白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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………………………(汗
た、大変お待たせ致しました! 次話です!

少し切りのいい部分までですのでかなり短くなってしまいましたが、楽しんでいただければ幸いです! (汗汗汗汗汗汗

このままいくと明日も投稿できそうです! が、短くても毎日投稿か少し長めで一日おき+土日以外の投稿……どちらのほうが良いか少し迷いますね。 今更感アリアリですが……

追記:
アンケート実地中の文章が抜けていました、お恥ずかしい限りです……
お手数おかけ致しますが投票にご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます! m(_ _)m


第109話 The Greed of Imbeciles

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 次の日、雨竜が一命を取り止めた知らせに織姫は泣き出した。

 

 「よがっだよぉ~~~~! ふゎぁぁぁ~~~ん!

 

「ほらほら織姫、鼻チィーンしなさい。」

 

 「びぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 またも病院に戻ったチエたちは今度、昨日はゴタゴタして診に来れなかった三月が居る病室の外にいた。

 

 病室と言っても、いわゆる集中治療室の中に彼女はいて、周りの機械は生命維持装置だらけの中で虚ろな目をした彼女は様々な機械に繋がっていただけの部屋だが。

 

「それで竜ちゃん先生、彼女の容態は?」

 

「だから、俺の………………………もういい。 渡辺……『小さいほうの渡辺』に目立った外傷は見当たらない。 せいぜいが膝をすりむけた程度だ。 が、()()()()()()()()と言うのが現状だ。」

 

「どういう……ことだよ?」

 

 竜弦はちらりと嫌なものを見るかのように一護を見てから言葉を続けた。

 

「……ようするに、彼女の容態は『脳死』と似ている。 呼吸、心臓、目の瞳孔など、あらゆる自発運動が機能していない。 『似ている』と言ったのは、ごく稀にだが外部の刺激に反応を示す節があったからだ。 非医学的だが、『半脳死状態』とでも名付けようか。」

 

「三月ちゃん……」

 

「「……………………」」

 

 通路から窓の向こう側にいる知人を、織姫は見ているだけの事がもどかしかった。

 彼女の『盾舜六花』で『外傷の巻き戻し』は既に実績で証明されている。

 

『だが“精神”の病や状態はどうだろうか?』

 

 そんな考えが織姫の頭を────

 

「────やめときな、井上。」

 

「え? く、黒崎君?」

 

 少し意外そうに織姫はまるで自分の考えていたことを分かって止めるような言葉を放った一護をキョトンと見る。

 

「『もしこれが敵の術ならば、お前の能力も計算済みカモしれない』、だろ? イチ護。」

 

 ここでチエがカタコト発音になったことにびっくりしたのか、一護と織姫は一瞬キョトンとする。

 

「どうかしタか?」

 

「あ、ああその通りだ。 それにもしお前の能力が精神にも通用するのなら、ちょいと怖いな。」

 

「え?」

 

「だって考えても見ろよ。 もし加減を間違えたらそのまま頭の中だけが幼児化した三月に『お姉ちゃん』とか『お兄ちゃん』呼びされる俺たちをよ?」

 

「………………………………………………な、なんか良いかも。 (ポッ)」

 

え゛………………………………………………いやいやいやいやいやいや、無ぇよ。」

 

 織姫は頬を赤らめさせながら顔を両手で包む姿に反し、一護は遊子や夏梨の代わりに三月を入れようとした想像を断ち切った。

 

「(さて。 どうするか……アネットに話して、手伝わしてみるか。)」

 

 そう考えているうちに面会時間が終わり、病院を出て各々が各自の家やアパートに戻っていく。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 その日の深夜、空座総合病院の()()()()()()()()人影があった。

 

 人影はそのまま頂上まで走り、屋上のドアの前で二人が止まる。

 

「アネット、コレを開けれるか?」

 

「私は『ライダー(騎乗兵)』であって『アサシン』ではないのですが……やってみます。」

「ピィ。」

 

 そこでアネットの()()()がウゾウゾと、まるで生きているかのようにひとりでに動き出し、ドアと壁の隙間から中へと侵入するとポイちゃんが今度はチエの方へと移る。

 

「大きくなったナ。」

「ピィ♪」

マスター(井上)の手料理は見た目()()が玉にキズですので。」

 

 少し前まで雛鳥だったポイちゃんは今では本当に見た目以外は栄養満点である織姫の手料理(のまかない)ですくすく育ち、今では鷲サイズ。

 

 流石にここまで大きくなると人前で放し飼いなどは無理があるので、こっそりと空座町の夜空へと出すとご機嫌のまま様々なモノを持って帰って来ては織姫に感動されていた。

 

 10円玉や50円玉のような硬貨や、時たま織姫が学校で忘れ物をした文房具や手芸部での小物など。

 

 余談だがネズミなどのナマモノは織姫が見る前にアネットが秘密裏に処理していた。

 

 カチ。

 

「開きました。」

 

「ありがとウ。 ここからは一人デやる。」

 

「さようですか。 ではマスター(織姫)に勘付かれる前に帰りますよ、ポイちゃん。」

「ピ!」

 

 鍵を解除したドアをアネットが開けるとチエはそこから病院の中へと侵入する。

 羽で敬礼をするポイちゃんを一撫でしてから。

 

 なぜこうも犯罪寄りな手段を取っているかと言うと、病院に入院している雨竜、三月、マイの三人の中で唯一会話ができるマイと『これからの話』がしたいのだが、面会時間内だと必ず誰かが立ち会ってしまうからだ。

 

 なのでいろいろな意味での『込み入った話』が出来なかった。

 

 つまり理由は単純に『マイならば何か知っているかもしれない』、という動機からである。

 

「(それに私が話すとき、周りの者の視線が変わっているということは、()()にでも影響が出てき始めたか。)」

 

 彼女は素早く、かつ物音を立てないように移動しながら病院内を駆ける。

 

 ついにマイがいる筈の病室へと着き、中へ入って────

「────やっぱここたか。」

 

 病室の中では呆れたような顔をする一護と、少し眠たそうな竜貴がいた。

 

「?????????? なんで、こコに、お前たチが?」

 

「ふわぁ…アンタがアネットと話していたのを見たからさ、聞いたんだよ。 彼女はボカシていたけど、織姫から『寝るフリをしたら急に病院の方角へすっ飛んだ』っていうからさ? 『もしかしたら』と思って石田先生に頼んだんだ。」

 

「(『井上織姫』の()()か、侮れないな。)……よく許可したナ?」

 

「そこは俺のおふくろが『カタギリって言えば良い』って言ったんだ。」

 

「(………………?) ッ。」

 

 チエが急にドアの外に視線と頭を向けて注目する。

 

「……………一護、竜貴。 動くな、身を潜メ────」

 

 彼女が言葉を言い終える前にフッと病院内の照明が落ちる。

 

「────て、停電?」

「いや……なんかおかしいぞ? 周りの建物の電気は生きているっぽいし────ってなんだありゃ???」

 

 一護が外を見るために窓へと寄ると、病院の周りを囲むかのよう装甲車が数台停めてあったのを見る。

 

「どうした一護?」

「んー、なんかゴツイ車が病院の周りにとまっている。 なんか事件でも────?」

「────シッ! 二人とモ静かニしろ。」

 

 チエの顔が真剣なものとなり、纏う空気がピリピリなったことに一護と竜貴が口をつぐむ。

 

「………………くル。」

 

「「???」」

 

「(この足音、数、慌てだしさ……攻めてきているな。 そして今ここで戦えるのは私だけ……か。)」

 

 チャキ。

 

 チエが背負っていた竹刀から刀を抜刀するとやつれたマイが上半身を起き上がらせようとするが、数センチほど浮かべたところでただ震えるだけに終わる。

 

「チエ、ちゃん……」

 

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 ザッザッザッザッザッザ!

 

 統制の取れた特殊部隊の走る音が静まり返った病院の中へと続いていく。

 

「離せ貴様ら! いったい誰の許可を得て────グハァ?!」

 

 他の医師や看護師と一緒に追い出されたのか無理やり連れだされた様子の竜弦が特殊部隊の上官らしき者に問い詰めると、問答無用に顔からメガネがはがれるような衝撃でM4カービンのストックが顔面にぶつけられた。

 

 場面は一回り大きめの装甲車内部へと変わると、中には特殊部隊の高官たちが場の緊張とは違う原因の汗を掻いていた。

 本来なら彼らはこれだけ現場の近くではなく、もっと離れた場所にいるはずなのだが()()があって現場で指揮をとっていた。

 

「狙撃手、突入隊、配置完了しました。」

 

()()()()情報は行き渡っているのかね?」

 

「ハッ。 偽装工作で一般の警察官たちには周りの閉鎖、および裏部隊が既に内部の患者と従業員を数名()()しました。」

 

「万が一、やじ馬(報道局)どもが感づいて来た場合は?」

 

「『武装したテロリストが従業員と患者数名を無差別に殺害し、十数名を人質に立てこもっているゆえの即解決の必要性アリ』と。」

 

「……すこし弱いな。 『逃走用の移動手段と身代金も要求している』と付け加えろ。 実行部隊にはどう伝えている?」

 

「『テロリストは火器および刃物にて武装し、人を既に数名殺している。 ゆえに一刻の猶予は無用、突入を開始し即刻射殺せよ』……で、よろしいのですね?」

 

 通信と高官の者たちは装甲車の中に居る、白い軍服を着た者たちに確認を仰ぐかのように問いかけた。

 

 何を隠そう、この者たちが原因で高官たちはここにいた。

 

 一人は口の左部分に切り傷があるアジア風の顔立ちの男はちらりと声をかけた彼らを見ては、無視するかのように素気無い態度をする。

 

「イヤァ、すまないねぇ諸君! こちらの『蒼都(ツァン・トゥ)』は恥ずかしがりやで無口なのさ!」

 

 もう一人の独特のヘアースタイルに、顔の上半分をゴーグルで覆った細身の男が代わりに答えた。

 

「ま。 老いも病にも怯える事はないステージにお前らが上がってきたいのなら? 『頑張り』は必要だぜ~?」

 

「「「「……………………………………」」」」

 

『こちら、突入部隊チャーリー。 テロリストがいると思われしきフロアに到達! 最終確認、お願いします!』

 

「……………」

 

 通信の者が高官たちを見ると、彼らは一瞬戸惑って、互いを見てからうなずく。

 

「と、突入! 突入開始! 一刻の猶予は無用! 突入を開始し、即刻射殺せよ! 繰り返す、拘束無用! 即刻射殺せよ!」

 

 これを聞いた独特のヘアースタイルを持った男が『ニィー』っと、ご機嫌よく笑顔になると彼のオセロ歯が目立った。

 

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「こちら、突入部隊C(チャーリー)。 テロリストがいると思われしきフロアに到達! 最終確認お願いします!」

 

『と、突入! 突入開始! 一刻の猶予は無用! 突入を開始し即刻射殺せよ! 繰り返す、拘束無用! 即刻射殺せよ!』

 

 それを合図に、各隊員はM4カービンのセーフティーを外しながら一斉に走り出す。

 

 キィィィィィィィン。

 

 耳鳴りのような、高い音がそのとき辺りに響いた。

 聞こえ慣れした人なら()()()()()の音と分かったのかも知れなかった。

 

「な────?!」

「ばk────?!」

「出てk────?!」

 

 ズシャアアアア!!!

 

 ドアが内側から斬られると同時に人影が出ては近くにいた隊員たちがスッパリと綺麗に、バラバラになった部位から血しぶきがそこら中に噴き出る。

 

 と言うのも特殊部隊の防護スーツ、下腹部を保護するプレートが装着された防弾ベストや防弾バイザーを装着した防弾ヘルメットなどの装備はすべて『相手が銃を使う』という前提の装備ばかり。

 

 決して『防刃』では無かった。

 

「グヮ?!」

「ギッ?!」

「う、撃て! うt────!」

 

『防刃』だとしても、この場合の相手に通用するかは正直『微妙』というか、『通用すれば多少マシ』とも言えるのだが。

 

「子供────?!」

 

 部屋から出てきて最初の数名を斬り伏せたのは、特殊部隊たちが予想していた大男や重装備をしたテロリストではなく、『華奢』寄りのしっかりした体と中世的な顔をした、おおよそ『少年』か『少女』の年齢の者だった。

 

「かまうな、撃────!」

 

 そしてその姿に戸惑った隊員が次々と斬られていき、ショックから回復した者たちがトリガーを引くと銃撃音が鳴り始めた。

 

 さて、少し余談だがM4カービンの5.56㎜弾の発射と銃口速度をご存じだろうか?

 

 発射速度は使用者、銃器の設定などで約700~900発毎分のズレがあるものの、銃口速度は毎秒905mである。

 

 そして音速は温度の変化ごとにまたズレが生じるものの、速度は毎秒331mほど。

 

 つまりどういうことかと言うと『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。

 

「銃弾を斬りおt────?!」

 

 そしてそれが病院に突入した隊員たちの前で起きていた。

 冷たい現実をこれでもかと見せつけるかのように。

 

「ば、バカな! バ、バ、バババケモノォォォォォォ!」

 

 最後となった隊員は空になったM4カービンの弾倉を再装填するよりも震える手で、タクティカルベストのホルスターからサイドアームであるグロック19を、目の前の非現実的な(バケ)モノへと向けながら怯えた声で叫ぶ。

 

 彼の周りには既に重傷で絶滅した同僚たちの手や首や両断されて下半身を失くした上半身などが散らばっていた。

 

 純白だった床は血と内臓で赤黒く変わり、恐怖と絶望で人間が漏らす糞尿などの、ツンとするアンモニア臭が病院内独自の消毒薬の匂いをかき消していた。

 

 彼の前には返り血と飛び散った血肉が、まるでリアル感を追求し過ぎた趣味の悪いSFXメイクのように、顔と体中にこびりついていたチエが震えた彼へと容赦なく歩いていた。

 

「そうダ。 ()()()()だ。」

 

 体の震えに隊員の歯がガチガチと音を鳴らし、彼はトリガーをひたすらに引いていく。

 

 それは意識しての行動か、反射神経の動作か、あるいか震える指の所為か定かではなかった。

 

 チエは自分に到底当たらない弾丸をそのまま無視し、体の近くを通るような9㎜弾を刀で払い落としながら、最後には腕と手首の一捻りで隊員の首が胴体から外れた。

 

「チ、チエ────ウッ?! オエェェェェェェェェ?!」

 

 彼の首がゴロゴロと床を転がると同時に、発砲音がもう鳴らなくなったことでオドオドしながら廊下の惨状を見た竜貴が戸惑いなく胃の中を戻す。

 

「チ、チエ……お前……」

 

 彼女と一緒に部屋から出てきた一護だけはクラクラする頭で、初めて()()を犯した幼馴染の名をただ呼んだ。

 

「一護、竜貴。 ここにいろ。 片づけてくル。」

 

「いや、でも、こいつら……『人間』……なんだろ?」

 

 一護はやっと言葉を見つけたかのように、彼女に話しかける。

 

「ああ、そウだ。」

 

 チエが()()()()()()で、一護に『それで?』と問うような態度で振り向いた。

 

「に、『人間』なんだぞ?! 分かっているのか?!」

 

「だから何だ? こいつラはお前たち含め、皆殺しにしよウとした『敵』だ。」

 

「けど……けどよ────」

「────『滅する』……『敵を滅ぼす』と言う志を胸に持ち、(いくさ)に挑むことで命を落とスノに『人間』や『物の怪』に違いはなイ。 相手を滅して良いと思えば、逆もしカリダ。」

 

 竜貴は唖然として、自分を疑った。

『チエは極端』と、彼女は前々からは思っていた。

 だがこうもあっさりと人の命を刈り取ることに躊躇がない、『敵ならば殺していい』と言うのは、『果たして本当に目の前の彼女は自分たちが10年も一緒にいた奴か?』と疑うほどだった。

 

 そんな視線をする竜貴からチエは背を向けて、ただ歩き出した。












???:アリを潰さないような足取りは思うより力の加減が難しいものだよ

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