白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました。
前話が短かったので、今回は長めの次話になるよう頑張りました。

ここからかなりバタバタしますので、ご了承くださいますようお願いします。

別作品、『天の刃待たれよ』からのネタも多少出てきますがそちらを読んでいなくても通じるように努力をしました。

12/24/21 7:55
誤字修正いたしました


第122話 Operation Weserübung

 ___________

 

 一護 視点

 ___________

 

『井上! ルキア! チャド茶渡! 石田────!』

 

 まただ。

 

『────浦原さん! 夜一さん! 恋次! 白哉! 冬獅郎────!』

 

 またこの夢だ。

 

 以前見た奴の続きみてぇだ。*1

 

 今度はハッキリと、廃墟になったような空座町が見えた。

『天鎖斬月』に、『最後の月牙天衝』を会得する俺の精神世界とはちょっと位置が違った。

 

 いや。 よく見ると空座町の高層ビルや街並み、尸魂界の山、それに虚圏の砂漠っぽいのがチラホラ見える。

 

 『誰も、誰も居ねぇのかよ?!』

 

 知人たちの名前を叫び呼んだ夢の中の俺は、息が完全に切れる前に叫んでからおぼつかない足取りを止めて、とうとう膝を地面について崩壊する涙腺に両手を当ててから、ただみっともなく泣き崩れた。

 

 ……夢の中とはいえ、ちょっと恥ずかしいな。

 

『クソ! クソがぁぁぁぁ! 俺は……俺は一体……何の為に……』

 

 視界がぼやけて、地面に雫がポタポタと落ちていく。

 

 あー、マジにハズイ。

 

『────?』

 

 そこで背後から()()が聞こえた。

 

 いや……『声』は確かに聞こえている筈なんだが、何かが妨害しているのか『言葉』は上手く聞き取れなかった。

 

 こう……

 海外の映画を見るときに出る字幕が頭の中にスルリと入りこむような……

 それであって聞きなれない言語だから理解できないような……

 

 

 ゾワッ

 

「ぬお?!」

 

 急に寒気がして俺は目が覚めた。

 

 額に残った汗を拭いながら時計を見るとちょうど午前一時を示していた。

 

「マジか……クッソ、部屋の中がムシムシするぜ。」

 

 よほどなのか、汗でからd中の寝巻がびっしりと肌にくっついていたので窓を開けた瞬間、何かが俺の顔面目掛けて飛んできたのを反射的によけた。

 

 ヒュッ!

 パァン!

 

「ぬあ?! なななな何だぁ?」

 

 部屋の壁からの衝撃音で振り向きながら強烈なデジャヴ感が俺を襲う。

 

拝啓、黒崎一護へ

 大至急浦原商店へ来られたし。

 

「やっぱり前に夜一さんと初めて会った日の『惨殺現場のダイイングメッセージ』じゃねぇか?! しかも今度はもっとグロいし! どこぞの『サイレントな丘』かよ?!

 

 ……って待てよ?

 そういや、あの時も追伸があったよな?

 

追伸────』

 

 ほらやっぱりぃぃぃぃぃ!!!

 でもさすがの浦原さんも現世のテレビゲームには疎いはずだろ?!

 ゲームするような奴じゃないし!

 

『────このメッセージを見て、

 どこぞのホラーゲームだと思った人は

 ハッキリ言ってゲームのし過ぎっす♪

 

「(ムカッ。) やっぱそういうオチかよチクショウが?!」

 

追伸その二

 これで頭が覚めたのならば上々。

 冗談は抜きにして尸魂界で異常事態が発生している模様、今すぐに来られたし。』

 

「……異常事態だと?」

 

 俺は急いで死神化してからすぐに向かった。

 

 昨日、顔を真っ白にさせていた三月が急に来ていた日番谷とそのまま尸魂界に出かけたこともあってか、嫌な予感がしまくった。

 

 何気に『初めて見る』といっても過言ではないほど、酷い(ツラ)だった。

 普段のアイツは体がちいs………………………………………………………………

 ………………()()のことも関係していたのか、見た目と不釣り合いなほど余裕を持っているというか大人ぶっていた。

 

 いや待てよ。

 アイツは確か『見た目と年齢が合わない』って言っていたよな*2……

 うーん、地味に気になるけど今は蒲原サンが言った『異常事態』が気になる。

 

「あ! そういや部屋に撃ち込まれたペンキ弾そのままだった!」

 

 慌てて出たのが仇になった……

 そうだ、親父にメッセージを打っておこう。

 

「器用だな一護は。」

 

フオォォォォ?!」

 

 背後から急に声をかけられてワタワタと落としそうになった携帯をチエが受け拾う。

 

「急に声出すなよ! 気配も消すな!」

 

「たるんでいるぞ一護。」

 

「……あー、ハイハイそうですよ! てかお前も浦原さんに呼ばれたクチか?」

 

「さすがに風呂場の窓を突き破られては髪を洗っていたとしても気付くからな。」

 

「まさかの入浴中に?! (狙ってやったのか?! 浦原さんならありえなくも……い、いや……偶然ってことも────)」

 

「────しかも的確に『トリートメント剤』がもっと合う物もすすめられていた。」

 

 「しかも確信犯かよ?!」

 

 なんとなく久しぶりのやり取りをしている間に浦原商店につくと、すでに人型になっていた夜一が俺たちを待ち構えていたように玄関先に立っていた。

 

「来たか。」

 

「『異常事態』とはどういうことだ夜一殿?」

 

 俺が口を開ける前に知恵が本題の話題を訪ね、夜一さんが似合わない神妙な顔をする。

 

「ワシも浦原から少し聞いただけ故に詳細は分からん。 じゃが『浦原ツタエール特別弾』を投げる前にチラッとだけ聞いたほどじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『瀞霊廷に藍染の霊圧が補足された』、と。」

 

「藍染の────」

「────霊圧────」

「「────が瀞霊廷に……だと?」」

 

 俺とチエの声が最後にハモり、彼女はどうか知らないが俺は放心しかけていた。

 

 

 

 ___________

 

 チエ 視点

 ___________

 

 

「(『藍染が再度、瀞霊廷に現れる』という記録は三月の『情報』には無かったな。 どういうことだ? 『完現術(フルブリング)』とやらの騒動で一護が死神の力を重国たちから託されたことで『()()()』では無かったのか?)」

 

 唖然とする一護を横目で見ながらそう思った。

 

「そ、それは────」

 

「────浦原がワシに言ったのは『瀞霊廷で藍染の霊圧補足』。 それとその場所が『()()()()()()()()』、おそらくは藍染が投獄された真央地下大監獄じゃろう。」

 

『一番隊隊舎』と聞き、わずかに焦る気持ちが思わず胸に出てきそうなのを無理やり押し込む。

 

「…そうか。」

 

 私はそう言うしか無かった。

 

 

 ___________

 

 『渡辺三月 視点

 ___________

 

 

深刻なエラー発生。 精神汚染との接触により、生体活動の一時停止。 プロトコールに準じた蘇生を行います。

 検索……検索……検索……

 仮想肉体から魂と精神の離反により生体活動の一時停止を確認。

 仮想肉体の損傷、腹部破損。 緊急度、中。 再起動と並列に修理を行います。

 魂と()()精神の接続、および同調中……

 完了しました。

 

 …………………………………………………………………………………………………………

 はて? 何が────ぐぎゃあああああああ?! 目がシパシパするぅぅぅぅぅ?!

 お腹が痛いイイィィィィィィィィィィィィィィ?!

 あああああ! これって『もしもの時の為』に仕込んでおいた自動蘇生かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

(おそらくは)死んでいた目に光が戻り、声に出せない叫びを内心でする。

 目に映るものは黒い景色が一面。

 上、下、右、左といった方向性が無くなったような感覚。

 

 

生体活動の再起動に移ります。

 心臓部付近の細胞を筋化し、心臓マッサージを開始。

 

 ドグンッ!

 

 ぐああああああああ!

 きッッッッッッッッッッッつい!

 まるで誰かに容赦ないアバラをぶち抜く勢いの心臓マッサージぃぃぃぃぃ?!

 

 ドグンッ! ドグンッ! ドグンッ! ドグンッ! ドグンッ! ドグンッ!

 

 いだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだい!!!

 

 心臓マッサージが成功しているのか、次第に視覚と聴覚だけは復活し始めた。

 

『いかに真央地下────側からの攻撃に強固────所詮は────のか。』

『仕方ないさ。 何せ────想定はされて────ハズだからね。』

 

 誰かの声が聞こえるが、聴覚が復活したばかりで所々が耳鳴りによってうまく聞き取れなかった。

 

 目の前ではさっきまで頑丈そうなドアが見事内側から力ずくでこじ開けられた後と、せっかく動き始めた心臓が止まるかのような景色。

 

「(うっそやろ?! うっそやろ?! うっそやろ?!)」

 

 幸い血が循環し始めたばかりからか、声は出なかった。

 

 横たわる自分の目前先では黒い拘束衣を身にまとった藍染と、彼の後ろにはどこぞのポテト(ハッシュヴァルト)たちが身に着けていた白い軍服の人影。

 

 それも一人、二人などではなく数十人ほど。

 

『さて諸君、手筈通りに。 ()()()時間だ。』

 

 そう藍染が言うと、数人だけを残してほかの者たちは彼に付き添う。

 

 藍染が血濡れの手で何かを持っていたのを目視して────

 

五感を接続します。》】

 

 ────?! ちょ、待っ────?!

 

肺活動を再開します。》】

 

「────ゴホッ?!」

 

 むせるような咳をすると口から乾いた血と血玉が飛ぶ。

 

「ん?」

 

 ぎゃあああああああ?!

 最悪のタイミングで再起動したはずみでどこぞのウェスタン劇帽子をした眼帯褐色青年がこっちを見ながら大層な見た目の狙撃中(スナイパーライフル)を────

 

 ────っておおおおおおおおい?! 

 こんな至近距離でそんなデカい口径の銃を今ぶっ放したらヤバイわ?!

 

 どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ────?!

 

「────陛下────」

「────捨ておきなさい。」

 

 

 どうするかどうか、三月が寝起きの頭で止まりそうな思考をフル回転し始めるが藍染の一声で青年やほかの者たちは彼女を無視する画のように、藍染の後を追うように同じくゆったりとした足取りでその場から離れる。

 

「………………………………………………ゴハァァァ?!」

 

 数秒後、黒い泥の池になったような地面に横たわっていた三月は盛大に留めていた咳を一気にしてさっきまで喉の中で乾き、詰まっていた血などを破棄だしながら体を起き上げた。

 

 ズシャア!

 

「ぁ……グッ。」

 

 否。

 体を起き上げようとして、ただ一つの感覚が彼女を襲う。

 

『痛い』。

 

 彼女の肉体の様々な構成物質全てが痛めつけるべく動いているように彼女は感じた。

 

「(『痛覚遮断』、発動。)」

 

 まるでスイッチを切り替えたように彼女の体から『痛み』が引いていき、ダルさが代わりに増していく。

 

 再度彼女は体を起き上げていくと、周りの黒い泥が徐々に消えていき、代わりに先ほどの三月のように静かに寝ているかのように横たわる山本元柳斎や他の隊長たちの姿が現れた。

 

「クッ……(『痛がっている』場合でも、『過労』に浸っている場合でもないわ。)」

 

 ズシャア!

 

 彼女は歩こうとして、力の入らない足が生まれたて小鹿のようにプルプルと震え、すぐに尻餅をつく。

 

「(早く、ここにいる人たちを起こさないと! ()()()になる前に!)」

 

 彼女は無理やりほぼ上半身のみで、地面を這いずってまで他の寝ている様子の者たちに近づく。

 

 実はというと、さっきまで感じていた黒い泥の感触に似たものを『彼女』は過去に出会っている。

 と言っても、今では()()()()()()()()

『良くないモノ』と認識して良い。

 

 詳しい詳細は省くがこの『泥』とは厳密には液体ではなく、()()()()()()()()()()である。

 

『霊力』といえば『霊力』でもあり、()()()()でもある。

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 三月が地下で地面を這いずっている間、瀞霊廷は急な出来事でほぼ全体が混乱に陥っていた。

 

「な、なんだ今の地震は?!」

「おい! 『真央地下大監獄』の看守たちがいないぞ?!」

「地下から何か────!」

 

 一番隊の隊舎内は蜂の巣を突いたような慌てぶりだった。

 

「静まれ皆の者! 外と内、双方の警戒を密にせよ! 技術局に連絡を取り、事態の確認せよ!」

 

 その一番隊を、いつもは一歩下がった立ち位置の雀部が彼自ら統率していた。

 

「な、なんだお前?!」

「と、止まれ!」

 

 ドォン!

 

 雀部が歩いていた先の横の通路から隊士と思われる血肉が何かに粉砕されたように飛び散るのを見て、彼は斬魄刀を抜く。

 

 「くはぁ~~~~~~~~! (よえ)え! 弱すぎるぜぇぇぇぇぇ! 『弱い』ってのは『辛い』よなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 両手にメリケンサックと独自な顎髭をした巨男が雀部の前に姿を現す。

 

「「「さ、雀部副隊長!」」」

「他の者は下がっていろ!」

 

 巨男が雀部を見るとすでに浮かべていた笑顔をさらに大きくする。

 

「お! その銀髪に髭とマント! テメェが『雀部長次郎』か?!」

 

「ほぉ。 旅禍とはいえ、相手の名前を知っているか。」

 

 雀部は初対面の男が自分の名を初見で読んだことに動揺せず、挑発的な言葉を出す。

 

「ったりめぇだ!」

 

 ドリスコールはメリケンサックから投槍のような霊子兵装を繰り出して雀部に襲い掛かる。

 

「この力! 貴様、『滅却師』か?!」

 

「 俺は『ドリスコール・ベルチ』! 前陛下から与えられた聖文字は“O(オー)”! 能力は『大量虐殺(ジ・オーバーキル)』だ!」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「て、敵襲ぅぅぅぅ!」

 

 上記とは違う、それぞれの隊舎で死神たちは叫びをあげていた。

 

 瀞霊廷を覆う、遮魂膜(しゃこんまく)内に突然出現した賊に戸惑う者、斬魄刀を問答無用で抜刀する者、ただひたすらに叫びをあげて応援を呼ぶ者などが跋扈した。

 

 その一つが三番隊の隊舎。

 

「「「「「「破道の三十一、『赤火炮』!」」」」」」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

 

 そこでは三番隊の隊士たちが突然前触れもなく表れた者に、集中砲火を浴びさせていた。

 

 やがて霊力の残量が少なくなったのか、単に巻き起こった土煙で視界が悪くなったからか隊士たちは鬼道を撃つのをやめた。

 

 煙の中から一つも物音はせず、太一たちの気が緩んだ瞬間にそれは起こった。

 

 ドドドドドドドドドドドドド!

 

「「「「「グアァァァァァァ?!」」」」」

 

「あーあ。 前進を止めたら『負け』だぜ、死神どもぉ~?」

 

 まるでさっきの鬼道の仕返しというばかりに、数々の鏃の黒い矢が煙の中から飛び出して隊士たちのあらゆる部位に突き刺さる。

 

 煙が晴れ始めたと思った矢先に中からさっきの黒い矢を放ったと思われる、顔の右側に斑模様のような刺青を入れたメガネの青年が面白そうに怯んだ、または傷を負って後ずさる死神たちを面白そうな見世物を見ているかのような言葉を投げた。

 

 体も服装も()()な様子で。

 

「ああ、自分を殺す奴の名前くらい知りたいだろう? 俺はシャズ・ドミノ、聖文字は『ϛ(スティグマ)』。 能力名、『生存能力(ザ・バイアビリティー)』だ。」

 

「『“ザ・バイアビリティー”? どこのジャンプキャラクターなんだよ』、ってラヴ君なら今頃言っているんだろうね。」

 

「その『ラヴ』っていう人のこと、隊長はかなり面白そうに語りますね?」

 

「吉良君とは違う意味でインスピレーションの一人さ。」

 

「「「「「鳳橋隊長! 吉良副隊長!」」」」」

 

 ドミノの前に、斬魄刀を抜いた吉良と鳳橋の登場に隊士たちは胸を撫で下ろしたような表情を浮かべた。

 

「ノンノン、皆の衆。 僕のことは『ローズ隊長』と呼んでくれといったはずだよ? もちろん、『美しいギターリストの鳳橋隊長』も今限定で受け取っているよ♪」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「「「「「ギャアアアアアアア?!」」」」」

 

 六番隊の隊舎では敵の針状の霊子に刺され、断末魔をあげる隊士の姿が絶えなかった。

 

「なんでだ?! こっちの攻撃はまるで効いていない! 敵のあのトゲトゲに刺されば死ぬ!」

 

「しかもなんで()()()()()があんなに叫び続けるんだ?!」

 

「怖イからにキマっているからだロウ?」

 

「そうだ! 正義であるワガハイたちに、恐れを成しておるのだ!」

 

 口元をマスクで隠している痩せた長髪の滅却師がニタリとマスクの下からでもわかるほどに笑みを浮かべ、彼の隣では豪快な言葉使いをするどこぞのルチャドール風の巨男の二人が声を狼狽える死神たちにかけた。

 

「ひ、退くなお前たち!」

「そ、そうだ! 護廷の使命────!」

 

 グサグサッ!

 

「「────ギャアアアアアアア?!」」

 

 狼狽えない死神たちが針状の霊子に刺されて断末魔はさらに音量を上げる。

 

「『蛇尾丸』!」

 

 ガッ!

 

「「「「阿散井副隊長!」」」」

 

 恋次の『蛇尾丸』が敵に当たり、針状の霊子が消えるとともに断末魔をあげていた死神たちが沈黙化して地面に遺体が落ちていく。

 

「(攻撃が()()()()()()だと?)」

 

 が、先ほどの死神たちが言ったように彼の斬撃は敵をよろけるどころか、何かに()()される手応えが恋次に帰ってきていた。

 

「ッ。」

 

 ザザザザザザザザザッ!

 

 長髪マスクの滅却師が初めて回避運動をし、桜のように舞う無数の小さな刃からまたも初とも呼べる外傷を受けた。

 

「様子見の前に隊士を引かせろ、恋次。」

 

「朽木隊長?!」

 

()の者どもは尸魂界、そして護廷の何等を容赦なく殲滅している賊。 こうも対策なしではむざむざやられる。 特に一団として固まっていればな。 お前たち、退け。」

 

「今のワザ……君、『朽木白哉』カイ?」

 

「…貴様に名乗った覚えはないが?」

 

「僕は『エス・ノト』。 与えられた聖文字ハ “ F(エフ) ”。 『恐怖(ザ・フィア)』。」

 

「そしてワガハイは“S(エス)”! 『英雄(ザ・スーパースター)』のマスク・ド・マスキュリン! 覚悟しろ、悪党ども!」

 

『ズビシっ!』と、特撮ヒーローのような構えをマスクが取るとさすがの白哉も呆れたようで、恋次と同じく目を点にしていた。

 

 が、次の瞬間に四人の攻撃が衝突する音が響いた。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 無論、上記の四人だけでなく瀞霊廷のあらゆる場所で衝突は起きていた。

 どこか『原作』と似てはいるが、僅かに違う戦いが幕をあげている間、藍染は一番隊舎の近くにあった流魂街を歩き、全身をフードとマントで覆ったペルニダ、剣闘士風のジェラルド、褐色カウボーイのリジェ、そしてしかめっ面と紫色のモヒカンが特徴的な滅却師たちが彼の後を歩いていた。

 

「相変わらずだね、志波家は。」

 

 藍染が見上げたのは『ようこそ、志波空鶴邸家へ!』という旗を掲げたかなり芸術センスの曲がった巨大な石造。

 

「テメェに言われたくねぇぜ、藍染。」

 

 そしてその先には『捩花(ねじばな)』を展開し、構えを取った海燕の姿があった。

 彼の額と背中はビッシリと汗が滲んでいた。

 

「そこを退いてくれないかい?」

 

「こちとら正式に『死亡』していたから護廷辞めて実家でゆっくりしているところを、お前みたいな外道を土足で踏み込ませるわけには行けねぇんだよ!」

 

「そう言われても困るな。 私たちがここに来たのは『花鶴大砲(かかくたいほう)』に用があるからだ。」

 

 藍染はただゆっくりと一歩一歩、前進する。

 海燕は引き換えにジリジリと後ろへと足を引きずらせた。

 

「と、止まれ!」

 

「まぁ、そう気張らないでくれたまえ────」

 

 藍染がもう一歩地面を踏むと、別の場所から声が辺りに響いた。

 

「────『志波式石波法奥義(しばしきせっぱほうおうぎ)連環石波扇(れんかんせっぱせん)』!」

 

 物陰に身を潜んでからこの場を窺っていた岩鷲の掛け声とともに藍染と近くの滅却師たちの地面が砂に代わり地面にへこむが生じると同時に海燕が口を開けて叫んだ。

 

()()! 天水にて清めろ、『捩花水(ねじかすい)』!」

 

 海燕を中心にドプリと大きな水流が急上昇しながら、回転する度に西洋の竜へと形どっていく。

 その姿は氷を水に変えた『氷輪丸』ならぬ、『水輪丸』のようだった。

 

 完璧な余談……ではないが、自分の従兄弟である一護が夜一から浦原、浦原から一心といった経由方法で、わずかの三日間で卍解を会得したことを知ったとたん、海燕も卍解を会得するために努力をした。

 結果、数か月間ほどかかったが彼はそれを成し遂げ、それをほぼ実践状態の今使った。

 

 水でできた竜がへこんだ地面に叩きつけられ、さらに上空から空鶴がバチバチとする左腕を振りかざした。

 

「────破道の六十三、『雷吼炮(らいこうほう)』!」

 

 ドッ!

 

 普通なら藍染相手に六十台の鬼道など効くどころか、無駄に霊力を消費するだろうが海燕の水が電気をよく通す性質を持っていることを利用し、このような連携で各々のワザが最大限に引き立てられる状況を生み出していた。

 

 ドパァン!

 

「「「ッ。」」」

 

 海燕、空鶴、岩鷲がはじけ飛ぶ水を警戒しながら見ると中から全く濡れていない藍染たちの姿がへこんだ地面内から歩き出た。

 

「やれやれ……あまり強く吠えるなよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弱く見えるぞ?」

*1
69話より

*2
103話より




花水:
読み、『はなみず』または『けすい』。 
仏語。仏前に花を手向けるときの水。 また、仏前に手向ける花と水のことを差す場合もある。

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