急展開や文字足らずでうまく表現できているか不安のどきどき中ですが楽しんで頂けると幸いです。
2/26/2022 00:55
誤字修正いたしました
上位存在、または高次元の者たちは『かなしい』という理由で、自分たちの管轄下にある星の秩序が乱されたことは堪ったものでは無かった。
ただ「悲しい」と言うだけで何百、何千、何万という時を超えて、管理をしてきた自分達の世界が滅茶苦茶になるというのが。
そしてふと、『子達』は思う。
『もし“悲しい”で
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??? 視点
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「まさか『転移』とは」
ガッ! ガッ! ガッ! ガリィン!
けたたましい音とは裏腹にキルゲの冷静な声が半壊した壁に響く。
彼が今見下ろしたのは、右手の軍刀でめった刺しにした地面。
そこには以前、井上織姫を藍染から奪還するために虚圏へ一護たちと一緒に乗り込んだ際に『
「いやはや、流石は『あの方』に似ているだけあって出鱈目なことをし
ゴリ! ボボボボボボボボボ!
キルゲが義手を上げると、彼と同じように恐らく転移させられた人工破面たち数体は血肉が力任せに潰されていく音がした後、出来上がった鞍と手綱が付いて四足歩行の馬のようなモノにキルゲは乗ってからその場に残った人工破面たちを見る。
「お前たち、『転移陣を残らず壊しなさい』」
それを最後にキルゲは馬(?)を出させて人工破面たちの鈍器のような手によって更に壊されていく
「さて。 『獣』には飽きてきたところですし…………瀞霊廷の者どもも、
キルゲは今まででもひと際深い、内側からこみ上げる高揚感にニチャリとした笑みをする。
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瀞霊廷組、
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「貴様は何を考えておるのだ?!」
「ですが彼女たちは重要な情報源、そしてここは虚の巣。 であれば────」
「────破面を瀞霊廷に招き入れるなど言語道断!」
「ですが弱った彼女たちに────」
「貴様にそのような権限は無い! 貴様は一隊長であり、あの憎たらしい総隊長の代理などではないのだ、四番隊の卯ノ花隊長!」
場所は四十六室。
そして中央には今瀞霊廷で唯一残った卯ノ花が自分を非難、あるいは罵倒の言葉を四方から浴びていた。
彼女は戻ってきた重体の雀部に肩を貸していた吉良、そしてアパッチ、ミラ・ローズ、スンスンたちを見張っていたカリンたちが弱っていることを理由に全員流魂街の検問から一気に引き入れて治療をしながら事情を聞き、すぐに『護廷十三隊の隊長』としての義務を果たしに四十六室に報告をしに来ていた。
別に彼女はこれで何かが変わるとは思わなかったが、事の内容が内容だけに『これで
「(やはり、無駄でしたか……)」
卯ノ花は全く感情を見せない表情のまま、さっきからずっとソワソワして小声でヒソヒソと話し合う四十六室の様子を伺っていた。
「して、四十六室にお願い申し上げま────」
「────下がれ、卯ノ花隊長!」
「では、そのように」
卯ノ花は頭を下げ、その場から退場しようとすると最後の言葉にピタリと足を止める。
「我々は瀞霊廷が次にとる行動の議論をし、すぐに追って伝える!
「…………承知いたしました」
卯ノ花はそのまま四十六室たちの居る禁踏区域内から出たところで待っていた右之助が彼女を見てため息を出す。
「その様子じゃ、『
卯ノ花はやっと表情をここで崩しながら口を開ける。
「ええ。
「そうか。
「右之助様。
「そういう烈こそ」
二人はお互いに負けない程の、いつものほんわかとした笑みとは正反対の背筋が凍るような笑みを浮かべていた。
だが二人は知らない。
四十六室がどれだけの愚か者たちだったかを。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「う、卯ノ花隊長!」
被害を出しつつも遠征隊が戻ってから数時間後でも四番隊の総合詰所は先の巨大虚の襲撃のケガ人や避難の際に負った重傷の流魂街の住民などでごった返していて騒がしかったにも変わらず、四番隊ではないかの隊員の慌てようと汗まみれの顔は尋常ではなかった。
「なんでしょう、
卯ノ花は平然とした態度と愛想よい笑みを浮かべたまま、先ほど薬物などで物理的に治療していた患者から視線を深山八席に移す。
「さ、さっき俺、友人から聞いたんですけど……『四十六室が逃げた』っていう噂が広まっていて────!」
「(────思ったより早かったですね────)」
「────あいつら、大勢の奴らを連れだして────!」
「(────『大勢』とは少し意外でしたね────)」
「────しかも『
ガシャァン!
「ッ」
深山八席が素早くかつ短く息を吸ったのはガラスの容器が落ちたせいではなく、
卯ノ花のスンとした、冷たさを感じさせる顔に彼は思わず怯えた。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
上記の深山八席が噂を聞きつけて卯ノ花に報告する少し前に時間は遡る。
「ここを通せ!」
瀞霊廷にある門の一つ、『
姿と顔を覆うようなフード付きマントを全員が着用して。
「で、でもオラ────」
「────我々は四十六室! そこをどけと言っているのだ、この門番風情が!」
じ
彼らは卯ノ花と右之助が予想していた行動の一つを取っていた。
『逃げる』と言う選択を。
だが卯ノ花と右之助は見誤った。
幸か不幸か、これは藍染が以前の『四十六室を皆殺しにされたのに誰も気付けなかった』と言うことを教訓として、今度の者たちは『自分たちが何かの拍子で消える、または異常事態があれば即座に他人が気付けられる』方針として幅広い他者との付き合いが許された。
と言うのは建前上で、実際は『以前より
これによって既に減っていた瀞霊廷の戦力はかなりごっそりと持っていかれた。
だが覚えてほしいのは『保身に走る』と言う行動自体は罪ではなく、誰もが持つ『己の種を残す』と言った『生存本能』の一環。
他の大勢の者が四十六室から情報を聞けば、同じようにするのは仕方がないかもしれない。
『得体の知れない異形の大軍勢が瀞霊廷に向かっている』、とあらば。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「う、卯ノ花隊長?!」
突然卯ノ花が立ち上がった思えば彼女の体がふらついて深山八席は思わず駆け寄った。
「(今に始まったことではないが……なんと……なんと愚かな者たち……)」
実のところ、『総隊長の代理、あるいは権限さえ限定的に総括に瀞霊廷の守りを固めて備えることができる』と言う希望もあったのは偽りではない。
が、本命は『報告で四十六室は動かざるをえなかった』という期待の方が大きかった。
何せもし瀞霊廷の現状況が安定すれば、四十六室は恐らくこの来るべき防衛戦の功労者たちを事後、『危険分子』とみなす可能性があった。
そしてその所為で過去、様々な分類で優秀な者たちが次々と後を絶たずに消えて忘れられていったことを卯ノ花は危険視していた。
彼女が昔も今も、護廷十三隊に所属し続けられたのはひとえに護廷が設立された当時からの隊員としての
でなければ彼女は真っ先に『蛆虫の巣』へと軟禁されていただろう。
それほどまでに彼女の『功績』はあまりにも
「深山……八席……十二番隊を除いた副隊長たち、および席官たちを含めた隠密機動と鬼道衆全員を緊急招集。 そして技術開発局には、『私が直接参る』と事前連絡をしてください」
「え? は、はい!」
「あと……緊急集合し次第、吉良副隊長と遠征隊たちに『展示良し』と言えば彼らはお分かりになります」
「?」
最後の『これ』によって、瀞霊廷に残った死神、隠密機動、鬼道衆も四十六室に報告された内容を知ることとなり、瀞霊廷に長い夜が訪れる。
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瀞霊廷内
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場所は元々隊首会が行われている際に副隊長たちが待機する部屋と、隣の部屋へと通じるふすまを取り除いた大部屋。
そこには重症の雀部や雛森、リカやネムに他の十二番隊以外の副隊長と席官たち、隠密機動と鬼道衆らしき者たち数名が唖然としていた。
彼らが注目していたのはさっきまで話をしていた吉良とところどころ情報などをつけ足した、アパッチ、ミラ・ローズ、スンスンの三人。
その中でも特に彼らが最初注目したのは吉良含めた遠征隊たちが
その名の通り、『人工破面』は創られた存在。 以前、藍染が崩玉を使って『自然進化することのない虚を無理やり人型にする』と言う実験を覚えているだろうか?*2
今回の『人工破面』は、破面の成体を人工的に作る為に上記の副産物たちやウルキオラなど崩玉を使って成体化した破面とは根底から違っていた。
『
そして3獣神の三人、そしてハリベルは藍染の指示通りに偽・空座町から離脱し指定された合流地点で待機していると藍染の指示で元
いや。
『監禁』と言うよりは、『人工破面の実験体』にされていた。
それらは文字通り『命を懸けた実験』だが。
彼女たちと上司であるハリベルと共に日々の実験などで
そんなある日、
ハリベルはこのことを悟い、自分の生命力を霊力に変えて
逃がして、キルゲたちや研究員らしき滅却師達が時々口走ったことを希望に。
『他の十刃たちの確保はまだか?』、と。
つまり彼女たちが今まで生き残れた要因の一つはほかの破面たちが対抗していたからと思い、ハリベルは上記の賭けに出た。
その『賭け』自体がキルゲの思惑だったのは疲労していた彼女たちには思いもよらなかったが。
さらなる詳細などを省いて、彼ら彼女らが集まった副隊長や鬼道衆に隠密鬼道たちに話した内容とは────
「────『10万体以上の人工破面の大軍勢が瀞霊廷に進行中』……だと?」
そう口に出したのは誰だろうか。
あるいは、皆が意識していたことを思わず同時に口に出しただけか。
緊張からの汗と、自分の見たものを未だに信じられないまま、ありのまま見たものを説明した吉良自身が感じていた心の声か。
「ああ……最初はこいつら破面が僕たちの戦力分断を狙ったホラ話かと思ったけど……実際に見たんだ」
「あとお前が言っていた『マネキン』はオレらの知っている『人工破面』の種類としては
アパッチの『一番量産されていた』と言う言葉にさっきまでの静けさはより静かくなっていく。
今ならパチンコ玉一つが床に落ちただけで耳が痛むだろう。
「頭がおかしくなりそうだったよ。 僕もあんな大群、見たことも……聞いたこともない。 それに進軍の速度から推測して……おそらく一日二日ほどでここに着く」
「あと補足ですが、人工破面たちは『疲れ』を知りませんのでそれより早くなる可能性も大いにあります」
吉良はついにカラカラになった喉を潤すために、渡された水筒を一気飲みしている間にスンスンが口を開けたことで空気がさらにシーンと重くなる。
ゴクゴクと水が吉良の喉を通る音以外、何も聞こえなかったほどに沈黙が一帯を支配したのも数秒間、一気に不安が広がっていく。
「どうすれば────?」
「こんな時に、隊長たちと連絡が取れないなんて────!」
「流魂街の魂魄たちを悠長に瀞霊廷内へと避難させている場合じゃないぞ────?!」
「それに気のせいか人出が少なくなっていないか────?!」
不安で感染していくどよめきが次第に広がっていき、席官たちや彼らの信頼のおけるヒラの隊士たちが互いの不安や動揺がさらに負の気持ちを拡大させる。
だがこれも誰かが言った一言でピタリと沈黙化する。
「────生き残れるのか、俺たち?」
「「「「「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」」」」」
皆が黙り込んで、空気は最悪だった。
「だらしねぇぞテメェらぁぁぁぁぁぁ?!」
その丸く、ツヤのあるスキンヘッドに無数の青筋を浮かばせた一角が近くにいた死神たちの鼓膜が破れるほどの音量で怒鳴る。
「ピィピィ、ピィピィと生まれたてのヒヨッコみてぇに何の足しにもならねぇ言葉だけを口にしてよ……テメェらそれでも天下の護廷十三隊かよぉぉぉぉぉぉ?!」
怒る一角に、先ほどの吉良たちの報告で気弱になっていた死神の一人が反論する。
「およそ一日、二日で数万体の虚が一気に攻めてくるんですよ?!」
「お前ら、現世駐在したらその場その場での対処を強いられていただろ? ならなんも変わんねぇよ」
「ででですが班目三席! 進軍してくる敵は10万────!」
「100でも1000でも10万でも
「「「「「………………………………………」」」」」
またも黙り込む周りに、今度は鉄左衛門が言葉を出す。
「一角の言う通りじゃ。 わしら死神は『戦士』。 霊術院ン中入って卒業した時、わしらゃその瞬間『いつでも死ぬる覚悟』をした筈だでぇ? それともなんじゃ?
彼がここで『いつでも死ぬ覚悟』という言葉で何人かが連想したのは、どの死神や隠密機動や鬼道衆などが入学して一日目に学ぶ言葉だった。
『戦いに美学を求めるな。
死に
己一人の命と思うな。
護るべきものを護りたければ、己の命を捧げよ。』
「「「「「………………………………………」」」」」
一角と鉄左衛門が周りを見渡し、彼らに誰かが話しかける。
「では、俺たちはどうすれば良いのでしょうか?」
「そうですよ、何かアイデアなどがあるんですか?」
それらは藁にでもすがりたい気持ちでいっぱいの死神たち。
「「………………」」
ここで一角と鉄左衛門が口どもって互いを横目で見る。
『
ここで追記するが『班目一角』や『射場鉄左衛門』は周りの者たちが一目置く、立派な『戦士』である。
だが彼らは『戦士』であって、『将』ではない。
常に『命を賭けて敵を粉砕する』スタンスであって『他人を指令する』と言うのは論外。
いや、鉄左衛門は能力的に可能かもしれないが
なぜなら彼は『元十一番隊』だけあって一角と同様に『力でゴリ押し』するのが彼自身の目に見えていたからだ。
だが────
「────そこからは私が変わりましょうか、お二人とも────?」
────重体のまま雀部が、勇音に肩を預けながらその場に来ていた。
「「「「「雀部副隊長?!」」」」」
恐らく護廷の中でも、古参の人物。
山本元柳斎がまだ額の傷の形から「
とはいえ古参の上に総隊長の副官である彼が登場したことは、その場にいた死神たちの動揺をとりあえず安定させるには十分だった。
「雀部副隊長は、どうお考えに?」
ヒラの隊士たちが
「うむ。 瀞霊廷の外壁の修理や、中央の禁踏区域内の守りを増強するように技術開発局と
私たちは瀞霊廷内に新しく開発が進んでいた機械の罠なども鬼道衆に頼んでいるから各自、その場所などを手伝いながら把握するようにしてくれ」
「「「「「…………………………」」」」」
死神たちが唖然とするのも無理はなかった。
『雀部長次郎』。 一番隊の副隊長であり、彼は上記で示したように基本的に無口で
つい最近まで彼を『影の薄い副隊長』、『業務だけの副隊長』と思っていた彼らでもこの歴戦の戦士みたいな姿でそんな考えは吹っ飛んでいた。
『将』のような指令に手を回したことも、多弁に喋ったことも、堂々としていたこともかなりのインパクトを皆に与えていた。
「(道理で雛森君たちを見かけていなかったワケだ)」
吉良が口から流れそうになった水を袖で拭きながら雀部に感心した。
密かにだが吉良が持っていた、『同じ地味な副隊長意識』が関係していなかったとは言えない。
そして上記でも彼が思っていたように、瀞霊廷と周りの流魂街一帯が虚圏に飛ばされてから五番隊はいち早く回復した隊士から状況の対応に各々が独断で回っていた。
「後、皆には技術開発局が新たに開発した武器で武装もさせてもらいます。 阿散井副隊長のおかげで、どうにか鬼道を使えるようにできました」
「「「「「おおお~~~~!」」」」」
死神たちはこのニュースに歓喜で震えそうになりながら照れる恋次を見る。
『鬼道が使えない』と言うのは彼らにすればそれほどまでの不安要素になっていた。
「恋次! お主いつの間にそんなことを?!」
十三番隊の代表として居たルキアがキラキラとした目を恋次に向け、彼は目線をなるべく合わせないようにしていた。
「う……いやまぁその……なんだ? 偶然……にな」
ちなみにその偶然とは巨大虚相手に詠唱までしたのに鬼道が使えなかったこと*4を恥ずかしがった彼が半ばヤケクソで次に使ったマスケット銃型の霊子兵装が
彼は強制的にネムによって技術開発局に連れていかれ、再度霊子兵装を使った鬼道の発動に成功したことで『霊子兵装を使った鬼道は使用可能』と結論付けられ、技術開発局は霊子兵装量産を急いだ。
これも要因の一つでネムとリカはこの場にいなかったと記入しよう。
「あと、流魂街から避難した魂魄たちに声をかけて、現世での
「ブフ?!」
吉良が口と鼻から水を吹き出す。
「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」」」」」
そして殆どの死神たちが驚愕の叫びを出す。
それもそうだろう。 普通は『保護』、または『管理』する筈の魂魄を武装するなど前代未聞の状況ではあるが……
実際問題、それほど切羽詰まった場合と雀部のように冷静に対局で現状を見ていた死神たちは心の奥底では理解し、その判断に納得した。
彼ほど大胆な行動を考えてはいなかったが。
「四十六室の独断と彼らについていった者たちが抜けたことで今の我々は圧倒的に人手が足りん。 彼らに我々のような鬼道は使えないが、物理的な攻撃や『人手』くらいにはなります。 この状況下で、四の五のことを言っている場合ではありません。 卯ノ花隊長の許可も得て、彼女も『何かあれば自分が責任を取る』と言っています」
これにて、尸魂界の全歴史の中でも一際大きい『戦争』に瀞霊廷は備え、身構え始めた。
物量的にも数でも圧倒的に劣る死神たちと魂魄には退路はなく、援軍が来る見込みも無い、『陸の孤島』状態。
正しく『背水の陣』で見る『死に物狂い』そのものだった。
作者:やっとここまで来た!
リカ:すごい遠回りでしたね。 でも以前の調子を戻せましたからよしとしましょう
作者:何気に刺々しい言い方などですが?
リカ:気のせいです。 さもなければ『リアルの忙しさでよくこんな書けますね?』と言って欲しかったですか?
作者:では次話で会いましょう!
リカ:逃げましたね