励ましのメッセージ、誠にありがとうございます! (シ_ _)シ
楽しんで頂ければ幸いです!
そして急展開です(ハラハラドキドキ&汗汗汗汗汗汗
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??? 視点
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「……ち、この馬鹿野郎が」
お腹から下を失くし、虫の息になりつつグレミィを更木は舌打ちをしながら見下ろす。
「お前のその『想像』ってのが、お前自身の限界を超えたってところか────」
「────アッチョンブリケ?」
更木が今度見たのは一昔前の何某漫画で登場したキャラのような面持ちをしていた三月。
「……ってなんだぁ、その顔は?」
「いや、『
「……なんなんだよ、お前たち。 調子狂うなぁ」
「「あ?/ん?」」
グレミィの一言で
「なんだそりゃ?」
「それ────」
「────だから言ったじゃないか。 『君たちを頭の中だけで殺す』って*1。 君たちが見ている体も、声帯から発されるこの声でさえも『創造の産物』なのさ。 ま、『頭』というよりは『脳』なんだけどね」
言葉を続ける度に、グレミィの体と漏れ出していた血がチリになっていく。
「でも……想像し続けるには
「それでテメェの体も、血も残らずに消えるのか」
更木の言葉にグレミィは反応せず次は複雑そうな顔をしていた三月の眼を見る。
「というわけでお姉さんのこと、
「────え」
次に起きたのは百面相並みにコロコロと変わるグレミィの表情。
彼の顔は呆気にとられたような、あるいは放心したようなモノからハッと何かに気付いたかのように目を見開いたと思えば、今度は初めて会った頃の笑みを浮かべて笑い出した。
「……アハハハハハハハ! 僕も捨てたものじゃないね! 通りで思わず『お姉さん』と呼んだワケだ! ハハハハハハハ────!」
────カチャン。
とうとうグレミィの頭でさえもチリへと化して、ケースに入った脳が地面へ落ちると
「ぬ。 戻ったか」
「お。 イキイキしている山じい見っけ♪」
「……」
そんな脳の入ったケースを三月は同じように橋の上に戻ってきた山本元柳斎達を無視して、ケースを持ち上げようと手を伸ばす。
「ぁ……」
だがケース自身が既に存在していないかのように、スゥっと消えていくかのようにその場から無くなる。
「あー、大丈夫か?」
「一護?」
三月が振り向くと、情報交換をしているのか話をしていると思われる山本元柳斎たちから離れ、近くまで来た一護が立っていた。
「顔色が悪いぞ?」
「……ちょっと、ね」
「(こいつでもこんな顔するんだな。) フード野郎の言ったことが気になるのか?」
「気になるって言うか、なんというか────え?」
「ん?」
「一護、もしかしてアンタさっきの……どうやって?」
一護が気まずそうに頬を掻く。
「……あー、実はな────?」
「────お~い、早う行くでお前たち」
平子がぞろぞろとさっそく霊王宮の内部へと移動する隊長たちの列の後方から声をかけ、それに釣られるかのように三月も立ち上がって歩き出す。
「お、おい────」
「────
「…………」
話の続きをしたかった一護に対し、霊王宮にいる藍染を優先した三月はどこか
彼がこんな笑みをする彼女を見たのは実に久しぶりだった。
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『渡辺』三月 視点
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「やぁ、待ちわびていたよ。 随分と時間がかかったね?」
ガランと空っぽな霊王宮の最深部にある、応接間のような場所とも呼べない開けた部屋の中で淡々と椅子に座りながら近くのテーブルの上にある紅茶を飲んでいた藍染が、山本元柳斎たちに挨拶していた。
「藍染……」
「(私に効かない筈だけど、ほかの幻術や変装の類じゃなくて一護にも『そう見えている』ってことは『鏡花水月』じゃないのは確定ね……)」
一護は服装が以前とは変わって黒ずくめの藍染を見て、彼の名を呼んだことで三月は目の前の藍染が本物と確信した。
「藍染惣右介、霊王をどこにやった?」
「『霊王』……山本元柳斎重國殿。 『霊王』とは何たるかを知らない者たちの為に、私が説明しても良いかい? 機密情報だからと拒んでも、するがね」
藍染は紅茶のコップを下ろし、腕組をしてから口を再度開ける。
「『霊王』。 一般的には『尸魂界を支配する王であり、死神の頂点に立つ存在』となっているが、それはただの詭弁だ。
『王』とは呼ばれているものの、尸魂界を実際に統治しているのは四十六室。 実際に霊王に謁見した者の数はおろか、護廷十三隊の隊長格ですらその全貌を知る者は少なく、『
藍染は
「……(こいつ、『何』を『どこまで』知っている?)」
内心ではかなり焦りながらも平常心を必死に保ち、表では何の反応もしなかった自分を数秒間見てから藍染は口を再度開ける。
「そして『霊王』とは『現世』、『虚圏』、そして『尸魂界』を三つの孤立した空間に分ける為の『世界の
「「「な?!」」」
そう声に出して反応したのは隊長たち数人。
主に狛村、拳西、日番谷の三人。
「「「…………」」」
静かにただ言われたことを噛み締めるかのような者たちもいた。
「そないなことを、お前に言われても……なぁ?」
平子が横にいる浮竹や、頷いている京楽に横眼で見る。
「(霊王が『世界の楔』? それって────)」
────カァン!
様々な反応をし始める隊長たちの気を引き締めるような、乾いた音が山本元柳斎の床を突いた鞘から発される。
「……皆の者、口八丁が藍染惣右介の得意技だと忘れるな」
「さすがは山本元柳斎重國。 2000年後艇の設立から総隊長はやっていない────」
「────藍染惣右介。 もう一度問おう。 霊王をどこにやった?」
「その問いの答えは簡単だよ。 ここに居る筈の『特務』……『
藍染はここで笑みをわずかにだけ深め、指で
「────自らを『
「(……は?)」
突然ハッキリと『存在していない』と言われ、さっきから心拍数が上昇したにも関わらず体を駆け巡る血は冷たくなっていった。
「(とはいえ、このまま彼の言っていることは見逃さない。)……随分な言いがかりよ、藍染惣右介さん? 私はどこにでも発生する野生の『
ここで一護が自分に向けていた視線が『どこぞのポケ〇ン風な言い訳だ?!』と言いたいようなジト目に変わった。
「ああ。 言い方が悪かったね。 『この世界に存在しない』と言い直そうか?」
思わず目をぱちくりとさせ、必死に『記憶』を漁って思い出す。
「(『別の世界』を私が話したのは『浦原喜助』と『四楓院夜一』だけ*2……彼らが他人に話したとしても『
『この世界に』って……突拍子もないことを言うのね?」
若干嫌味を含んだ言い返しに
「客観的に周りの者たちを『登場人物』と見ながら、自分が前もって知っている情報を意図的に隠し、それを巧みに使ってその場の結末などを有利に進めてきた君に言われると誉め言葉にしか聞こえないが? ああ、この場合『
ドキッ。
藍染の言葉に思わず一瞬だけ強く跳ねた心臓と、真っ白になりそうな頭を気力で無理やり今この場に引き戻した意識をフル回転する。
「(『流れ』って……それはどういう意味を含んでの言葉? 『原作』? それとも『本来』? どっちにしろ────)」
「────思ったより驚かないんだね?」
「ッ。 そうでもないわ。 一通り回って冷静に見えているだけ。 (彼の目的は私の動揺────?)」
「────そうかな? それにしても不定はしないんだね?」
ドッ。 ドッ。 ドッ。 ドッ。 ドッ。
先ほどから上がっていく心拍音が気になっていくほどに音量を上げ、次第に耳朶へと直接音を響かせる。
『否定』? 何を?
次に声を出したのは藍染ではなく、意外な人だった。
「……やはり、
『浦原喜助』だった。
「浦原さん? 何が────?」
「────いやね黒崎さん? アタシも自慢をするほどじゃないっスけどある程度の情報さえかき集めて揃えば、次に起きる状況は何なのか予測できます。 それが天災であれ、人であれ、これから起きるであろう一連の出来事の大まかな予想も出来ますよ?
例えば101年前に藍染さんのしたことや『
さらに言えば、アタシを無理やり動かそうとして四十六室を使って『現世』に朽木白哉の関係者である新人同然の『朽木ルキア』を現世駐在任務に就かせながらも自分で改造した『霊圧を消す事が出来る虚』を送り込んだ上に『黒崎一護』という人材を表舞台に引きずり出す……等々と。」
「(え? ちょ、何を急に言い出すの浦原さん?)」
今までかつてないほどに饒舌になり始める浦原に、三月は戸惑った。
「『渡辺三月』さん、貴方は
ドドドドドドドドドドドッ。
今まで耳朶の中でうるさかった心臓の脈打つ音がさらに加速していく。
が、三月の耳にはしっかりと浦原の言葉は届いた。
「沈黙を『肯定』と見なして言葉を続けますけど?」
『違う』。
そう言いたかった。
「……」
だが喉に何かが詰まっているかのように、声帯がうまく動かなかったように、吐息だけが口から出ていた。
「昔であった時から貴方は時々どこか、
いえ、違和感が芽生え始めたのは『
「なんやて?」
「なんだと?」
「なんだって?」
平子と拳西、そしてローズは『
「最初はただの偶然かと思ったのですが……不器用で素直なチエさんはともかく、貴方と彼らとの接し方があまりにも自然でした。 それは
「「「………………」」」
図星だったのか三月は黙り込んだままで、前からあったもののかなり思わないようにしていた違和感がやっと腑に落ちたのか平子と拳西はポカンとした。
「なに……言ってんだよ浦原さん?」
一護が隣で何か言った。
が、『浦原喜助』はただ続ける。
「『偶然』から
貴方は確か、僕に連絡をしてこのようなやりとりをしましたよね? 僕の『今、浦原商店は取り込んでいる』に対して、『改造魂魄の件なら知っている』*5と?」
「(…………………………しまった。 そう言えばそうだった)」
そう思い、気持ちが重くなりながらも蒲原さんの慈悲のない、割り込むことを指せない言葉が口から出てくる。
「貴方はどうして、『改造魂魄が浦原商店絡み』だとすぐに判断できたんスか? あの時は
「……本当、なのか?」
一護が隣でまた何かを言った気がする。
「……ぁ」
だがさっきから締め付けられるように、苦しくなっていく胸の方が気になる。
地味に
「そこから僕は貴方のことをよく観察しました。 勿論、自然かつ遠回りにね? 何せ貴方ほどの者が、何の『目的』で、何の『理由』で行動しているのかが全く不可解でしたから……おかげでアネットさんには警戒されましたが、後の祭りという奴です*6。 さっきの藍染さんとのやり取りでやっと、『とある結論』へと至ったワケですよ」
まったく笑っていない浦原が三月の目を合わせてジッと見る。
「貴方、『
「………………………………」
言葉を失った。
私が反論する気になるよりも、
「なぁるほどな……せやからアイツの周りはおもろかってんな?」
「……見た目より歳食っているのは良いとして……それじゃあ……」
「そう考えると……色々と辻褄が合っちゃうね……」
「ワシと喜助の誕生日を、皆が忘れているのに毎年忘れずに祝ったのも……」
「夜一様、私は忘れておりません! 証拠に第二番隊隊長室の祠には────ムグッ」
「ぬぅぅぅ……」
「ぁ……」
『
そう次々と納得していく隊長(&元隊長)たちに言いたかったのに、相変わらず吐息だけが口から出ていた。
いや、『何とか吐息が出せた』と言った方が正しい。
「うるせぇぇぇぇぇ!」
さっきから胸がさらなる圧迫感に支配されていく中、一護が叫ぶ。
「お前ら、本気か?! 浦原さんもだ! 確かにこいつはアンタのように捕まり所のないことを平然とするけどよ、俺たちがそのおかげで得したのは事実じゃないか?!」
「い、ちご……」
苦しくなっていった胸がほんの僅かだけ緩まり、私はやっと声を出せるようになったのも束の間だった。
「随分と彼女を信じているね、黒崎一護────?」
「────当たり前だ────!」
「────
「…………………………………………………………………………は?」
ドクン。
いやなこどうでしんぞうがびっくりする。
黒崎一護が目を見開いたまま、こっちを見る。 みないで
「ぁ……あぁぁ……」
そんな不安そうにならないで一護。 さいしょはそうだったとしても
ヴゥゥゥン。
「これはとある改造魂魄の記憶だ、黒崎一護」
「あ、あああああ……」
≪ねえお姉ちゃん────≫
≪────ハウ♡────≫
≪────これ、どうしよ?≫
プロジェクターで 映し出された画面には あめのひ。
蒲原商店の店番をウルルでしていたじゅういちねんまえのろくがつ。
その横では傘を持った黒崎真咲と、雨合羽をした黒崎一護がかわのちかくであるいていた。
≪………………あー、うん。 テッ鉄裁さんに訊……けなかったんだね。 良いよ、お姉ちゃんが吊るしてあげる≫
そのままじゅういちねんまえのろくがつのつゆどきの中でわたしはウルルの持ってきたテルテル坊主を見えない足場を使って手の届かない場所に吊るす。
≪凄い、凄~い! いまのどうやったの、ねぇ?! ……………あれ? でもお姉ちゃん、『人間』だったよね?≫
≪わ、私はね? 実は『魔法使い』なんだ≫
画面の
隣の画面の『黒崎一護』が川のそばで何かに気付き、走り出したことに『黒崎真咲』が追いかける。
≪? お姉ちゃん、どこか痛いの?≫
≪え? どうしてそう思うんだい?≫
≪だって泣いているよ?≫
≪ごめんね、
画面のわたしは
≪一護、駄目!≫
≪伏せろこの戯けぇ!≫
≪ぬぅ?! これは?!≫
その時と同時に、『黒崎一護』と『黒崎真咲』を川のそばに立っていた、ヒト型の餌を出していた『グランドフィッシャー』を
『渡辺チエ』がどんどんと傷を負いながらも必死に戦う間にも、わたしは
「どうだろう、黒崎一護君? ああ、ちなみに君の電話がきっかけで、彼女は知らぬ存ぜぬするフリを諦めていたよ?*7」
「……………………………………」
「い……………………ち、ご?」
『藍染惣右介』の言葉と連動するかのように、幼い『黒崎一護』の悲痛に満ちた必死の『母さんとチエが死んじゃう、助けて!』の叫びをバックドロップに、彼との目線が合う。
「ッ」
息を短く呑み込もうとして、失敗した。
わたしを見ていたかれのめは、わたしを
「あ……ぁ…………………………ぁ」
周りを見てもだれもわたしを信じていない。
だれもわたしをわたしとしてみていない。
「わ、私……わたしは……わたたたたタタタた────」
────ドッ。
「この時を、私は待っていた」
「あ……え?」
めのまえに『藍染惣右介』がわたしのむねに手をいr────
「────ぁ」
そのまま彼が手を出すと、そこにはキラキラと光るなにかがつかまれていた。
「わた…………しの………………ゴフッ!」
からだから力がすぅ~っとぬけていく。
だめ。
体が落ちていく。
___________
黒崎一護 視点
___________
なんだ?
何が起きている?
突然藍染の野郎が次々と突拍子もないことを言ったと思えば、今度は浦原さんが
そんなこんなで理解が追い付いていかない間に、藍染が
その神々しい光に目を奪われそうになりながらも、後ろ向きに倒れる
『軽い』。
その一言だった。
「やっと、ここまで来たか」
「?!」
「馬鹿な、
「ッ! 藍染!」
藍染の声で我に返ったように浦原さんや、平子などが叫ぶが……藍染の関心は手の中で輝く『何か』にだけ向けられていた。
というかちょっと待て。
それが何故、三月の中から?
「『崩玉』……君たちにはこれが『崩玉』に見えるのか」
「ッ! マズイ! 誰か奴を押さえロ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
さっきから考え込んでいたマユリが叫ぶと、地震のような揺れがその場にいた皆をフラつかせた。
「バカな?! 霊王宮に自信じゃと?!」
珍しく慌てる夜一さんの声にもびっくりしたが、藍染の言葉にもっとびっくりした。
「あぁ、やっとだ。 『
クツクツと笑い、足場がしっかりしていそうな藍染がやっと慌てるこちらを見て、これ見よがしに手の中で光るものを見せる。
「これは『崩玉』などという
「藍染! 貴様の目的はそれを使って霊王にとって代わる、『神』になることなのか?!」
両目を開いた山本元柳斎の叫びに、藍染は鼻で笑うかのような、哀れに満ちた目を返す。
「『神になる』? そんな恐れ多いことはしないさ。 私は誰にも望まれなかった者の送還を祝おうとしているだけだ」
藍染が手の中で光りだすモノを天井へと掲げると、宙が歪んで黒い穴が出来上がる。
その穴から出てきたのは────
「────おはようございます、
「悪くはないわね、
出てきたのは、
聖杯:
キリスト教における神の血を受けた杯。
または最高位の聖遺物と称されるもの。
その起源は多くの神話などで「願いを叶える物」の中の代表的オブジェといわれている一つ。
そしてとある世界線などではあらゆる魔術の根底にあるとされる『魔法の釜』とも。