白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、仕事の合間に書いたので短いですが次話投稿です。

楽しんでいただければ幸いです。

なお、次話辺りにかなりの急展開を予想しています。


第137話 The End (of the Beginning) is Nigh

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

 大きな街並みにて、剣闘士のジェラルドが満身創痍になりつつある狛村の『黒縄天譴明王』の左腕を鎧ごと切り落とそうと(ホーフヌング)をふるう。

 

 「ぬおおおおおおお!」

 

 「『月牙天衝』ォォォォォ!!!」

 

 ガリィィィィィン!!!

 

 腕についた籠手で(ホフヌング)の攻撃を受け流した瞬間を狙ったかのように、一護が特大の月牙天衝で剣を持っているジェラルドの腕の肘を狙い、それが当たると固いもの同士がぶつかり合う、耳をつんざく音が浅くはない切口と共に発生する。

 

 ガガガガガガガガ!!!

 

 更に追い打ちをかけるように白哉の『千本桜』と日番谷の『大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)』が今度こそ見事にジェラルドの腕を引き千切る。

 

「『流刃若火(りゅうじんじゃっか)』、および『城郭炎上(じょうかくえんじょう)』」

 

 次にジェラルドを切り落とされた腕と剣から遮断するかのように、山本元柳斎が繰り出した炎が実質上の壁となり、さらにジェラルドを焼くような業火が彼の全身をめぐりに得るような痛みで触覚と視界を奪った。

 

「今回はこれでどれだけ持つか……」

 

 彼らは先ほどから何度もジェラルドを様々な方法で倒していたことで彼の能力()が『不死』、あるいはそれに近い再生能力の上に『受けたダメージから復活する度に強化されていく』という特徴を見抜き、それからはジェラルドを『()す』のではなく『拘束する』といった方針で攻撃をしていた。

 

「(しかし、師匠でも()()()()とは少々……いや、かなり意外じゃった)」

 

 山本元柳斎が横目でチラッと見たのは、ところどころ見るだけで体中を巡る痛々しい生傷とボロボロになった服装のチエの様子。

 

 応急処置の包帯などをした彼女は今でこそおとなしくしているが、さっきまで自分の身の安否を無視しながら一心不乱にジェラルドに突っかかっていた。

 

 それこそ滅多に見せない苛立ちを顔に浮かばせながら。

 

「(それもこれも、あのジェラルドという滅却師が自慢げに喋りだしたあと……か)」

 

 そして山本元柳斎に、その原因の心当たりはジェラルドの()()にあると踏んでいた。

 

「日番谷。 (けい)は限界、卍解を解け」

 

 少し離れた建物の屋上に立っていた白哉の近くに降り立った日番谷は滝のように汗を出し、卍解を使った彼の背後に現れていた花の形をした氷の結晶がほぼすべて無くなりかけていた。

 

「朽木……何か勘違いしているようだから俺は言うけどよ……『氷の花が全部散り尽くしたら終わりだ』なんて誰にも言った覚えは()え」

 

「なに?」

 

 パキ。

 

「氷の華が全部散ってからが、『大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)』の本腰だ」

 

 パリィン

 

 日番谷が喋り終わるタイミングで彼の言うとおりに氷の華が砕けると、彼をそのまま成人化した様子の姿が氷でできた霧の中から出てくる。

 

「俺は自分の能力を未だに上手く使いこなせない反動かどうか知らないが……『大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)』の氷の華は制限時間じゃなくて()()()()()()を示す……そして俺は()()()()()

 

「おい、何だその何か言いたげな視線は?」

 

「いや?」

 

『少し老ける』と言いながら横目で自分を見る日番谷に対して白哉が反応するが、日番谷は答えを濁した。

 

「俺はこの姿はあんま好きじゃない。 後で疲れがどっと押し寄せるしな……けど────」

 

 「────ぬあああああああ! 貴様たち蛮族にぃぃぃぃぃぃ!!! 『神の権能(アシュトニグ)』を使わなければならぬとはぁぁぁぁぁ!!!」

 

 業火の炎の中から怒鳴るジェラルドが日番谷の言葉を遮り、炎の代わりに光が彼の巨体を包むかのような姿へと変わる。

 

「ちょっと待ておい?! これってまるっきり『ナウ〇カ』じゃねぇか?!」

 

「もしくは『ウルトラマ〇』か」

 

「なんじゃ、それ?」

 

『月牙天衝』を撃った後に負傷したチエの近くまで来ていた一護に続いてチエ、そして?マークを出す山本元柳斎がいた。

 

 パキィン

 

 そのジェラルドの全身が今度は光事閉じ込めるかのような氷の檻が表れて動きを封じられる。

 

「『四界氷結(しかいひょうけつ)』。 ちっとは頭を冷やしながら黙れ、頭に響く」

 

「……誰だお前?」

 

 ここで上記の技を充てるためにジェラルドの近くまで移動した際に一護たちの前に姿を現した日番谷に、一護が思わず問いを投げた。

 

「(だから『この姿は好きじゃない』って言ったんだ)」

 

「アホか一護、よく見れば一目瞭然だろう?」

 

「(お? 渡辺の野郎ならすぐにわk────)」

「────日番谷の兄に決まっているだろう」

 

 ビキ。

 

 ちょっと待てこら────」

 

「────というわけで初めましてだ日番谷の兄よ」

 

「は、初めまして?」

 

 「フ」

 

 チエと一護の挨拶に小さな声を出したと思われる白哉は日番谷が見るより前にそっぽを向く。

 

「朽木……テメェ────」

 

 ピカァ!

 

「────ぬ?!」

 

「この光はなんだ?!」

 

「『反膜(ネガシオン)』ではないが……」

 

 急に現れた光が天高くまで続く柱が氷漬けになったままのジェラルドを包み込む、そこにいた誰もが困惑で声を出す。

 

 ゾゾゾゾ!

 

 その場にいた皆が見ている前で、ジェラルドの体が表面から一枚ずつ溶けていくかのような景色に言葉を失くす。

 

 ガラガラガラガラガラガラガラガラ!

 

 皮膚、筋肉や(けん)、そしてついには骨だけが残りそれらが氷と共に地面へと落ちて行っては砕けていく。

 

「これは……一体……」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「…………なんだよ」

 

 グレミィの顔からは余裕の笑みは跡形もなく消えていた。

 

「一体なんなんだよ?!」

 

 それも無理もなかったかもしれない。

 

 ドォン! ドドォン! ドォン!

 

 グレミィたちのいる場のあちこちでは、落ちてくる予定の()()()()()()()が地面や建物などに衝突していく。

 

「へぇ~? こいつは一角の野郎も『渡辺姉妹』の言葉も間違っていなかったか*1

 

フハハハハハ!

 

 この惨事の中で、一人だけ狂ったように笑い続ける少女の声が響き、グレミィは彼女をにらみながら叫んだ。

 

「この……なんなんだよお前は!」

 

 これを聞いた少女はピタリと笑うのをやめ、彼を死んだ目で見る。

 

 ゾクリ。

 

「(なんだ? なんなんだよ、この寒気は?!)」

 

 否。 『死んだ目』と呼ぶにはあまりにも異質なほど光が死んだ眼光で、まるで架空上の地獄そのものを見てきたような目だった。

 

アハハハハハハハハハハハ!!

 

 ギィン!

 

「グッ?! (こいつの太刀筋……見た目と全然違う────!)」

 

 ザクッ!

 

「────チ!」

 

 盾になるために外相を鋼鉄かしたグレミィが斬られていくのを見てもう一体のグレミィが舌打ちをする。

 

 サァ、一体が斬られたぞ?! 今日はまだまだ始まったばかりだ! ()()なのだろう?! ならば私の前に立て! この胸の脈を止めて見せろ!

 

 「なに俺抜きで勝手に盛り上がってんだ! 俺も混ぜろ!」

 

 グレミィの胴体めがけて黒くて禍々しい剣を三月が振るい、その横から更木が乱入する。

 

 その景色は少し前までから一変し、余裕を失くした狩人が狩る対象の獣たちに追い詰められるようなものだった。

 

「ふざけるなよ! お前たちを()()()()()()()()()()!」

 

 突然現れたのは数体のグレミィたち。

 

 それぞれが更木たちにしがみつくと同時に自爆をする。

 

 ドドドドドドドドドォォォォォン!!!

 

 一つ一つのグレミィたちが起こす爆発は決して小さいものではなく、爆発がさらなる爆発を呼ぶ連鎖を作り上げていた。

 

「グッ?!」

 

 今まで表情は変えても決して汗などを掻かなかったグレミィの額と顔には大粒の汗と、目の下に出来たクマが目立つ姿は彼の疲労をそのまま物理的な表現として出ていた。

 

「(くそ、あれほど『能力を乱発するな』と言われたのはこのことか?!)」

 

 さて、ここで『グレミィ・トゥミュー』に関しての情報をもう少し足したいと思いたい。

 

 彼はある意味、癖が一つ二つあると言うかバンビーズを除いて仲間(?)意識が希薄な星十字騎士団(シュテルンリッター)の中でも異質の上に、聖文字を与えられて芽生えた能力を危険視したユーハバッハは彼を最後の最後まで『捨て駒』とするまで厳重に監禁及び隔離を徹底していた。

 

 当然、それは『原作』の流れなのだが(おおむ)ねそれはここでもとある時まで変わらなかった。

 

 その『とある時』とはユーハバッハがいなくなったこと。

 

 これにて、グレミィは他の者たちと触れ合う機会が出来たことで『原作』とは少々違う考え方や心持ちを身に着けていた。

 

「(けど……それでもしなくちゃ、こいつらは倒せない……) 本当に、()()()だよ」

 

 爆炎と肉体が飛び散ったことで巻き起こった煙の中から火傷などを負い、上半身の服装が吹き飛んだ更木と同じようだがボロボロながらもダメージが更木と比べて少しマシといった三月たちを見ながらグレミィは皮肉たっぷりの口調で上記の二人を化け物と呼んだ。

 

「あ? 俺は『化け物』じゃねぇ……『剣八』だ」

 

 更木は得意げそうに斬魄刀を肩にかける。

 

「化け物? そうとも! そうだとも! さぁ殺しあおう!さぁ互いに殺されよう! さぁ、さぁ、さぁぁぁぁぁ────!!!

 

 ────ゴリッ!!!

 

「ん?」

「え?」

 

 更木とグレミィが聞こえてきたのは皮膚だけでなく骨まで響く痛々しい打撃音だった。 二人がチラリとみると、三月が空いていた手で己の(ひたい)を殴ったと理解するまでそう時間はかからなかった。

 

 少なくとも彼女の頭と鼻から血が(したた)り落ちる前には。

 

「……カッ……ぁ……」

 

 そんなことをして無事なわけがなく、彼女は一瞬だけ気を失ったのかフラリと体がよろけるが、彼女はハッとして目の焦点がここで合うようになり、目も(少なくとも見た目では)正常なものへと戻った。

 

「……ごめん、()()()()()()

 

「ハッハッハッハァ! お前もそういうクチか! 嫌いじゃねぇぜ!」

 

 明らかにどこか様子がおかしかった三月の言い訳っぽい言葉を信じたのか、あるいは興味がなかったのか更木はカラカラと笑った。

 

 恐らくは後者だろう。

 

「ふざけるな! ふざけるな! ふざけるなッ!!!

 

 そう叫びながら、グレミィは初めて感じていたイラつきをとある欲の活力へと変えた。

 

「僕は、最強なんだ! ()()()()()()()()!」

 

 その新たに沸いた欲とは『勝つ願望』だった。

 

 それにつれるかのように彼の体が急激に変化していった。

 

「(そうだよ! お前らを潰すだけじゃあ足りない! 僕は! 僕は────!)」

 

 ────パァン!!!

 

 次に鳴った音は空気を入れすぎた風船のような破裂音に伴うかのように、破裂していくグレミィの体だった。

*1
25話




さて、そろそろ来る頃だね。 紅茶を入れるとしよう……それともお茶やほかの飲料水をご所望かね?

【反応がない。 ただの しかばね のようだ】
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