白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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投稿が遅れて申し訳ございません!

拙い作品を読んでくださって、誠にありがとうございます!

楽しんでいただければ幸いです! (汗汗汗汗

11/11/2021 8:45
誤字修正いたしました。


第104話 Pieris japonica

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

 ドン!

 

「さぁ、観念しな。」

 

「くッ!」

 

 今この世界に来てから最大の危機、到来である。

 

 次郎(アーチャー)にされて以来の『壁ドン』で退路の片道がふさがれた*1

 

 恐らくは予想された退路の誘導だろう。

 

 ならば取るべき行動はそれ以外!

(多少バレたけど)ここまで来て私の存在感をデカくすることは防ぐ!

 

「ま……」

 

「『ま』?」

 

「まだだ、まだ終わらんよ! 私服! 私服じゃないからまだノーカンよ!

 

「ハァ?」

 

 どこぞの袖なし軍服サングラスのような言葉を言い訳抗議後に言い放つと、竜貴が呆れたような顔をする。

 

 ……ちょっと苦しかったかな?

 

「……三月ってばファッションとか詳しい?」

 

 え。

 なにこの激突な質問は?

 

「えっと……それなりに? ()()……かな?」

 

「じゃあさ、アタシにはどういう服装が似合うと思う?」

 

……なんで?」

 

「そりゃあ……負けた時のためにアンタが納得するような服があるかとか、無い時に調達する値段とか貯金と相談して考えないと。」

 

「意外だ……タッちゃんってそんなことまで考えるんだ────」

 

「────頭にゲンコツ食らわせようか?

 

「やめて! 身長が伸びなくなっちゃうよ?!」

 

 怒る竜貴を前に血の気が引いていく中、必死に回避を試みる。

 

「そういうけどアンタ、中学に上がってからずっとそのままじゃん。」

 

「イワナイデクダサイ。」

 

 でも竜貴に似合う服装かぁ~……

 

 フム。

 

 

 三月がジロジロと彼女をつま先から頭上まで見る。

 

 

『基本情報』、『外見』の『解明』。

 竜貴は………

 

「ほう。 フムフムフムフム。」

 

 ズバリ!

 

「身長155㎝、体重41㎏────」

「────へ……あ、ちょ、ま、待って────」

 

 三月の言い出したことが的中していたのか、竜貴は一瞬だけ呆気に取られてから周りに人がいることに慌て始める。

 

「────バスト76、アンダー62、ウェスト56、ヒップ83────」

 「────なななななな────?!」

 

 ゴッ!

 

「────アグラァァァァ?! ほ、星が?! 銀河が! 銀河が飛んだよギャラクティカ?!

 

 鈍い音ともに視界がゆがみ、強烈な痛みがじんじんと頭上から体中に伝わり、足から力が抜けそうに────あ、ガクガク笑っている。

 

 「あ、あああああああああアンタねぇ?! 身長と体重はともかく、他のやつは余計だ!」

 

「(あ、体重は良いのにスリーサイズはダメなんだ?) いやいやいやいや、服を決めるのに採寸は必要だよ?」

 

 朦朧と拡散していきそうな意識をとどめて情報をかき集める。

 なんてことは無い。

前の世界(Fate/stay night)』でやったことを、今度は他人にすればいい。

 

 よし。 

 相手は竜貴だし、()()()()()()

 

「ボートネックと斜めがけのドロップショルダーポーチで胸の強調に、見せ用のインナーブラで女子力上昇。 寒い風対策として上からテーラードジャケットを羽織って、下はワイドパンツでも良いけど贅肉無いぶんスレンダーな足が隠れちゃうからミニスカートにロングベルト着用してそれを垂らしてニーハイかサイハイブーツにタイツかサイハイソックス。 髪の毛のケアは意外となっているようだから後ろはそのままで前髪はヘアピンで横にそろえるか、キャスケットをかぶって────ってどうしたの、タッちゃん?」

 

 竜貴はポカンとまるで目の前の三月を始めてみるかのような目と、マンガなどで見る『耳から蒸気が出ている』かのような状態だった。

 

 三月が周りを見渡すと、周りにいた女子たちも同じような目をして彼女を見ていた。

 男子たちに至っては『有沢って、結構(胸が)大きいんだ』と思っていたそうな。

 

「……………………………………………えっと。 ごめん三月、今なんて? ていうか何語?」

 

「え? だからタッちゃんに似合いそうな服装だよ?」

 

「…………………………………………ごめん、書いてくれるかな? 『髪の毛』と『ヘアピン』はなんとか聞き取れたけど、その他は外国語────」

 

「────すごい渡辺ちゃん────!」

「────かなりの物知りだな────」

「────三月ちゃんから見た私は?! 私には────?!」

 

 「「────うおおおおおおお?!」」

 

 近くにいた(体型のせいでいまだに子ども扱いする)みちる、国枝、真花が三月に(そして結果的に竜貴も)顔を間近まで迫った。

 

 余談だがこの日を境に空座町1-3組を中心に、徐々にだが女子生徒たちの身だしなみが一段とグレードアップしていくのだが、それはまたの話である。

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

「一護、ついてこい。」

 

「だからどこの不良だよ。」

 

 一護は性別と合う制服をしたチエを見たその日の態度はよそよそしかった。

 

「目ぐらい、合わせんか。」

 

「………………」

 

 どれほどかと言うと一日中ずっと(以前より更に)目を合わせないほどだった。

 

 だがそれもチエによって意図的にか、恣意的(しいてき)にか変えられる。

 

「しかし()せんな。 下半身がスゥスゥするというのは。」

 

 チエはスカートの橋をヒラヒラさせながら持ち上げると、すでに短かった空座高校のミニスカートが超ミニスカートへと変わり彼女の生足が更に露出した。

 

「うわ?! バ、バカ野郎! 持ち上げんじゃねぇよ!」

 

 これを見て一護はチエのスカート(と彼女の手)を掴んで無理やりおろした。

 

 「「「「「チッ。」」」」」

 

 丁度何かを床に落とし物をしたのかしゃがんだ男子生徒たちから一斉に舌打ちが聞こえてきたが、次の声でそれどころではなかった。

 

 「「「「黒崎って大胆!」」」」

 

「んな?! ち、ちげぇよ!」

 

「『大胆』? 何にだ? あからさまに視線を他の者のように私の足に向けてはいないが?」

 

 クラスの女子に一護が不定の言葉を示し、チエは?マークを出しながら頭を傾げた。

 

「ひ、姫しっかりして~~~~~?!」

 

「息をしていませんね。 ここは人工呼吸で────」

 

「────どさくさに紛れて何をやってるのプレ(プレラーリ)さん?! 人工呼吸なら私が先約だからね?!」

 

 ハイライトの消えた目と青ざめた織姫の体を右側にアネット、左側に千鶴が彼女の処置で言い争っていた。

 

 まさかこのようなことになるとは(約一名を除いて)誰も予想していなかった。

 

「なんでじゃ?! なんでチーちゃんがを着る気分になるのかしら?! いつや?! なんででしょう?! どこじぇ?!」

 

「校則違反と知ったからな。」

 

「そ、そげなこつ(んなこと)で? …………………………………………………………………わ、私の10年間の苦労がッッッッッ?!」

 

 悔しがりながら三月は涙を流すのを、その時必死にこらえたそうな。

 

 方言がメチャクチャになったのは大目に見ようと思う。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 時は移ろい、季節はちょうど冬がとうとう空座町に訪れていた。

 

 吐けば白い息が普通に出るほどの気温の中で、一護と竜貴は────

 

「────せい!」

「うお?!」

 

 ────組み手をしていた。

 

 無論これは本気のものなどではなく、鍛錬の一環。

 そしてどちらかというと竜貴が意外と一護を相手に優勢していた。

 

 竜貴も一護と共にチエとの鍛錬に付き合い始めた頃は一護にコテンパンにやられていた。

 

 模擬戦とはいえ、『相手を殺さない、かつ(物理的な)後遺症の残らない』ルール以外に決まっていない接近戦を10年近く続けていた一護の肉体と、死神代行として鍛えられた反射神経と実戦経験の差の賜物である。

 

 だが皆には思い出してほしい。

 

『有沢竜貴』は片腕を折ってなお、インターハイで準優勝を見事に成した『人間のバケモノ』だというのを。

 

 となると、彼女と一護の差はつまるところ後者の『反射神経』と『実戦経験』だけ。

 しかも反射神経に至っては『ルールほぼ無用』という状況にさえ慣れてしまえばどうとでもなる。

 

 そして『実戦経験が無い』というハンデを『有沢竜貴』は補うほどの実力を持っていたので、瞬く間に兄弟子である筈の一護が押され始めるのに、そう長くは掛からなかった。

 

「ぬぅん!」

「な?! 嘘だr────ガハッ?!」

 

 現に先ほどの竜貴が繰り出した回し蹴りを彼が首をわずかに傾げて回避したところ、彼女は軸にしていた足のつま先に力を入れてけりによって体が回り始めた動作を無理やり中断させ、けりを今度は反対方向に力を入れて一護の頭を曲げた膝の裏で押し、そのまま足で地面を踏みつぶすような勢いで驚愕した一護の頭と上半身が地面に叩きつけられた。

 

よっしゃー! どんなもんでい!

 

「おお、今のは良い機転だな。 やはりバケモノだな。」

 

「……アンタに言われるといろいろ複雑だよ。」

 

 普通ならチエに決着を申し込んでいるところだが、一護たちと組み手を始めたころの結果を思い出しながら冷静に竜貴は言葉を返した。

 

「いてててて、たつき……お前が本当に人間か疑いたくなるぜ! なんだよ今の『格ゲー』っぽいキャンセル技は?! 普通は無理だかんな今の?!」

 

「足先の筋肉を鍛えれば誰でも出来る筈だぞ一護?」

 

「そうだよ一護。 負け惜しみなんてらしくないよ~?」

 

「く……お、お前ぇぇぇぇぇ……」

 

 チエの正論はともかく、ニマニマした竜貴に一護は腹が立った対抗心を燃やした。

 

「しかし流石は竜貴だな。 昔から私の予想から外れるのが得意だ。」

 

「え。 そ、そう?」

 

「なんだその煮え切らない返事は? 普通、人はそう言うと嬉しがると聞いたが?」

 

「いやだってアンタ、昔から表情がぜんッッぜん変わんないじゃん。 どれだけ子供のころからアンタ相手に苦労したと思うの? 動作の対処は見てからの反応で遅れるし、こっちの攻撃が効いているのかも分かんないし、体力の消耗配分とかも狂わされるし。」

 

 竜貴の言葉に、意外な人物が口を出す。

 

「え? そうか?」

 

 一護だった。

 

「一護、口からでまかせを言うんじゃないよ?」

 

「いや、そうじゃなくて……俺は結構なんとなくだがわかると思うぞ?」

 

「え。」

 

「(む。 意外だな。 相手の気に対し、それほどまでに()()になっていたのか。)」

 

「たとえば今のチエは『少しだけ驚いている』、とか。」

 

「おお、当たりだ。」

 

「え。」

 

「あとは卑怯な手で相手を一方的な攻撃を見たりすると普通にイライラしたり────」

 

「────へぇ~? 一護、アンタってチエのことを()()見ているんだね?」

 

「は? 当たり前だろ?」

 

 またもニヤニヤし出した竜貴が意表を突かれてギョッとする。

 

「うエ?! い、一護…アンタまさかチエが『本命』ってわけ?!」

 

「………………………………は?」

 

「『本命』? いや、『ばれんたいん』の甘未はすべて『義理』で出しているはずだが?」

 

「「違う違う違う違う違う違う違う。」」

 

『そもそも十二月ですよお嬢さん?』、とは言えない二人だったが、『バレンタイン』と聞いて先ほどの『本命』がどのようなことを示していたか一護は感づいたらしく、彼は一気に困った顔と頬を赤らめた。

 

「そ、それも違うぞたつき! てかなに本人の前で言い出すんだよお前はぁぁぁぁぁ?!」

 

「あ、やべ。」

 

 一護が秘密にしていた*2筈のことをサラッと、場の流れで本人たちの前で暴露してしまった竜貴。

 

 そんな二人はチエを見るが────

 

「?????????????」

 

 ────相変わらず疎いのか、そういう話題に鈍感なのか、ただ?マークを頭から発信していた。

 

 平常運転の彼女を見て一護と竜貴はホッと胸をなでおろした。

 

 ちなみに三月と言えば、彼女に加えてアネットが織姫の『手芸部への入部』を受けて『喜んでッ!!!!』の一言で同意し、ほぼ毎日三月を独り占め────独占しようと放課後は(抱いて無理やり)彼女と部活行動に励んでいた。

 

 いや、バタバタと手足を(主に手を)バタつかせて三月が暴れていたことから『励んでいた』というより『連行された』と言ったほうが合っているか?

 

「……………………………………………………………………………………………………」

「バカですかこの眼鏡は。 そのような生地よりこちら────」

「────そっちは無理だ。 部活の予算が年末までに持たない。 だから────」

「────ですが安布を使ったところで────」

「────安布でも見栄えが良いものを作るのが腕の見せ所────」

 

「────あぁぁぁんまりだぁぁあぁ~~~~~~~。」

 

 三月は放心しかけ、口からエクトプラズム的ななにか(魂(?))が抜けていくかのような様子だった。

 

「えっと……三月ちゃん、チョコボー〇ケーキ食べる?」

 

 グゥゥゥ~~~~~。

 

喜んで!

 

 目をキラキラと光らせながら、織姫の見た目は独創的ではあるが味は非常に良いデザートを幸せそうに三月はモキュモキュと楽しみ、いつものやり取り(小動物の餌付け)に(彼女の食べる量が外見とのギャップも含めて)手芸部員はホッコリと和んだ。

 

 ちなみにこのやり取りは織姫たちが虚圏から帰って来てから始まったそうな。

 

『上姉様の好きな物ですか? 食物ですね。

 

 上記のような、眼鏡をかけなおした瞬間にキラリと光を反射させてからゲン〇ウポーズをとって織姫に色々と吹き込んだ、どこぞの誰かの所為ではない。

 

 …………………彼女の所為であったとしても、善意からでの行為なので良しとしたい。

 

「いちいち(声が似ていて)うるさいですねこの眼鏡。」

「君も眼鏡じゃないか?!」

「それに(声が似ていて)ケチケチしているのですね? そこは(声が似ていて)技量の見せ所ではないのですか?」

「…………………………………………新参者なのに堂々と部長である僕にそこまではっきりモノを言うのは君ぐらいだよ。」

「それはよろしくない名誉ですね。 それは(声が似ているだけで)貴方自身の人付き合い方の所為では?」

「「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ。」」

 

「「「「あわわわわわわわわわわわわ。」」」」

 

 急に眼鏡から反射する光によって目が見えなくなった時に不気味な笑いを出し始める雨竜とアネットの周りの気温が一段と急降下していき、周りの部員たちは寒気から(?) 青ざめながら震えだした。

 

 ともかくあちらはあちらで盛り上がっていたらしい。

 

 そんなことを知らない一護たちは日々を過ごした。

 

 一時の平穏を満喫していったのである。

 

「(う~ん…本当は次回に備えをしたいんだけど既に色々としたし、次は『能力』を持っているとはいえ『()()』が相手の筈だから大丈夫かな?)」

 

 三月でも例外ではなく、浮かれていた。

 

 

 ___________

 

 『渡辺』チエ 視点

 ___________

 

「うーん、思ったよりチエってば竜貴に似ているなぁ~。」

 

「さすがは『双竜』……てか制服もそろったから余計にだね?」

 

「うーん……色白だし、色的に白と黒メインに────」

 

「────私は────」

 

「「────そこにいて! 服は選んでおくから!」」

 

「サイズを測るのは私に任せなさい!」

 

 何なのだ一体?

 

 先日の竜貴といい、今度は同じクラスの者たちまで私を近くの服屋に引きずって互いに意見を出し始めた。

 

 ………………………なぜだ?

 

 この10年、口うるさい『自称姉』(マイとかいう個体も入れれば姉()())から同じように進められていたがそうする意味を見出せなかった。

 

 なのに一護に迷惑がかかると思った瞬間────

 

「────ちょっと渡辺さん? ()()は何?」

 

 本匠が『びーほるだー』を奇怪なものを見るかのような目で見ていた。

 

「これか? 動くときに胸が邪魔でな? 最初はサラシを使っていたのだが胸が残ったのだ。 そこからこの『びーほるだー』のことを聞いて使ってみると胸が無くなったのだ。」

 

「………………ちょっとそれ取ってくれるかしら?」

 

「ああ。」

 

『びーほるだー』のジッパ(ファスナ)ーを下して取り、シュルシュルとサラシを解いていくとジワジワと圧迫感の解放とともに、体の重心が胴体から胸部に少々分散されるのを感じていく。

 

「フゥー。」

 

 やはり邪魔だな、コレ()は。

 

 「ブハァァァァァァァ?!」

 

 いつ損傷したのか知らないが、本匠(千鶴)は鼻から血を勢いよく噴き出しながら倒れた。

 

「び……び……美乳……」

 

「「「…………………………………」」」

 

 ほかの知人たちである国枝()夏井(真花)有沢(竜貴)がこっちを見る。

 

「意外とデカい……」

「着痩せするタイプだったんだね……」

「何カップ?」

 

「『かっぷ』? 私が使うのは確か『まぐかっぷ』というものだが?」

 

「「「違う違う違う違う違う違う違う違う。」」」

 

 どういうことだ?

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 皆にいろいろと触れられて『めじゃー』というもので測った後、私は『でぃー』というものらしい。

 

「ま、まさかチエがアタシより大きいなんて……」

 

 竜貴が頭を抱えたので、訪ねることにした。

 

「それは良くないことなのか、竜貴?」

 

「あー、あれはただショックを受けているだけだよ。」

 

 モニュモニュモニュモニュモニュモニュ。

 

「そうなのか? それはそうと、なぜ先ほどからずっと胸を揉んでいるのだ夏井(真花)?」

 

「なんか自然と。 丁度いい形とサイズだし。」

 

「そうか。」

 

 ちなみに先ほどから本匠(千鶴)は出血多量で気を失っていた。

 

「チエ、これに着替えてみて。」

 

 国枝()が持ってきたのは女性物の下着と服。

 

「断る。」

 

「服までほとんど脱いでそれは無いんじゃないかな?」

 

 こういう時のアイツ(三月)はどうしていたのか……

 

 確か手を上げて────

 

「────だが断る。」

 

「一護のびっくりして慌てる顔を見たくない?」

 

「別に?」

 

 今日見たので良しとしよう。

 

「じゃあ、真咲さんに褒められるのは?」

 

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

 

 それは意外と……悪くないな。

 

「…………………………………………………………いいだろう。」

 

「よっしゃ!」

 

 だが何故そこでまるで勝ったように有沢(竜貴)は嬉しがるのだ?

 

 理解不能。

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 

 夜空の中を、人口の光が力強く照らしていた場所へと移る。

 

 そこは空座町の西に近隣する『鳴木(なるき)市』、前者と比べてしまうとまごうことなき『都会』である。

 

 ここはその昔、藍染の実験場として多くの死神たちが次々と原因不明の殺され方をされて恐れられた場所。

 

 偶然にも当時は『志波家』と名乗っていた一心が、黒崎真咲と初めて会って恋仲になった場所でもあり、イチゴの友人たちである浅野や水色もこの市の出身者。

 その鳴木(なるき)市の中、長身の二人の男が()()()()()道を歩いていた。

 

 一人は肩までそろえた黒髪で、どこかワイルドさを示すような服装を。

 もう一人はも同じ黒髪と長さだがウェーブがかかっていたスーツにサスペンダーと、どこか知的さの服装をしていた。

 

 この対照的な二人の行き着いた先には厳重そうな扉。

 その横にカード認証の機械に、一人の男がカードを入れると鍵が解除されたのか重たい音が響く。

 

 中に入ろうとして────

 

「やぁ。」

 

 ────既に中にいた人物に、サスペンダーを着た男は本の栞をなぜか出して、もう一人は首にかけた十字架のネックレスを手に取る。

 

「私は君たちが武器を出すことを問題に感じていないが、攻撃するのはお勧めしない。」

 

「テメェ、いつの間に……」

 

 中にいた人物が口を開けた……のではなく、背後から来た声に振り向くと中に居たはずの人物が予想通り立っていた。

 

「君たちは確か……『銀城(ぎんじょう)空吾(くうご)』と、『月島秀九郎(つきしましゅうくろう)』だね?」

 

「僕たちの名前まで……まさか、死神か?!」

 

 サスペンダーの男────『月島秀九郎(つきしましゅうくろう)』が持っていた本の栞が刀に代わる。

 

「『死神』? ああ、そういえば『銀城(ぎんじょう)空吾(くうご)』は彼らと敵対していたね。 私は『元死神』だ。」

 

「月島、武器を下せ。」

 

銀城(ぎんじょう)?」

 

 ワイルドな服装の男────『銀城(ぎんじょう)空吾(くうご)』は必死に動揺や噴き出る汗を気力だけで押しとどめていた。

 

「こいつの霊圧を()()()()()()()()()()。」

 

「だから何だというんだ銀城(ぎんじょう)?!」

 

「つまり、目の前のこいつは余程の弱い存在か────」

 

「────ご明察。 私の霊圧は同等かそれに近いレベルの者でないと感知できないほどのモノだ。」

 

「それで? ここに来たってことは、尸魂界の命令で俺を殺すってか?」

 

「誤解しているようだね、『完現術者(フルブリンガー)』の諸君? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 銀城(ぎんじょう)は思わず自分を見ながらはっきりと蒸気を断言した人物を前に思わず喉をゴクリと音を鳴らせた。

 

「…………………」

 

「なに、私は君たちをどうこうするつもりはない。 助言と、わずかばかりの気遣いさ。」

 

「何が目的だ?」

 

 月島(つきしま)の問いに、人物はただ笑みをわずかに深くさせた。

 

「『“尸魂界への復讐”は私の目的の利害に一致している』と言えば分かるだろうか? もちろん私は君たちが何をしようが干渉はしないし、邪魔もしないよ?」

 

「へ! 『ギブ&テイク』って奴か! アンタほどの奴がか?! 笑えねぇ冗談だぜ!」

 

「そうだね。 でもそれは冗談ではないからだよ?」

 

「あー、ハイハイそういう御託は良い。 いいぜ、『情報をくれる』ってんなら聞こうじゃねぇか!」

 

「そうか、なら────」

 

「────けどよ? 名前も知らない相手から『ハイそうですか』と受け取るのは気味が悪くてしょうがねぇ。 名前くらい言ってもバチはねぇだろう?」

 

 前代未聞の存在を前に、銀城(ぎんじょう)は強気に出てできるだけ相手の情報を取り出しながら時間稼ぎをしていた。

 

「そうか。 名前なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬酔木(あせび)の者』とでも呼んでくれたまえ。」

 

 ()()()()()()()()は薄い笑みのまま、そう名乗った。

*1
作者の他作品、『天の刃待たれよ』より

*2
17話より




馬酔木:
ツツジ科アセビ属に属する常緑性の低木であり、観賞用に植栽もされる場合もある。 『あしび』、『あせぼ』とも呼ばれている。
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