白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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大変お待たせ致しました、次話です!

活動報告にも載せましたが最近体調を崩してしまい、寝込んでいましたが書けるときには書いていたので、何とか金曜日の分を遅ればせながら投稿できました!

楽しんでいただければ幸いです!

なおここから時空が少しの間だけRTA気味に飛びます。


第111話 Unto Forwards Time

 ___________

 

 チエ(?) 視点

 ___________

 

 ここの者たちは良くしてくれている。

 

 茶髪の子供と女性。 黒髪の子供。 

 黒髪の少女と赤髪の少年。 

 

 たまに窓から見ている真っ黒の四本足。

 

「チエの姐さ~~~ん! 特盛持ちとはこの俺、感服っす────ぐぇ!」

 

 動くぬいぐるみ。

 

 そして────

 

「ちょっと黙ってろ、コン。 んでそこで浅野のバカ、何をしたか知っているか? 馬鹿正直に『寝てました!』って答えるんだよ! ありえねぇよな、『チエ』?!」

 

 ────派手なオレンジ色の髪をし、毎日欠かさずに話してくる少年。

 

 他の者たちと違い、この目の前の少年は本当に毎日部屋に来ては延々と話しかけてくる。

 

 そして『チエ』と呼ぶ。

 

 ()()()()()

 

 だが背中に背負っているモノはなんとなく、近くの壁に立てかけているモノに似ている感じがする……

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「よぉ『チエ』! 今日はマイさんに訊いて、()()を持ってきたんだ!」

 

 オレンジ色の少年は今日、書物を手にしてきた。

 

「ま、まぁ勝手にお前の部屋に入ったのは許してくれ────」

 

『許す』?

 

 ()()()()()()

 

「────けどすごい部屋だな? 本棚にびっしりと妙な文字で書かれた本ばっかりだったぜ! どっかの古本屋から取り寄せていたのか? って、答えれるわけないか……」

 

 渡された書物は確かに今まで見た字とは少々違った。

 

 だが問題なく()()()

 

 オレンジ色の少年がいつもの様子で話してくる間、ページを開く。

 

「(これは手書きか?)」

 

 そこには、以下のようなものが書かれていた。

 

1.日記を細かく、その日で思い出せる限りのことを書け

 2.迷いあれば日記を読み返せ

 3.不用な行動は控えろ────』

 

「?????」

 

 なんだこれは?

 誰か宛の文のようだが。

 

「チエ? 俺の話、面白くなかったか?」

 

 おっと、オレンジ色の少年が話しかけていたんだった。

 

 読むのは後でにしよう。

 

 それに少年の話を聞くと、どことなく胸が暖かくなるような気がしないでもないしな。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

「チーch────上のほうの渡辺さん、久しぶりだ。」

 

 デカイ。

 

 なんだこの……………………『見た目だけが大人』な少年は?

 

「うわ、チエも『ポカン』とするんだ。 ちょっと得したな、チャド! レアモノの表情だぜ!」

 

『チャド』?

 チャドと言うのかこの少年は。

 

「あ、『アレ』でか? 俺には全然、表情の区別が……というか変わっていないような気がするんだが……」

 

「そうかぁ?」

 

 そんな話をする二人は、どこかぼんやりとだが()()()()をしていた。

 

「けど一護、この頃早く家に帰っていると思ったらこういう理由があったのか……」

 

『チャド』がどこか、見た目に似合わない『怯え』を覚えるような目を向ける。

 

「……一護、有沢の言っていたのは本当か?」

 

『アリサワ』?

 誰だ?

 

「ああ。 でも、だからこそ『早く力を取り戻したい』って俺は言ったんだ。」

 

「一護……だが今日みたいなのはあまりにも無茶だ! そこら辺の普通の人間であるヤクザなどはともかく……それにジャッキーさんだけじゃない。

 口にしてはいないがユキオ(雪緒)やリルカも心配している。 ギンジョウ(銀城)も言っていただろう? 『本来フルブリングは生まれた時からあるもので、育って行くウチに少しずつ慣れていくものだ』って。」

 

「けどよ、チャド? 突然能力を得たお前や井上と言う前例があるんだ。 ちょっとぐらい無茶を────」

「────イチゴ(一護)、それでもだ。 お前が倒れたら、元も子も────!」

 「────俺のせいなんだよ、チャド! 何もかもが!」

 

『イチゴ』がたまに見せる表情で叫び、『チャド』が黙る。

 

「俺の……()()()()()()で……こいつは人を殺したんだ。 俺たちが……()()()()()()()()()()()()()だったから……こいつは…………………」

 

「イチゴ……」

 

「「……………………………………………」」

 

 ……なんとなく。

 

 なんとなくだが……

 

 何かが胸の中が()()()()()ような気がした。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 なるほど。

 書物を読むと少年────『黒崎一護』が『チエ』と呼ぶのは『わたしの仮名』らしい。

 

 そして私の世話をしに来る少女たちは────

 

「────クロサキ・ユズ……と、クロサキ・カリン、か────ぐべ。」

 

 試しに名を呼んだら二人が一瞬だけ固まってから、大粒の涙を流しながら『わたし』を抱きしめた。

 

 クロサキ・カリンはともかく、クロサキ・ユズのアバラ骨は『痛む』。

 

 それに書物を読む限り、『わたし』は『黒崎一護』に()()()()()()()があったみたいだな。

 

 

 ___________

 

 一護 視点

 ___________

 

 

 チエが遊子と夏梨の名を『日本語で』呼んだ。

 

 それだけ聞いたら何とも言えない気持ちになって、彼女のいる部屋に直行していた。

 

「クロサキ……イチゴ。」

 

 そしてカタコトとだが俺の名を呼んだ時、足の力が抜けたのか思わず尻モチをついていた。

 

「は……ははは……」

 

 ムギュ。

 

 ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ。

 

 何か柔らかいものが俺の額に圧し掛かると同時に、実に久しぶりの感触が頭に感じ取れた。

 

「……ここまで来て撫でるか、普通?」

 

「■■。」

 

 これは……『気にするな』って言っている感じだな。

 

「……ああ……そうだな。」

 

「■■。」

 

 相変わらず分からない言葉だが────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギュ。

 

 ────今はそれでいい。

 

 それでいいんだ。

 

 俺も少しずつだけど、『()』を得ているんだ。

 

 それさえ手にいれば、今度は……

 

 

 

 

 

 

 今度こそは、俺がまも────

 

「────えぇぇぇぇぇ?! イィィヤァァァァァァァ?!」

 

「さすがチー姉ちゃんと一兄って付き合っていたんだな。 でも堂々と人ん()で抱き合う仲とは予想外だな。」

 

「うぃえ?! か、夏梨に遊子?!」

 

「あらあらぁ~、婚姻届けはいつにする~?」

 

「お、おふくろまで?!」

 

「『コン』……『イン』?」

 

「だぁぁぁぁぁぁぁ?! 違うっつーの! しかも変な言葉覚えさせるんじゃねぇぇぇぇ!!!

 

 

 ニヨニヨする夏梨。

 兄が元気になった嬉しさと同時に、兄を取られる悲痛さに頭を抱える遊子。

 そしてニコニコとしながらも、のほほんとした『冗談に聞こえない冗談』をその場に落とす真咲。

 

 

 

 そして『コンイン(婚姻)』と言う単語を、頭の隅に置いて読書を続けるチエだった。

 

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ピンポーン♪

 

「へい、毎度! って、なんだ一護か。」

 

 うなぎ(なんでも)屋の店長が元気よく声を出し始め、来客が一護と知った瞬間に表情を変えたことに一護はジト目で育美を見る。

 

「一目見て明らかにがっかりしないでくれるか、育美さん?」

 

「ハァ~、渡辺が来ていた頃はもっと依頼が殺到していたんだよ? あの子、アンタと違ってやることやってすぐにトンズラせずに、客のちょっとした追加依頼をサービスでやりこなしていたんだから。」

 

「いや、まぁ……その……」

 

 一護は彼女の正論にたじろいでいた。

 普通なら『アンタがやる筈だった古い依頼が押し付けられただけだろうが?!』と逆にツッコんでいたかもしれなかったが、次に頼みたいことがことだけに言い辛かった。

 

「んで? ここで話もナンだから入りな。」

 

「いや、だから……」

 

「ほらほら、冷えるから入んなって。 依頼が溜まって────」

 

「────しばらく、休みたいんだ。」

 

 一護の言ったことに、育美は固まった。

 

 「………………………ハァ?!」

 

 育美の叫びはごもっともである。

 何せ一護は気乗りしていなかったからか、はたまた他の理由でそれ程うなぎ屋の仕事に身を入れていなかった。

 

 普通ならクビにされてもおかしくはないほどであった。

 

「それじゃあ……俺はこれで────」

 「────ちょっと待ちな!」

 

 ここでその場を去ろうとした一護の胸倉をつかんで無理やり止める。

 

「アンタ、あたしに気ぃ使ってんじゃないよ?」

 

 だが、育美は一護が(自分と同じ怠惰な点を除くと)基本的に性格が良いことを理解していた。

 

 それはどんな依頼でも受けるチエとは違い嫌々言いながらも、真に人助けに繋がるような依頼を優先的にとる一護と、依頼主から彼に関して圧倒的に褒める言葉しか聞いていなかったことも関係していた。

 

「忘れんじゃないよ! アンタは……アンタ()()はさぁ?! 『子供』だろ?!」

 

『アンタ()()』。

 

 そう確かに言った育美に、一護は少しだけびっくりしていた。

 それは自分以外の者も入っているということだから。

 

「アンタたちぐらいの16歳はさぁ? 無邪気に笑って、バカやって、たくさんの思い出作って、困ったら近くの大人に頼っていい年頃なんだよ!」

 

「…………………ありがとう、育美さん。」

 

 

 

 

 ___________

 

 雨竜 視点

 ___________

 

 

 意識を取り戻した僕は、急いで井上さんを呼んでケガを治してもらいながら、今までの状況を彼女から一通り聞いた。

 

 圧倒的に情報不足で、今から自分で得るよりは彼女に聞くほうが早い。

 

 そこで分かったのは黒崎が何らかの方法で『死神』とは違う力を得ようと、茶渡君の紹介で必死に修行をし、その成果で少し前から霊圧を発していたこと。

 

「(なるほど。 雰囲気は違うけどやっぱり黒崎の霊圧だったか。)」

 

 そして彼女に傷を癒すのを頼んだのは、もう一つの理由があった。

 

 その黒崎と思わしき霊圧が今日、自分を斬った者の霊圧と接触したからだ。

 

「井上さんも感じただろ?」

 

「う、うん……でも黒崎君がいつもより必死なのが分かって、何も話してくれないからなんとなく……行くのが気まずかったんだ。」

 

 井上さん……

 君はこんな状況でも、彼の身を案じるんだね?

 

「それに……黒崎君と一緒にいたあの感じが石田君を斬った人なら……()()()()()()()()()()()()()。」

 

 自分がおそらく黒崎の所為で斬ら────

 

「────え?」

 

 おかしい。

 それはおかしいぞ?

 

「でも、井上さんに外傷は無かったんだよね?」

 

「う、うん……」

 

「……僕と井上さんでは受けたダメージが……そもそも能力が違うのか?」

 

「あ! その人は刀の事を、『フルブリング』って呼んでいた!」

 

「??? 『斬魄刀』とは違うのか?」

 

 考え込んだ僕の顔を思ってか、井上さんはチラチラと自分の様子をうかがうような視線を時折寄越していた。

 

「ああ、すまない井上さん。 困らせるつもりは無いんだ、今のはただの独り言と思ってくれ。」

 

「あ! そういえばね、さっき黒崎君から連絡あったんだ! チエさんが少しだけど()()()って! でも……()()()()()()……まだ────」

「────井上さん!」

 

「ひゃい?!」

 

 いつもの僕ならこれほど興奮していないし、びっくりした彼女に気遣いの一言も言っていただろう。

 

 だが彼女の表情と言葉で襲ってくるこの不安感に、そんな考えはすっかり飛んでいった。

 

「その話を詳しく聞かせてくれ! 小さいほうの渡辺さんがどうかしたのか?!」

 

「あ、うん……石田君が襲われてから『脳死状態』って────」

 

 ()()()()()()()

 

「────石田、気がついたのか────って井上もいたのか?」

 

「あ、茶渡君────」

 

「────ちょうど良かった。 茶渡君にも話を聞きたかったんだ。」

 

 

 

 そこで雨竜、そして織姫も茶渡を加えて話し合った結果に得た情報量は莫大だった。

 

完現術(フルブリング)』。

 それは『物質に宿った魂を引き出し、使役する能力』。

 

 それがおそらく茶渡の『巨人の右腕』と『悪魔の左腕』、そして織姫の『盾舜六花』の能力たちが部類されるであろう『総称』ということも。

 

「…………………………………………………………」

 

「その……俺が単純にそう理解しているだけかもしれないが────」

 

「────ああ、すまない茶渡君! なにも不愉快に思っていることは無いんだ!」

 

「そ、そうか? 険しい表情になっていたから、何か気を悪くするようなことを言ってしまったのかと思った。」

 

「(まさか茶渡君にもそう思われるとは心外だ。)」

 

「ただ、今日の出来事で黒崎は今よりもっと修行のペースを上げたいと言っていた。 だから井上、お前の能力が必要になる。 おそらくは怪我をするだろう。」

 

「『今日の出来事』? どういうことだい茶渡君?」

 

「………………『完現術者(フルブリンガー)』たちのアジトが()()に襲われた。 おそらくは黒崎の力を見たかったのだろう。」

 

「(『月島』……だと?)」

 

「え?! そ、それじゃあ────?!」

 

「────黒崎は無事だ。 銀城たちがとりあえずは撃退して、今は別のアジトで修業を急遽再開している。」

 

「(もしかして、その月島は?!) ねぇ茶渡君、その『月島』って奴に関して何か情報とかはないか?!」

 

「え? 情報と言っても、俺も『XCUTION(エクスキューション)』に入ってあまり時間が経っていないからな……他のメンバーからの話や憶測や受け売りも入るが、いいか石田?」

 

「ああ。 頼む。」

 

月島(つきしま)秀九郎(しゅうくろう)』。

完現術者(フルブリンガー)』だけで結成されていた『XCUTION(エクスキューション)』の元リーダーで、『完現術(フルブリング)』を取り除いて『普通の人間』に戻れる可能性を発見した男。

 

 その取り除く方法とは『死神と人間の能力を同時に持っている“死神代行”に力を受け渡すこと』。

 

 そして協力的だった死神代行に仲間たちが数名『完現術(フルブリング)』を受け渡して『普通の人間』に戻ったところで、その『元完現術者(フルブリンガー)』たちと死神代行を殺し、姿を消した。

 

 そんな彼の能力は『ブック・オブ・ジ・エンド』。 攻撃能力が極端に高い、()()()()()()()()

 

「そして銀城いわく、『特殊能力は他に無い』と言っていたが────」

 

「────でも、井上さんは斬られても()()()()()()。 僕と違って……能力が変わったということか?」

 

「それは俺も思って銀城に訊いたが、『完現術(フルブリング)』に変化は無いらしい。 俺のように力のすべてを引き出せていない場合は、本来の姿や能力が出てきていないだけに過ぎなかったが。」

 

「…………………それとね石田君? 茶渡君にも言ったんだけど私は斬られた後……実は『違和感』を持ったの。」

 

「『違和感』、だって?」

 

「私が斬られて茶渡君と黒崎君が駆けつけてくれた時、一瞬……本当に一瞬だけだけどね? その『月島』って人を『友達』と()()()んだ。」

 

「……なんだって?」

 

「ええとね? 私も良く分からないから、ありのままに事を話すんだけど……

 その人を『友達』と()()()()()の。

 別に『友達の誰かと見間違えた』とか、『勘違いだった』とかじゃなくてもっと別の……何かかな?

 とにかく、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()』ような……」

 

「「…………………………」」

 

「ご、ごめんね! 私自身、何を言っているのかわからないのに石田君に分かるわけないよね! あ、あははは~……」

 

「……これでいいか、石田? 月島から自分の身を守るために、俺たちに負担をかけないように一護が望んで挑むハイペースな特訓に、井上の治療は欠かせないんだ。」

 

「……あ、ああ! 引きとどめてすまない! ありがとう、凄く参考になったよ! あ! それで、さっき井上さんが言ったことなんだけど────!」

 

 そこから雨竜は、自分が大けがを負った日から三月が『脳死状態』に似た状況下と、同時にマイがずっと入院していることを知る。




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