白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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大変長らくお待たせいたしました。 大変申し訳ございません。

仕事とリアルとウクライナ関連で忙しく、全くと言って良いほど書きあげることに時間を割けられない程のスランプ染みた精神と物理的な疲れでループに思えるような数日間、ゲームなどもしたくない程の気だるさ……

何とか書き上げたものが出来たので投稿しました。 
楽しんで頂ければ幸いです。

なるべく金曜日に次話の投稿を目指します。

3/3/2022 00:30
思っていたより外国語につけたルビが読みづらかったので通訳されたセリフ付けました



第148話 ヒビ割れていく『Copies』

 文字通り存在意義をかけた死闘の末に『子』たちは『母上』と呼ばれたものを何とか御するところまでの及第点に至った。

 

 最初は正論などで説得しようにも、『共通感』どころか根底からの『価値観』や『意義』などの論理性があまりにも違った為に『説得』は早くも断念せざるをえなかった。

 

 次には『消去』と言う手段を取ったが、自分たちの管轄下であるモノならいざ知らず、『母上』は文字通り()()()西()()()()であった。

 

 


 

 

 ___________

 

 瀞霊廷組、3獣神(トレス・ベスティア) 視点

 ___________

 

 籠城戦を決め込んだ瀞霊廷はハチの巣を突いた以上の動きと、移動する人の姿で騒がしかった。

 

 瀞霊壁が降りてこなかったひらけた場所などには以前『虚夜宮(ラス・ノーチェス)』を調査し、解明した技術の応用で虚圏の地面を使い、物理的に強固な壁などに性質を変えて徐々に空いた場所などを要塞化していき、カリンの指導やチエの刺激の結果もあってか五番隊の席官たちに、他の副隊長を筆頭に部隊の配置などの見通しなどに()()が生まれることがなく進まれた。

 

 瀞霊廷全土の死神、そして流魂街の魂魄たちも自分たちができる限りのことをしようと励んでいた。

 

 だが死神たちや、生前戦闘経験のある魂魄たちに霊子兵装を支給していた『武器支給地』は緊張感の所為か外の騒がしさとは打って変わって物静かそのもの。

 

 一通り瀞霊廷全体の確認し終えたカリンは数ある『武器支給地』の一つで、()()()()()()をしていたリカに声をかけていた。

 

「本気で行くのかよ、リカ?」

 

「ええ。 さっきの『転移』で()()もすっからかんに近いですし」

 

 なんとリカは、『ゴリラ(アパッチ)たちと虚圏に出て()()()()()』と言い出したのだ。

 

 今の瀞霊廷は未だに現世と元居た尸魂界とは切り離されている状態のまま。

 だが『場所が虚圏なら以前に見知った破面などとの接触は可能の筈だ』と言った彼女(リカ)はすぐさま行動に移っていた。

 

 今は技術開発局から提供してもらった寄せ集めのパーツを彼女なりに工夫して、帆のついたフロートボートのようなものを組み立てていた。

 

 周りからは奇怪なモノを見るような目を当然のように向けられたが、『アイツは逃げる気満々なのでは?』と言う思惑を持った視線も少なくはなかった。

 

 特に風の噂程度であるが、『禁術であるはずの“転移”を使える者』で、以前瀞霊廷と流魂街に広がった噂の下である『天馬や燬鷇王を操る天女と呼ばれた者(リカ)やカリンの姉妹』とくれば*1期待を寄せる者もいた。

 

 だがリカが破面たちと共に出ていくこの様子は、彼らからすれば期待外れもいいところだった。

『一方的な期待』だとしても、『何かにすがって不安を和らげたい』というのが人間の性。

 

「お前……本気で()破面たちが、死神たちや魂魄の助けに来てくれると思っているのか?」

 

 もうここまで話すと察したと思うが、リカの言っていた『援軍』とは見知った『元十刃たち』や『十刃落ち』だけでなく、虚圏全土で生息している他の破面や虚たちまでも示していた。

 

「分かりませんが、少なくとも彼ら彼女らも自分(破面や虚)たちが『人工破面』を率いる『Kaiserreich(カイザァリッヒ)』の『狩り』や実験の対象で終わるはずがないと気付いている筈です。

 

 でなければ()()()()()()、『完全粛清』の対象となる事に」

 

 これもアパッチたちから得た情報と、過去の滅却師達と死神の全面衝突になった理由を知っていれば容易に想像できる予測だった。

 

 何せ滅却師達からすれば『害あって一利なし』の破面や虚たちを私情や過去の遺恨などを別にしても()()()()()()()()()()

 

「…………………そう、か」

 

 歯切れの悪いカリンに、リカは一瞬だけ作業を止めた。

 

()()()()()()()()()()ですよカリン。 ()()()()()()()()()()()ですし」

 

「ッ……そ、それは……でも……それは()()()()……」

 

 リカのこの言葉に、いつもは気丈に振舞うカリンが珍しくたじろいだ。

 

「………………ハァ~」

 

 その間にも彼女たち二人の周りでは、ガヤガヤと老略男女の魂魄たちや死神たちが手渡されていく技術開発局が滅却師の武器を解析して作っていた『霊子兵装』などを()()()()()次々と受け取っていた姿をリカは横目で見ながらため息をする。

 

「それに彼らを見てくださいカリン。 ()()()()()()()()()()()。 これでは()()()()()()のは火を見るより明らかです」

 

 リカの言ったことを聞こえた者たちが次々と黙ってぴたりと動きを止め、彼女とカリンに向けられる注目がヒソヒソとした話し声で次第に広がっていく。

 

 だがカリンは目を見開かせてコブシを強く握り、リカのことを睨んでいたことで周りのこの変わりように気付いていなかった。

 

「リカ……テメェ────!」

「────何をそんなに怒るんですか? ボクは()()()()()()()()()()を言っただけですが? このままでは瀞霊廷は『袋叩き用の袋小路』へと変わってしまいます。 

 ボクはそうなる前に()()()()()()()()()()()()()()だけです」

 

 いつものマイペースさと、業務的なせっせとした動きをするリカの肩をカリンが掴んだ。

 

「テメェ! 言葉────!」

「────『(いくさ)覚え(経験)はある』と言っても、所詮流魂街の魂魄たちは死後の身で殆どが他人同士同然の関係。

 そして時々忘れがちですが、死神たちも本来の業務は『(プラス)の回収やその後始末』で、虚ともそれ程頻繁に戦っている訳では無いので彼らも正規の『兵士』ではありませんよ、リカ? 

 今でも嫌々ながら渋々と武器を受け取っている者たちはただ『他の皆がそうしているから自分もしている』からに過ぎません。 『烏合の衆』行動です」

 

「「「「「………………………………………………………………………………………………」」」」」

 

 すでに周りが静かになり、武器などを支給していた技術開発局の者たちや死神たちも黙り込んでリカとカリンの二人を見ていた。

 

 普通ならリカかカリンがこれに気付いて窘めるのだが生憎今の二人は目と目を合わせていて、このお通や状態の中で視線を集めていたことに気をかけた様子はなかった。

 

 リカは未だに眠気が取れないような、半開きの冷めきった()()()()()で。

 カリンは今にも歯ぎしりをしだすような、怒りのこもった獣のような目で。

 

 そこで二人は()()()()()()()()()で話し始めた。

 

「|nsin fiú muintir Karasui Níl ann ach ceist a bheith in ann troid?!」

 通訳:それなら烏合の衆でも、戦えるようにすれば良いだけの話だろうが?!

 

「Τότε η Karin θα πρέπει να το κάνει。 Δεν είναι η περιοχή μου」

 通訳:ならカリンがすればいい。 それはボクの領分ではありません

 

 ギリッ!

 

 とうとうカリンの口から歯ぎしりする音が響き、彼女は必死に声を荒げないようにしていた。

 

「Ní peaca é eagla!」

 通訳:怯えるのは罪じゃない!

 

 リカは飄々とした態度で言葉を続ける。

 

「Αυτό θα συνέβαινε. Συνολικά 1000、 Ο εχθρός είναι πάνω από 100.000 Επιφάνεια θραύσης」

 通訳:それもそうでしょう。 総勢1000とちょっと、対する敵は10万以上の破面

 

 リカがジッとした視線をカリンは返したまま、今まで力を入れていた開口筋を必死に緩めて答える。

 

「Ach tá dóchas ann! Dá mbeimis beirt, d’fhéadfaimis rud éigin a dhéanamh faoi! faic、|Is cuma cén treo a rachaidh an scéalGan rogha mhaith a dhéanamh────!」

 通訳:だが希望はある! オレたち二人がいれば、何とかなる! 何も、どっちの方向に事態が転がってもいい選択を取らなくても────!

 

「────カリン。 Δεν θα πω άσχημα πράγματα. Με αυτόν τον ρυθμό, όλα τα σκυλιά είναι νεκρά────?」

 通訳:カリン。 悪いことは言いません。 このままでは全員犬死にですよ────?

 

 ガッ!

 

 カリンがリカを掴んで、無理やり立たせながら今度は()()()でイラついた声と共に叫ぶ。

 

────ならオレは()()()()()()()()()ことを選ぶぜ! この()()()が!

 

 リカは冷めた目をカリンに向け続けること数秒間後にリカから手を放す。

 

「……()()()()()ですよ? あと()()()()です、間違えないでください、()()()

 

 リカはなぜか最後の『カリン』を強調しながらパッパと自分の身だしなみを整え、出口へと自分の仕上げたフロートボートを引きずりながら歩き出す。

 

 周りから注がれる、自分を軽蔑するかのような視線を無視しながら。

 

 「あの……」

 

 あああああああ?!

 

ヒィィィ!?」

 

 今まで直接しごかれた五番隊でも見たことのないカリンの剣幕で話しかけた死神が思わず尻もちをつきそうになるが、周りの者たちによって支えられた。

 

「……すまん。 ちょいとイライラしていた……どうした、ええっと……十番隊の川瀬(かわせ)?」

 

 カリンの怒鳴った死神が以前の藍染離反騒動後、()()()良く五番隊の様子を見に来ていた日番谷と一緒に修練を見学しに来ていた一人と思い出す。

 

「あ……その……さっき、妹さん(リカ)と何を言い合っていたのかわかりませんが……多分……私たちのことですよね?」

 

「……まぁ、そうだな」

 

「ありがとうございます!」

 

「はぇ?」

 

 川瀬が頭を下げて感謝を告げたことにカリンは間の抜けた声を出す。

 

「『カリンさんが居る』というだけで、私含めて貴方のことを知っている隊士たちは勇気づけられているんです!」

 

「え? あ、ちょっと……え、えぇぇぇ?」

 

 急にどうしたらいいのか分からなかったのか、カリンが()()()()()()()()のように戸惑う。

 

「カリンさんが五番隊の技術の見直しなどをしたおかげで、虚の襲撃や現地駐在任務先で亡くなる数はほぼゼロになったんです! 直接的な結果ではないですが、貴方のおかげで救われた命などがあるとだけ、その……知ってほしいです!」

 

「………………………………………………………………………………お、おう」

 

 カリンはどうしたらいいのか分からない顔のまま長い沈黙の後に短くてふてぶてしい一言を言った後、その場から颯爽と離れて行った。

 

 後ろからはカリンを知っている他の死神たちは川瀬が自分たちの考えを代弁したことに『よくやった!』と褒めたり、彼の言った話に興味を持った死神や魂魄たちが詳しい詳細を訪ねる声を後にして。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「成人、あるいは屈強な者たちの武装進行度は?」

 

「今しがた、約七割と聞いております!」

 

「遅いな……」

 

「何せ殆んど戦闘経験がある魂魄の者たちが名乗りは出たの良いことですが、戦術や生前使っていた武装とは違うなどといった食い違いがございまして……」

 

「少なくとも明日の朝までに全員、戦闘に備えさせろ」

 

 カリンが歩き出て雀部の声に気が付くと、そこは隊舎などの外壁を利用して瀞霊廷の要塞化に励んでいた一つの場だった。

 

口髭の無口(雀部)、か……」

 

「ん? カリン……か」

 

 雀部も自分を見ていたカリンに気が付き、彼女を一目じっと見てから視線を前に戻した。

 

「瀞霊壁ではない場所は避難を確認した際に潰して通過不可能にし、火をつけた流魂街からの街道と共に上から守らせ、瀞霊廷内には主な交差点などに塹壕を築き、裏道などには罠を張る。 

 門や壁の上から遠距離型の霊子兵装の扱える者たちなどで攻撃し、壁の裏沿いに近距離用の遊撃隊の部隊を配置するつもりだ」

 

「……………………良いのかよ? ()()()であるオレにそんなことを、ベラベラと喋って?」

 

 カリンは以前から雀部が自分や三月たち、そしてチエに対してあまり良い感情を持っていないことは明らかだった。

 

「……そうだな。 ほんのわずか前の私ならばな」

 

「………………?」

 

「…………以前、貴様たちを『瀞霊廷に侵入した旅禍』としてどう扱うか迷っていた。 だというのにノ字斎(えいじさい)殿はいとも容易くお前たちを瀞霊廷に招き入れ、あまつさえお前たち部外者を『隊長代理』や『戦術顧問』などと言った職に任命するなどという、前代未聞の行動に出られた……

 何もかもが前例のないモノばかりでノ字斎(えいじさい)殿は……いや、()()()()()()()()()()()()

 

 雀部が次に見るのは今の現世*2でも珍しい、電気を原動力にした自動車や重機に機械と言った、技術開発局が作った『霊力に頼らない機器』たち。

 

 これらによって死神のように霊力が無い、あるいは恋次のように霊力の扱いが下手か乏しい者たちでも活躍の場ができていた。

 

「長らく変わらなかった瀞霊廷は瞬く間に変わられた。 

 私のような者たちはこれらが気に入らなかったが……もし今の状況を、変化以前のまま迎えていたらと思うとゾッとするのだ。 故に今この時は疑念を抱いても、利害は一致している間は隠し事は無しにしようと思っている」

 

「……………………そうか……なら聞くが、外に出ている隠密機動たちが急遽呼び戻されたのはやっぱりアンタの指示か?」

 

「そうだ。 四十六室と共に出た者たちの数を考えての変更だ。 今チマチマと敵の数を減らすより守りを固めなければならない」

 

「…………『人工破面』は厄介だぞ? オレたちが戦ったのはほんの一握りの数に、量産されていたほうだ。 お前は『チマチマ数を減らす』と言っちゃいるが、その中で敵の観察と情報を得るといった思惑もあったんじゃないのか?」

 

 雀部がカリンに振り返らず、答える。

 

「幸い、奴らは大気にある()()()()()()()で足場を作ることは確認していない。 おそらくは我々と同じように霊力無しでの環境下で向かってくるだろう。

 数が数だけに敵は波のごとく瀞霊廷の壁に打ち寄せるが、()()()()それも尽きる」

 

 雀部の答えが実際に自分の質問の答えになっていないことにカリンの眉毛がピクリと反応し、彼女は思わず口を開けて以下の言葉を投げかけた。

 

「お前……これを『耐久戦』として見ていないんじゃねぇだろうな?」

 

「……………………………………」

 

 雀部の神妙な表情にやがてカリンは彼の方針に気付く。

 

 そしてそれはある意味、先ほどリカの言っていた『負け戦』そのものだった。

 

「まさか…………()()()()()()としか捉えていないのかよ? 本当に籠城戦を決め込むつもりかよ?! 奴らの狙いは恐らく、ここにいる者たちの皆殺────!」

 

 ガシッ!

 

 「────だったらどうしろと言うのだ?!」

 

 今度は逆にカリンの腕が雀部によってガッシリと掴まれ、イラつきを含めた小声で彼がカリンの言葉を遮った。

 

 「周りを見ろ! 隊士たち全体としての士気はかろうじて気丈に振舞っているが風前の灯!

 流魂街の住民たちもこの来る敵の脅威は半信半疑で、実感を持っていない!

 この状況下で暴動やパニックが起きていないこと自体が()()だ!

 ならばこれが……()()()()()()()()()というのなら、せめて……」

 

「ッ」

 

 カリンは言いたかった。

 

 安心させるような言葉を。

 

 反論を。

『士気が下がっていればどうにかして向上、またはどんな作業でもいいから自信を持てるようなものをさせろ。 “原作”でなら宴や酒を振るまうなど』、と。

 

 正論を。

『流魂街の人たちが暴動やパニックを起こしていないのは“原作”と違って彼らは死神たちと触れ合う機会がさらにあり、恩を感じている者たちが居るから』、と。

 

 だが彼女はグッとあふれ出そうな言葉を飲み込んだ。

 

『“原作”などを語ったところで、話を聞い(信じ)て貰える筈がない』、との考えから。

 

 彼女は何も言わずに、頭を少し前にかがめさせながらその場を後にする。

 

 自分たちのことでいっぱいだった者たちは、珍しく考えに老け込むような(憂い感が漂う)彼女に目をやる余裕などなかった。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 バァン!

 

「クソッ!」

 

 イラついたままカリンは、今では自分が見知った五番隊隊舎のドアを蹴って強引にドアを開けた。

 

 ゴッ!

 

 今は防衛戦の為に総動員された隊舎には隊士たちがいなく、ガランとした隊舎の壁に拳をカリンが叩きつけて、額を壁につけるように寄りかかる。

 

 彼女のショートヘアと少し長めのもみあげがたれたことで目線がよく見えなくなった。

 

 だが口元が『ギリッ』と、強く噛み締めていたのが遠くからでもわかるほど力んでいた。

 

「(で? どうすんだよ、カリン? 言いたくないが、キャスター(リカ)の言うとおり、こいつぁ『負け戦』染みているぜ?)」

 

 カリンは内側から久しく来る声に口を開けた。

 

「んなこたぁ、分かってんだよ()()()()()()! けど…………けどよぉ……()じゃねぇか?!」

 

 パタ、パタタ。

 

 カリンの頬を雫が伝って地面に落ちていく。

 

「う……く……俺たちゃ、『()()』に呼ばれて! 『ここ(BLEACH)』をより良く出来事が進むかつ『()()()』に『刺激(希望)』を与える為に来たんだぜ?!」

「(……まぁ、そうだわな)」

 

 カリンは静かに泣きながらある意味の()()()()を続けた。

 

「う……うぅぅぅ……なのに……なのによ?! ()()()()()()()()()! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!)」

「(………………本当は死ぬ筈だった野郎どもが生きて、その代わりにこんな窮地に落ちたことはお前の所為じゃねぇよ)」

「そんなこと、知らねぇだろうが?! 『私が知っている』のはあくまで『()()()()()()()()()()()()()()!」

「(ならこれがアンタらで言うところの『修正力』って奴か?)」

 

『クーフー・リン』。

 ケルトやアルスター神話では『太陽神ルーの息子』と言われ、また『アイルランドの光の御子』の二つ名や『クランの猛犬』と謳われた『赤枝の騎士』。

 

 そしてとある世界では『信念』と『義』を重んじて死力を尽くした戦いを望み、こと戦闘に関してはどこまでもシビアで冷徹。

 たとえ相手が『家族』であろうが『親友』であろうが『敵』となれば躊躇なく殺し、そして自分が認めた『主』であるなら裏切る事はなく文字通り最後まで忠義を尽くす。

 

()()()やり切れねぇんだよ! こんな事って()ぇよ?!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(その前に、アンタに客だぜ)」

 

「カリンさん────」

「────ッ。」

 

 カリンは背後から来た声にびくりと肩を跳ねさせ、袖で乱暴に目を拭いてから声の主に振り向いた。

 

「…………んだよ、メロンパン(雛森)?」

 

 振り向いた先には、雛森が心配するような表情でカリンを見ていた。

 

 巡回中にカリンの様子がいつもの気さくでさっぱりした空気ではなく、どこかどんよりとしたモノだったことに気付き後を追っていた。

 

「髪型を変えた今でも『メロンパン』呼びなんですね……」

 

 今日の彼女はいつものヘアスタイルでは蒸れるからか、伸ばした髪をひとつ結びにしていた。

 

「んじゃあ、『桃』って────」

 「────シロちゃんかチエさんじゃなきゃ却下です♡」

 

 急にどこぞの四番隊の人のように、笑顔ながらも重い圧を雛森は放つ。

 

「んじゃ、『ヒナモちゃん』でいっか」

 

「『ちゃん付け』……ハァ。 まぁ、良いでしょう」

 

 雛森はため息をしてから、カリンにハンカチを渡す。

 

「袖だと目を傷めるかもしれませんよ?」

 

 ボッ!

 

 爆発するような勢いで一気にカリンの顔が赤くなっていき、完璧に色が変わる前に彼女はニッコリとする雛森からそっぽを向く。

 

「い、言うなよ?! てか目にゴミが入っただけだ!」

 

「そしてありがとうございます。」

 

「……あ?」

 

 カリンが雛森を見ると、雛森は頭を下げていた。

 

 そして顔を上げた雛森の顔は晴れ晴れとしたものに、同性のカリンは一瞬ドキリとした。

 

「カリンさんやチエさんたちが、私や他の皆を()()()()()()()()()()()でここまでこられたと思う────」

 

「────違う。 違うんだよ……()()

 

 カリンが目を逸らしたまま、憂鬱な表情を浮かべて虚圏の夜空を見上げて、出かけたリカに言われたことを思い出す。

 

()()()()()ですよ? あと()()()()です、間違えないでください、()()()。』

 

 彼女(リカ)のこの言い方、実はと言うとカリンやリカたちの『在り方』に関わっていた。

 

「オレは……そんなに大層な奴じゃない……結局は情に暴走されて、今の『現状』を作った」

 

 そこからカリンはポツリポツリと、特に誰にも向けていない言葉を募りだす。

 

「結局は、変えすぎたんだ。 『雛森桃』、『志波海燕』を含めた『志波家』、『護廷十三隊』、『黒崎一護』も…………全部、全部を変えすぎたしっぺ返しが『今』だ」

 

「………………」

 

「オレは結局、『()』の『別側面の人格』だ。 『元では何も変わらない』……か」

 

 彼女(カリン)が遠い目をし、まるで空の向こう側を見るような眼をする。

 

「『別側面の』……『人格』?」

 

 雛森がついにここで口を開けた。

 

 最初は何かの悩みをカリンが持っているとは気付いていたが、さっきから聞き覚えのない単語などに戸惑っていた。

 

「ああ、そうだ。 オレは……()は……『情』を受け持つ『人格』の側面だ────」

 

 そこからカリンの愚痴のような独り言がずるずると続いた。

 

 まるで、今まで必死に蓋をしていた感情がこじ開けられたように。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「良いのかい、嬢ちゃん?」

 

「んあ?」

 

 砂漠の上を走るフロートボートの上に乗っていたミラ・ローズが呆けていたようなリカに声をかける。

 

「貴方、()()()嫌われ役を買いましたね?」

 

 スンスンが指定していたのはリカとカリンの、ちょうどフロートボートを出す直前のいざこざのことだった。

 

「そうですね」

 

「……分かんねぇな、オレ(アパッチ)には」

 

ボク(リカ)にはカリンのように天然的なカリスマ性は備えていません。 あくまで『合理性』と『探求心』です。 

 

 

 

 

 

 そういう風に()()されているので」

 

「「「………………………………」」」

*1
44話より

*2
2002年辺り




一護:ちょっと待て! 『別側面の人格』とか『設定されている』ってどういうことだよ!? 

リカ:そのまんまの意味です。 次。

一護:答えになっていないしこえぇよ?!

マイ:なおなお~、詳細は『天の刃、待たれよ』にて書いてありますので~、大変恐縮ですがそちらを読んでいる方が居ればご理解できると思います~

茶渡:…………長いんだが

マイ:じゃあ~、近いうちにおさらいっぽいモノに入ろうかしら~? 勿論、話も進めながらねぇ~
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