楽しんで頂けたら幸いです!
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黒崎一護 視点
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時は少し戻り、丁度三月とマイの二人がアメフトのオフェンスセンターよろしく、人混みを突き進んでいる時間に戻る。
あの
だが自分の両親に問いただそうにも、ハッキリとした答えは返って来なかった。
恐らくは『自分の為』と親は気遣っていたのだろう。
そんな彼らに強く出る事も出来ず、一護は出来るだけ自分に出来る事をしていたつもりで、最近は竜貴も徐々に本気を出す事も時々あるようになった。
だがそれでも一つの疑問は続き、今のこの
「なぁチエ」
「何だ?」
チエの何時もの素っ気ないような、興味の無さそうな声が返ってくる。
「マイさんって、本当にお前の母さんなのか?」
「ついに聞いてしまった」感が強まり、一護の心臓の鼓動は早くなっていた。
「……………違う」
チエは数秒後の沈黙の後、そうハッキリと何時もの無表情な態度で答えた。
「そう…………か…………」
少し一護は期待していた。
チエからもうちょっと話題を引き出せるのを。
「どうしたのだ、急に?」
「(う。 考えていなかった……ええい! もうここまで来たんだ! 訊くだけ訊こう!)いや、その……凄く仲が良いんだけど、見た目がさ……… (って何訊いてんだよ、俺は?!)」
「ああ。 私の髪と瞳の事か」
「(あ、あれ?)」
一護はてっきり素っ気ない答えが返って来るのを覚悟したが、思いのほかにチエはスッと返事をした。
チエの赤眼がジッと一護を見て、彼………………『彼女』のストレートに直された黒髪と浴衣がこれ以上ない程マッチしていて、その姿はどこか彼女にしては
「何、気にする事でもない」
まるで「それが?」と言いたそうな、気にしていないような声だった。
「じゃ、じゃあチエはマイさんと三月とは血は繋がっていないって事か?」
「そうなるな」
「………………(でもそれって…………じゃあチエの本当の家族は?)」
一護は自分が疑問に思っていた話題がどれだけの物か今気付いたらしく、表情が真っ暗になっていくのを、彼にしては珍しい深い考えによって無意識な行動だった。
「ごめん……変な事聞いてさ?」
そう自然と一護の口から出た。
「別に大丈夫だ」
「?」
だがそれも違い、思わず足を一護は止めた。
が、チエがこれに気付いて振り返り、空いていた手で彼の頭を撫でる。
「お、おい! (ちょ、ちょっと何なんだよ?!)」
「私は独りに慣れているからな。 お前が気にするような事でも無い」
「ぇ────」
『独りに慣れている』。
それは一護にとっては考えられも出来ない事だった。
この間、もし母を亡くしたとしたら……………
そう思うだけで胸が裂けそうになる。
それなのに、自分と歳があまり変わらない少女は『独りに慣れている』と言った。
そんな少女の背中を一護は見ながらこう思った。
「どんな事が起きればそう思っても、
これにより、チエ達の摩訶不思議な力の疑問など一護の頭から吹っ飛んでいた。
そして場所をとっていた母やと双子の妹たち。
バクバクと凄い量を食べ始める三月とチエ。
それに感化され、競争を始める父親と親友。
延々と食べるチエと三月を互いに見る一護は自身の顔が引きつくのを感じた。
「す…凄い食うんだな、お前ら」
「まあね~」
「そうか?」
ニカッと一護に笑う三月と何時もの無表情なチエ。
まるで自分達の余裕を示すような態度だった。
ヒュルルルルルルルルルルルルルルルルルル~!
ドォォォォン!
お腹に響く音に会場の人達は全員空を仰ぐ。
そこには次々と夜空に打ち上げられる花火の景色があった。
「………………」
だが一護は隣にいる、目を閉じた
その表情はどこか切なく、
────どこか幻想的だった。
そして急に彼女は目を開き、
「どうした、一護?」
「ぁ…………う、ううん…………何でも…………ない」
「?」
一護がチエから視線と顔を夜空へと戻す。
まさか「絵になっていた」と言える訳も無く、一護はこの時の周りの場面を脳に焼き付けた。
笑いあう
食べ過ぎで苦しそうに猫背になりながら首を曲げて上を必死に見る
そばにいる同年代の
皆、自分なりに今この時を楽しんでいたかのように、一護には見えた。
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『渡辺』家 視点
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あの夏の日から数年後、時期は春。
中学校帰りのチエの姿は徐々にだが以前より女性の様になっていった。
主に伸ばした髪の毛で、しかもそのスタイルが以前の様に頭の後ろの一部をヒョロンとしたポニーテールの様に今は腰に届くほど伸ばし、その他の髪の毛は肩までの長さになるまで伸ばしていた。
後は胸をサラシで潰すのが小学生だった頃より少し億劫になり始めたぐらいか?
ただし制服は未だに男性の物を自分で選択して着用していた。
余談ではあるが、彼女の性格と見た目から他の女子達の間で「双竜の王子」の二つ名が密着しつつあった。
これはもちろんチエと竜貴の事を示していた。
情に熱く、腕っぷしも良く、下手な男子より男らしい竜貴。
気薄に見えてその実は芯の通った、裏表も無く、性別にこだわらずに自分の性格を変えないチエ。
男性、女性と両陣から興味を何かと引く二人だった。
「うわ~ん!」
「待てウルル! 俺の新必殺技がまだ終わっていない────うげ?!」
「ジン太、そこまでにしろ」
チエが自分へと逃げてきたウルルを守るように前に出て、『ジン太』と呼んだ少年を片手で頭を鷲掴みにして、上にあげる。
「あいでででででで! 卑怯だぞウルル! チーの姉貴を盾にするなんて!」
「だ、だって…………」
少年の名は『
ウルルと同じく改造魂魄で、
これは『設定ミス』などではなく、「ウルルがあまりにもおとなしくて内気だから次は正反対のモノを造ってバランスを取りましょう!♪」と楽しみながら作業を浦原は進めた結果がジン太だった。
「ジン太。 店番中はやめろと言った筈だ。 それに技を使いたいのなら、私に使えと何時も言っているだろう?」
「だって姉貴に使っても全然効いているかどうか分かんないじゃん?!」
「なら研鑽する事だな」
「そんな面倒くせぇ事できっかよ────あいででででででで?!」
「ギリギリギリギリギリ!」、とするような勢いでチエがさらに握る力を入れて、ジン太がジタバタと痛がりながら暴れる。
「そのようなセリフは一人前になってから言え」
ウルルがおずおずとした様子でチエの背後からジン太を見る。
「や、やーい」
「ウルル、テメェ! 後でジン太すぺsh────ああああああああぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!」
ウルルにしてはジン太に強気に出ると、彼が怒ると同時に万力の様にチエの手に力を更に入る。
「チエ殿。 店長から
「またか。 多いな、最近」
「空座町はその特性故に、よく虚が出没しますからな」
「て、テッサイさん…………こ、今度は危険なの?」
ウルルがそうテッサイに聞くと、彼の顔はムズムズとしながら答えた。
「いいえ、ウルル。 ですが特徴が霊力遮断に長けているようですので、この町に配属されている死神では少々苦戦するでしょう。 そしてその虚は昼行性でもあるので
これを聞き、ウルルがシュンと明らかに落ち込み、テッサイの顔が更にムズムズとする。
「テッサイさん、笑顔になっていません」
「む。 これでも駄目ですか」
この所、ジン太を浦原が造ったのは単なる興味本位のみではなかった。
それは空座町が以前より増して虚が出てくるようになって来たのも理由の一つだった。
そして彼は街に配属されている死神が手こずる、または発見しにくいタイプなどが出てきたのならチエ達にウルルかジン太に実戦経験を積めるように秘密裏に同行して処理して欲しいと依頼をし始めた。
らしい。
思わず三月が「もしかして新素材の研究が進まなかったから、装甲やフレームに旧来の『チタン合金セラミック複合材』を使っている?」と、かなりマニアックな横槍を入れていた。
だが幾ら力があっても、それをフルに活躍できる経験がなければ本番で躓くかも知れない。
そうならないように、チエ達に「ソウル・ソサエティーに感知されにくい虚相手に経験を積めさせたい」という名目で彼女たちに依頼をした────
────という理由は半分本当で、もう半分は彼女達を更に分析する為と、ソウル・ソサエティーに
そして結果、どんな虚でも感知出来る彼女達のずば抜けた索敵能力、遠距離攻撃が出来る三月、相手を抑え込むマイ、そして
この三人の中ではよくチエと三月が指名される。
チエはウルルとジン太の接近戦の模範として。
三月はその攻撃手段で援護射撃を。
勿論、これらは無料でしている事ではなくちゃんと対価を浦原から貰っていた。
それはテッサイに鬼道を、そして夜一には歩法と白打を教えて貰っていた(チエ達の三人ともが)。
チエはさっさと浦原にもらった黒い着物、黒い袴、白い足袋、そして草履に着替えてから浦原商店を後にする前にテッサイ達に一度視てもらう。
「うむ。 どこからどう視ても立派な
チエが今着ている装備は浦原特製の物で、霊圧や姿に気配等を疑似的に『死神』と偽装する物ばかりだった。
「き、気を付けてねチー姉ちゃん?」
「……………………………帰ったら新しい技に付き合ってくれ」
「ああ」
チエが嬉しがるウルルと素っ気ないジン太の頭を撫で、また顔をムズムズと動かすテッサイを見る。
「まだ笑顔ではないな」
「難しいものですな…ではいってらっしゃいませ」
「ああ」
そしてチエはまた空座町へと出る。
もし配属の死神が空座町の異様さに気付く、または虚に手こずるとしたらソウル・ソサエティーは調査をし始めかねない。
なら「裏で厄介な虚は始末して、『普通の町』と情報を偽った方が有利」と思っていた浦原の策の一つでもあった。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「(あー、どうしよう)」
チエと同じく中学生になった三月はこの頃モノ凄く悩んでいた。
『何が“地毛なんです!”だ?! 新入生のくせに生意気なんだよぉ!』
『おら! 染めているんだろ?! バケツの水で洗い流してやるよぉ!』
『というかヅラじゃね? 取ってやろうぜ! 頭だけロッカーの中から出せよ、こらぁ!』
ガシャガシャガシャガシャガシャ!!!
『や、やめて! い、痛い!』
三月は女子トイレから聞こえてくる声と、中で恐らく起こっている出来事に悩んでいた。
だが悩んでいたのはこの事を『無視するか否か』ではなく『どうやって
そしてもし、女子トイレの中の人物が助けられていないままイジメを受け続けるとしたら、何時かは学校に登校拒否をする状態も考えられる。
だがそんな事になれば
そんな事になれば恐らく『原作本来の流れ』から大幅に違ってくる。
最悪、修復不可能に。
それ程の中核を担っている人物なのだ。
『黒崎真咲』とは今回、色々と訳が違う。
何故なら
つまり『この世界の修正力』の対象外となる『魔法』であり、これは三月の知りえる限り、『
「………………よし」
三月は周りに人がいないかどうか確認してから、
「ほら、他の奴らはロッカーを開けろ! バケツに水を汲んでk────ぐへ!」
バケツを持った上級生の首に手刀を食らわせ意識を刈り取り、落ちそう人あったバケツの中身を振り向こうとする他の上級生に浴びさせた。
「ぐあ?! つめてぇ?!」
「な、誰d────ゴハァ?!」
「────ぐぇ」
三月が怯んだ一人のお腹を蹴って彼女をもう一人の上級生とともに壁へと飛んで衝撃から二人が気を失う。
「ふざけんなよ、この
「『チビ』は余計だ!」
三月が最後の一人の捨てセリフに思わず鳩尾にパンチを食らわせながら反論する。
これは
一応その気になれば無理矢理『成長させる』事も可能だが………………
そんなごり押しは
それでも基準よりは小さいが。
さっき無意識にとは言え、声を出してしまった事に一瞬三月が後悔したが、今は何時もとは違う見た目の上にいつもとは違う口調と声のトーン。
そう思った三月は早々にその場を立ち去ろうと、踵を返し────
「────だ、誰?」
────トイレのロッカーの中から苛められていた
「………………」
「えっと……助けてくれて…………………ありがとうございます」
「ッ……………………」
口を一瞬開き、何かを言いそうになる三月だったが、すぐに口を閉じてそのままトイレを後にしながら髪の毛を現在の『ウェーブの掛かったっぽい金髪』から元の二つ編みに戻してから眼鏡をかけ直した。
「(次は、
三月はその日から早速
彼女の名は『
『原作』の『ヒロイン』で、能力の名は『
主にサポート役に特化した高い防御力と
特にこの
そしてこれらは彼女の性格と、
「(だが真咲さんの例もある。 一護が『何かを護る』といった信念を、覚悟を持てたみたいに何とかなる筈。 要するに、彼女の兄が死なずに『誰にも怪我をさせたくない、護りたい』と彼女を強く思わせば救える……………筈)」
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
三月の『クラーク・ケ〇ト』介入の数週間後、チエは珍しく三月に気遣っているような言葉をかける。
「本当に休まなくていいのか? 酷い有様だぞ?」
隣の三月は化粧で寝不足や青白い肌を何とか隠していたが、酷くやつれていた。
「大丈夫…………ちょっと
そして何時もはハキハキと喋る彼女はか細い声で返した。
チエと三月が周り角を曲がって、見上げた三月の体がビクリとして歩みを止める。
「?」
チエが彼女の視線の方向を追う先には三月以上にやつれた胡桃色の髪の毛をした女性がフラフラと廊下を歩いていた。
井上織姫だった。
結局、彼女の兄である
『原作』で彼が交通事故で亡くなった事は知っていたが、詳しい事は覚えていなかった。
と言うか『描かれた』様子が無かった。
故に、彼が通勤しているルートをマイか自分のどちらかが夜一達に監視されていない時に調べ、事故に合いそうな交差点や歩道と道の境目が狭い場所などを重点的に隠れながら待機した。
だが彼は自分達の尾行に感づいたのかある日、何時もとは違うルートを取り、彼を必死に探している間、
井上織姫の兄、井上昊は
しかもその日は三月が仮病を使った日で、彼の遺体が救急車に運ばれる瞬間、顔を覆った布がめくれて彼の生気の無くなった目が、三月を訴えるかのように見ていた気がした。
その事を思い出しだけでも、三月は嘔吐した感覚を未だに喉で感じながら思った。
「これは恐らく『世界の修正力』だ」と。
思い返せば、三月の身の回りだけでも既に『原作』とは違う場面や状況などが見られた。
黒崎真咲は未だに健在。
一護は未だに空手を続けている。
ウルルは『原作』ほど気弱ではなく、ジン太と共に虚と会っても我を失わずに戦う事が出来るようになった。
テッサイは『笑う』事と、家事を学習しようと努力していた。
『仮面の軍勢』がちょくちょくと空座町(と言うか浦原商店と渡辺家のアパート)に来ては泊まっていった。 そして三月達も泊りがけで休日には向こうに行く事もしばしば。
後、以前ウルルの前で猫から人に変身した夜一のおかげで『夜一=黒猫』とウルルとジン太が知っていて、彼女に懐いている。
等々など。
………………こうやって記すと、『力』をそう使わずとも『原作』からかなり離れた『背景』が出来上がっていた。
そしていざ三月が手を直接加えようとしたら
「(つまり『表舞台』に修正がかかり始めている?)」
そう必死に思いながら、申し訳ない気持ちと共に三月は数日間を過ごした。
尚、心配する周りの人達やクラスメートには新しいダイエットに挑戦していたが過激過ぎてやつれたと笑いながら説明した。
それでも彼女はめげずに頑張る事を決めていた。
皆が出来るだけ幸せになれるように。
作者:やっと次話から原作スタート! ……………かも
ツキミ(天の刃体):なんやねん最後の煮え切らへん一言は?!
ひよ里:せや! シャキッとせんかい?!
平子:ここまでくるともうここが関西でええんとちゃう?
作者:あああ、めっさ緊張してまう!
リサ:………そうに見えへんけど?
作者:なんなら胸に耳当てて聞く? 心臓の鼓動
リサ:巨乳になってからもっかい来てみ?
作者:うううう……………次話遅くなるかも知れませんが、頑張ります!
市丸ギン:いや~、めっちゃ渋滞やったわ~
作者:え? 今頃来たん? もう後書きコント終るで?
市丸ギン:………………………………射殺せ、「神鎗」
作者:ダンスはあまり得意じゃないんやけどー?! ギャース?!?!?!