白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、短いですが次話です。

そしてアンケートへのご協力やお気に入り、誠にありがとうございます! m(_ _)m

え? 『いまだに気にしているのか?』ですって? 

もちろんすべてのアンケートに目を通していますし、影響もしっかりと繁栄しようと努力しています。 (´・ω・`)

仕事場のワークフローなどが劇的に変わったことでおかしいテンションになっているのも不定はしません。 ( ;∀;)


第127話 Town of Empty Seat

 ___________

 

 現世組 視点

 ___________

 

「ウィ~……あんのクソ部長めぇ~、人を勝手に個人的な歓迎会に巻き込んで自分の分だけちゃっかり金おいて逃げやがってぇ~」

 

 夜の空座町に、一人のサラリーマン風の男が夜道を歩いていた。

 頬は赤く、目も据わっており、歩き方が千鳥足だったので酔っぱらっていたのは誰から見ても明白だった。

 

 ドゴォン!

 

「ヒッ?!」

 

 そう独り言のように愚痴る彼の前で、塀が突然粉砕されて体がびくりと跳ねた節に尻餅をつき、彼の持っていたカバンが地面に落ちた。

 

 塀が粉砕されたことで上がって煙の中からムクリと出てきてのは、袖なしミニプリーツスカート風な白い軍服のようなものを着た小柄なおかっぱボブ金髪の少女。

 

「チッ、バカ(ちから)ならもうミニーで間に合ってんだよこのクソ破面(アランカル)モドキが……ん? ……プッ! ……唇切っちまったじゃねぇかこのクズが。」

 

 ◆◆◆◆◆!」

 

「……は?」

 

 そして血を口の中から吐き出しながらかなりの毒舌を披露する少女にだけでなく、大きな雄たけびのようなものを出す二メートルは優に超えている下顎を思わせる仮面の名残を着けている色黒の巨漢の登場に、サラリーマンの男性は一瞬遅れて口を開けた。

 

 特にこの巨漢の腰にぶら下がっていた()を見て。

 

「な、な、な、なんだよこれ?! なんだよの褐色デカ男は?! 刀も本物なら銃刀法違反だぞ?!」

 

「ん?」

 

 そう男性は言うしかなく、少女はやっと彼の存在に気付いたかのように振り向き、彼が自分ではなく二メートル越えの褐色大男に視線を送っていることに目を見開いた。

 

「テメェ、こいつを()()()のか?!」

 

◆◆◆◆◆!」

 

 褐色の大男がまたも言語にならない叫びをしながら一直線にサラリーマンの男性の傍へと移動し、大きな張り手で襲う。

 

 「ミニー!」

 

「はぁ~い。」

 

 ドッ!

 

 重い音と共に、横から飛来して来た鉄骨が大男の脇を襲って無理やり彼を遠ざけるどころか、別の塀をそのまま突き抜いて横たわった。

 

「う~ん、『ほーむらん』には出来なかったねぇリルぅ~? (。・ω・)」

 

 ピンク色の髪をした女性がコテンと頭をかしげながら指を唇に添えると、その動作で埋められた腕で強調された胸が揺れる。

 

「( ゚_゚)o彡°」

 

 少女が呼んだ『ミニー』らしき女性が横から出てきて、目が点になった男性は思わず左腕を上げたり下げたりしたそうな。

 

「バカ、今のは『野球』じゃなくて『槍投げ』だろうが。」

 

「じゃあ『すとらいく』、とかぁ~?」

 

「そっちはボウリング。」

 

「スポーツは苦手なのよねぇ~」

 

「……無駄な脂肪付けているからだよ。」

 

 グワッ!

 

◆◆◆◆◆!」

 

「「ッ?!」」

「ぎゃあああああああ?!」

 

 さっきの攻撃で褐色大男が沈黙したと思ったリルトットとミニーニャ、そして眼前で理解できない出来事を男性は突然起き上がりながら三人に襲い掛かった褐色大男に純粋な恐怖から叫んだ。

 

 ザンッ。

 

「油断は禁物ですよ、お二人とも。」

 

 褐色大男の首を一閃が走り、褐色大男の首が落ちるのを追うかのように体も落ちていくとさっきの落ち着いた声の持ち主らしい、両刃の長剣を手にしていた青年の姿があった。

 

「ふむ。 やはり物理的な攻撃は動きを止めるには有効ですが、大して効果は無いようですね。」

 

「……? 黒いd────オゲェェェ!!」

 

 サラリーマンの男性が青年の視線を辿って褐色大男の首からドロドロブヨブヨした黒い液体が地面に広がっていくのを見ると吐き気を抑えきられずに嘔吐する。

 

「ではリルトット、()()()()()()。」

 

「ウゲェ。 マジかハッシュヴァルト? こいつのゲロも近くにあるんだぞ?」

 

 リルトットが心底嫌そうにしかめる顔と舌を出しながら抗議をあげる。

 

「いま私たち三人の中で『処理』できるのはあなただけです。 お忘れですか?」

 

「……ハァ~、マジに融通が利かねぇ元最高位(グランドマスター)だぜ────」

 

 そう言いリルトットの口が巨大化し、歯はギザギザになっては黒い泥ごと地面をえぐるかのように文字通り一口で平らげてはそのまま飲み込んだ。

 

 ゴックン

 

「────…………………………クッソゲロマズイ。」

 

 もともと色白だったリルトットの顔は若干青くなっていく。

 

 先ほどから見ていた男の顔色のように。

 

「ア……アハハハハ……ゆ、夢だ。 酔っぱらい過ぎて、夢を見てんだ俺は。 ハハハ。」

 

 ついに彼は乾いた笑いと共に現実逃避をしながら呆けた。

 

 そんな彼の両側に、ガスマスクのようなモノを着用した聖兵(ソルダート)が彼の鵜瀬を掴んで立たせた後に肩を貸しながら歩きだす。

 

「これで何人めになる、ハッシュヴァルト?」

 

「…確認されただけでも20人めですね。」

 

「ミニーは~、流石に()()()()と思うの~。」

 

「ええ、同感です。」

 

 三人が話題に出していたのは『破面が視える』、かつ『襲われる人間』の数だった。

 

 一時間ほど前から尸魂界と現世を繋ぐ断界(だんがい)に何らかの障害が生じ、破面らしき反応が多数ほど仮の間に滅却師たちが設置した感知型の結界に引っかかった。

 

 彼らが反応を追うとその先には破面の姿を見て、畏敬の彼らに戸惑う人間たち。

 滅却師たちが駆け付けたころにはすでに絶命後、あるいは状況が掴めていない間に重症を負ったか、不器用ながらも逃げ出そうとした者たち。

 

 そして襲われた彼ら彼女らに事情の説明や成り行き、または現場の状況などを見てその誰もが共通していたのが上記の『破面が視える』、そして『破面に襲われる』。

 

 本来、虚は基本的に(プラス)や高い霊子などを好んで襲う事例はある。 

 だが破面などの進化レベルが高い存在からすれば(プラス)でも『スカスカで中身の具が入っていないサンドイッチ』程度の存在。

 

 そもそも理由も無く、破面までに進化した者が現世の人間を襲ったところで利益などほとんど無いに等しい。

 

 あるとすれば上記のように、稀に霊力の高い人間を玩具にすると言った『遊び』程度。

 

「(『偶然』として処理するには共通点がこの二点。 だが問題は漏れなく今まで襲われた人間たち全員が『破面を視ることが出来た』ことだ。)」

 

 ハッシュヴァルトの考えはあながち間違ってはいない。

 何せ黒崎家でも虚や破面などの姿をハッキリと見られるのは余程霊力の高い人間のみ。

 多少の高さでは目視はおろか、『気配』のような曖昧な感じか『意味不明な(もや)』としか認識できない。*1

 

 流石に霊的な物が集まりやすい重霊地の空座町と言えども、これほど『破面が視える人間』が出てくるのは異例中の異例である。

 

「(どちらにせよ、『何かが起きている』のは間違いない。 そして、断界(だんがい)の異常も配慮すればあちら(尸魂界)側でも異常事態が起きているのは明らかですが……今はこの町とその周辺に対応しなければ。)」

 

 ハッシュヴァルトは耳のインカムからくる次の反応へと移動しながら、夜空に浮かぶ星たちと月を見上げそう思った。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ドパパパパパパパパパパパパパゥ!

 ガァン! ガァン! ガァン!

 

 現代の日本には似つかわしくない、拳銃の発砲音が鳴り響く。

 

 と言っても、霊子で出来た拳銃型の兵装なので一般人や霊力の弱い存在には認知さえも出来ない。

 

 筈。

 

「きゃあああああ?!」

「な、なんだ今のは?!」

「花火……じゃないよな?! 今のはまさか銃声か?!」

 

「(フゥム、私の霊子兵装は他人より時代的に進んだモノだけに優秀ですが……この場合に起こる作動音は少々困りますね。)」

 

 一般人や霊力の低い者に認知さえも出来ない筈なのだが、どういうわけか以外にも発砲音を聞いてびっくりするOLや夜遅くまで街を歩き回っている者が多かったことに、ロバートは自分を追ってくる破面から距離を取りながら応戦していた。

 

 ドゥ!

 

「『神の歩み(グリマニエル)』。」

 

 フッ!

 ガァン!

 

 ロバートは自分を襲ってくる攻撃を素早く躱し、一気に敵の背後へと移動しては敵の脳天目掛けて霊子兵装を撃つ。

 

 頭の半分を吹き飛ばされた破面が力尽きたように地面に落ちるとハッシュヴァルトや一護たちが対面した破面たちのように黒い泥が溢れ出始める。

 

 カチン。

 シュボォォォォォッ!

 

 ロバートは眉毛一つ動かさずに焼夷(しょうい)手榴弾のようなものを使い、遺体と泥ごと焼き始めるのを見届けてから耳のインカムに話しかける。

 

「情報本部、注意事項を発見されたし。 つい先ほど()()()()()()()()()()を使う個体と対峙しました。 頑丈さは他の確認された個体より幾分か低いが、敏捷性と遠距離攻撃に特化している模様。 他の者たちに連絡と、焼夷(しょうい)手榴弾は処理時のみ使うことを推薦したまえ。」

 

『了解しました、アキュトロン様。 すぐに情報(ダーテン)を最新します。 次に“46の23地区”に新たな反応が感知されています。 』

 

「すぐに向かおう……ところで、()()()調()()()()()のかね?」

 

 インカムからの通信にロバートは移動を開始しながらか、何かの再確認を取る。

 

『ええ。 今のところ、“完聖体”を使用しているどの方達からも異常は確認されておりません。 やはりアキュトロン様の推測のように、霊圧濃度が何らかの理由で上昇している模様です。』

 

「ほぅ、それは素晴らしい(グッド)。 (なら温存できる今のうちに(霊力)を蓄えておくとしよう。)」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「「「「ワァァァァァ!」」」」

 

 空座町の桜橋(さくらばし)区にある一つのアパートからは煙が上がり、住人たちと思われる人たちが背中にリュックやバッグなどを手に持ちながら走っていた。

 

「皆! 落ち着いて下さい!」

 

 その走る人たちを、何とか宥めようとする女性の声がする。

 

「うるせぇ! どけぇぇぇ!

 

 そんな彼女に、こんもりと大きくて今にでも張り裂けそうなダッフルバッグを両手に持っていた男が乱暴に手をあげる。

 

 ガシッ!

 

「落ち着け。」

 

「ああああ?! な────ッ?!」

 

 男が振り向くと自分よりさらにガタイの大きい茶渡が物静かに自分を見下げていたことに圧倒され、言葉が止まる。

 

「白い軍服の人たちの誘導に従えば、避難できる。」

 

 茶渡が男の手を放すと彼はそそくさと冷たい視線を浴びながらその場を後にする。

 

「大丈夫ですか、井上さん(マスター)?」

 

 男の代わりに、両手で老人を支えていたアネットが上から降りたち、老人をそっと立たせる。

 

「おお、ありがとうお若いの。」

 

「……いえ、井上さん(マスター)のお隣でしたから。」

 

 手を振りながら歩きだす老人からプイっとそっぽを向くアネットをどこか和む織姫がいた。

 

「ありがとう、茶渡君にアネットさん♪」

 

「……井上が俺のアパートの人たちを避難させていたからな。」

 

「ピィー♪」

 

「……ここの住人たちは今ので最後だそうです。」

 

 そこにポイちゃんがアネットの上げた腕に乗っては泣き声を出すと、アネットが報告のようなものをする。

 

 この様に茶渡、織姫、アネット(+ポイちゃん)は手分けして空座町に出現した破面らしき者たちの牽制と共にその場へ駆けつけた聖兵(ゾルダート)たちと協力していた。

 

 茶渡は煙の上がるアパートの破損した場所からのそりと起き上がる巨体を見る。

 

「……やはり()()な。 ()()()()()()()だけに。」

 

 巨体は先ほどハッシュヴァルトたちが対峙していた褐色大男を、茶渡は『()()()』と呼びながら完現術を発動する。

 

「ですがここにはあのもう一人の破面がいないだけにやりやすいです。」

 

 アネットはどこからか以前に見せた、釘状で鎖付きの短剣が両手に現れる。

 

「防御は任せて二人とも!」

 

 そしてこのように前衛の茶渡、遊撃のアネット、後方の織姫と、どこぞのロープレゲームのようなパーティが出来────

 

 ゾクリ

 

「「「────ッ?!」」」

 

 上記の三人と鳥は背筋に氷が入れられたような寒気がする方角へと一気に視線を動かした。

 ポイちゃんに関してはアネットの肩の上でプルプルと震えていた。

 

「これは……何だ?」

 

 茶渡が()()()()()()()()感覚に戸惑う。

 

「……黒崎……君?」

 

「え?」

 

 だが織姫には感じたことのあるようなもので、意外な人物の名を口から出すと茶渡がポカンとする。

 

「(確かに、あの時の『黒崎一護』に()()()()()ね。)」

 

 アネットが思い浮かべたのは虚圏で完全に虚化した一護の姿だった*2

*1
55話より

*2
92話より




ひよ里:みじか! なんやねんこれ?!

作者:もう寝たい……休暇取りたい……ゲームに没頭したい……

ひよ里: ∑(゜Д゜)
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