白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話投稿です。

お気に入り登録、誠にありがとうございます。 歓喜の極み、うれしい限りです。 <(_ _)>

リアルでの出来事などで上手く考えがまとまらず、展開が少し急かもしれませんが、皆様が楽しんでいただければ幸いと思っています。


第129話 Unternehmen Ikarus

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 尸魂界組 視点

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 ドリスコールとマスキュリンの戦死、そしてシャズが戦闘不能にされたことで瀞霊廷では大きく、派手な戦闘は()()無くなった。

 

 目立つ戦闘区域と言えばエス・ノト辺りだろう。

 

 あとは未だに瀞霊廷内で市街戦やゲリラ戦法で徹底抗戦をする聖兵(ゾルダート)たち。

 

『原作』では滅却師たちの一度目の侵略で死神たちはなす術も無く、戦闘とも呼べないほどに一方的に蹂躙されていた。

 一人の星十字騎士団(シュテルンリッター)に、わずか182秒間で副隊長である雀部を含めた一番隊の隊士107名の命が散った。

 

 二度目の事前予告までされた侵略では星十字騎士団(シュテルンリッター)のほぼ全員が動員され、侵略開始から7分で隊士の戦死者が1000名以上出るほど。

 

 そんな彼らがなぜ犠牲を出しながらも早く侵入してきた聖兵(ゾルダート)たちの鎮圧化、または拮抗状態へと持ち込めたのは先のロバートの中立派やハッシュヴァルト率いる穏健派たちの離反、そして圧倒的な力というカリスマの塊であるユーハバッハがいない事も関係しているのは事実。

 

 だが意外と護廷(の一部)が『原作』より幾分か実力が底上げされたことや、試作品とはいえ霊子兵装が鬼道の扱いが下手な者へ支給されていたり、瀞霊廷のインフラなどが発展してことも関係していた。

 

 少し前まではマニュアル通りの業務で傲慢や慢心していた死神たちだったが、落ち目だった五番隊が目を見張るほど向上したことや、上記のロバートやハッシュヴァルトたちと一緒に離反した滅却師達が少数ながらも自分たちより圧倒的な戦闘技術などを持っていたことで危機感を覚えたり、自分たちの隊長も何らかの影響を受けて向上心を露わにしたり親しみやくなったり……

 

 等々といった違いが重なったことで、このような結果を出していた。

 

 とはいえ『全てが順調』と呼べることでもなく、やはり時代遅れな考えや頑固者は昔の定義のまま身を戦闘に身を投じて亡くなった者たちも少なくない。

 

「ざぁ、ざっざざぁー。 次の部隊はぁ~?」

 

『原作』ほどでは無いにしろ、決して無視できる数もない。

 

 この死神たちの亡くなった()原因は部類として、『滅却師』に違いないなのだが……

 

 今は一際目立つ戦闘をするエス・ノトへと戻そう。

 

 

 

「……なンダ、全然大したコトないネ。」

 

 どこか落胆していたエス・ノトが頭を傾げながら、どこぞのサスペンス映画で出てくる殺人鬼のようにその場を徘徊していた。

 

「ルキア────」

「────今は言の葉より精神に集中をしてください義兄様。」

 

 ルキアの参戦(横やり)があったものの、『恐怖』という負の感情に一時的に飲み込まれた白哉を彼女は離脱させるために事前に発動しかけた『初の舞(そめのまい)月白(つきしろ)』を使って白哉と自分はエス・ノトから無理やり距離を取っていた。

 

 その間に白哉は『恐怖』を止められないにしろ、ここで向き合おうとしていた。

 

『理由の無い恐怖』より、無理にでも『カタチある恐怖』にしたほうがずっと制御しやすい。

 

「(……情けない。 まさか『恐怖』の元がルキアで、そのルキアに駆け付けられるとは。)」

 

「……」

 

 ルキアはいつもの覇気と圧を感じさせない、大量の汗を流す白哉に視線を送らずに『(エス・ノト)の警戒』をして『見て見ぬフリ』を続けた。

 

 というかそうしなければルキア自身、『恐怖』に飲み込まれる気がしたからだ。

 

「(私は義兄様ほど心身ともに強くはない。 だが義兄様の助けぐらいは出来る筈だ。)」

 

 幸いエス・ノトが彼女が現れたことを『またも格下の死神の出現』と思い躊躇し、針状の矢を射る前に彼女の技で距離を取られた。

 

「……アア、思い出シタ。」

 

 エス・ノトが突然立ち止まっては人差し指を上げて、己の着用していたマスクにある一つのトゲを撫でる。

 

「さっきノ君、『朽木ルキア』だったヨネ?」

 

「(……義兄様の事はともかく、私の名を知っているだと?)」

 

「耳を貸すな、ルキア。」

 

 いつの間にか、立ち上がった白哉が物陰からエス・ノトを覗こうとするルキアの肩に手を置いて止めていた。

 

「義兄様────?」

 

「────奴の話術もおそらく『恐怖』をより引き出す物。 耳を貸す必要はない。」

 

「ッ。」

 

 先ほどよりかなりマシな顔色になった白哉が()()()()()()()足に力を入れていたことにルキアは気付く。

 

「それに、()()()()のならば他の物が良いだろう。」

 

「『他の物』?」

 

 白哉に指摘されてルキアが耳をすませばわずかにだが楽器のような音が風に乗って聞こえてきた。

 

『♪~』

 

「これは?」

 

 ルキアが考え込んでも、檜佐木がたまに奏でる『ぎたー』でも、現世でいた頃に三月と一緒に観た(というか観せられた)『さいほうそう』で聞いた『じぇいぽっぷ』や『あにそん』とはかなり違った。

 

「『おーけすとら』というモノらしい。」

 

「え?」

 

 白哉が西洋のモノを知っていたのがかなり珍しく、ルキアがポカンとした。

 そして彼の言っていたことは的を得ていた。

 

「……?」

 

 エス・ノトも聞こえてくるのか、彼は立ち止まって周りを見ると上空から金色の人形らしき物体が降ってくる。

 

「なンダ?!」

 

 それらの姿形はあえて言うのなら金色の紐を何重にも巻いたマネキンに、頭の代わりに金色の薔薇の花で統一され、さらに空中には同じく金色で指揮棒を持つ右手と空の左手が現れた。

 

 エス・ノトや白哉たちから少し離れた建物の屋上では、マエストロなどが使う指揮棒へと形が変わった『金沙羅(きんしゃら)』を持ったローズがいた。

 

「出来ればもっと観客が美しい僕が目に見えているところで使いたかったけど、本当は使っちゃいけない卍解を使っている訳だからねぇ~」

 

 ローズは皮肉めいた感じで独り言を言っていた。

 が、さっき言ったように今の彼は卍解を遠距離から使用していた。

 

 普通ならたとえどんな状況でも総隊長の出した『卍解の使用禁止令』を守っているところなのだが、彼が白哉たちのいた場所へと移動中に我先にと一心不乱に逃げていた死神たちに吉良とローズが強制的に尋問 ()()事情聴取を行って、エス・ノトの異常さを悟った。

 

 これにより一般の隊士たちがエス・ノトたちの周りから自然と避難していたこと、そして白哉と対峙していた様子からエス・ノトの攻撃範囲が()()()()目視の範囲内のみ。

 

 ならば誰にも目撃されることなく、()()()()()()()()()()()()()()で短期決戦を狙えばいい。

 

「僕の卍解、『金沙羅舞踏団(きんしゃらぶとうだん)』の観客が敵含めて数人程度だけど共同の演習(肩慣らし)と思えば悪くないかもね……『第一の演目、海流(シー・ドリフト)』!」

 

 ローズの宣言とともに、金色の人形たちから巨大な水でできた嵐がエス・ノトを覆う。

 

「……ミズ? ただノ水でボクが────」

 

「────(よん)の舞、『面白(つらじろ)』。」

 

 パキッ。

 

 ルキアの声がかすかにエス・ノトに聞こえたと同時に、彼と彼を覆う水がすべて氷へと変わった。

 

 それはどこか、日番谷の『千年氷牢(せんねんひょうろう)』に酷似していた。

 

 とはいえあちらは単体でなせる業に対して、こちらはローズの遠隔での卍解の補助とルキアが()()()()()()()()

 

面白(つらじろ)』とは、ルキアがほぼ強制的に海燕の卍解会得の鍛錬に突き合わされた結果で編み出した技。

 原理としては『月白』に近いがこちらは敵が何らかの物質に閉じ込められた、または包囲された場合に最大限の効力を表す。

 

「やった……か?」

 

 息を整えるルキアが物陰から巨大な氷の柱と一体化したエス・ノトを()()

 

 ゾクリ!

 

「ッ?!」

 

 ルキアは突然自分を襲ってくる()()に物影の中へと再度潜みながら『袖白雪』を胸近くで握りしめる。

 

 カタ、カタカタタタ。

 

「クッ!」

 

 振動で、手からくる金属が揺らされる音をかき消すように彼女は更なる握力で────

 

「────十分だ、ルキア────」

 

「────ぇ?」

 

 自分の横にいた白哉の言葉に目がつむりそうだったのを逆に見開いた。

 

「間に合ったようだ…()()()()()。」

 

 ヒュっ!

 

「う~ん、白哉君に褒められるのは新鮮な感じがするねぇ~? 『影鬼』。」

 

「『天譴(てんけん)』!」

 

 風を切る音と主に、『花天狂骨(かてんきょうこつ)』を持った京楽がルキアたちのそばに表れてすかさず影の中へと消えた瞬間、上空から飛来してきた腕によって氷の柱が粉砕されていき、身動きが取れないエス・ノトに迫っていく。

 

 バキバキバキバキバキバキ!

 ドゴッ!

 

 ガァァァ!!!

 

 途中で氷が内部圧迫から砕け散り、姿がさらに異様に変質したエス・ノトの手前で狛村の『天譴(てんけん)』が()()()()()()

 

「ぬ?! 何故だ?! 何故動かん?!」

 

 エス・ノトの白目を剥いた眼からは血涙のような模様が現れ、両腕が黒く変色、体の皮膚がロングスカートのように伸び、足元から喉元までを縫合痕が刻まれた姿になりながら煮たr値とした笑みを浮かべ、近くのビルから睨む狛村を向く。

 

「体がスクンデいるからダよ。 『神の怯え(タタルフォラス)』。 コレデボクを見ルと、『恐怖』が否が応にデモ捻じ込まレ────」

 

 ゴォォォォォォ!!!

 

「────どけ。」

 

「総隊長殿?!」

 

 エス・ノトが言葉を言い終える前に、周りの氷────否。 大気の湿気が一気になくなりほどの灼熱と共にその身を包まれた。

 

 上をどこまで見ても天に上るその柱は、下手をすると大気圏から宇宙へと続いていくほどの力強さを錯覚させるほどだった。

 

 そんな術を()()()初解で成した本人はただ静かに、他の隊長たち数名を率いて狛村、そしてルキアたちのいる場所を素通り────

 

「────朽木白哉。 これから霊王宮へと向かった藍染を止めに行く、同行せよ。」 朽木ルキア、ほかの副隊長たちと連絡を取り瀞霊廷の鎮圧化に励め。

 

 山本元柳斎の有無を言わせない、硬い口調に朽木兄妹はただ除くことしかできず、人の目を盗んで卍解を使用したローズは青を通り越して真っ白になった顔をしながら平子に引きずられていた。

 

「で? 何でここにお前もおんの?」

 

 平子はいつもの笑みや愛想笑いをやめて横で歩いていた三月にそう問うと、彼女は一瞬だけ横目で彼の視線を返す。

 

「……()()()()、ね。」

 

「ふぅ~ん?」

 

 これから護廷の隊長たちが勢ぞろい(+少女一人)で藍染の後を追い、その間に襲ってきた滅却師(カイザァリッヒ)の残党を副隊長たちに任す方針で行動していた。

 

 ()()にもこの時、少人数で隊士たちを葬っていった()()の行き先に先回りしたことが関係して副隊長たちだけでも今の状況に対応できるようになった。

 

 そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ___________

 

 現世組 視点

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 現世では姿と技能が似たかつて打ち破られた破面たちの襲撃にこそ後れを取ったものの、元星十字騎士団(シュテルンリッター)たちと彼らに従う聖兵(ゾルダート)たちと『その他の者』たちが奮闘したおかげで『破面たち関連の被害』はそう増大することもなかった。

 

『その他の者』の中に死神代行である一護はもちろんのこと、チエも入っている。

 あとは────

 

「────こっちだオラァ!」

 

 一護の体に入っていたコンは叫んで煽った破面たちから一目散に逃げた。

 

 追いつかれず、引き離さずの距離を保ち彼は走り続けた結果に数十人ほどの破面たちを引き連れていた。

 

うおおおおおおおおおおおお?! (ヒィィィィ! 何でこうなったぁぁぁ?!)」

 

 彼は走りながら泣き出しそうな顔のままそう思った。

 

 というのも、彼は町の異変に気付いて黒崎家の一階に降りようとしたところでちょうど何かが玄関のドアを突き破った音に駆け付けると────

 

「────夏梨────!」

 

「────ッ! こっちだカマキリ野郎────!」

 

 ────()()を持った破面を見ては腰を抜かして尻もちを付いた夏梨と、生身の一心が彼女のそばにいたことを見たコンは大声で叫んでは飛び蹴りを破面に食らわせ、破面が自分を追うことを確認したまま逃走した。

 

 このように行く先で破面に襲われそうな人たちをコンは見ては挑発しては逃げ、挑発しては逃げることを繰り返したことで上記の事となる。

 

「あああああああああ!」

 

 幸いにも破面たちはどういうわけか響転(ソニード)を使用してこなかった。

 たとえ改造魂魄のコンでさえも、さすがに響転(ソニード)を使われては一巻の終わりだっただろう。

 

「バカ! お人よしの俺ってバカ!」

 

 そんな近に聞きなれている声が聞こえてくる。

 

「しゃがめ、コン!」

 

 ザンッ!

 

 コンが言う通りにすると、後ろから追っていた破面たちが上半身と下半身に分離しながらも手を使って追おうとする。

 

 「死ねやクソ虚! 『電滅刑( エレクトロキューション)』!!!」

 

 ドドドドドドン!

 

 上から飛来して来た落雷はそのまま線を描くように一直線に地面を移動する間、チエがコンに肩をかs────

 

 「────チエの姐サァーン!」

 

 ムニュン。

 

「すまないな、少し遅れた。」

 

 自分を精一杯抱きしめながら頬擦りをするコンを彼女は撫でた。

 

 ナデナデナデナデナデナデナデナデナデ。

 

「グヘ♡ グエヘヒヒヒヒへハハハハハ♡」

 

「……よし、なんか腹が立つからこいつ(シメ)る。」

 

 誰がどう見ても完全に邪な考えをするコンをキャンディスが見ては再び腕に電気を溜める。

 

「気持ちはスゲェわかるけど俺の体だからやめてくんねぇかな? てかいい加減には・な・れ・ろ!

 

「グェ。」

 

 耳まで赤くなり、別の魂とはいえ自分の体なので明らかに恥ずかしがる一護がコンを引きはがすと、コンはつぶれたカエルのような声を出した。

 

「あ、じゃあそっちの特盛の姉さんで────」

 

 「────ア゛?」

 

 キャンディスの明らかに不機嫌な声にコンは口をつぐんだ。

 それもそうだろう、何せこのような状況で────

 

「金のねぇ奴に興味はねぇよ!」

 

「え。」

 

 ────訂正。

 金目のものが無いそうなコンがダメなようで、流石のコンもこれには呆気に取られた。

 

「お疲れ様っス。」

 

「「「うお?!」」」

「浦原か。」

 

「そこは『店長』で。」

「バイト中ではないのでな。」

 

 一護たちの背後からくる浦原の声に一護、キャンディス、コンはびっくりする。

 

「そこのお二人がたに、尸魂界への────」

「────ああ。」

 

 チエの即答に浦原が意外そうに眉毛を上げる。

 

「おや? 珍しい────」

「────御託はいい。 藍染が絡んでいるのだろう?」

 

「……いやいや、まったく可愛げの無い。 そう思いませんか一護サン?」

 

「なんでそこで俺に振るんだよ浦原さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

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 瀞霊廷のはるか上空では、藍染と彼と一緒にいた滅却師たちは空の上を浮いている街並みの外れにある、木で出来た橋の上を歩いていた。

 

 迷いのない藍染の足取りと違い、『Kaiserreich(カイザァリッヒ)』の滅却師たちはあたりを警戒しているのかそれぞれが武器、または霊子兵装を構えながら右から左へと視線を動かした。

 

「フゥム、妙であるな。」

 

 その中で剣闘士風のジェラルドが独り言を零す。

 

 何せ彼と周りにいる滅却師たちがもっている情報(ダーテン)によれば『この場所』に到達するためには72枚の障壁を超え、さらに護廷十三隊全てより強いとされている守護隊がいるはず。

 

「ああ。 気にするな、()()()()よ。」

 

 藍染は何でもないような口調でそのまま、宮殿らしき建物へと続く橋をゆっくりと歩く。




未だにぐちゃぐちゃなテンションと思考の中でのコントは難しいです、申し訳ございません。
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