白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話です。

少々長くなってしまいましたが楽しんでいただければ幸いです。

アンケートへのご協力といつもお目通しいただき、誠にありがとうございます。 <(_ _)>


第119話 Bloodlines 2

 ___________

 

 一護、三月 視点

 ___________

 

「俺は『死神』……そして真咲は『滅却師』だ。」

 

 ガツンと頭蓋骨を通り越した衝撃に脳が揺すぶられたような感覚に、一護はただ固まった。

 

 これには彼だけでなく、いつもはどこか余裕を持っていそうな三月も同じだったようで笑みもどこか強張っていた。

 

「…………………………は?

 

 ここで長い沈黙の末にやっと一護の口から出たのは信じる信じない以前に、理解が出来ていない(もしくは理解はしたが認めたくない)気持ちが籠った一言。

 

「前に言ったよな、一護? 『話すまで待つ』*1って? 『話すなら今』って感じたから話す。 俺の旧名は『志波一心』。 かつての……瀞霊廷の五大貴族の『志波家』の者だ。」

 

 ここでやっと自分の理解する(したい)範疇に収まるの言葉が出たことに一護は違和感を持った。

 

()大貴族? ()じゃなくて?」

 

「この間、『志波海燕』ってのが居ただろ? そいつは俺の甥で、『志波家』の当主だった……いや。 この場合は『だ』、になんのか?」

 

「(ギクッ)」

 

 一心は過去形を言い直そうか悩みながらジロリと目を逸らす三月を見た。

 

「……まぁいい。 色々あって海燕はつい最近まで行方不明だったんだ。 で、志波家末端の俺が一応『当主代理』に仕立て上げられたんだが────」

 

 一心が話を進ませるのを優先したことに冷や汗を流す三月はホッとしたのだが、一護が彼の言葉を遮った。

 

「────ちょっと待った親父。 『志波家』って……………………………………………………………………………もしかしてもしかしなくても岩鷲や空鶴さんの『志波』か? (違うと言ってくれ。)」

 

 一護の脳裏に浮かんだのはかつてルキアを奪還するために一緒になった姉御肌で花火師の空鶴と紅の〇ベウス『ボニーちゃん』と呼ぶ猪に乗った岩鷲たち。

 

「おう。 海燕の弟と妹だな。 つーことで俺の甥と姪で、お前の従兄弟で遠い血縁者だぜ?」

 

 うわぁぁぁぁぁ?! マジかぁぁぁぁぁぁ?! いやだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「そこでショックを声に出すの/のか?!」」

 

 一護は頭を抱えて盛大に声を出し、三月と一心がツッコむ。

 

「お父さん? 話を進めましょう?」

 

「お、おう……」

 

「(一護が自分は『眼鏡(雨竜)とは又従兄弟だ』って言われたらどんな反応するのかな?)」

 

 そこから一心が一護たちに話したのはかなり衝撃的な内容であった。

 

 

 一心が元は十番隊隊長で、()()サボり魔である松本乱菊とは顔見知りどころか上司と部下の関係。

 

 そして三席とはいえ、当時の部下でかなりの有能者だった()()()を時期隊長に期待していたことも────

 

 

 

「────うっわ……冬獅郎の野郎が親父の元部下かぁ~……」

 

「おう。 一護、乱菊たちと会ったんだよな? 胸、デカかっただろ?」

 

 ビキッ。

 

 一心の真面目な顔が下品なものに変わり、彼が自分の手で()()()を揉むような動きをしたことに真咲と竜弦のこめかみに青筋が浮かび、これに一護は答えるのは悪手と察して口を固く一文字風に閉じた。

 

 そんな彼が見たのは席を静かに立ち、不機嫌な二人にハリセンを渡す三月の姿。

 

「はい、どうぞ♡」

 

「え?」

 

 ババシシィィンン!!!

 

ブハァ?! ……………………………………………………………………………………………………………………話しを戻すぞ、一護。」

 

「脱線したのはオヤジじゃねぇか。」

 

 またもキリっと真面目な顔をした一心の頭上に、今度は二つのタンコブが出来上がっていた。

 

 ………

 ……

 …

 

 少し脱線したが話を戻すと、一心の十番隊が当時担当していた地域は空座町の隣にあった鳴木市(なるきし)

 そして隊長の彼に上がって来た報告書では『原因不明の隊士死亡』が時々……

 ではなく、月ごとに増えていったことに違和感を持った彼は、単独で調査をすることを即決断した。

 

 そこで彼が遭遇したのは思っていたような『特殊な虚』の予想を上回る、『()()()()』。 

 

 さて、日番谷の説明を皆は覚えているだろうか? *2

『人型の虚』は中級大虚(アジューカス)最上級大虚(ヴァストローデ)のことを示すことを?

 そしてそのレベルの虚は隊長と同格、または隊長以上の戦力だと言うことを?

 

 もちろんそんな大物が出てくるとは一心にすれば予想外の何でもなく、彼も初めから()()()()ことに全力を出した。

 

 だがさらに予想外に、その虚は()()()()()()をしたことにより徐々に十番隊の管轄である鳴木市から空座町へと無理やり押された。

 

 そこでさらに駆け付けた隊士たちもやられ、独断の単独調査に出たにも関わらず一心は始解の『剡月(えんげつ)』を使用……しようとした瞬間に()()()に背後から決して浅くはない傷をつけられた。

 

 姿も霊圧も消していたが、その太刀筋が死神の者だったことに一心は気付いたが追撃する『人型の虚』の攻撃をいなすことで精一杯になった。

 

 そこに当時、高校生だった真咲が横から介入したことで事態は急速に収束した。

 というのも、真咲は自分の体を『餌』と使ってワザと虚の攻撃を受けてから確実に一発で駆逐したのだ。

 

『人型の虚』は消滅寸前に自爆を図ったが、一心が身を挺して真咲を庇い、ここで二人は互いを『死神』、そして『滅却師』と自己紹介をしたそうな。

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

「………………………………………………………」

 

 一護はニコニコ笑う真咲、そしてしかめっ面の竜弦を見る。

 

「……信じられないかもしれないが、彼女の能力(チカラ)は凄まじいものだ。 私の愚息(雨竜)など比べると雲泥、天と地の差だ。」

 

「「(辛辣なのは父親譲りか。)」」

 

 銀髪の雨竜竜弦を見てそう一護たちは思った。

 

「もう! 竜ちゃんはこういう時に限って、おだてるのが上手いんだから!」

 

「そこで今度は私と真咲のことを話そう。 いいか、一心?」

 

「ああ。 ちょっと菓子と茶、取ってくる。」

 

 今度は竜弦が主体に話したことは『石田家』、そして『黒崎家』がおそらく正真正銘の人間で()()()純血統滅却師(エヒト・クインシー)であることだった。

 

()()』と言われていたのは亡霊じみた元星十字騎士団たちや、虚の攻撃にあった『穢れた者たち』とは違い、『石田竜弦』と『黒崎真咲』の二人は血が純血のままであったから。

 

 環境や社会や時代の波にのまれていく他家とは違い、この二つは群を抜いて『異質』だった。

 

 まず、『黒崎家』は昔ながらの滅却師同様に困っている人たちがいるのならば見返りのない状態でも動くほど『正義感』にあふれていた。

 

 逆に『石田家』は忠実に滅却師の掟や仕来りをずっと守ってきた『時代遅れの老物』として有名だった。

 

 故に大量の虚が突然出現し、周りの被害を少なくしようとした正義感の強い『黒崎家』は周りの人たちを守るために奮闘した。

 

 だが当時の幼い真咲はこのような血生臭い命の取り合いは初めてだったので躊躇し、その結果に真咲一人だけが生き残った。

 その彼女を、竜弦の親が引き取って純血統滅却師(エヒト・クインシー)の血筋を続けようとした。

 

 名目上は『遠縁の真咲を養うため』だったがこれはほぼ『強制結婚』のいわゆる『政略結婚』の状況に、家族を一気に亡くした真咲は無理やり置かれたことを示した。

 

 

 

「おふくろ────」

「真咲さん────」

 

「────もう! 二人ともそんな顔しないで! 確かに強引なことだったけど、竜ちゃんは優しかったんだから! 何かと私に話しかけてきたし!」

 

 上記のことを聞いた一護と三月は何か思うところがあったのか、同時に真咲に声をかけたが逆に彼女は『気にするな』と言ってのけた。

 

 余談だがそんな『政略結婚』の対象である真咲を竜弦は心から愛してしまい、『対等の人間』として接したたかったのだが息子の雨竜のように胸に秘めた感情を表に出すのが『苦手』を通り越して『不器用』だったので、彼女を陰から気遣っていた。

 

 そんな竜弦を、幼少の頃から共に育ちながら世話係をしていた片桐叶絵(かたぎりかなえ)が支えていた。

 以前に真咲が『片桐さん』*3と呼んでいた女性である。

 

「話を続けてくれないか、真咲?」

 

「あらそうねぇ~。」

 

 ………

 ……

 …

 

 

 真咲はある日、大きな霊圧が空座町でぶつかり合い始めたことに黒崎家由来の正義感からか、その場へと急行した。

 

 霊圧の片方が滅却師の仇敵である『死神』と知りながらも。

 

 これを止めようとし、純血統滅却師(エヒト・クインシー)の仕来りを言った竜弦に、真咲はこう返した。

 

『掟とか仕来りとかにバカ正直に従って今日できることをやらないで誰かを見殺しにした今日のあたしを、明日のあたしは許せない!』、と。

 

 それはある意味、かつて家族を失う中で尻込んだ過去の自分を断ち切る信念だったかもしれない。

 

 そこからは一心が伝えた通りの話に違いは無く、真咲は自分を『滅却師』として死神の一心に自己紹介をした。

 

 最初は身構えたが、一心の気持ちいいぐらいの笑みと『滅却師』をまるで意識していないさっぱりとした言葉に真咲は家族を亡くしてから他人の顔色をうかがう『愛想笑い』ではなく、心から笑いながら『死神がこんな感じなら、他の(滅却師)も分かり合えるかもしれない』と思ったのだった。

 

 その日は雨がかなり降っていたが、カラカラと笑う二人はそれを『寒い』と感じるよりは『清々しい』の気持ちでいっぱいになっていた。

 

 そこから少し日にちが流れる中で二人は互いを意識するが、真咲が急に倒れたことで状況は加速していく。

 

 ………

 ……

 …

 

「「…………………………………………………………………………………………」」

 

 一護と三月は話されたこの一連に、何をどう言えばいいのか迷っていた。

 

 出されたお茶はすでに温くなっていて、茶菓子はさっきから手つかずのままだった。

 

 ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ。

 

 せんべいを食べるチエ意外。

 

「ちょいと延々と話しすぎじゃねぇか真咲?」

 

「そ~お?」

 

「フン。 わかっていないな貴様は。 これ等を話さなければ、私たちのことを理解できないではないか。 それともなんだ? お前のように『手抜きをしろ』とでも?」

 

「う。」

 

 竜弦の鋭くなった目に、一心は一気にタジタジになりながらも追加のお茶と菓子をいそいそとテーブルに置く。

 

「さてと……どこまで話した?」

 

「ちょうど私が倒れたところ。」

 

「そっか、なら()から話したほうがいいか。」

 

 ここで真咲が実にいい笑顔を竜弦に向けた。

 

「あっらぁ~?♪ 竜ちゃんってばやっぱり見栄を張った『私』なんかより『僕』の方が自然的でカッコいいわぁ~♡」

 

 「………………………コホン!」

 

 のほほんとした真咲に指摘された竜弦のメガネは一気に曇り、彼はわざとらしい咳払いをする。

 

「と、取り敢えず私は話を続けるぞ?」

 

「「(石田家は『僕』という一人称が定義なの/のか?)」」

 

 一護と三月は『似た者同士』の雨竜と竜弦を連想しながらそう思った。

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 場と時は当時の空座町、真咲がまだ高校生でセーラー服が指定だった頃。

 

 数日間前に彼女は一心を助け、石田家の者たちから聞いていた話とは違う死神との出会いに浮かれていた。

 

「ただいま竜ちゃ~ん!」

 

「あ、マーちゃん。 おk────」

「────真咲さん!

 

 そんな元気一杯に声を出した真咲に返事を返そうとした竜弦の言葉を、注意をするようなきつい口調で遮ったのはよく屋敷を不在にした石田家当主の代理をしていた竜弦の母親で、黒崎家の生き残りである真咲を引き取った本人だった。

 

「あ……た、ただいま帰りましたおばさん────じゃなくておば様!」

 

 ほぼ庶民として育った『黒崎真咲』に、上級階級者がどういう振る舞いをするべきか叩き込んだのもこの人である。

 

「(全く、肝心なところでマーちゃんは滑るな。 昔から変わらないや。)」

 

 口が滑ってびくびくする様子の真咲はどこか織姫に似ていたと言えなくも無く、竜弦を内心ではひやひやさせながらも微笑ましく思わせた。

 

 だがそれも竜弦の母が次に言った言葉で一転した。

 

「あなた、先日死神を助けるために虚と戦闘をしましたね?」

 

「「ッ?!」」

 

 竜弦と同じく、図星を言われた真咲の目が見開いた。

 

「はぇ? えっと……そ、そんなことは……して、ないですけど?」

 

「私は『確証』を得て言っているのです。 嘘は品位を下げるだけと何度注意すればご理解できるのかしら、真咲さん?」

 

「(バレた?! でも誰…………)」

 

 先日、実はというと竜弦は片桐ともにいざとなれば真咲だけでも救う準備のために戦争にでも出るかのようにフル装備をした上で戦いを陰から観戦していた。

 

 世話係の片桐と共に。

 

「(片桐か?!)」

 

 怒りと焦りから竜弦は片桐のいる方向へ走り出し、彼女に迫った。

 

 ドン!

 

 いわゆる『壁ドン』で。

 

 「片桐! なぜ母様に告げ口をした?! 俺は言ったはずだ! 『()()()()()()』と!」

 

「そ、それは違います坊ちゃま! 『()()()()()』からこそ『()()を求めた』のです!」

 

「な、なんだと?!」

 

 片桐の意外な反論に竜弦が数歩後ろに下がった。

 

「ま、真咲様は()()負いました! 虚の攻撃は我々滅却師にとっては猛毒! 旦那様か奥様の治療術式を受けなければ血が穢れるどころか体を蝕みます!! そうなれば……そうなれば滅却師の未来は終わってしまいます!」

 

 ドサッ。

 

『真咲さん?!』

 

「ッ!」

 

 竜弦は自分の母のびっくりしたことで屋敷の玄関広場まで戻ると真咲が倒れていたところまで走って彼女の体を抱き上げた。

 

「なんだ、この孔は?!」

 

 倒れた真咲の胸に虚の孔に似たものが出現したことで、動揺した竜弦は屋敷を不在にしていた父親に彼女を連れていく為に玄関を飛び出した。

 

「竜弦! 待ちなさい! 竜弦!

 

 彼は自分の母の制止の声を無視するかのように、そのまま空座町の上空へと飛んだ。

 その竜弦を追いかけるかのように竜弦の母親も屋敷を飛び出そうとして、足がもつれて転んだ。

 

 竜弦の母親は何かの後遺症なのか、屋敷から出た瞬間左の足首のあざが急激に広まっていって、これが痛むのか彼女は顔を苦痛を感じているものに変えた。

 

「いけません奥様! 虚の毒が! 結界内へお戻りください!」

 

 普通なら母親の心配で振り返る竜弦も、真咲の容体を優先した。

 

「お!」

 

 その途中で、彼は一心とばったりと出会う。

 

「ちょうど良かった────って、その嬢ちゃんの胸?!」

 

 「近づくな!」

 

 真咲の以上に気付いた一心が駆け寄ろうとした瞬間、竜弦が人生で一度だけでなく二度も声を荒げた。

 

「近づくな、死神! 真咲は……マーちゃんはアンタを助けるために傷を負って、苦しんでいる! 滅却師の掟を破ってまで……なんで……なんでマーちゃんだけが苦しまなくちゃならないんだ?!

 

「お、お前────」

 

「────やあやあ、お困りの様ッスねぇ?」

 

「「誰だ?!」」

 

 新たな声に一心と竜弦が振り向く。

 

「その子を助けるための選択肢を教えますよ?」

 

 そこにいたのは蒲原喜助だった。

 

 ぽつりぽつりと、6月の梅雨時に雨がまた落ち始めた。

 

「まずはアタシに付いて来てください。」

 

「「………………」」

 

 蒲原商店についたところで蒲原は自分の名前を一心と竜弦に明かし、真咲が虚化していることを説明する。

 

 そしてこの虚化はおそらく、本来は死神を対象にしていたのが滅却師である真咲だったために侵食が遅かったことを。

 

「これを止めるには、虚とは正反対の性質をもった死神の力が必要です。 実際、アタシは過去に虚化して者たちを救うために滅却師の矢と人間の魂魄から劇薬(ワクチン)を作ってそれを成し遂げました。 ですが……この子の場合、それでは()()()()()。」

 

 蒲原が出したのはとある義骸。

 のちに崩玉を埋め込むための試作品の一つだった。

 

「この義骸は人間の魂魄から作った特殊品です。 ここに死神が入れば、『人間と虚』である彼女とは相反(あいはん)する『死神と人間』の存在となる。

 強引に互いの霊子を繋げて虚化を抑えるだけでなく、虚の破壊衝動も抑えます。」

 

「それは……そんなの、()()()()()()()()じゃないか?!」

 

 竜弦の叫びに、浦原は純粋に感心した。

 

「もうそこまで察したとは意外です……ええ、この義骸に入れば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のです。」

 

「……………………」

 

「彼女が死んでも、虚はこの世に居続けます。 そして長年、滅却師であった彼女の中で虚は育つでしょう。 とてつもない脅威に。 そんな寝ずの番────」

 

「────この義骸、入り口どこだ?」

 

「「…………………………………………………………………」」

 

 一心の即答……

 というか即行動に、浦原と竜弦はデッサンがデフォルメ化したような、間抜けな顔をしていた。

 

「えっと……僕の話聞いていました?」

 

 動揺からか、浦原は思わず昔の調子に戻っていた。

 

「いい加減ダラダラとした話を聞くのは飽きた。 要するに俺が死神辞めてそいつの一生の面倒を見ろって言っているんだろ?」

 

「ま、まぁそうでスけど────」

 

「────だったらやる。 躊躇して恩人を見殺した俺を、未来の俺はきっと『ヘタレ』って呼びながら笑うからな!」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 長い時間の末に、真咲の虚化は防げられた。

 

「あ、こないだの死神さん! よかった、ちょうど会いたいと思っていたの! あの後尸魂界に帰って怒られませんでした?! ケガは大丈夫ですか?! あ、あとお名前教えてください! ……あれ?」

 

 そこで気が付いた真咲は一心を見てマシンガントークをした後にキョロキョロと周りを見渡した。

 

「……竜ちゃんは?」

 

 

 

 

 ザァザァと降る雨の中、竜弦はトボトボした足取りで夜の空座町を歩きながら空を仰いでいた。

 

「(僕は……無力だ。)」

 

 彼の目からは雨とは違う液体が頬を伝っていた。

 

「(何が『最後の滅却師』だ。 何が『純血』だ。 何が『次期当主』だ。)」

 

 そう憂鬱になっていた彼の上に誰かが傘を差した。

 

「坊ちゃま、風邪をひいてしまいます。」

 

「片桐……ッ。」

 

 竜弦が片桐を見ると、いつもは表情を何一つ変えない彼女が泣いていたことにびっくりした。

 

「坊ちゃま……()()様と片桐が初めて、お会いしたころを覚えていらっしゃるでしょうか?」

 

「……ああ。」

 

「その時、生涯の全てを竜弦様に尽くすことが片桐の務めという考えは変わっておりません。 片桐の命は竜弦様のもので、竜弦様の居場所が片桐の居場所です。 

 竜弦様が涙されれば……片桐の心も酷く痛みます……」

 

「(片桐……)」

 

「ですから……どうか……どうか……」

 

 ただ静かに涙を流す彼女の傘をさす手を竜弦は優しく握った。

 

「竜弦様?」

 

()()ぞ、片桐。」

 

「……はい。 竜弦様となら、どこでも。」

 

 傘を差した二人の距離が若干縮んでいたのは錯覚でもなく、確かに近くなっていた。

 

「(僕もバカだ。 こんなにも不器用な僕をこうも理解し、心配から行動をした彼女を……僕は……………………)」

 

 ここから簡略化するが、真咲は高校を卒業すると同時に石田家を出る。

 竜弦が自腹で彼女の身の回りがとりあえず落ち着くまでの援助をした。

 

 一心は霊術院で習った医学知識を使って黒崎クリニックを開いた。

 竜弦が裏で浦原といろいろ手をまわして。

 

 そこから名字を『志波』から『黒崎』に一心が変えて数年後に、真咲と一心の間に『黒崎一護』が生まれた。

*1
95話より

*2
58話より

*3
6話より




弥生(天の刃体):いい話ねぇ~

アーチャー(天の刃体):なぜこっちを見る?

作者:あ、じゃあ自分はちょっと出かけます。

アーチャー(天の刃体):逃げるのか?! 

弥生(天の刃体):ンフフフ~♡

アーチャー(天の刃体):弥生君も何故邪悪な笑みをするのだ?!

弥生(天の刃体):これでやっと二人きりに────

アーチャー(天の刃体):────心眼、発動! 全力で離脱!

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