白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話です。

リアルで少しバタバタしていた上に短いですが投稿しました、楽しんでいただければ幸いです。


第134話 The Compulsory, X-axis, and Wind

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

「何ですかね、あれ?」

 

「挑発かネ? それとも独り言? どちらにせよ無視する方針だガ」

 

「……」

 

 浦原とマユリたちが気付いたのは凍り付いたような中世の町で、前に大道路では身に余るフード付きの衣服を被った者を見ていた。

 

 以前リジェが『ペルニダ』と呼んだ者である。*1

 

「(相も変わらずの子供の張り合い(同族嫌悪)じゃな……)」

 

「いやぁ~、中がいいな二人とも! アッハッハ────ムグッ」

 

 ボコボコボコボコッ!

 

 逆に夜一は呆れ気味にこの二人(似た者同士)を横目でちらりと見ながらそう思い、浮竹が愉快そうに笑い始めたがマユリと浦原の冷た~い目と空気を察して口をつぐみ、急にフードの頭部が異様なサイズに膨れ上がった。

 

「戦いに不向きな変化だネ? 不気味な奴だヨ」

 

「(うーん、ボクたちに言われちゃオシマイなような気がしますけどね)」

 

「(お前が思うな喜助)」

 

「(……なんだ、この胸のざわめきは?)」

 

 マユリをジト目気味の目で見る浦原に、更にジト目の夜一がそれぞれのツッコミを(内心で)入れる。

 

 そして浮竹は()()()()()()()感じに戸惑った。

 

「「という訳であれを攻撃しロ/しちゃってください♪」」

 

「…………………………………………はにゃ?」

 

「(四楓院が『はにゃ?』って……砕蜂が聞いたらどうなることやら)」

 

 バリバリバリバリバリバリッ!

 

 またも変な(猫染みた)声を夜一が出し、いつもならカラカラ笑う浦原でも布が破れるような音が出たことでそちらへ注目する。

 

「おや?」

「ホゥ」

「ッ」

 

 中から出てきたのは異様なサイズと不健康で青白い『左腕』そのモノだった。

 

「ウゲ、なんじゃあれは?」

 

「「どう見ても左腕っスね(だネ)」」

 

 「見れば分かる!」

 

「ミミハギ様────グッ?!」

 

 ここで浮竹がいつもとは違う、心臓が締め付けられるような苦しみ(感覚)に股を地面につけながら、両手で胸を押さえつける。

 

 頬、額、背中などの部位から大量の汗が出てはポタポタと地面へ落ちていく。

 

「『ミミハギ様』?」

 

「何だね、四楓院夜一ともあろう者が知らないとは────」

「────知っておる」

 

「『名前だけは』、でしょう夜一さん?」

 

「ならば私が学の無いものたちの為に説明しよう────」

 

 ────『ミミハギ』。

 それは東流魂街の外れに伝わる土着神(どちゃくしん)

 

「だそうダ……何だねその『こいつ意外とそういう迷信知っているんだな』と言いたい顔ハ?」

 

「ありがとう、四楓院……そこからは俺がつけ足そう」

 

 ミミハギは東流魂街76地区の『逆骨(さかぼね)』に『はるか遠い過去に()()()()()()()()霊王の右腕をまつったもの』、と伝えられている。

 

 浮竹の祖母は迷信深く、どの医者からも見放されて肺病で死んでいく浮竹を藁にでもすがるようにそのミミハギの祠へと運んでは浮竹の肺を捧げる祈祷(きとう)を行った。

 

 結果、浮竹は体の一部を供物として捧げて生き延びた。

 そして彼の病弱はここから由来していた。*2

 

「なるほド」

 

「ではこっちは『()()()()()』という訳っスね? って、そんなに睨んじゃ照れるっすよマユリさん!」

 

「おそらくは……俺の中にあるミミハギ様が反応しているのだろう……」

 

 バシャァァァ!

 

 数十メートルほど高さが大きくなった『()()()()()』の爪から濁った血の色をした液体が浦原、マユリ、夜一、そして彼女に肩を貸された浮竹を襲う。

 

 夜一はその場から浮竹と共に素早くそれらを躱し、マユリは緑色の生きているように脈を打つ傘を出し、浦原は似た紫色の形をした傘を出す。

 

 バキバキバキバキバキ!

 

『『イギャアアァァァァァァァ!!!』』

 

 赤い液体が傘に当たると同時に骨が折れていくような鈍い音と共に傘が断末魔を上げるが、浦原とマユリはまるで普通の雨にでもあたったように平然としていた。

 

「浦原喜助────」

「────あ! この傘っスか? 実はこれ三月さん用に作った『ド肝抜きドッキリ』アイテムの一つなんスよ!」

 

「……」

 

「あれ? ここは小さくても『癪だネ』というと思ったんですが────?」

 

「ワレ、ヒダリウデ……チガウ。 ナマエ、ペルニダ」

 

「「「「ッ?!」」」」

 

()()()()()』────ペルニダが喋ったことに浦原たちの各々が反応する。

 

「(言葉が通じるのカ? いったいどの器官で声を発しているのか興味深いネ!)」

 

「(フム? 自分を『霊王の左腕』と否定する? 部位が個として成り立っているのか?)」

 

「う……吐きそう────」

 

「────吐くなよ浮竹?! 投げ捨てるぞ?!」

 

 そして飄々としながらも、なんだかんだ言っても世話をするおばあちゃんお姉さん────

 

 「(ええええい! どいつもこいつも!)」

 

 ────である夜一は苛立ちながらも上手く立ち回っていた。

 百年と少しの間、浦原と共に育ったことは伊達ではなかった。

 

「ペルニダ? 生意気だ、発見者は私なのだから命名権は君にはない」

 

「そうっすねぇ~、せめて『ヒダリィーウデ』とかにしないと♪」

 

 「君にも言っているんだヨ?!」

 

 バガン!

 

 先ほどペルニダが出した液体を浴びた地面がめくり上がり、巨大な手として浦原とマユリに襲い掛かる。

 

「無機物を操るとは予想外────」

「────だが『想定内』っスね」

 

 二人は臆せずに上着から瓶を何個か出し、それらを投げつけるとガラスは割れて医師の手といつの間にか広がった液体に付着する。

 

 ジィ!

 

 ギャアアアア?!」

 

 何かが焼ける音がペルニダの出す悲鳴にかき消される。

 

「今ので確実だネ」

 

「ええ。 『神経』ですね」

 

「そしてさっきの液体は血だけではなく『神経を支配する媒体』と言ったところカ」

 

「『神経制御液(しんけいせいぎょえき)』とでも呼称します?」

 

「後で正式名は私が名付けるがネ」

 

「ええ、まずは目の前の問題を『解体』しましょう────」

「────『解剖』だヨ、浦原喜助。 貴様でも初歩的なミスをするものだネ」

 

「(本当にこの二人は気が向くと頼もしいの……その他は問題アリアリと置いて)」

 

 夜一は別の意味で寒気を感じ、さっきから青を通り越して顔色が土色に代わった浮竹のそばにいた。

 

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 

 

 タァン!

 

 銃声と似た乾いた音が西洋の街並みに響き、建物に穴が開く。

 

「うーん、どうしよう『コレ』?」

 

 タァン!

 

 建物の影にいた京楽は顎に手を添えながら、次に来る攻撃らしきモノを躱す為に移動する。

 

「相手は遠距離タイプ……一番遠く伸ばしても中距離の僕の『金沙羅(きんしゃら)』では華麗に避けるぐらいだろうね」

 

「んで俺の『逆撫(さかなで)』も相手が近くにおらな届けへん」

 

 タァン!

 

「そうなんだよねぇ~、難儀な物だよねぇ~?」

 

「……ならば『千本桜(せんぽんざくら)』で死角を作り────」

「────瞬閧(しゅんこう)をかけた、私の『雀蜂(すずめばち)』で仕留める」

 

「うん、流石だね♪ 山じいの卍解使用禁止の中ではそれが無難だね♪」

 

「「「「「………………………………」」」」」

 

 ニコニコとする京楽は、他人の視線を集めていることを無視するかのようにただ上空の空を見上げる。

 

「「「「「………………………………………………………………」」」」」

 

 ただ流石の無言のジト目はいつもキャンキャンと吠える叱ってくる部下(七緒)元部下(リサ)とは違う気まずさがあったのか、京楽はどこ吹く風を装った。

 

「いやぁ、そんなに見られちゃ流石の僕でも照れちゃうよ♪」

 

 「ええから早よ一番手行けや京楽」

 

 平子の呆れ顔&ツッコミ文句に周りの者たちが無言で首を縦に振って同意する。

 

「デスヨネェ~……よっこらっせと」

 

 京楽が座り込んでいた腰を上げ、『花天狂骨(かてんきょうこつ)』を構えながら開けた場所へと出る。

 

「(さてと……敵さんは……)」

 

 今までの攻撃と出来た穴の角度で狙撃手がどこにいるのか大まかな推測をもとに、京楽がとある塔を見る。

 

「(そこだよね、やっぱり。) だぁるまさんがこ、ろ、ん────」

 

 チカッ!

 

 塔から一瞬だけ眩い光が生じ、京楽は胸に圧迫感を感じた瞬間に、塔から物々しい狙撃中で攻撃をしていたウェスタン風の褐色青年────リジェの背後へと回っていた。

 

「────だ────♪」

 

「────ッ。 (今のは『京楽春水』────!)」

 

 隻眼のリジェが目を開き、京楽の愉快な笑みをする顔に影が落ちると多少(?)邪悪な者のような笑みへと豹変する。

 

「────からのぉ~、『影鬼』♪」

 

 京楽自身がリジェの近くに作った影の中から斬魄刀を構えた白哉が出ると同時に彼は『千本桜』を展開してそれをリジェにぶつけ、京楽は彼の持っていた銃砲身に切りかかる。

 

「(死角と牽制、そして武器────!)」

「(────もらったよ!)」

 

 次に起こったのは誰もが予測できず、信じられない出来事。

 

「な?!」

 

 まるでリジェの周りが無傷圏かのように、直線状にリジェを襲っていた白哉の『千本桜』は彼の周りを過ぎ通った。

 

「(これは、何のカラクリだい?!)」

 

 次に京楽が振り下ろした『花天狂骨』は宙を斬り、彼はリジェを避けるかのように動いた『千本桜』を避ける為に距離を取ると丁度『雀蜂』を構えた砕蜂の姿を見て叫んだ。

 

 「砕蜂────!」

「(────ほぼ密着状態ならばどんな術と言えども届くはず!) 『弐撃決殺((にげきけっさつ)』ッ!!!」

 

 スカッ。

 

 だが砕蜂の繰り出した攻撃も空振りに終わり、リジェに当たることなく過ぎ通る。

 

「バカな?!」

 

「(私の『千本桜』や京楽の攻撃はともかく、砕蜂の攻撃までが()()()()()だと?!)」

 

「これはどこかカラクリがあるようだ……ね! 『斬華輪(ざんげりん)』!」

 

 京楽の声を合図に、白哉と砕蜂がその場から姿を消して、京楽の放った霊圧はリジェに当たる前に軌道を変えた。

 

「無駄らロー」

 

 そこで京楽が()()()()()()()のはリジェのそばにいた舌が2枚あり、どこか呂律が上手く回らない裸足の少年。

 

「ニャンゾル、不用意に声を出すなと言われたはずだ」

 

「あ。 そうらっら。 オイわすれれら、勘弁リ(ジェ)ー」

 

 リジェ・バロ。 

 先ほど記入したペルニダと同様に『かつてユーハバッハの親衛隊を詰めていた』という以前の情報*3にもう少し詳細を付け加えたいと思う。

 

 彼の授かった能力は『X』の『万物貫通(ジ・イクサクシス)』。 見た目がライフルである『ディアグラム』を通して『万物のモノを貫通する』という能力。

 

「じゃあオイら()()()らー」

 

 この意識から姿をリジェの影に消える裸足の少年のフルネームは『ニャンゾル・ワイゾル』。

 こちらは親衛隊ではないが、その能力ゆえに重宝されていた人物。

 その能力とは『W』の『紆余曲折(ザ・ワインド)』で、『本能で認識した敵の攻撃を逸らす』というある種の『()()()()』。

 

『万物のモノを貫通する』能力を持ったリジェ(攻撃役)

 そして『本能で認識した敵の攻撃を逸らす』ニャンゾルの能力。

 

 この二人が京楽達と相対していく者たちの役割である。

*1
51話より

*2
27話より

*3
51話より




リアル忙しすぎ……申し訳ないです……
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