独自解釈などがございますが楽しんでいただければ幸いです。
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??? 視点
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『バズビー』。
ハッシュヴァルトを『ヒューゴ』と呼ぶ彼は今でこそ『
それが『バズビー』と呼ばれている『現在の彼』である。
「『バーナーフィンガー1』!」
ジィ!
バズビーの指先から何某機動戦士アニメでよく出てくるビーム光線を、ハッシュヴァルトが広げたマントを焼く。
ハッシュヴァルトが囮と注意を引く為に投げたマントが完全に焼ける前にバズビーの横に移動していた。
「『バーナーフィンガー2』!」
「バズビー!」
バズビーもこれを予想していたのか、先ほどの光線とは違う技を人差し指と中指から出し、それを鞭のように巧に操っていた。
「釣れねぇな、ヒューゴ!
ここでバズビーは皮肉めいた言葉を放っては苦虫を噛み潰したように顔を怒りで歪める。
「それとも、今の俺たちじゃ
「やめろ、バズビー!」
「吠えていろ! 今のテメェは俺の上司でもなんでもねぇんだ!!」
「(戦うしかないのか?!
さて、このまま二人の戦闘が繰り広げられている間に一昔前の話をしたいと思う。
話題はもちろん、ヒューゴこと『ユーグラム・ハッシュヴァルト』と、バズビーこと本名『バザード・ブラック』。
前に少しだけ記入したと思うが、ハッシュヴァルトの成り立ちを覚えているだろうか?*1
さらに彼が滅却師の基本的能力である筈の『霊子を吸収して自らの(戦う)力とする』事が出来なかったことで、『異端視』されていたことを?
そこも含めて、彼とバズビーの詳細を提示しようと思う。
少々簡略化などもあるかも知れないが、許してほしい。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
シュッ!
木の枝を削ったような矢がじっとしていたウサギを素通りする。
「あ……」
カンッ!
これを木の弓を持っていた少年が林の中から声を出したことでウサギは逃げ始めたが、横から来た霊子の矢によって射られる。
「何やってんだお前! へたくそだなぁ!」
「へ?! だ、誰?!」
上から来た声に木の弓を持っていた少年が林の中から立ち上がって、そのぼさぼさした金髪頭をキョロキョロと周りを見る。
金髪少年の身なりはお世辞にも良いとも言えず、少し……かなり貧相なものだった。
高い耐久性があるはずのオーバーオールジーンズはところどころ敗れていて傷が目立ち、中に着ていたシャツも生地自体がヨレヨレ寸前で、履いていたサンダルはボロボロだった。
リアルを追求しすぎた『ザ・中世西洋の農民』の姿である。
「ここだよ、ここ!」
金髪の少年は死んだような緑の目で見上げると、どこかの『中世騎士なりきりセット』のような甲冑とマントをし、木の上で霊子のクロスボウを持った者を見る。
甲冑少年は見下ろしたまま、大きな態度で怒鳴る。
「それにな! 名前を知りたいのならまずは自分から名乗れ! 特にこのバズ様の前ならではな、この白ネギモヤシ野郎!」
「あ。 『バズ』って言うんだ」
この木の上から金髪少年を見下ろす子供こそ『バズ』。
後に『バズビー』と名乗る者である。
「んが?! テ、テメェ、どうやって俺様のあだ名を知った?!」
「僕はユーグラム。 ユーグラム・ハッシュヴァルト」
「人の話きけよ?!」
『お前が言うな』というテロップがまさに似合うほどに『バズ』は地団駄を木の上で踏む。
「けどお前、見所あるぜ! このバズ様を前に怖気づかないなんてよ────って俺様をほっといてどこに行くんだよ?!」
「次の獲物を探しに行くんだけど?」
それだけ言い、幼いハッシュヴァルトの後をトコトコと我が物顔で幼いバズビーはついて行った。
「……なんでついてくるの?」
「あ?! なんでって……お前みたいな白ネギもやしが獲物取れると思えねぇから見守っているんだよ!」
ハッシュヴァルトは感情のない目と顔のまま、巧みにジト目の空気を出して音量がうるさいバズビーを見る。
「な、なんだよ?」
「ううん。 君の言う通り、僕は君みたいに
「……バッカだなぁ、ユーゴ!」
「(『ユーゴ』ってあだ名、僕は好きじゃないんだけど)」
ハッシュヴァルトのジト目が顔に出始めたが、元気に喋り続けるバズビーは気付かなかった。
「これは俺様が天才なだけだ! 俺らの歳じゃ出来なくて当然ぐらいだ! お前の友達見ても誰もできねぇだろ?!」
ここでハッシュヴァルトはジト目をバズビーからそらした。
「……さぁ? そういうのは分かんないかな? あと、僕の名前はユーグラムだよ」
「ん? じゃあ親はなんてお前を呼んでいるんだ?」
「親はいない……オジサンと住んでいる」
「ふーん……じゃあそのオジサンはお前をなんて呼んでいるんだよ?!」
「……別にいいだろ、そんなの。 君に教える必要ないよ」
無意識にか、ハッシュヴァルトは自分の腕を掴んでこの拍子にバズビーは上がった袖の中にある肌からはみ出た青い痣を見る。
それはどう見ても打撲の跡で、決して狩りや農業で得るものでは無かった。
「ほらよ」
そんなハッシュヴァルトにバズビーはウサギの遺体を彼に手渡す。
「え?」
「『え』、じゃねぇよ! 俺様は食うために狩りをしている訳じゃねぇんだ!
「遊び……」
未だに死んだ目をするハッシュヴァルトに、バズビーが次に渡したのはマント留めのバッジ。
何かの家紋を掘られたそれを見て、ハッシュヴァルトはキョトンとする。
「んじゃ、ヒューゴ────」
「(────またあだ名が変わっている────)」
「────お前は今日からはこの俺様、『バザード・ブラック』の子分な! 分からないことがあれば俺様に聞け! 最強の滅却師になろうぜ、ヒューゴ! もちろん、俺様が一番な!」
それを最後に、バズビーは少し距離のある
「(あの子……やっぱり貴族様だったんだ……)」
そう思い、ハッシュヴァルトは自分の手のひらにある家紋入りのバッジを見る。
「ユーゴ!」
大きな怒鳴り声に、ハッシュヴァルトの体がびくりと跳ねて彼はバッジを自分で裁縫しなおした際につけた隠しポケットの中に入れた。
ガサガサと森から林に姿を現したのは『ザ・中世西洋農民』でもハッシュヴァルトよりはきちんとした身なりの中年男性だった。
「探したぞ、この無能が!」
「え、あ、その────」
「────お?!」
中年男性はウサギをハッシュヴァルトの腕から取ってはマジマジと見定めていく。
「ウサギか! 貴様にしちゃあ上出来だ! 今日は御馳走だな!」
……
…
「うっめ~! やっぱ狩りの後の夕食は旨いぜ!」
その日、ブラック家当主であるバズビーの父親の召使たちが見守る中でバズビーは豪華な夕食を笑顔で堪能した。
……
…
「……」
同じ日、別の場所に居たハッシュヴァルトは多少焦げ目が目立つウサギの耳を白湯に近い雑炊(に似たもの)に浸し、自分で自作した小屋の中で食べていた。
近くのちゃんとした家の中からは、ウサギの肉を使ったシチューの濃厚な匂いが漂っていた。
これがバズビー、そしてハッシュヴァルトが出会った日の一連と、彼らの境遇である。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
二人が出会って半年後、
奇跡的に、今日もひっそりと城を抜けては、森で暮らしていたハッシュヴァルトと狩りや競うなどをしていたことでバズビーは奇跡的にも生き延びた。
「……俺はやるぜ、ヒューゴ」
バズビーは焼けていく城を見て、心から溢れ出る怒りによって幼い少年がしていい表情へと歪めながらある決意を後ろに立っていたハッシュヴァルトへと『それ』を宣言する。
「俺はユーハバッハを……殺す」
「……そう」
「ヒューゴ。 もしお前が嫌だってんなら、オジサンと途方に────」
「────オジサンなら
「……………………そうかよ」
バズビーはハッシュヴァルトにしては珍しく
「(俺様は……俺は天才なんだ! 数百年生きてきた
…………
………
……
…
ブラック家の城が焼け落ちて数年、どちらから言い出すこともなくバズビーとハッシュヴァルトは一日も欠かさず己の鍛錬と修練に明け暮れていた。
二人に休息はなく、ただひたすらに自分たちを磨き続けた。
バズビーは着々と霊子で作った兵装の技術や戦い方はめきめきと上昇していき、ハッシュヴァルトは滅却師としての基礎が出来ないまま純粋な剣術を磨いた。
幸いにも小さな領地の次代当主になるはずのバズビーはこのような異例の滅却師が生まれることを以前に聞いたことがあり、ただひたすらに自分と同じように……いや、それ以上に努力をするハッシュヴァルトを見ては『見捨てる』という選択を除外していた。
「ユーハバッハ様よりお達しである! ユーハバッハ様は新たな戦闘部隊の設立を宣言成された────!」
そんな彼らが滞在していた街に、馬に乗ったユーハバッハの憲兵隊が書物を高らかに読み上げていた。
「────その部隊の名は、『
このことを聞いた街の住人たちはどよめき、憲兵隊の者は喋り続け、ハッシュヴァルトはいつものすました顔のままバズビーに語り掛けた。
「……すごいニュースだよね、バズ」
「よし。 行くぜ、ヒューゴ────」
「────え?」
バズビーはハッシュヴァルトが制する前に駆け出し、憲兵隊の前に飛び出た。
ハッシュヴァルトの手を握りながら彼を無理やり引きずる形で。
「……なんだ、お前たちは?」
「俺はバズ! んでこいつはヒューゴ! 俺たちは入隊希望者だ!」
憲兵隊の先頭の兵士が二人の少年たちを見下ろすが、バズビーは気圧されることなくはきはきとした声で答え、オドオドするハッシュヴァルトはそこからすぐに逃げたい気分だった。
この二人が出たことによってどよめきは町の住人だけでなく、憲兵隊の何人かにも伝染した。
無理もない、若干幼さを残す少年の二人組が突然憲兵隊の前に飛び出ては臆することもなく『入隊希望だヨロシク!』、というような態度をとっていたのだから。
「…行くぞお前たち」
「「「「「ハッ!」」」」」
そのまま憲兵隊たちはそのままバズビーたちを素通りする。
「な?! ちょっと待てよ! 入隊希望って言っただろうが?!」
「わわわ?!」
いや、素通りしようとしてバズビーがまたも前に立ちはだかった(またもハッシュヴァルトを引きずって)。
「試験は後日、追って通達される。 貴様のような身の程知らずを通すほど緩い門ではない」
「だ、だってさバズ? だから、ね? 今日はもう帰ろうよ?」
「……チッ!」
ヒュン!
ナヨナヨするハッシュヴァルトの手をバズビーは引きはがして霊子の矢を憲兵隊の前に射る。
「……何の真似だ?」
「勝負だ、憲兵さん! 俺が勝ったら、アンタの座をもらっておくぜ!」
ビキ!
「……この猿め。 死ななければ治らん精神病を持っていたか」
「『憲兵、猿に殺される』ってな! お前さんの仲間が今日の事をユーハバッハに伝える伝令はそうなっているだろうぜ!」
売り言葉に買い言葉を放つ二人を見て、ハッシュヴァルトは最初オロオロしていたが間に割ろうとした。
「ま、待って────!」
ズッ!
「────ガッ?!」
バズビーだけでなく、町の住人の全員が余儀なく地面に押し付けられるかのように横たわっていた。
「ゆ、ユーハバッハ様!」
憲兵隊の者たちが全員頭を下げ、下乗していた者たちが地面に跪く。
「も、申し訳ありません! かような猿と私闘を────!」
「────よい。 私は迎えに来たのだ、私の右腕となる者を」
「ッ?! (チャンスだ!)」
バズビーはそう思いながら、圧し掛かった霊圧の中で必死に体を起き上げようとする。
「(この俺が! テメェの探している右腕だ、ユーハバッハ!)」
何と過剰藩士だけ浮かばせたバズビーは腕に力を入れ続け、体の筋肉が悲鳴を上げる。
「(俺が! テメェの右腕になって! テメェを殺してやる! だから、俺を────)────ッ!」
ついに首を上にあげることが出来たバズビーの目に映ったのは、唖然と
「え? え? え?」
誰もが跪いている中で、ハッシュヴァルトは立ちながら戸惑っていた。
「私はお前を探していた、ユーグラム・ハッシュヴァルト」
「……え、えっと……何のことか、よく……分かりません」
「理解せずとも良い。 お前は我が側近として、『
憲兵隊の全員、そして蒸気を言い渡されたハッシュヴァルト自身も驚愕に目を見開く。
「えっと……ど……どうしよう、バズ?」
何か得体の知れないものを感じながら震え始めるハッシュヴァルトが振り向いてみたのは────
「ッ。」
────今にでも視線だけで相手を射殺すことが出来るのなら即死が可能な目で自分を見ていたバズビーの表情だった。
そしてその見た目通り、バズビーはかつてないほどの怒りをこの
「(なんで、俺と比べて凡骨のお前が選べられた?!)」
彼は出会った時から自分と比較して、大した技術の進展もないハッシュヴァルトが他でもない
「(え? な、なんで? どうして、そんな目で僕を見るの? や、やめてよバズ……)」
逆にハッシュヴァルトは困惑しながら、『オジサン』以来に畏怖の感情を胸の中で感じていた。
何せ彼からすれば
「(なのに何で? 何で一緒に喜んでくれないの? バズ?! 君の目的に近づいたんだよ?! そんな目で僕を見ないでくれよ、バズ!)」
「よし、行くぞお前たち」
「「「「「ハッ! ユーハバッハ様!」」」」」
「ま、待って!」
その場から離れようとするユーハバッハたちを見て、ハッシュヴァルトは思わず制止の声を出す。
「あ……ぼ、僕……何かの間違いです! きっと! 僕には! 滅却師としての才能はないんです! 僕なんかより……あそこにいる、バズのほうが……へ、陛下の側近に……ずっと相応しいと、思います……」
これはハッシュヴァルトなりに、バズビーを気遣った言葉なのだが……
「(ヒューゴ……テメェェェェェェ!)」
バズビーからすれば震えるハッシュヴァルトの背中姿は笑いを堪えるようにしか見えず、『
「一つ、勘違いをしているぞユーグラム・ハッシュヴァルト。 お前の能力は、ほかの滅却師のように周りから霊子を吸収して自らの力にすることではない……『逆』なのだ」
「『逆』?」
「そこの赤毛の子供よ。 お前はユーグラムといる間に日々、自分の能力が増すのを肌で感じていた筈だ。 それはお前自らの力ではなく、
『無力』なお前を、今まで『天才』に仕立て上げてくれた男にな」
バズビーは何も言えなかった。
それほどまでにショックだったが、そこにユーハバッハは更なる追い打ちをかけた。
「こい、ハッシュヴァルト。
ハッシュヴァルトの人生の中で初めて聞くの言葉。
それはあまりにも誘惑が強かった。
「ユーハバッハァァァァァァァァ!!!!」
「ッ!」
バシュ!
ハッシュヴァルトは気付けば体が勝手に動いていた。
「な……俺の、矢を?!」
「……ぁ」
渾身の力で上半身を浮かせたバズビーがユーハバッハを狙って射た矢を、ハッシュヴァルトは素手で掴み取っていた。
これを見たユーハバッハは愉快そうな笑みをただ静かに浮かべ、移動を再開する。
「こ、これ……ち、ち、ち、違……バ────ㇶ」
遠ざかっていくユーハバッハから視線を狼狽えるハッシュヴァルトがバズビーに戻すと、彼は息を素早くヒュっと飲み込み、よろけながらもユーハバッハの後を追った。
バズビーの駄々洩れる殺気から逃げるかのように。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「俺と勝負しろ!」
更に時は経ち、あとから『
「いい加減にしろ。
今では肩より長くなった金髪をなびかせながら踵を返して歩き出す、『冷静の仮面』を徹底するハッシュヴァルト。
「それに、
平然とする彼の一言に、バズビーは拳を力強く握った。
「(クソが! 俺は『用済み』、『他人』って言いたいのかよ?! ふざけるな!)」
これを見ていた憲兵隊の一人が、近くを歩き通るハッシュヴァルトを見ながらニヤニヤとした笑みを向ける。
「何か、副団長?」
「今思えば、あの時の猿ではないか? どれ、入団したのだから副団長であるオレが『修正』をしても構わんだろう────?」
ズッ。
「────やってみろ。 その日に抹消されることを承知の上でならばな」
圧倒的かつピンポイントの霊圧でハッシュヴァルトは冷たい表情で副団長を威圧感のみで強制的に黙らせ、副団長の目に畏怖が現れたのを確認した後にその場を去る。
これが二人の出会いと、状況と思い違いによって拗れていく友情の始まりだった。
ズレていく思いと考えで悲しいことに、幼いころから虐待を受けていた平民のハッシュヴァルトが閉ざしかけていた心を開けたのが能天気で王道貴族な我が儘バズビーならば、それを再び閉ざしたのも彼に嫉妬したバズビーだった。
よってハッシュヴァルトの『主に己ファーストだが従えれば全力を惜しまない』というスタンスもこれから生じ、最後の最後までこれを貫き通した結果に彼は離反を犯したバズビーを殺した。
少なくとも、『原作では』の話だが。
白哉:……………………
チエ:…………………………
白哉:……………………………………………………
チエ:…………………………………………………………
白哉:安物の茶葉だな。
チエ:そうだな。
作者: _(X3 」∠ )_