白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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大変お待たせ致しました!

アンケートへの投票、誠にありがとうございます! 過去の投票可能なアンケートにはいまだに目を通しています!

新しく入った上司のせいでなかなか時間がこっちに振ることが出来なくて短いですが次話の投稿です!

と言うか『休んだ分の仕事の量増加』って……

あと、予告どおりの急展開ですが楽しんでいただければ幸いで────あ゛?! ちょ! 待っ?!
………………………………………………………………………………

???:さて。 今世風にいうと、『ここから私たちのターン』……というのだったね?


第139話 コワレテユクSEKAI

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 黒崎一護 視点

 ___________

 

「ガフッ! ま、さか……」

 

 腕の中で吐血しながらも何かを言う馴染み(三月)

 

 どう言葉に説明したらいいのか分からないから、ありままの状況を思うぞ。

 

『マイさんに似た女性が出てきた黒い穴は、一瞬閉じるかと思いきやそのまま宙の歪みとして在った』。

 

 そして黒い穴からは()()()()()()()()

 

 はたから見ればこんな状況に何らかの感情が浮かぶ筈なのに、そんな考えすら無意識的に脳が拒否反応を起こす前に麻痺しているかのような状態だった。

 

 一言であえて表すと『虚無感』。

 

「なんだよ……これ?」

 

 今までどんなことが目の前に起きたとしても、感じたことなかった感覚に思わずそんな言葉が俺の口から漏れていた。

 

 ガキの頃、初めて(化け物)と出会った日でも。

 ルキア(死神)が部屋の壁を通り抜けて夜中の中に現れても。

 初めて胸を斬魄刀で貫かれて、訳のわからない力に驚きながらも。

 子供のころから付き合いのある二人が普通の人間じゃないってわかった時でも。

 

 初めての尸魂界。

 初めての瀞霊廷。

 初めての殺し合い(更木との試合)

『斬月』のおっさん。

 破面(アランカル)

仮面の軍勢(ヴァイザード)』。

 グリムジョーや()()()()たち。 ←*注*ドルドーニ

 

 月島、銀城、ウルキオラ・シファーや市丸。

 

 崩玉を入れた藍染。

 

 過去に今まで出会った強敵や、頭に残った者たちと初めて面と向かって対峙した記憶を探っても……

 

『頭では危険性を理解していても、本能が反応しない』というのは、初めてだった。

 

 ……『放心』。

 

 ふと、そんな単語が俺の脳裏を過ぎると『ああ、それならわかる』と俺はどこか納得していた。

 

「ん?」

 

『マイさんに似た女性』が面白おかしい顔で俺を見────

 

「────……ぁ……」

 

 俺を見て目が合った瞬間、ドス黒い何かが目を通して俺の体は冷たい何かを感じ、背中の上に重い何かが伸し掛かった感覚で言葉が上手く出なくなった。

 

「あらあらぁ。 ()()私でそこまで怖がられるなんて……ゾクゾクしちゃうわぁ♪」

 

『マイさんに似た女性』が妖艶な笑みを浮かべて舌なめずりをする。

 

 前言撤回。

 マイさんに姿は似ていても、その動作一つ一つが記憶にある彼女(マイ)とは程遠かった。

 

「もうよろしいでしょうか?」

 

「ああ、そうね。 お願いしようかしら♡」

 

 急に藍染が声を出したと思えば、彼はどこからか一振りの斬魄刀を手にしていた。

 

「ッ! 『鏡花水月』────!」

 

 そう俺が警戒した瞬間、藍染めの顔に浮かんでいた

 

「砕け散り、無の狭間、(ざい)(かん)、過ぎ去りし(とき)刹那(せつな)を舞い戻せ。 ()()、『鏡花水月・朝真暮偽(ちょうしんぼぎ)』」

 

 パリィィィィン

 

 ヴ……ヴヴ……ヴヴヴヴヴヴヴ────

 ────キィィィン。

 

 藍染の斬魄刀が砕けたと思えば、まるで空気自体が小刻みに震えるような音が次第に大きくなっていき、急に金属音の耳鳴りへと音は変わった。

 

「……ッはぁぁぁぁぁ。 相変わらずね、霊王宮は」

 

「ぁ……」

「う……ぁぁぁ……」

 

 後ろからうめき声が聞こえると思い、振り向こうとするといつの間にか俺は膝をついていたことに気付くと同時に、後ろにいた皆の様子も見えた。

 

「なんやねんこれ?! 藍染のアホの卍解と一緒に()()()()()誰やねん……ワレぇ?!

 

 

 隊長たちは一護と同じように膝をついていたのか、なんとか立とうと必死に腕を地面につけたり、斬魄刀の鞘を杖代わりにしていた中の一人である平子が怒鳴っていた。

 

 

「ん? ああ、そうか。 ()()()────ッ」

 

 彼女の注意が怒鳴った平子から上に移すと、さっきまで黙り込むことでノーマークになっていたローズと拳西、そして意外なことに白哉までもが瞬歩で急接近し、奇襲をかけていた。

 

 ローズは鞭状の『金沙羅(きんしゃら)』。

 拳西は卍解のメリケンサック……と呼ぶよりは上半身を守る鎧と同化したようなガントレットの『鐵拳断風(てっけんたちかぜ)』。

 白哉は()()()()()()()()()()()()()()を手にしていた。

 

「レディに手を上げるのは不本意だけど────!」

「ワケのわからねぇお前は取り敢えずぶっ潰す────!」

「『終景(しゅうけい)白帝剣(はくていけん)』────!」

 

 ────フッ。

 

「「「……?」」」

 

 それぞれ三人の、瞬時に出せる攻撃が彼女の周りを独りでに避けるかのように軌道が変わったことに、使用者たちだけでなく、一護たちもポカンとしたような空気を出す。

 

「……そう。 そっちが『そういうこと』なら()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ズッ。

 

 成人女性が言葉を言い終わると、突然何かが無理やり唸るようなお腹にくる音と宙の歪みと共に大きな穴が一護たちの背後に表れる。

 

「うおおおおおおお?!」

「なんなのだこれは?!」

「小型ブラックホールとでも呼びましょうか?!」

「チィ!」

 

 浦原が咄嗟に叫んで『小型ブラックホール』と呼んだのはあながち間違いではないと思わせるほどの吸引力で一番近くにいた隊長たちを次々と引き込んでいく。

 

 「ぬぅん!」

 

 ザクッ!

 

 「皆の者! つかまれぇぇぇい!」

 

 刀を思いっきり地面に突き刺し、引きずり込まれることに抵抗をする山本元柳斎に次々と隊長たちが手を取り合い、人間(死神)ロープ的なものが出来上がっていた。

 

 一護も最初は刀を地面に突き刺そうとしたが、腕の中で生気がどんどんと無くなっていく三月のことに腕の一つを使うことを余儀なくされていたがもう片手で山本元柳斎たちの────

 

「────ってチエ?!」

 

 彼の目の前を通ったのはさっきから唖然としていた様子のチエ。

 

 特に抵抗も何のアクションも見せずにただその場の流れに流されていた様子の彼女。

 

「黒崎一護?!」

 

 気が付けば、一護は空いていた手でチエを掴んだと思えば穴の中へと一緒に引きずり込まれていき、意識が一気に遠のく感覚に襲われた。

 

 

 

 ___________

 

 瀞霊廷組 視点

 ___________

 

 瀞霊廷では、侵入した滅却師たちの残党狩りに一段落つくところだった。

 

 死神側に対し、個人個人の戦闘力が侮れない滅却師でも統制が取れない上に地の利、そして最後に数の暴力という要素の前では次々と敗れていった。

 

 無論、犠牲がないわけではないがそれでも『原作』での滅却師たちが襲撃した際の被害に比べれば微々たるものである。

 

「ふぅ~……なんとかなりそうだな」

「おう。 急に遮魂膜(しゃこんまく)内部にこいつらが現れた時は肝を冷……や…………し………………」

 

『護廷十三隊最強』と自称している十一番隊の何人かが指定された戦闘地区に確認を終えたのか、一人が斬魄刀を肩に乗せながら空を見上げると目を見開いた。

 

「あ? おいどうした? ……は?」

 

 近くに寄ってきていた一角がこのことに気付き、彼も上を見上げると同じようにポカンとした。

 

 十二番隊、別名『技術局』では天手古舞状態だった。

 

「どうなってるんだこりゃあ?!」

 

 額に角が生えている男性が、そう思わず叫ぶ。

 彼は十二番隊三席、現技術開発局副局長の『阿近(あこん)』。

 長年技術局に身を寄せた彼でも驚愕するようなことが、今起きていた。

 

阿近(あこん)! 隊長たちとの連絡がつかん! それにどの計器もイカレテいやがる!」

 

「報告、きます! 上空から瀞霊壁がこれまでとは段違いの速度で降下してきています!」

 

 「ハァァァ?!」

 

 次に叫んだのは『技術開発局通信技術研究科霊波計測研究所研究科長』という大層な肩書を持つ、フグのような男の『鵯州(ひよす)』。

 

「追加報告! 瀞霊廷内部にいる死神たちから、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』とのことです!」

 

「新たに報告! 観測部からくる伝令によると、『()()()()()()()()()()()()()()()()()』とのことです!」

 

 阿近(あこん)がこれを聞くと、昔書物で読んだ記録での『とある現象』を思い出して冷や汗が出る。

 

「まさか……『叫谷(きょうごく)』か?! だがこんなに早く、かつ観測もされていないとはありえない!」

 

 つい先ほどの静けさが嘘だったかのように、今度は地震のような地鳴りが瀞霊廷と流魂街を襲う。

 

「隊士、および鬼道と隠密の者たち全員に────!!!」

 

「────しょ、衝突します! うわぁぁぁぁぁ?!」

 

 技術局の誰かが恐怖の入り混じった声で上記を叫び終えるとほぼ同時に、今までで一番酷い揺れで誰もが足場を失い、くじ引きの箱の中にあるビー玉のように跳ねた。

 

 ズズズズズズズズゥゥゥゥゥン

 

 巨大な()()がちょうど瀞霊廷と流魂街があった場所から宙を舞う。

 

 

 ___________

 

 現世組 視点

 ___________

 

 上記と同時刻の現世では破面モドキたちが元星十字騎士団たちに狩られていたらしく、徐々に急に霊力を持ち始めて家族や知人たちと避難させられていた者たちが聖兵(ゾルダート)の護衛をつけて各々の住宅へと戻っていく景色が見えていた。

 

「いや~、姫が私たちの面倒を見るとは吉報だったわ~!」

 

「千鶴と同感なのは癪だけどね」

 

「ハハハ! やっぱり退屈しないな! ね、アネットさん?」

 

 その一組は織姫とアネットを『護衛』として夜の空座町を歩く千鶴、鈴、そして水色もいた。

 

 もともと空座町に住んでいる千鶴と鈴はともかく、なぜ水色も滞在中の鳴木市ではなく空座町にいたかと一言で片づけると『女がらみ』である。

 

 つまりは『察してほしい案件』。

 

 それを知っているのか、彼を見るアネットはジト目となっていた。

 

「面倒ごとは御免です」

 

『きゃあああああ!』

『う、うわぁぁぁ?!』

 

 そんな五人が歩いていると、急に叫び声が聞こえてくる。

 

「な、なに今の?!」

 

 千鶴は以前の藍染とばったり出会った時を思い出したのか近くの織姫に抱き着く。

 

「悲鳴、だよね?」

 

 そしていつもは困る織姫もその場を満たす緊張感に当てられたのか、千鶴の行動を気にした様子もなくすぐに『盾舜六花』を展開できるように媒体のヘアピンに手をかざした。

 

 ズ……ズ……ズ……

 

 前の周り角から、何かを引きずるような生々しい音ともに何かが近づいてきたことに織姫たちは黙った。

 

「……………………え?」

 

 曲がってきたのは服装のスーツが血肉の張り付いたボロボロになった男性だった。

 乱れた髪の毛に目は虚ろで焦点が合わず、ショックを受けている様子の彼は足を引きずりながら織姫達に助けを求めるかのように両手を伸ばしていた。

 

「あ……あ゛あああ゛……」

 

「だ、大丈夫ですか?!」

 

 折飛燕は彼を見ては飛び出そうなのを、アネットが彼女の肩をつかんで無理やり動きを止めた。

 

「え? あ、アネットさん? な────」

「────井上さん(マスター)、何かがおかしい。 ()()()()()()()()()()()()()()

 

「……へ?」

 

「うわ?!」

 

 今度は水色が珍しくびっくりするような声を上げたのは横道からずるずると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()女性が、地面を腕で這いずる姿。

 

「うーん……これってもしかして『アレ』かなぁ?」

 

 次第に近づいてくる男性と女性に加え、さらに何かを引きずる音が増えていったことに千鶴とあの鈴でさえもが顔を青ざめた。

 

 恐らくは水色の言葉と、目の前で起きていることで彼女たちも予想していたのだろう。

 

「あ、あ、あ、『アレ』って?」

 

 それでも確認したかったのか、認識したくなかったのか、千鶴は水色の考えた予想が何なのか問う。

 

「『アレ』だよ、『アレ』。 『リビングデッド』さ。 だってほら? あの男性の首根っこ、()()()()()()()()()()()()()?」

 

 水色の指摘に織姫たちが見ると、彼の言った通り先ほどの男性は重傷を首に負っていた。

 

 皮膚どころか、背骨が露出したその()()の肉が無理やりえぐり取られたような傷からは乾いた血がサバゲーのペイント弾のようにびっしりとワイシャツと上着に密着していた。

 

 

 

 

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

「諸君、夜が来た。 

宴の開幕はついに今宵、この時より開かれ、この世に蔓延(はびこ)る弱者たちは強者の糧と成り果てる。

殺戮と暴力の応酬、生殺与奪は掴み取る意志と力さえあれば誰にでもその権利が与えられよう。

()()()()()()()()()()夜へようこそ。」

 




朝真暮偽:
『ちょうしんぼぎ』。 真実と虚偽が入れ替わるという意味。
あるいは物事の真偽の判断が難しいことの喩え。
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