

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 一護が霊を見えなくなった次の日、三月が他の皆に遅れて彼の見舞いに来ていた。

 

 体の痛みやダルさはないものの、ほとんど寝たきり状態が続いていたので念には念を入れて数日間、様子を見ることとなっていた。

 

 そこで三月は自分が遠くの場所から来たことも、見た目と年齢が合わないことも話した。

 

「ふーん、やっぱお前も見た目とは年齢が違うんだな?」

 

「ありゃ? 思ったよりけっこう冷静ね、一護?」

 

「そりゃあ……お前らのことを十年間、子供のころから見てたからな。 お前はガキっぽいところあるけど、『ここぞ』って時には急に大人びていたし、俺らの『引率者』って言ったらお前だし。 

 ってちょっと待て。 そういやお前、子供のころから体は成長していっているよな? そりゃどういう仕組みだ? 義骸ってそういうもんか?」

 

「う~~~~~ん、ちょっと違うし生物学の分野に突入するけど……いい?」

 

「じゃあやめておく。 そういう顔のお前は延々としゃべるからな……それで、アンタは? マイさんに似てっけど、ちょっと違うよな?」

 

「私はアネットです。 上姉様の妹です。」

 

「う、『うえあねさま』……だと?」

 

「アハハハ~。」

 

 一護が疑問たっぷりの視線を三月に送るが、彼女はただ目を泳がせてそっぽを向き、半笑いをする。

 

「お前、何人姉妹なんだよ。」

 

「え、言ってない? ()()()()だよ? (設定上は。*1)」

 

「………………………………………………………………………………………………ツッコんでいいのか、馬鹿らしくなってきた。」

 

 ピンポーン♪

 

「っと、誰か来たな。 ちょっと出てくる。」

 

「お茶とかの用意しておこうか?」

 

「おう……」

 

 黒崎家のドアのチャイムが鳴り、他のものが出かけている為に出た一護が見たのは布にまかれた棒状の何かを二本、背負ったチエだった。

 

「あ……チエ────」

 

「────一護か、もう体は大丈夫なのか? 立っていていいのか? 体の具合はどうだ?」

 

「お、おおおおおおおう?」

 

 いつもとは違い、どこかグイグイと迫る彼女に一護はびっくりしながら気の抜けた声を出す。

 

「む。 すまん。 長らく外の空気を吸っていなかったものでな?」

 

「そ、そうか?」

 

「今日はこれをお前に渡しに来た。」

 

「お、おう────っておっも?!」

 

 そう言いながら彼女が背中から一護に渡したのは、ずっしりと重みのあるものだった。

 

 思わず軽い場の流れでそれを片手で受け取ろうとした一護はその重みに驚いて、体が思わず前に倒れそうになるのを、チエが彼の肩を使って受け止めた。

 

「すまん、言うのを忘れていた。 大丈夫か?」

 

「あ、ああ……」

 

 チエが手を放し、一護が手に持っていたオブジェからチエへと目線を動かす。

 

「えっと……こりゃなんだ?」

 

「私なりに考えて、お前に必要であろう物だ。」

 

 一護は手に持っていた物の形と重さが、『とあるもの』を彼に思い出させていた。

 

「(これは、まさか……いや、いくらチエでもそれは無いだろう。 立派な犯罪にな────)」

 

 シュルシュルと一護が布を解いていくと、中からは立派な刀────

 

 「────おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! まさかのまさかだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 一護は素っ頓狂な叫びをあげながら、手にしていた物に布を再度かぶせてチエを家の中に引いて、周りの道に誰もいなかったことを見開いた眼で確認してから玄関を乱暴に閉めて、鍵をかけた。

 

「お、お、お、お、お、お、おま、お前! お前ぇぇぇぇぇぇぇ?! これ、立派な犯罪じゃねぇか?!」

 

「そうなのか?」

 

 「立派な『銃刀法違反(じゅうとうほういはん)』だこらぁぁぁぁぁ!」

 

「???? 私は持ち歩いていても、別に今まで問題はなかったが?」

 

「いやいや、チーちゃんのは今まで竹刀として偽装させていたからでしょ? でないと大変だったから。」

 

「なるほど、そういう理由だったのか。」

 

「どう思ったのよ? あ、ううん、どうせ何も思ってなかったでしょ?」

 

「よくわかったな。」

 

 一護はその間家のカーテンが全て閉まっていたのを確認してから持っていた物を居間のちゃぶ台にゆっくりと置いて、そろ~りとさっきからドキドキと心臓の鼓動が体中に広がっていく中、布を解いていく。

 

「なに爆弾処理班みたいに慎重に動いているのよ一護?」

 

こんなもの誰でも慎重になるだろうがオイ。」

 

「死神の時は割と普通にしていたじゃない?」

 

「大抵の奴には見えないだろうが?!」

 

「世間体は気にするんだ?」

 

「当たり前だ!」

 

「その髪の毛で?」

 

「こ……これは地毛だ! 知ってるだろうが?!」

 

「何のことかさっぱりだが…ナマクラといえ、()()()()()()()()()()。」

 

「……え?」

 

 そこで一護がピタリと動きを止めて、チエと手に持ったものを互いに見る。

 

「チエ、お前……まさか────?」

 

「────とはいえ、()()()()()打ったので保証は出来ない。 だから不自然なところや、気に入らなければ()()()()()────」

 

 ボゴッ。

 

「────いって~~~~~?!」

 

 一護はデコピンをチエに食らわせようとした指を逆に痛めていた。

 

「??? 何をやっているのだ、お前は?」

 

「あ、相変わらずの石頭だぜ…………」

 

「だから何を────?」

 

 ────ドゴン!

 

 今度はいつかの彼女にやられたように、鞘に入ったままの刀で一護はチエの額を突いた。

 

 低い打撃音に見合った衝撃だったのか、チエは目を白黒させながら珍しく後ろへとよろけた。

 赤くなる額を手で押さえて、?マークをただ飛ばしながら怒る一護を見る。

 

「?????????????」

 

「バカかお前は! お前が俺のために作ったものを、ホイホイと捨てられるワケねぇだろうが! バカ!」

 

「む。 『バカ』とは何だ、この阿呆が。 それに所詮は『物』だ。 今だろうが、後で捨てられようがさほど変わらないだろう?」

 

「大いにありというかお前……あまりにも極端だぞ?」

 

「(そういえば三月にもそういわれたな。*2)」

 

「まぁ、物騒な贈り物だけどよ……サンキュな?」

 

「??? 礼を言われる所なのか?」

 

「んあ? そりゃそうだろうが?」

 

「そうか。」

 

 ナデナデナデナデナデナデナデ。

 

 「だからそれやめろって!」

 

 チエが一護の頭をなでて、それを照れながらも嫌がる一護のやり取りを見ていた三月とアネットは、小声で話し合っていた。

 

「上姉様、あの二人は想いを寄せあっている身同士なのですか?」

 

「うーん…………………………どうだろう? 前の時は『孫』か『弟』って話していたけど*3……」

 

「そうなのですか?」

 

「けどそう聞かれると、確かにチーちゃんって一護のことになると珍しいぐらいの行動力出すからねぇ。」

 

「……その気持ちは分からなくもないですね。」

 

 だが以外にアネットにはわかったようで、三月はキョトンとした顔を向けた。

 

「え? どゆこと?」

 

「………………いえ、黙秘します。 (これは部外者が言うべき事ではないでしょうから。)」

 

 今度は?マークを出す三月だったが、彼女の疑問にアネットは答えてはくれなかった。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 上記から少しだけ時は立ち、一護が空座高校に登校した初日に彼は担任の越智先生に頭を下げていた。

 

 背中にはチエのように竹刀を背負って。

 

「ありがとうございます、越智先生。」

 

「ちょ、ちょっと黒崎────」

 

 それだけでも珍しい場面だったが、彼の隣には同じく頭を下げていたチエの姿もあった。

 

「────いえ、先生に迷惑をかけたのは事実ですので。」

 

「黒崎はともかく、黒い渡辺までかよ?!」

 

 二人がこのように(特に一護)が反省の色を素直に出していたのが功を現したのか、一護の留年問題は『とりあえずこれからもちゃんと出席すれば無し』と越智先生から。

 そしていまだに『孫にワシの生徒がテレビに出ていたぞ』と自慢する校長たちの了承を得た。

 

 「おい一護テメェ! 『空手をやめる』たぁ、どういうことだよ?!」

 

 それから一護は空手を辞めた。

 

 いや、厳密には『道場に通うことをやめる』と、校舎裏で会った竜貴にそう言った。

 

「言葉通りのことだよ、たつき。」

 

 無論、同じ道場に通っている竜貴が黙っているわけがなく、このことを聞いた瞬間に彼女は一護に鬼の形相をしながら迫って彼の胸倉を掴もうとした。

 

 その瞬間、竜貴が気付いた頃には一護はするりと手を躱しただけでなく、彼女の腕を持ち上げて、捻りのついた拘束をしていた。

 

 しかもそれは生半可なモノではなく、互いのどちらかが力を入れるだけで脱臼(だっきゅう)、最悪の場合は脱骨もあり得るような絶妙なものだった。

 

「い、一護……アンタ────」

 

「すまねぇ、たつき。 けど道場(空手)()()もう、俺は行かないほうが良いと思うんだ。」

 

『空手では限界があるから』。

 

 そう竜貴に、腕を放した一護の続きが聞こえた。

 

 その時、彼の申し訳なさそうな表情が竜貴にこの10年間、一度として自分に勝てなかった一護が実は『手加減していた』ことを直感で感じた。

 

『勝てなかった』のでなく、『勝たせていた』。

 

 そのことに気が付いたことがかなりの精神的なダメージを竜貴に与えていたのか、彼女の体は思わずよろけた。

 

 普段の彼女なら逆ギレしてもおかしくはなかったが…

 ある意味、一護の『裏の言葉の動機』を藍染との遭遇や死神関連の話を聞いた後では容易に想像できた。

 

ルールに則った試合(空手)では限界があるから』。

 

 そこに考えがたどり着いた彼女は怒りよりも、歯がゆさと自分に対しての情けなさが(まさ)っていた。

 

「……一護……アタシさ……師範代代理の話、頼まれているんだよね。」

 

「……ああ、ありそうだな。」

 

「アタシ、()()()()()よ。」

 

「そうか、たつきなら師範代ぐらい────。」

 

 口をあんぐりと開けた一護が見たのはピクピクとこめかみに無数の青筋と笑みを浮かべた修羅(竜貴)

 

 何某長寿漫画であれば、『』とでも効果音が出ていたのかもしれない。

 

「え、でもお前……え???」

 

「アンタだけ()()()()させる訳にはいかないよ?」

 

「で、でもよ────?」

 

「────アンタ、アタシにまたぶん殴られたいワケ? お?*4

 

「一護、諦めろ。」

 

「「おわあぁぁぁぁぁぁ?!」」

 

 どこからか降り立ったチエに一護と竜貴が明らかに驚いた声を出すが、それを無視して彼女は話を進めた。

 

「竜貴の眼は、覚悟がある程度ついている者がするモノだ。 ここで遠ざけようとしても逆効果だぞ?」

 

「てかお前どっか湧いて出てきた?!」

 

「そうだよ! 『上から来た』ってんなら校舎の三階の窓くらいなもんだよ?!」

 

「たった三階ではないか……………………………どうした、その目は?」

 

 チエを見ていた一護と竜貴は『あ、そういえばこいつこういう(突拍子にもないことをする)奴だった』と、内心思いながらジト目を向けていた。

 

「ま、まぁとりあえずさ? 二人とも竹刀を持っているということは、剣道部にでも入部するつもりか? ……それは無いか、『道場に通うのやめる』ってさっき言ったばっかだし……ということは一つだけしかないよね?」

 

 竜貴の言葉に一護が頷いた。

 

「ああ。 だから────」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 場所はチエたちが住んでいるアパートに移り、部屋の中には様々な表情をした者がいた。

 

 マイはおっとりとニコニコしてい(平常運転だっ)た。

 チエもいつもの無表情(平常運転)だった。

 一護と竜貴は神妙な顔をしていた。

 

 三月は────

 

 あんたマジなにやってんのよ。」

 

 ────放心しかけていた。

 

 その理由としてはひどく単純なモノだった。

 

「いや、たいていの場合お前に話すと上手く事が済むからな。 一護はともかく、竜貴はどうすればいい?」

 

「(次は確か、『()()』が相手だった筈よね? なら別にいいか。 フォローすればいいし。) 別にタッちゃんが一護の鍛錬に付き合うってのは別にいいと思うけど……チーちゃんってば、私を青い猫型ロボットか何かと勘違いしていない? 『の〇太くん』と呼び始めたほうが良い?」

 

「「ブフ。」」

 

 一護と竜貴が吹き出し、チエはムッとする。

 

「名前は別にどうでもいいが、『あおいねこがたろぼっと』とはどういう意味だ?」

 

「……『私を便利屋か何かと思っているの?』、という意味よ。」

 

「違うのか?」

 

違うよ?!

 

「????」

 

「ハァ……私のことをどう見ていたのかよぉ~~~~~~く分かったわ!」

 

「そうか、良かったな。」

 

 「良くないよ?!」

 

「なにがだ?」

 

「そこでボケないでよ?!」

 

「心外だ。 ボケるのなら、『姉』であるお前のほうが先だろう?」

 

「んな?! ぬわんですってぇ~~~~~~~?!」

 

 三月とチエのコント(?)を前に、一護はため息を出す。

 

「ま~た始まったよ。」

 

「今度はどのくらいか賭ける?」

 

「お前はもう手作り弁当一年分もらっただろうが?!*5

 

「じゃあ他のことで賭けようよ。 ちょっと耳貸して。」

 

 竜貴が何か面白そうに一護に小声で話しかけた。

 

「え、え~~~~~~? それは────」

 

「────なんだよ、一護は興味ないのかよ?」

 

「まぁ、『無い』とは言えねぇけどよ?」

 

「……いつもアイツに弄られていることの仕返しと思えば────」

 

「────乗った。」

 

「ねぇ~? もう遅くなりそうだし、二人も晩御飯をご一緒するぅ~?」

 

「お! ラッキ~♪」

「よっしゃ! 」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「時間が合うのなら今週中でもいいか?」

 

「まぁ……アタシは別にに良いけど? 合わせるよ。」

 

 夕食の(前の日から煮込んだ)おでんを堪能している食卓でチエは『グッ』と親指を一護たちにあげた。

 

「「ダサッ。」」

 

「そうか? 泰虎(茶渡)がしていたが……」

 

「アイツは年上の奴らとつるむから動作が古いんだよ。」

 

「そうか。」

 

 大根をハフハフと頬張る三月にタイミングを計らった竜貴が話しかける。

 

「ねぇ、三月? ちょっと賭けをしてみない?」

 

「賭け? なんの?」

 

「チエに女装……って女だから、『正装』になるのかな? ま、細かいことは良いや。 チエに『女性の服装』を着せれたら、『アンタ(三月)を高校卒業まで着飾れる』ってやつ。」

 

「……………………………なんでさ?」

 

 竜貴の突拍子もない賭けの内容に、呆気に取られていた。

 

「でも面白そうね。」

 

 だが内容が内容だけに、自分とマイが長年苦戦していたことだったので乗ることのような空気を出していた。

 

「それで? 賭けの期間は? 負けた場合は?」

 

「期間は……そうだね、新学期が始まるまで。 今が12月だから、一か月ちょい。 負けた場合は………………『アタシ(竜貴)が高校卒業まで着飾る』ってことで。」

 

「………………へぇ~?」

 

 三月は面白そうに目を細めた。

 

『有沢竜貴』という少女は『強気で男勝りな性格』の持ち主。

 好きな四字熟語は『一撃必殺』で、カーゴパンツなどの男性モノを好んで着る。

 

 つまりは『チエと似ていた』とも言える。

 

「(チーちゃんに『女性物を着せる』というこの自信……何かあるわね。) いいわ。 その賭け受けて立つわ!」

 

 本来なら彼女はもっと警戒をすべきすべきだろう。

 

 だが『でもタッちゃんが着飾ったところが見たい!』という好奇心が勝り、賭けの勝敗に関わらず空座高校に波乱が来るのは時間の問題となった。

 

 

 

 ___________

 

 一護、竜貴、チエ 視点

 ___________

 

「断る。」

 

 竜貴がチエにさっそく『女性物を着てみない?』のアプローチをかけてみたが、見事に一刀両断された。

 

「「(だよな~。)」」

 

 竜貴もさっそく一護の鍛錬(日課)に付き合い始め、三人ともは冬だというのに季節的に軽装な動きやすい服装で一護は大の字のまま背中を地面に預け、大粒の汗を流しながら空を見ていた。

 

 汗は描いていたが竜貴は一護ほど消耗している様子はなく、背中を近くの木に預けていた。

 

「でもさ、アタシが言うのもなんだけどたまにオシャレとかに興味が湧かない?」

 

「オメェが言うとスゲェ違和感ある。」

 

「うっさいよ一護。 で? どうなの?」

 

「そもそもお前の言う『おしゃれ』に何の意味があるのだ?」

 

「え、『意味』って────」

 

「────『おしゃれ』というのは『番候補探(つがいこうほさが)し』の為に、異性からの興味を引くおめかしのことだろう?」

 

「つ、『番』って────」

「お、『おめかし』って────」

 

「────私には()()()()()モノだ。」

 

「「…………………」」

 

 チエの変わらない表情の上に、断言性をも持った声のトーンに一護と竜貴は一瞬、言葉をなくした。

 

「……俺もそういうの、あんま気にしねぇけどよ────」

 

「「────シャツに語呂合わせの『(いち)()』や部屋のプレートに『(いち)()』があるじゃん/あるではないか?」」

 

 「俺の趣味じゃねぇよ! 俺ってそういう語呂合わせみたいなの嫌いだって知ってておふくろ(家族)たちがワザと買って来るんだよ!」

 

「良いことではないのか?」

 

「……まぁそうなんだけどよ……とりあえず、俺もそういうの興味ねぇけどよ? そういう変化を経験するのも新鮮と思わねぇか? 今までのお前ってずっと男性モノ着てただろ?

 

「……そうか?」

 

「あとよ、今だから言うけど一応お前の制服って校則違反なんだぜ?」

 

「…………………そうなのか?」

 

「ああ。 けど俺らの担任と校長が割とアバウトだからいいけど、苦情とか出たらそうも行かなくなるだろ。 多分。

 

「………………」

 

 何か思うところがあったのか、チエはアゴに手を添えてから考え込むように視線を一護たちから目の前の地面へと移した。

 

 時間にして数秒間ほど後に彼女は口を開ける。

 

「………………………一護に…」

 

「ん?」

 

「一護に、迷惑は掛かるだろうか?」

 

「………………あー、どっちk────」

 

 ドシ。

 

「────ゴホォ?!」

 

『どっちかというとマイさんたちに掛かる』と言おうとした瞬間、竜貴の音速にも迫るような手刀が一護の喉に直撃して、彼の言葉を遮った。

 

「うん! ちょ~~~~~~う困る!」

 

「そうか。」

 

 一護と言えば抗議をあげるどころか、自分の喉を両手で掴み、痙攣しながらヒューヒューと音を立てて何とか息をしようと頑張っていた。

 

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

 次の日、三月は珍しく一人で登校していた。

 

 その朝、珍しくチエが寝坊したのか『先に行っていてくれ』と言ったのだ。

 

「(まぁ、そういう日もアリか。)」

 

 そうやって呑気に、日の当たる自分の席に座りながらポカポカする太陽(日向ぼっこ)を味わっていた。

 

 ガラッ。

 

「「「「「………………………………………………………………………………」」」」」

 

「(あれ? 急に静かになった?)」

 

 学校のチャイムが鳴るか鳴らないかの時間にドアが開き、異様な静けさがクラスに広がったことに気付くまでは。

 

「(どうしたんだろう?)」

 

 三月の半開きの瞼はドアのほうへと視線を動かすと大きく開いた。

 

「???」

 

 そこにはチエを傾げて立っていた。

 

 空座高校の灰色のブレザーにセーター。

 

 これに問題はない、いつも通りである。

 

 だが下半身の、太ももの途中までしかないスカートから出ていた生足はいつも通りではなかった。

 

 「「「「「チエが! ()()()()』だとぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」」」」」

 

 固まっていたクラスの叫び声が周りのエリアに力強く響いた。

 

 叫ばなかった男女たちは様々なリアクションをとっていた。

 

 生足に視線が釘付けになっていた者もいれば、今にでも昇天しそうな者もいた。

 

「し、死んでいる?!」

「ちょっと千鶴?! 起きてよ?!」

 

 千鶴は昇天どころか、『我が生涯に思い残すことは無い』とでも言いたいような、穏やかな表情をあげて床に横になりながら、手を胸の前に組んで魂が抜けかけていた(かもしれない)様子。

 

 意外そうな顔をしながらも、ニヤニヤとした笑みを三月に三月の横眼に映っていたがそれに気付く余裕はなかった。

 

「なんでさ……………なんでか………………なんで……なんで…………………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんでやん。」

*1
作者の他作品、『天の刃待たれよ』より

*2
23話より

*3
17話より

*4
70話より

*5
69話より




平子:ついに出たよ

リサ:アレが

作者:余談ですが何気に今までの描いた作品中、『なんでやん』と書いたのはこの話で初です。

ひよ里:いやいやいやいやいやいや。 それはあんまりやろ?

ラブ:いや、冗談じゃねぇよ。 マジだこいつ。

ローズ:まさかと思うけど……もしかしてこの時のために意識してその方言を使わなかったのかい?

作者:どれだけ必死やったと思うねん! この苦労がわかるかぁぁぁぁ?!

平子/リサ/ひよ里:アホくさ

市丸:意地はっとらんで使えばよかったんとちゃいます?

作者:帰れ!

リサ:アイツもとうとう、隠すのをやめたんやな

ラブ:お前が言うとなんかエロイ想像になるな

作者:だから帰れよ?! 気持ちは分からないでもないけどさ?! 歩く18禁だからさ?!

リサ:ほめてもエロ本、出ぇへんで?

作者:F〇CK! なお余談ですが息抜きに『バカンス』か『天の刃』の次話を書くかどうか迷っている途中です。 いつも読んでくださって、誠にありがとうございます!
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