白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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大変お待たせ致しました、年末度関連の事情やリアルでバタバタ忙しかったので勢いのついた短めの次話です。

楽しんでいただければ幸いです。


第160話 Theory

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 現世組 視点

 ___________

 

「ではまとめるとこういうことかネ、黒崎一護?」

 

 とある病院の会議室では、マユリがテーブルをはさんで一護の向かい側に度の入っていない眼鏡を光らせ、両肘を上に立てて彼を見ていた。

 

 先ほどまで彼は一護から見た視点で今まで起きたことを洗いざらい聞かれ、余談だが部屋の端には『自分は天才過ぎて何か(バカ)とは紙一重』と書いてある看板を首から下げてながら正座をマイに強要されていた浦原の姿。

 

「あの、そろそろ膝がやばいのですが────?」

 「────黙っておきましょうねぇ~?」

 

 ギュウ。

 

「いだだだだだだだだだだ?!」

 

「大袈裟ねぇ~」

 

 ギュウ♪

 

「『ギュウ』に音符をつけても痛いモノは痛いです!」

 

 抗議を出そうとした浦原の言葉を遮りながら有無を言わせない圧力(物理)でマイが彼を黙らせる。

 

 さっきまでは彼も情報のすり合わせにも参加させられてしていた。

 

「(ニコニコニコニコニコニコニコニコ)」

 

「いや、あのですね? 単純に────?」

 「────(ニコニコニコニコニコニコニコニコ)」

 

 「あ、ハイ……」

 

 やっと浦原が撃沈し、目線が帽子に隠れてたところでマユリが口を開ける。

 

「おそらくだが、霊王宮で彼女(マイ)に似た女性とやらがこの世界の『三番』、あるいは『三号』である可能性が高いネ」

 

「「「ゑ?」」」

 

 その場に居合わせていたマイ、浦原、一護、そしてネコの姿になって隠れていた夜一がマユリに呆気を取られ、これを見た彼が実に良い(ニチャっとした)笑みを浮かべた。

 

 ニタァァァァァァァァァ。

 

「ほウ? 他の凡人はともかく、天才を自称する浦原喜助でさえも『知らない』と言うのかネ?」

 

「いや、まぁ……涅サンはどこでそんなことをお聞きに…………って、あの冴えなさそうな眼鏡の彼女ですか」

 

「一言余計だがそうダ」

 

「(『三号』とか『三番』って…………チエが言った『神様』だよな? 自称の)」

 「一言余計」

 

「ん?」

 

 一護は今度こそ空耳ではなく、聞こえてきた小声の出どころを探そうと周りを見る間にマユリは言葉を続けた。

 

「リッ君との時間は実に有意義で、彼女と時間を過ごす間に色々と聞いたのだヨ。 

 警戒の余りに距離をとって観察し、最悪の事態を避けようとして憶測を元にあの小娘(渡辺三月)が極限状態に陥った瞬間ではっきりさせようとした(浦原)と違ってネ」

 

「…………………………」

 

「挙句の果てに、異変続きでその取った行動に誘導されたのを一足遅く気付いた君とは違ってネ?」

 

 マユリの『ここぞ!』と言う勢いの指摘に浦原はただ半笑いを浮かべていた。

 

「涅、お主は警戒しなかったのか? 今だから言うが、得体の知れない奴らに面妖な術と不確かな生い立ち……あまりにも異質すぎてワシらだけでなく『仮面の軍勢(ヴァイザード)』の殆どが取り入れながら探ろうとして奴らじゃぞ?」

 

 さっきまでマイに抱かれるのを余裕で躱していた夜一の問いにマユリの勝ち誇ったような顔が、ウンザリしたものに豹変する。

 

「四楓院夜一。 口にするのは癪だが私は行動を起こす前に、未知のモノを警戒する前に必ずしているものはそこの浦原喜助とそれほど大差はナい。 違いがあるのは()()()()()()()()()()()()()で、浦原喜助は瀞霊廷の者たちや黒崎一護とその知人たちや長年の知り合いである四楓院夜一だけでなく、()()()()()()()()()()()

 

「……………………なんじゃと?」

「あら、そうなの~?」

「え?」

 

 夜一、マイ、そして一護が半笑いを浮かべ続けていた浦原を見る。

 

「いや~、そんなに注目されると照れちゃいます♪ 照れすぎて足の感覚がなくなったのでさえ気にならないぐらいです♪」

 

「そして君のそのわざとらしい、癖でもあるお茶らけた言動もそれを隠す一つの手段でしかなイ」

 

「……………………………………………………………………」

 

「沈黙は、今とさっきの言葉に対しての肯定と取っていいかネ?」

 

「(浦原さんが……()()()()()()()()()()()()()……だと?)」

 

「喜助。 涅の言ったことは本当か?」

 

「やだなぁ~、夜一さんは別に決まっているじゃないですか~」

 

「ちなみにその言い方の注目すべきところは『別』という単語で不定はしていないところがポイントだヨ」

 

「…………………………本当に嫌だな、そうやって責められるのは」

 

「ようやく素が出たカ。 こんな状況下で疑心暗鬼そのものになっている余裕はどこから来ているのか聞きたいが今は置いておこウ。 それより今この状況をどうするかを決めようではないカ? それとなんだね、その疑心マシマシの目ハ?」

 

「「「(涅マユリが隊長っぽく振舞っている………………)」」」

 

「失礼だね君たちハ…………さて、ここから()()()()()()()と行こうではないかネ?」

 

「「「「ゑ?」」」」

 

「何を呆けたままでいル? いいかネ? 『三番』だが『三号』だが知らんが奴が『神』とやらを自称しているのであれば少なくとも霊王に類するモノと仮定しよう」

 

 一護たちの耳に届いたマユリらしくない単語に気が一瞬引っかかったが、それもマユリの言葉でかき消される。

 

「少々のおさらいも入っているが、霊王は死神の頂点に立つ存在とされているが……実のところは全く違ウ」

 

 浦原の眉毛がピクリと反応し、マユリはそのタイミングで口を再度開ける。

 

「霊王とは『世界の(くさび)』ダ……手を挙げてなんだネ、黒崎一護?」

 

「ええと……どういう意味だ?」

 

「どういう意味でもなイ。 文字通りに『霊王無き世界は崩壊する』と言っているんだヨ。 そして現状、世界は急変したが崩壊する予兆が無いことでさっきの『三』が霊王に類するモノと仮定しただけダ」

 

「「「(呼び方が省略化された)」」」

 

「さテ、ここまで話せばいかに凡骨であれ『脅威』を察せるダロウ? ちなみに君はカウントしなイヨ、浦原喜助」

 

「では察せない人と自分の名誉挽回の為に説明をいたしましょう! …………それぐらいはいいですよね?」

 

「いいわよぉ~?」

 

「不肖、私がいつもの担当をします」

 

「(デカい図体なのに忍者みたいだな……)」

 

 そこで鉄裁がヌッと天井裏から出て来てはスケッチブックを出して浦原の言ったことを描く用意をする。

 

「『霊王は世界の(くさび)』。 これはつまり現世、虚圏、そして尸魂界の三つを示しています。 あと叫谷(きょうごく)は皆さんご存じでしょうか?」

 

 ここで浦原が見たのは一護とチエの二人。

 

「ああ、少し前にちょっとな………………」

 

「あの時は苦労したな…………主に会計が」

 

「つーか普通は食い逃げしねぇよな?!」

 

「一文無しならそれなりに皿洗いでもすれば…………………………いや、()()()の性格では無理だな」

 

「そうよねぇ~」

 

 一護、チエ、マイの三人の頭上に()()()()()のケタケタと陽気に笑う、紅葉が似合う少女の姿が浮かぶ。

 

「……それでは続けますが通常この三つの次元は断界内に漂い本来は決して接触しない、かつ決して離れすぎない距離を保っています。 この離れず付かずの距離と境界線を保っているのが霊王です」

 

「そうダ。 つまり、『サ』が────」

「「「「(────更に省略化された────?!)」」」」

「────霊王と似た機能や能力を持っているとすればこれでどれほどの脅威かわかるだろう?」

 

「(つまり……その気になれば世界を壊すことも可能なのか?)」

 

「そしてここで三月サンが度々見せた行動などを照り合わせると()()()()()()()が見えることになります。 まぁ、『未来視』の一種ですね。 これで恐らくは我々の出方をある程度予想できるので世界を壊すよりは何か利用価値からか、気まぐれなのかわかりませんが世界を崩壊させていません……()()的には後者でしょう」

 

「あとは藍染惣右介と奴の関係性ダガ……」

 

 ここでマユリがちらっと横目で見たのは夜一で、彼女はため息交じりに言を発した。

 

「そこでワシに振るのか」

 

「当たり前だヨ。 情報収集は主に隠密機動の仕事。 ならば奴が入隊した時点で調べはついていたのだロウ?」

 

「そのことは他言無用……と言っても、今では意味はないかの」

 

 夜一が?マークを出す一護とマイへと顔を向ける。

 

「護廷十三隊や隠密機動に鬼道衆はその役割などから尸魂界のありとあらゆる情報などに触れる機会が多くなる。 当然、入隊者全員の調べはされる。 それが流魂街の者であっても、貴族での者であってもの? ただし後者は他家の推薦などがあればある程度調べは軽減される。 これは隠密機動の長のみが知る情報じゃ」

 

「それで……藍染の野郎は?」

 

「『藍染惣右介』。 奴は………………『()()()没落貴族の出』としか出てこなかった」

 

「『恐らく』? 夜一サンにしては歯切れが悪いっすね?」

 

「そう言うに以外、言葉が見つからん。 奴が入隊したときに調べたが『藍染家』は確かに過去に存在はしたが『長年血縁者が見つからない』ということで没落したと思われ、過去にその家を知っていた者たちは既に亡くなっておった。 だが奴の言動や作法に知識は確かに貴族そのもので、斬魄刀も『最後の家宝として代々受け継がれていた』と言うことですでに所持しておった」

 

「注目すべきところはそこだヨ。 奴の生い立ちなどもある程度は興味がわくが、その代々受け継がれていた斬魄刀に引っ掛かりを覚えるネ」

 

「どういうことだ、涅隊長?」

 

「……………………」

 

 マユリがジッとチエの方を見る。

 

「どうした?」

 

 マユリの頭上に一瞬だけ浮かんだのはネムのイメージだが、彼はそれを消す。

 

「もし奴の『鏡花水月』の発生が奴からではなく、そしてお前たちから聞いた話を総合すると『サ』が関係しているのは捨てられない可能性だロ?」

 

「……ああ、なるほど。 つまりはですね、『藍染サンは()()()()()()んじゃないか?』と言う仮説がここで出てくるというわけですか」

 

「待て。 斬魄刀が持ち主を操るじゃと?」

 

「斬魄刀は持ち主の魂に影響されるが、何も『逆が無い』とは言い切れんだロ? そして藍染惣右介の『鏡花水月』は神経に関与する能力ダ」

 

「ワシは長年生きておるが、その類の話は聞いたことが無いぞ?」

 

「えっと、夜一サンを疑っているわけではないのですか────」

「────では聞くが、君はこの世全ての事情を知っているのかネ? 知らないのならこの仮説作りに関与しないでくれたまエ」

 

 「こういうところが似ておるのが嫌じゃ……」

 

「ですがその仮定のまま考えを進めると、どの程度、どの範囲で影響を及ぼせるのが分かりませんね」

 

「それにもしそれが出来ているとしても、『藍染一人なのカ?』と言う疑問も浮かブ………………もしかして干渉はそれほど出来ないのデハ? だから影響力の標的を強者の一人に絞ってイル?」

 

「涅サンにしては少し極端ですね。 もっと一人一人の相手に対しての変動があると見た方がいいかも知れません。

 例えば全体的には認識を察知したり、備え付けたりする程度。 これならば、ボクのケースにもある程度説明がつく」

 

「……………………なるほど。 では『サ』はある程度、特別な存在であればあるほど認識しやすく、影響が出来るのカ?」

 

「そして藍染サンの『鏡花水月』の能力を考えると多分思考だけではなく、精神状態にも影響出来るのでは?」

 

「………………………………そんなのを相手にするのか、俺たち? 藍染だけじゃなくて?」

 

「「「「………………………………………………………………」」」」

 

「問題ない。 そうだろう?」

 

「そうねぇ~。 私たちはそもそもこんなケースを想定に()()()()()訳だし~」

 

 一護がポツリと出した一言に沈黙が続くと思えばチエとマイが口を開けたことによってそれは破られる。

 

「……………………どういう意味だ?」

 

 一護の純粋な質問に、マイが相変わらずニコニコした笑みを崩さずに答える。

 

「だって私も『三月』だから~。 あ! この場合、『三月から発生した人格』と言った方が正しいのかしら~?」

 

「それで合っていると思うぞ。 こいつらに『分体』などを言っても説明をしなければならない」

 

「ハァ~イ。 と言うわけでぇ~、『元三月のマイ』で~す♪ あ、今までのマイでも良いし、取り敢えずは()()()()()を想定に()()()は存在するから~」

 

「「「「「……………………は?」」」」」

 

「あ。 最悪の事態と言うのは~、『暴走』の事ねぇ~?」

 

「「「「「………………………………………………………………」」」」」

 

 一護たちのポカンとした表情を見て、彼らの疑問と思ったことに答えたのだが…………立て続けに認知を揺るがすような話で混乱に近づいた思考では『それじゃない』、と口にできる者はいなかった。




後書きなしです。

なるべく話を進ませるよう次話を時間の合間で書こうとおもいます。
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