白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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作者:土曜日に投稿したつもりが、日曜日になっていた……だと? (ゴクリ。) こ、これが『鏡花水月』……

藍染:単に君が『すまほ』とやらで投稿の設定を間違えて今更変えるのが恥ずかしかっただけのことだろう?

作者:グハァ?! ←図星の指摘に心のHPが0になった

藍染:なお、『楽しんで頂けると幸いです』とのことだ。 少々短いがね


第141話 The Bygone Days(Years)

 ___________

 

 ■崎一□ 視点

 ___________

 

 暗かった。 

 周りは見渡す限りの闇。

 何も見えない。

 

『暗い』。

 

 そう思わず口にした。

 

 ……いや、したのか?

 わからない。

 まるで声が出ていないかのように、何も聞こえなかった。

 

 耳をすませば、何も聞こえない。

 

 上も下も、右も左も、自分の手足でさえも見えないどころか体の感覚が無くて、まるで『おれ』しか存在しないような……

 

 ……あれ?

 

『おれ』って…………?

 

 いやいやいや。 そもそもこんな考え方が変だろうが?

 

15(イチゴ)』だろうが。

 

 って語呂合わせやめろやコラァ?!

 

 てかなんだよ、これ?

 

 ()

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 チュン。 チュチュン。

 

 気が付いたら小鳥のさえずりと、カーテン越しに入ってくる朝日、そして────

 

「────見たことのない天井だ」

 

 そう言うと何気に『少し違った』という気持ちがこみ上げ、自分の手を伸ばす。

 

「ん? (なんか違和感あるな)」

 

 ガチャ。

 

「あ。 黒崎君、起きた?」

 

 ドアが開く音の方向に目を移すとどこか井上に似た、エプロン姿の女性が────

 

 「────って誰だよ?!」

 

 いや、それ以外に俺に何を言えと?

 

 見た目は井上なんだがむn────体はもう美少女というよりは美人でさっきまで俺は確か霊王宮に居てどういうことやねん。

 

「ええっと? 黒崎君、もしかして寝ぼけている?」

 

 ピト。

 

「それとも熱かなぁ~?」

 

ふぉおおおおおお?! (近い近い近い近い近い近い近い!)」

 

 井上に似たネエチャンは躊躇もなくズカズカと近づいたと思ったら今度はおでこ同士をくっつけてくる。

 

「てかそのしゃべり方、やっぱ()()だろ?!」

 

「へ? 『井上』って()()? ……やっぱり寝ぼけている? ()()()()()()に『織姫』って呼んでもいいよ? 」

 

「はぇ?」

 

 第三者からすれば俺の顔はどういう風に映っていただろう?

 

 そんな俺を余所に井上(?)がブツブツと独り言を言う。

 

「昔みたいに、眉にシワを寄せている顔しているし…………もしかして昔の夢でも見ていたのかな? なら今日は『()()織姫』じゃなくて『井上織姫』────」

 

 ────ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 ガシッ。

 

 「ひゃい?!」

 

 何か今すごいことを今聞いたような気がして、息を荒くしながらガッシリと井上っぽいネエチャンの肩を掴んだ。

 

 ……もうこの際、『井上』でいいか。

 

 というか何気に顔が赤くなっていっているぞ?

 

 目も泳いでいるし。

 

「ぁ……えっと……黒、崎くん? わ、私的には別に『()()()はいつでもオーケー』なんだけど朝ごはん用意したばかりだから一勇(かずい)も待たしているっていうか今リビングで私たちのことを待っているから()()()()()は二人きりのほうがいいと思うというかせめて椿君たちと一勇(かずい)がいないところで────」

 

「────ほぁ?」

 

 どういうこっちゃ?

 

(かあ)ちゃーん! (とう)ちゃん、まだー?』

 

「ハッ?! さ、さ、さ、先に食べてて一勇(かずい)! お母さんたちもすぐそっちに行くからー!」

 

 部屋の外から子供の声がして、早口になっていた茹でタコ井上がハッとして返事をする。

 

 

 その間、一護はさっきから織姫の言った言葉の一つ一つを思い返す。

 

 

「(『黒崎織姫』……『二人目』……『一勇(かずい)』に『お母さんたち』???)」

 

 もうここまでくればキャパオーバー気味の一護を見た織姫が何かを思ったのか、手をポンと掌に打つ。

 

「あ。 もしかして黒崎君、昔の夢でも見ていた?」

 

「あ……えっと」

 

 一護はさらに眉間にシワを寄せて深く考え込んで目を覚ます前のことを思い出そうとする。

 

 が、靄がかかったようにうまく思い出せなかった。

 

「確か………………………………霊王宮? って言う……」

 

 最後に何とか頭を捻って、引っかかっていた単語を一護が口にすると、織姫が納得したような顔をする。

 

「ああ、あれから丁度()()だもんね?」

 

 「────は? 『十年』?」

 

『十年』と一護は目を見開きながら聞き返す。

 

「う~ん……あれは確かに私からでも見て、黒崎君の中でも大活躍だったからねぇ~……」

 

「……(ダメだ。 頭がこんがらってきた)」

 

『母ちゃ~ん! 父ちゃ~ん! まだー?』

 

「あ! ごめんね一勇~!」

 

「(取り敢えず、起きるか。) すまねぇ井う────お、お、お、お、()()。 先に行っててくれ、すぐ行く」

 

「ぁ……うん!」

 

 成長した織姫は一瞬呆気に取られた顔を浮かべるがすぐにニッコリと笑い、一護のいた部屋を後にする。

 

 そこから一護は洗面所へと入って鏡を見ると更に驚愕した。

 

「……これが……『俺』?」

 

 鏡の中で、驚愕の顔を浮かべながら自分を見返していたのは自分と同じ動作をすることで『自分』だと一護は理解していた。

 

 だが『信じる』ことは出来なかった。

 

 そこには少年や青年の面影はなく、どこからどう見てもれっきとした『大人』だった。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「もう。 一勇ったらそんなに頬張って! ご飯は逃げないよ?」

 

「だってお腹空いてたんだもん!」

 

 放心気味になっていた一護が見慣れないアパートの中をおっかなびっくりにウロウロしているとリビングにはさっき見た織姫が、一人の子供の口をナプキンで吹いていた場面に居合わせた。

 

「………………………………」

 

 子供を見た一護はヒュッと素早く息を飲み込んで呆然とした。

 

「あ! 寝坊助の父ちゃんだ!」

 

 子供が一護に向けた笑顔は彼自身よく知っているものだった。

 何せ幾度となく、一護自身が子供の頃によく浮かべていた無邪気なものだったからだ。

 

 ただしオレンジ色の髪の毛や表情は一護似で、顔つきはどちらかというと織姫寄りである。

 

「ほらほら、そこに立っていないで早く朝ごはんを食べよう?」

 

「………………………………」

 

 一護は織姫になさがれるままテーブルの席について、機械的に朝食を食べる。

 

 織姫と『一勇』と呼ばれた少年がこの一護の様子に何か思っていたのか、会話を弾ませようと試みる。

 

「………………………………」

 

 だが一護は心ここにあらずといった状態のまま生返事や、相槌を打つだけだった。

 

「なぁ、母ちゃん……やっぱお墓参りに行くの? 今年の父ちゃん、いつもより辛そう」

 

「うん…………夏梨ちゃんや遊子ちゃんたち、他の皆と約束しているからね?」

 

 織姫がチラッと見たのは壁に掛けてあったカレンダーに赤い丸が書かれたその日の日付。

 

 

『6月17日』。

 

 

2()0()1()3()()』だった。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 夢を見ているような感覚のまま、一護は織姫と一勇の後を歩く。

 

「あ! かずくーん!」

 

「遊子お姉ちゃん、くすぐったいって!」

 

 茶髪のショートヘアに、イチゴのヘアピンとして成長したと思われる遊子が一勇に抱き着いて一勇は迷惑と嬉しさ半々の反応をする。

 

「おーっす織姫。 いや、『黒崎夫人』って呼んだほうがいいか?」

 

「も~~~~~う! 夏梨ちゃんったら上手いんだから~~~~~~!」

 

 黒髪のアップヘアで現在の織姫にも負けないけしからん胸ナイスバディに成長した夏梨の言葉に織姫はまんざらでもないのか、両手を赤くなった頬に添えながらくねくねと嬉しそうに体を揺らした。

 

「あ、お義父さんは?」

 

「親父なら『石田の馬鹿に呼ばれて今日は遅れるから先に行ってろ』って」

 

「あ。 そっか。 あれでも医者だもんね!」

 

「一応免許上、な」

 

「……………………」

 

「んあ? どした一兄? 昔みたいにシワ寄せて?」

 

「いや……………………夏梨、だよな?」

 

 夏梨は一護の視線先を辿ると自分の胸部に向けられていたことに気付き、両腕で隠そうとする。

 

 「ちょっと?! どこ見てんだよ一兄のスケベ!」

 

 だが余りのサイズに胸部はカリンの腕の間から漏れ出す。

 

「お、おぉぉぉぉ────?」

 

 ギュウウゥゥゥゥゥゥ!

 

「────い゛?!

 

なに見ているの黒崎君?

 

 いつの間にか一護の背後で顔だけ笑っていた織姫が彼の背中を目一杯力の限りにつねていた。

 

「い、いや……遊子たちが大きくなっていたからさ、つい」

 

 織姫のアイアクローから解放された背中を一護はさすりながら全く他意のない返事をする。

 

 なにが大きくなっていたのかな?

 

 一護にさらなる圧力がかかり、織姫の周りを不穏な黒いオーラがにじみ出た。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「………………………………………………………………………………………………」

 

 さっきまで騒がしかったのが嘘のように、辺り一面が夏独自のセミの鳴る音以外は静かだった。

 

 一護は立ち呆けていた。

 

 彼の隣や後ろには静かに手を合わせていた遊子、夏梨、織姫に一勇たち。

 

 前から来るのは線香が出す独自の匂い。

 

 彼らがいたのはある墓石の前。

 

『黒崎家之墓』。

 

 これを見た一護はさっきから混乱していた。

 いや、考えないようにしていた。

 

『誰のお墓参りだ?』、と。

 

「一護」

 

 そこに汗を流しながらさらに現れたのは一護の父、一心だった。

 

「お、やじ……」

 

 カラカラになりつつあるのどからようやく声を絞り出した一護の肩に手をのせて、意味ありげな笑みを浮かべた一心が次に言ったことに、一護はようやく理解してしまう。

 

 誰の墓だったのかを。

 

「俺を待っていたのかこの野郎。 ほら、()()()もきっと一護の言葉を────」

 

 そこからの言葉は一護の頭に入らなかった。

 

 かわりに『キィーン』と、耳鳴りに似た音が彼の耳に残りすべての音を強引にかき消し、彼の意識はそこで真っ暗になった。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「………………………………………………………………………………………………」

 

 一護は知っている天井を見上げていた。

 実家の自室の天井だった。

 

 あれから突然気を失った一護は『クロサキ医院』と書かれた実家まで一心が背負い、急遽呼ばれて彼を診た石田雨竜は────

 

『単なる急激なストレスからくる過労と貧血状態だ。 安静にしていればこの体力バカなら良くなる。 それにしても驚いたよ、バカでも病に落ちるとはね?』

 

 ────という嫌味を言い残して雨竜は部屋を後にした。

 

 それがつい先ほどの出来事で、一護はボーっとしていた。

 

「……………………おふくろが、死んでいる………………だと?」

 

 一護は部屋を見渡す。

 

 見た目は自分の知っている部屋から、女の子らしい者に様変わりしていた。

 

 それもその筈。

 今は遊子の部屋になっていたらしく、棚を見ると少女漫画やアルバムなどが置いてあった。

 

「……見て、みるか」

 

 一護は『兄を見てはダメでしょうか?』と書いてある題名の漫画の横にある『小学校の(おに)い』と書かれたアルバムを手に取って、中を見ていく。

 

 そこには彼自身、()()()を覚える写真などがあった。

 

 確かに写真は覚えているものや景色を移していたが、『何かが足りない』という気持ちを彼は覚えた。

 

 写真に激突な変化があったのは、ちょうど小学校4年生辺りに時期が入ってからだった。

 

 いつもは緩い感じにニコニコしていた一護がある日突然からブスッと、何か不満に思っているのか怒っているかのような顔をカメラに向けていた。

 

「…………………………」

 

 アルバムのページをめくる度に心臓の鼓動が緊張と不安とよく分からないグチャグチャしたもので早く、強くなっていく一護の手は震えていった。

 

 どれだけめくってもめくっても映るのは嫌々ながらも笑う遊子に引っ張られて一護のようにブスッとした夏梨とこれまた不機嫌そうな一護が写っていた。

 

 たまには遊子みたいにわらう一心が時々混ざっていくその時に、一護は『とあること』に気付く。

 

 気付けば、一護の体中には嫌な汗がベットリとついていた。

 

 写真の数が、一護の覚えている量より圧倒的に少な────

 

 ドサッ!

 

 アルバムが手の中から抜け落ちて、中の写真が床にバラ撒けられるが一護はそれらを集めるより頭を抱えた。

 

「────いや、そうじゃねぇ…………そうじゃねぇだろ?! ()()()()()()()()だろうが?!」

 

 違和感の正体に、彼が気付いた。

 

「なんでチエたちが居ないんだよ?! なんでおふくろが死んでいるんだよ?! なんで……なんで……なんでだよ?!」

 

 ペチン!

 

 「うるせぇぞ一護ォォォォ!!! 何さっきから訳の分からないこと言ってんだテメェ────どわぁ?!」

 

 一護の頭に何か柔らかいものが当たり、彼が反射的にそれを手で握ると手の中にはぷんすかと怒りながら暴れる()()()()()()()()()()が握られていた。

 

「は、はなせ一護! わ、悪かった! 俺が悪かったからぐにぐにと綿をかき混ぜるのはやめてくr────!」

 

 ポタ。 ポタポタポタ。

 

「────え」

 

「コ……ン……」

 

 仕返しを覚悟していたコンが恐る恐る目を開けると、一護の頬を涙がただ流れていたことにギョッとする。

 

「い、一護?! ま、まさか俺様の改造魂魄としての足技が上手く決まり過ぎたのか?!」

 

「コン………………俺……………………俺……………………う、うぅぅぅぅぅ」

 

 一護はただ声を殺して泣いた。

 

「???????????????????」

 

 混乱するコンを抱きしめて。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ズビィィィィィィィ。

 

「ありがとよ、コン……って、何ビクビクしてんだお前?」

 

 鼻をかんだ一護が見ると、オドオドしたコンが近くの棚の陰から一護を見ていた。

 

「いや、急に泣き出したお前にも驚いたけどよ? 素直に畏まったお前に礼を言われたと思うとどう~~~~~~~~してもお前が偽物としか思えなくて……」

 

「……………………………………あー」

 

 一護の脳裏を過ぎるのは彼やルキアたちがコンをぞんざいに扱う数々の場面。

 

「すまなかったな、コン」

 

「だからやめろっての?! プリチーな俺の体に鳥肌が立っちまうだろうが?! ……………………で? どうしたのよ? お前が『泣く』なんて只事じゃねぇだろ?」

 

「……長くなるけど、良いか?」

 

「ま、お前の妹(遊子)息子(一勇)たちがここに来ない間ならな?」

 

「信じて、貰えるか知らねぇけどよ? 実は────」

 

 そこから一護は自分自身が安心できるかのように、あるいは再確認するかのように覚えている限りのことを、コンにぽつりぽつりと話していった。

 

 自分が知っている2002年までのことを。




コン:俺様! 参! 上!

一成(天の刃体):なんだこの奇怪なぬいぐるみは?!

コン:うわ?! 何だこの眼鏡?!

一成(天の刃体):ま、まさかまたもあの女狐がらみか?! 宗一郎兄に見せなくては!

コン:や、やめろぉぉぉぉ! 俺の綿がぁぁぁぁぁ?!

一成(天の刃体):しかしこれの声を聞くと……どことなく俺自身を思い出すな……なぜだ?

クルミ:同じ声だからでは?

一成(天の刃体):ク、クルミ殿?! なぜここに?!

コン:渡辺の姐さん! オタスケェェェェ!

クルミ:チョップ

一成(天の刃体)&コン:グぇ?!

クルミ:読者の皆様、お騒がせしてすみませんでした。 本来なら作者がここで二人にツッコミを入れるところなのですが月曜日に向けての次話を書き上げようとしているらしいですので変わりにボクが沈黙化させました……『白目をむいている』? 『痙攣』に『泡を吹いている』?…………………気のせいです

俺、黒崎一護は────

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