白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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*注* 残酷な描写タグ発動します。

楽しんでいただければ幸いです。


第128話 Town of Empty Seat 2

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 現世組 視点

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 時間は少し遡ること数分。

 

 場所はもちろん空座町であるが、その中でも避難所として使われている中等部の体育館の中には破面を視ては襲われた人たちだけでなく、その家族や知人たちなども一緒にいてでごった返していた。

 

 彼ら彼女らは破面が視えるワケでも、襲われたこともないのだが一緒にいた被害者が頑なに一緒に避難させてほしいと乞い、聖兵(ゾルダート)たちも仕方なく一緒の場所に避難させていた。

 

 無理やりに被害者だけを非難させてもよかったのだが、そうすれば彼ら彼女らは非協力的になるし、何より聖兵(ゾルダート)とはいえ滅却師。

 

『人間を脅威()から守る』という存在。

 

 それでも被害者からすれば『なんでバケモノに襲われたのに自分だけ助けようとする?!』という理論かも知れないが、そのバケモノ(破面)を直接見たわけではない他人からすれば『良い迷惑』か『不可解なことに巻き込まれた』という認識が強い。

 

 脅威が視えないのだから無理もないだろうが、逆に視える人たちからすれば周りの物たちがなぜ平然とできるのかが理解しづらかった。

 

 とはいえ、明らかに異質な格好にバケモノ(破面)を退ける武器()に『いやだ』とも言えずに避難させられていた。

 

「……チッ!」

 

 その視えない人の中で一人の男性が舌打ちをして体育館の出入り口の近くに立っている聖兵(ゾルダート)の横を通ろうとした。

 

「ん? 待て────」

 

 「────タバコだよ!」

 

「ですが────」

 

 「────すぐそこで吸うから吸わせろ!」

 

 亀紙に青筋を浮かべながら男性が指をさしたのは体育館の壁、ちょうど月明りからは影になる場所だった。

 

 二人の聖兵(ゾルダート)たちが互いを見て『やれやれ』とアイコンタクトで会話し、一人が男性と付き合うことになった。

 

 聖兵(ゾルダート)はぶつぶつとイラつきを全く隠そうともしない男性の取り出すタバコに百円ライターで火をつける姿を呆れた目で見ていた。

 

 一方、男のほうとしては妻がいきなり叫ぶと同時に寝室の窓ガラスが割れたことで寝起きのままフラフラと、何かに恐れる妻にされるがままにマンションから引きずり出され、急に趣味の悪いコスプレをした軍人モドキたちに感謝する妻と一緒に体育館へと非難されていたことにストレスが溜まっていた。

 

「(これじゃあ『避難』どころか『監禁』じゃあねぇか! 何が『バケモノ』だ! 『霊』だぁ? そんなのやばいカルトか何かの暗号か?!)」

 

 そう思いながら男は灰をニコチンでいっぱいに満たしてから、息をタバコの煙と一緒に吐き出す。

 

 これを数回繰り返し、新しい煙草に火を点けて繰り返すうちにやっと一息ついたのか、ユラユラとしながら上がっていく煙を追うかのように彼の視線は自然と追うようになり、夜空を見上げる。

 

 ボタ。

 

「うわ?! (なんだ? 雨?)」

 

 その時、見上げた男の頬に液体が落ちて彼は思わず顔をしかめる。

 

 ボタタタタタタ。

 

「ウッ! ペッ! ペッ!

 

 男は鉄の味に似た液体が唇に付いたことでタバコごとそれを吐き捨ててから忌々しく、上をもう一度見上げる。

 

「……はぇ?」

 

 そこには男の意表を突くようなものがあった。

 

 体育館の壁の影で最初こそは見にくかったが、タバコを捨てた今ならば夜目でうっすらとだけ『ソレ』が見えるようになった。

 

「ヒッ?!」

 

『ソレ』は目を虚ろで男を見、顔を驚愕に変えたまま固まった先ほどの二人組のうち、一人の聖兵(ゾルダート)

 

「ヒ、ヒャアアアア?!」

 

 より詳しく追記すれば、『絶命した聖兵(ゾルダート)の上半身』だった。

 

 男は死体を見るのはもちろん初めてだが、彼が恐怖を感じながら尻餅をつきながら地面を後退った理由はそれだけでは無い。

 

「か、かかかかか()()()()()────?!」

 

 男からすれば聖兵(ゾルダート)の体は支えもなく()()()()()()()

 それこそ一昔前の映画などで使用されていたワイヤーアクションの事故(手違い)のような場面だった。

 

「────いルゥプラギャ?!」

 

 男の頭が左斜め上方向から右足の付け根辺りまで一つの線が走り、叫びは途中から(世紀末的)な言語に変わる。

 

 さっき体育館の外回り巡回に出ていた聖兵(ゾルダート)たちが出入り口の警備の者がいなくなっていることに時間はさほどかからなかった。

 

「て、敵襲ぅぅぅぅぅぅ?!」

 

 彼らの一人が叫びながら霊子兵装を急遽構えた。

 

 その先には大鎌状の武器を持ち、眼帯をした長髪で長身痩躯の破面がギラギラした目で広い笑みを顔に浮かべていた。

 

 

 

「……ん。」

 

 上記から少し離れた場所では、電柱の間にある電線を利用してお手軽に乗るだけで移動するキャンディスが耳にはめてあるインカムから何か聞こえてきたのか手をかざした。

 

「どうした?」

 

「ッ」

 

 近くで宙を走る一護を横に、チエが何かに気を取られたかのようにキャンディスたちから別の方向へと急に方向転換しては姿を消す。

 

「あ、おい! ……なんだ、この感じ?」

 

 一護も何かを察知したのか、曖昧な反応を示したことにキャンディスが彼を面白そうに目を若干細めた。

 

「(へぇ~、流石は特記戦力筆頭の『黒崎一護』か。 前陛下がつけた『未知数の潜在能力』の表れか。) おい、オレンジ頭。」

 

「何だよ、露出女。」

 

 キャンディスの呼び方にカチンときたのか、一護が意趣返しのような呼び名で彼女にあだ名をつける。

 

「あっちの方向にウチの奴らが避難させた人間たちが破面に襲われている、行くぜ。」

 

「そういうことは早く言え!」

 

 一護たちがスピードを上げて彼女の後を追う。

 やがてチエの霊圧がでいると思われる空座町内の中等部に着くと、お腹に来るような重い響きと背中にどっしりと重しが乗せられるような感覚が二人を襲う。

 

 ズン!

 

貴様ァァァァ!!!

 

 獣染みた叫びとともに。

 

 

 

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 『渡■』チエ 視点

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「……」

 

「ワァァァァァ! こ、こ、殺さないで────プギャバラ?!」

「おい、お前たち何から────ぎゃあああああああ?!」

「に、逃げろぉぉぉ!!」

「『逃げろ』ってどこにだよぉぉぉぉ?!」

「さっきの奴らを見ただろ?! アイツ、()()()()()()()()()()()んだぞ?!」

 

 命乞いをする者。

 混乱し、訳が分からない者。

 腰が抜けて地面を四つ這いで必死に動きながら叫ぶ者。

 他人の叫びに逆に叫んで虚勢だけでも保とうと叫び返す者たち。

 

 その誰もが鎌を持ちながら笑顔を浮かべたバケモノにジワジワと、決して致命傷にならないケガで手足などを斬りつけて一通りに()()()()()()惨殺される人たち。

 

「お母さん怖いよぉぉぉ!!!」

「大丈夫よ志桜里(しおり)! お母さんが守るから!

 

「ッ」

 

 泣きながら母親に泣きつく子供と、母親。

 

 古いテレビのように、酷いノイズが入り混じった音とゆがむ景色に顔をしかめる。

 

「グッ」

 

 いや。

 ()()()()()

 

「お母さん! お母さん!

 

 ハッとして親子を見上げると守った親が子を逃がそうとして代わりに地面に横たわっていた。

 

 カンタンにカラダは小さきモノにユスラレテいた。

 

 カハンシンがナイので。

 

 小サキモノのウシロに、鎌ガ────

 

「────貴様ァァァァ!!!

 

 ゴスッ!

 

 

 気が付いていれば、刀を投げて鎌の軌道を無理やり曲げ、笑みが消えかかりながらこちらを見る奴の顔をつかんでそのまま地面に叩きつけていた。

 

()()()()()()()()』、だが。

 

フゥゥゥ!

 

 何せ彼女の顔は今までに見たことがないほどの剣幕で、月明かりの下で破面に馬乗りするかのようなまま顔と首それぞれに手で掴み、明らかに腕に力が入っていた。

 

「?!??!

 

 さっきの余裕の笑みはどこへ消えたのか、破面はイラつきと困惑を混ぜたような表情に変えてチエの腕を自分から振りほどこうと必死になる。

 

 ゴスッ!

 

「?!?!?!」

 

 フゥゥゥゥゥゥゥゥ!

 

 やがて息を荒くしたままのチエに対して破面は首と背中の筋肉、そしてついには両腕も力んでやっと頭を上げ始めた破面がさっきより大きくて重い力を出すためか、更に荒い息遣いをするチエによってまたもねじ伏せられる。

 

 ドゴッ!

 

 ミシッ!

 

 地面にクレーターのようなへこみが生じに釣れ、破面の顔が今度は物理的に(骨格が)

 歪み始め、血の代わりに黒い泥が今にでもあふれ出る瞬間に『ソレ』は起こった。

 

「『宇宙(ソラ)! 星! 大地よ! 世に刻まれし炎をこの手に宿し、敵を(めつ)せよ!』」

 

 チエから急に吸引力のようなものが発生し、一瞬だけ物質や霊子に関係なくすべてが引き込まれるような感覚が感じられた。

 

 果て無き埋葬(アブソリューション・グレイヴ)』!

 

 カッ!

 

 鬼道とは違う術の詠唱らしきものが終わった次の瞬間、夜だったその場はまるで急に夜と真っ昼間が反転したかのように白い輝きが発した。

 

 その輝きからは音、匂い、温度の変化、等々の、あらゆる物が感じ取れないような()()()()()()()()だった。

 

 その出来事はおそらく一秒にも満たなかったのだが、その光を目にした者たち全員からすればその光はまるで『()()()()()()()』を告げるようなモノと容易に連想させるほどだった。

 

 

 

 ___________

 

 現世組 視点

 ___________

 

「「「「「「……………………………………………」」」」」」

 

 体育館にチエが駆けつけてから上記の事直後、光が収まった今でも周りにいた誰もが言葉を失い、ただ唖然としてさっきまでの騒動が嘘だったみたいに沈黙が場を支配していた。

 

「(さっきの破面……上手く見れなかったけど、『()()()()』……に似ていたよな? どういうことだ?)」

 

 それは一護やキャンディスも例外ではなく、たださっきまで彼女が掴んでいた筈の破面が跡形もなく消えていた。

 

「……」

 

「ヒッ?!」

 

 先ほどの剣幕とは180度の様子のチエは、近くで母親の亡骸に掴みながらいまだに唖然とした子供に視線を寄越すと、子供はくぐもった悲鳴を出しながら亡くなった母親から手を即座に離し、瞼をギュッと閉じながらそらした顔を覆うかのようにただ震える両腕を上げた。

 

「……」

 

 チエが視線だけを体育館から様子を見ていた街の住人達や負傷した聖兵へ移すと誰もがビクリと体を跳ねさせたか、冷たいかつ嫌な汗を噴き出させた。

 

 チエはこれを確認してからか、一言も言わずにただ一護たちがいる場へと戻ってきていた。

 

「(ヒュ~、『陛下』ってばやっぱおっかねぇ~。)」

 

 冷や汗を体中から流しながらも内心冷えるような現場を見ていたキャンディス。

 

「(あれ?)」

 

 逆に一護はとある違和感に気付き、おそらくはその場の誰とも違うものを心に宿していた。

 

「キャンディス。 さっきの破面は滅却師たちでも感知しにくいタイプだと思われる。 ほかの者たちにも情報を提供してくれるか?」

 

「おう、お安い御用だ。」

 

「……チエ。」

 

「なんだ?」

 

「ッ」

 

 横から割るように、一護が声をかけたが、彼女が目を自分に向けた瞬間に彼は息と共に言葉を飲み込んだ。

 

 彼自身、彼女がいつもとは少し違う雰囲気だったのを今ほど近くになるまで気付かなかったほどの微妙な違和感。

 

「どうした?」

 

 彼女の頭を傾げる仕草は、いつもとは少々違うどこか見た目の年相応のあざとさの名残があった。

 

「……いや、なんでも…ねえよ。」

 

 だがそれが逆に一護のぼんやりとした違和感を、さらにモヤモヤとしたモノに変えた。

 

『あー。 テステスー、黒崎サンたち聞こえていますか~? 聞こえていなくても喋りますからご安心を~♪』

 

 そこで浦原の気の抜けそうなアナウンスにも似た声が一護の頭の中で響いた。

 

『これは鬼道の“天挺空羅”を()()()()モノなのどびっくりすることはないと思いますが、とりあえずは単刀直入に本題を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瀞霊廷との連絡が復旧しました。

 そしてどうやら藍染を含めた数人が何らかの方法で、霊王宮へと向かっているとのことで事態はかなり深刻なものです。』

 

 後者の事を告げた浦原の声は真剣な口調(トーン)だっただけに、彼の声を聴いていた大半の者たちの緊張感がさらに高まった。




???:ん? さっきから彼を突いてどうしたんだい?

???その2:いや、さっきから妙なことを言っていてな。 ちょっと見てくれ。

作者:『へんじがない、ただのしかばねのようだ』

???その2:な?

作者:リアルのおかげでテンション低めなのはご了承ください。 というわけでゴロゴロして仮眠してきます。

???:……ふむ、この間に彼の髪の毛を全て剃り落としてみてはどうかな?

???その2:…………………俺のモヒカンへのあてつけっスか?

???:………………………………………………………………………………………………………………………………
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