またもin瀞霊廷です。
楽しんで頂ければ幸いです。
『古今東西の全て』とは恐ろしいことに『概念』も例外ではなく、『子』達は自身たち共々『母上』を消滅させるのを不可能と悟った彼らは『封印』と言う手を取った。
自我の基となる意識思考を刈り取り、かつて『母上』と呼ばれたものを無数に分離した上で機械化し、『子』達が管理する様々な場所の近くにある星などに移した後、『母上』と言う概念を意識することで万が一にも復活させまいと思い、自分たちにも同じ処置を施して深く、永い眠りへついた。
だが時の流れは以外にも早く、『宇宙』に限りがあったとしても『共通する次元』は無数にある。
今までのことは『一つの
例えば、『宇宙』がまだ『無』だった頃のいわゆる『ビッグバン前に在った』とされている『無尽蔵なほどの力』を欲するものたちなどからすれば、『
無論、そんな『欲張りな生物』が『神の領域に足を土足のまま踏み入れる』ことは想定されていなかったが……
『母上』同様に封印された『子』達が機械化した今でも行動を起こすには『時、すでに遅し』であった。
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瀞霊廷 残存兵組 視点
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「雀部副隊長、
「そうか。 それで内部はどうだった、檜佐木副隊長?」
「他の隊の奴らと軽くバイクで中を乗り回してみたが……相当慌てていたんだろうな、四十六室の連中は。 ほとんど手付かず、そのまま放置だったから現状の俺らで再利用できる状態だ」
「そうか、不幸中の幸いだな。 非戦闘員や、負傷者たちの避難所に適している……卯ノ花隊長と、右之助殿は?」
副隊長待機室から急遽『総合作戦室』へと転換した部屋の中で、本来は隊長のやるべきことをしていた雀部の問いに、檜佐木は気まずく頬を掻く。
「未だに
「………………そうか。 引き続き、彼女たちが出るまで誰も決して近づかせるな」
封印された藍染が瀞霊廷に上がった騒動後、一番隊舎の地下にあったはずの『無間』はまるでごっそりと空間そのものが
卯ノ花は大体のことを確認し、隊長としての義務を雀部に引き継がせた後、『無間』があった一番隊舎に『
彼らの
「雀部副隊長……その……失礼を承知の上でなんですが、なんで卯ノ花隊長にもっと頼らないんですか?」
檜佐木が歯切れの悪そうな言葉と、さっきの話題で雀部は察した。
「檜佐木副隊長。 一つ聞くが、卯ノ花隊長は
「え?」
ここで檜佐木は何時いかなる時も、愛想よい笑みを浮かべる
「え~と。 それなりに……『長く』?」
久木が言いたかったのは京楽や浮竹と同じく『数百年』だが、自然と気が引けた。
「正解は、『護廷となる組織、初代十三隊の設立後間も無く』だ」
「ッ。 ……そんなに、ですか? なら尚更のこと、なんで卯ノ花隊長はもっと大きく立ち回らないんですか?」
もし雀部の言っていたことが本当のことなら檜佐木や大抵の死神たちからすれば『彼女も雀部と同等の経験などがある筈』と思いつくのは仕方がない事。
何せ今の死神たちの『四番隊の卯ノ花隊長』というのは『落ち着いた容姿で、言動共に静かで穏やかな医師』を絵に描いたような人物。
彼女の斬魄刀の力さえもこれを強調するかのような『
あと完全に余談ではあるが、四番隊の副隊長である勇音同様に卯ノ花は意外と
「史上最強と言われた初代十三隊の、『
「じゅ、十一番隊……だと?!」
檜佐木の脳裏に浮かんだのは、今より
何気にタバコの代わりに飴を各メンバーが咥えていたのは恐らく、やちるの影響だろう。
ちなみにこれも余談だが、当のやちるが瀞霊廷にいないことは既に確認済みで、隊員たちによると『多分(更木)隊長といるだろう』と言うことで話は済んでしまった。
そんなことを思い浮かべるほど逃避したかった檜佐木の様子を見た雀部は、若干ため息交じりに話を続けた。
「狛村隊長の下にいるお前だからこそ話したが、本来は機密情報だ。 今言ったことは勿論本人にもだが『他言無用』……理由は、想像出来るな?」
「…………………………………………………………ええ、まぁ」
長い沈黙の末に、顔色が少し悪くなっていた檜佐木は頷いた。
と言うのも彼が先ほど浮かべた『卯ノ花烈』の人物像が、十一番隊と遠くかけ離れていたショックもある。
が、初代十三隊の『史上最強』とは『史上最
初代十三隊の設立当時、瀞霊廷は王宮や貴族の地区周辺を除いてほとんどが無法地帯。
力あるものがその力を好きなように振舞い、好きなように暴れていた。
そんな戦乱の世の中、山本元柳斎が立ち上げた十三隊は荒くれ者たち相手に『交渉』をし、その勢力を拡大していった。
殆どが『物理にモノを言わせた鎮圧化』の末だが。
しかも卯ノ花は当時の『十一番隊隊長』。
その肩書と現十一番隊隊長である更木を知っていれば、現在の四番隊とは真逆の存在が『勘を取り戻す』と宣言しているとなると雀部が何故彼女たちの居る場所を隔離したのか誰もが理解できるだろう。
「あれ? じゃあ、右之助のジイサンは────?」
『────あー。 テステスー、マイクテスー』
「え?」
「なぜ、連絡用の機器から彼女の声が?」
机の上に置かれていた連絡用の無線からカリンの声が聞こえてきたことに檜佐木と雀部がハテナマークを出す。
今瀞霊廷の中で『霊力に頼らない機器』などと言った貴重な物は優先的にそれらを最大限、有効活用できる人員に配給されていた。
そして無線などは隠密機動に配られていたがそれでも試作品だったことで元々数が少なく、率先して足の速い者たちに渡されていたので雀部を除いた他の副隊長たちはおろか、カリンにも渡されてはいない。
『ちょいと急なことで、言葉だけじゃ
────ガタッ!
雀部が突然目を見開いては立ち上がって駆け出して、檜佐木も彼の行動につられて後を追う。
「檜佐木副隊長、行くぞ!」
「え?! い、行くってどこにですか?!」
「奴の言っていたことで予測はできる! 今の隠密機動たちは主に連絡と敵の進軍妨害に出払っている! そして無線は必要性のある場所での活動を基準にしている! それらをさっきの奴の言葉に当てはめれば自ずと『居場所は二番隊の見張りが必要な場所』だ!」
「???」
檜佐木は困惑しながらも、気を張る雀部の表情にただ事ではないことを察した。
…………
………
……
…
「オラァァァァァ!」
上記とほぼ同時刻、気を失った隠密機動隊員に無線を返してからカリンは崖に埋め込まれていたゴツイ金属製のドアを無理やり持っていた紅い槍で突いた。
ガイィィン!
「硬ってぇぇぇぇぇぇ?!」
カリンは弾かれた槍を持っていた手を振り、後ろにいた雛森が冷や汗を掻いていた。
「そ、それはそうですよ! 噂では瀞霊廷で一番物理的にも霊的にも強固な守りを施されて────!」
「────『“
ヒュッ!
スコォン!!
カリンが紅い槍を投擲すると今度は槍がドアの鍵部分を貫通し、彼女がドアを蹴るといとも容易くドアが開いた。
「うし。 行くか」
これを見た雛森はあんぐりと口を開けて数秒後、声を発する。
「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?」
まさに放心したような、呆気に取られた音だった。
「こっからは、オレ一人で行く」
カリンは槍を手に持ち直して肩に置きながらドアの向こう側に広がる洞窟の中へと入っていくと雛森が付いてくる。
「いいえ、ここまで来たら一緒に────」
「────危険すぎる。 お前はここで待ってな────」
「────じゃあカリンさんがワァワァ泣いていたことを言いふらしますね?♡」
「う゛……た、頼むから忘れてくれ」
「う~ん、どうしましょう♡」
口だけが笑っている雛森の横で、カリンが思い出すのは少し前まで自分が溢れ出す感情任せに泣きながら色々と暴露した後ろめたさ満載の『ありのままの
前者も『カリン』からすれば大変恥ずかしい出来事なのだが、後者は
何せ『
「(最悪……全てが終わった後、問い詰められて嫌われ者になるな)」
「(まぁ、それも全部終わった後に
「(だな)」
二人が中に入っていった洞窟は二番隊隊舎の敷地内、北西にある巨大な堀の向こう側。
そこはかつてひよ里が瀞霊廷嫌いになるきっかけを与え、涅マユリが
通称、『蛆虫の巣』である。
…………
………
……
…
場所が場所だけに、鍵を持った隠密機動の隊員たちは四十六室の息がかかった者たちで彼らが瀞霊廷から逃げ出した時に持ったまま出ていた。
無論、鍵が無いので
だが異変や混乱に乗じて中の者たちが暴れだす可能性が無いとも言えないと思った雀部は、逃げていない隠密機動の一人を見張り役につけていた。
そしてカリンが雛森に『情報』を暴露していった結果、この場所の存在を思い出した彼女はすぐにここに来て、通す気が無かった見張り役を強行突破して今に至る。
「(本当に……瀞霊廷にこんな場所が……)」
カリンの近くいた雛森はきょろきょろと周りを見渡していた。
一見、ほとんどの者たちからすればただの洞窟に見えるが鬼道に長けた彼女だからこそ、その異常さが肌で感じられた。
その洞窟が数多の罠などの痕跡があったことに。
それら一つ一つが複雑な術式で、しかも見たことも聞いたこともないようなモノばかり。
「(へぇ~? こいつぁ驚いた。
「あんま、長居するところじゃねぇな」
「……」
カリンの言ったことに雛森は静かにうなずく。
洞窟に入ってから、体の芯まで貫く異様な寒さを二人はずっと感じていた。
それはまるで体にまとわりつくような、ねっとりとしたモノ。
ゾッ!
やがて洞窟内にまたもドアの前に立つと首に刃物が突き立てられたように、寒気が一気に増す。
「雛森!」
グッ!
「ひゃ?!」
ドアの取っ手をカリンが取ろうとした瞬間、彼女は雛森の肩を無理やりつかんで地面へと伏せさせた。
キィィン!
「ウッ?!」
耳をつんざくような、鋭い刃物が大気そのものを斬るような鋭い音が聞こえると同時にカリンは苦しむような声を出す。
「へぇ~? 今の、イイ線いっとったと思ってんけどなぁ?」
カリンたちの前にあるドアの向こう側から掴みどころのない京都弁が聞こえ、いつの間にか切り刻まれたドアがバラバラと音を立てて崩れていく。
「掠っただけなんて……僕の勘もかなり鈍ったねぇ」
地面を裸足で踏む、ヒタヒタとした足取りで一人の男が姿を現す。
「あ、貴方は?!」
「おや? 雛森ちゃんも一緒とは……ちょっと
カリンは横目で自分の肩を見る。
そこには何もないように見えるが、集中してみると
「クッ……(あっぶねぇぇぇぇぇ! 今の、完全に
カリンは目を再度ドアから出てきた男に視線を移す。
「市丸ギン?!」
「いややわ~。 そんなに見詰めやんといてくれます雛森ちゃん? 僕ぅ、照れますわぁ」
簡単な昔の囚人が着るような服装をした市丸が薄笑いを浮かべ、彼の後ろには同じような服装をした様々な姿をした大勢の人たちが殺気を放ちながら彼の背後に立っていた。
どうでも良いことかもしれませんがサブタイトルは『蛇の道は……』のダジャレっぽい『悪の道は……』です。
蛇(じゃ)=悪(じゃ)みたいな?
ギン:なんやそれ。 しょうもない理由やなぁ~
ほっとけ。 干し芋投げるぞ。
ギン:後この文章量、なんなん?
切りのいいところ+ちょっと疲れが……
ギン:さよか