白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせいたしました、次話です。

前話はスマホ投稿ゆえか、ミスをしていたのでフォーマットだけ修正いたしました。
大変申し訳ございませんでした。

楽しんでいただければ幸いです。


第163話 Descent into Chaos

 ___________

 

 虚圏Landwehrkorps(ランデュエヘール部隊) 視点

 ___________

 

 ガキィン!

 

 虚圏の砂漠の上に転がってチリへと化していく虚たちの上に金属と金属がぶつかり合い、響く音を鳴らせる。

 

「人間の癖にやるじゃねぇか、えええ?!」

 

 音の発生源と思われる一人の破面が心の底からくる高揚感から、愉快な笑みをしながらキルゲを攻撃していた。

 

「(『ただの破面ではない』と知っていても厄介ですね)」

 

 キルゲが横目で見たのはさっきまでグリムジョー以外の破面たち。

 正確にはキルゲが圧勝気味に葬り、消えていく()たち。

 

 それに対し、先ほどからグリムジョーに彼の攻撃は()()()()()()()()()()()()ように見えていた。

 

『通用していない』ではなく、攻撃が絶妙に()()()いたり、虚圏の砂が沼のような部分を()()()キルゲが踏んでしまい反撃のチャンスを見逃してしまったりなどの()()()()()が多発していた。

 

 それも、グリムジョー()()に。

 

「(これもやはり、『陛下の見立て通り』ということですか。) ですが、抗せてもらい(ます)!」

 

 ビッ!

 

「グッ?!」

 

 キルゲは義手を変形させ、中から光線のような物がグリムジョーの太ももを撃ち抜く。

 

「テメェ、今のは────!」

「────アッハッハッハッハッハッハッハッハ! やはり()()()ですか! 流石は陛下といったところです!」

 

『虚閃』。

 そう虚圏の地面に思わず膝をつけたグリムジョーは叫びたかったのを、キルゲの笑いが遮る。

 

 某サイボーグ化した殺し屋の『スーパーどど〇波』ならず『スーパー(疑似)虚閃』といったそれは通常の虚閃よりさらに()()されていた。

 

「(『霊子圧縮発射装置』などと、霊子兵装への冒涜と思っていましたがいあやはや! あの方はどこまで見通しているのでしょう?!)」

 

 グリムジョーは痛みを無視し、さっきまで素早さ頼りの高機動戦を再開する。

 

「やはり強がっても、足への負担は目に見え(ます)ねぇ!」

 

「チッ!」

 

 キルゲの指摘にか、それとも調子が狂ったからかグリムジョーは舌を打つ。

 

「グリムジョー!」

 

 そこへネリエルやほかの十刃落ちたちが殲滅戦を終わらせたのか、その場へと駆けつきながら名を呼ぶ。

 

「フン、()以外は雑兵ですが……足を奪えたことですし、まぁいいでしょう」

 

 キルゲは形が変わった義手と軍刀サーベルを構える。

 

「では来なさい! 貴方たちを皆殺しにして、見せてやりましょう!」

 

 

 

 

 ___________

 

 黒崎一護 視点

 ___________

 

 ドゴォン

 

「ッ」

 

「のわ?!」

 

 悶々と考え込む俺たちの横にある壁が向こう側から砕けて、反射的に斬魄刀を手でつかんで振り向くと何かが俺の顔面に当たる。

 

 ムニュン。

 

「ブッ?!」

 

 当たったと言うか、なんと言うか、どう言ったらいいのか分からないからありのままを話すと顔面にスゴく柔らかいかつ弾力からくる圧が顔を覆った。

 

「あらぁ~、ごめんなさいねぇ~?」

 

「ブハァ! みt────じゃなくてマイさん?!」

 

 昔からの馴染み(三月)の口癖と被ったのは癪だがもうこの際どうでもいい。

 

 何せ馴染みの母さんが…………じゃなかった。

 別のアイツ?

 ……………………………………………………うん。 

 もうその線で行こう。

 

「その傷、敵ですか?!」

 

 俺から離れたことで見えたマイさんは、戦闘していたのか傷から血を流していた。

 

「そうなの~、マズイのよ~」

 

 というかその状態でも笑顔でおっとりなのな?

 

 ズサァァァァァ!!!

 

「ッ」

 

「あ、今度は大きいほうの渡辺さんだ」

 

「小島か」

 

 水色が言ったように、今度は後ろへ飛んでいたのか地面を滑りながら後退していたチエが左手で抜刀した刀を握りながら戻ってきた。

 

「ぁ……チ、チエ……」

 

 気まずそうなたつきの声にチエがちらっと一瞬だけ視線を送り、すぐさま前を向く。

 

「おや。 流石に頑丈だ」

 

ウゲ

 

 壁が壊され、舞い上がる砂煙の中から来た人影を見てたつきが心底嫌そうな言葉を出す。

 

 気持ちはわかるけども。

 

 バババババババァン

 

 水色がほぼコンマ0秒的に拳銃を両手にとって乱射する。

 

 バチバチバチバチバチバチバチン!

 

「加工された飛び道具……霊子兵装の応用……石田竜弦かな?」

 

 だが弾丸が当たっても、せいぜいが飛ばされた輪ゴムが当たったような顔をするだけだった。

 

「あー、やっぱりこのチート野郎にはダメだったか」

 

「な、んで?」

 

 やっと乾いていた喉から出せた一言が上記。

 

 後になって考えれば、もっと別なことを言えたと思うが……その時、俺にそんな余裕はなかった。

 

「ん? その疑問は何に対してかな、黒崎一護?」

 

「なんで、アンタがここにいるんだ?!」

 

 未だに澄ました表情で俺たちを見ていた藍染が立っていた。

 

「なるほど、初歩的な方の問いだったか。 私がここにいるのは一言で済ますと、単なる()()()()だよ」

 

「「「……………………………………は?」」」

 

 余りにも予想していなかった返答に俺含めて他の奴らがほとんど呆気にとられる。

 

 ポキポキ、ポキ。

 

 そして僅かにだが何かの音がチエのほうから聞こえてきた。

 

 

 ___________

 

 『渡辺』チエ 視点

 ___________

 

 

「(これで大方右手の骨は戻せた、か……あまりにも脆い。 どういうことだ?)」

 

 私は先ほどマイとともに突然現れた藍染に攻撃を加えようとして、あしわられた。

 

 その際に奴の攻撃を受け流した刀を伝って右手が痛んだどころか、()()()()()()()()()()

 

 今まで痛んだり傷が開いたことはあるが、さっきまでのような異変はこの体に起きなかった。

 

 これはどういうことだ?

 

 ……………………()()()()()()()()()

 

 

 ___________

 

 現世組 視点

 ___________

 

「(『相手を釣る作戦』、ねぇ)」

 

 近くで特製の外套をかぶり、上記のやり取りを見ていた浦原は内心で思考の一部でマユリに感心していた。

 

 マユリが以前示した『方針』とは、現世から瀞霊廷との行き来が出来る違法の穿界門(せんかいもん)がまだ健在である筈の浦原商店に向かいつつ、相手の出方を見るといったもの。

 

 マユリ曰く、『何せノコノコと移動していれば敵である“サ”がジッとしていないだろう』。

 

「(ボクが居なくなっての十二番隊は上手く回っているようだね)」

 

 実はと言うと、彼はこのような状況を作ってしまったことに少なからず責任を感じていた。

 

 以前にも書き写す下通り、他人から彼の認識は『超が付くほど面倒くさくて扱いにくい天才児』*1

 

 それも間違っていないがマユリが指摘したように、彼はその才能で辿り着いた考え故に『誰も信じなくなった』。

 

「いや、そのままでは多少の誤差があるな。 『()()()()()()()()()()()』、と言った方が合うか」

 

 ヒュッ!

 

 藍染の声に浦原は抜刀し、近くの夜一は単純な体術で瞬歩にも劣らない速度の上にダメ押しの瞬歩を重ねて飛ぶ。

 

「フッ!」

 

 夜一の動きも以前、破面(ヤミー)が初めて空座町に到来したときに霊力を纏わず殴って手足に支障をきたして以来の躊躇は微塵も感じられない程のキレを持っていた。

 

 だが藍染が予知にも似た動作で攻撃を躱し、彼女の霊子をまとわせた拳が空振りをする。

 

「やれやれ。 物騒な────」

 

 ────ドォン!

 

 藍染が言葉を言い終える前に、さらに彼が移動する位置を把握したかのように、横からビルの壁が丸ごと彼に衝突する。

 

「あ。 当たりました~! ٩(。˃▽˂ )و」

 

 壁が無理やり内側から丸ごと抜かれたビルの中には、嬉しそうにはしゃぐミニーニャの姿。

 

 ガラガラガラガラガラ。

 

「やれやれ、人の話は最後まで聞くのが礼儀だよ? よほど余裕が無いのなら話は別だが」

 

 崩れていくビルの壁の中から出てきたのは相変わらずオールバックの髪が乱れていない、涼しい顔をした藍染。

 

「敵の大将が一人で、ボクたちの前に出てくるとはね」

 

「そう驚くことはない。 これはただの()()()()と言ったはずだ────」

 

 ガァン!

 

「────火の粉は増える一方だね。 いや、これこそが狙いか」

 

 藍染の背後に急接近した誰かが手に持った銃を放つがさっき水色が撃った銃弾と違い、今度の攻撃を藍染は手で振り落とす。

 

「ミニーニャ嬢の攻撃も、私の銃弾も効果が無いとは……やはりタフだ」

 

「おい、ここから離れるぞテメェら」

 

「こっちですぅ~」

 

神の歩み(グリマニエル)』で急接近したロバートが少々不服そうに藍染を見て、その間リルトットとミニーニャがたつきと水色をその場から連れ出す。

 

「ですが()()()です」

 

 ドドドドドドドドドォォォォォン!!!

 

 藍染の周りにあった、砕かれた壁が一斉に光りだしたと思えば爆発し、藍染はそれに包み込まれる。

 

「次よ!」

 

 「くらえぇぇぇぇぇい!!!」

 

 今度は頭上から聞こえてくるバンビエッタの声が合図だったかのようにキャンディスの声と共に雷が落ちる。

 

「よし、んじゃちょっくらアイツの霊子に充てられて弱体化するか!」

 

 それまで身を潜めていたアスキンも他の元星十字騎士団たちが総攻撃をかける為に動く。

 

「前回の繰り返し……いや、あの小娘の手助けがない今の状況がそれ以下なのは理解しているはず。 となれば────」

 

 キィン!

 

「────本命が君だとぐらい、すぐに思いつく」

 

 ガシッ!

 

 巻き起こった土煙の中から来たチエの刀を藍染がまたも受け流して彼女の腕を掴む。

 

 ボキッ。

 

「ッ」

 

 鈍い、何かが割れる音にチエの顔がピクリと反応する。

 

 ダッ!

 

 彼女はそのまま蹴りで無理やり藍染から距離をとるようにし、さらに強い痛みが腕から生じる。

 

「(完全に右腕が逝ったか)」

 

「「「「あ゛、あ゛あ゛ア゛ア゛あ゛」」」」

 

 ここに来て、歩く死人たちが騒ぎを聞いて影から出始める。

 

「(これは────)」

「(────乱戦になるな!)」

 

 刀を持ち直したチエと、近くの死人を斬る一護がそう思ったとき、さらに以前対峙して死亡したはずの破面たちに姿が似た者たちも姿を現せ始める。

 

 歩く死人たちだけならともかく、破面モドキも出てきたことで滅却師たちや夜一も自衛と後々の為に応戦し、一護たちが思った通りに乱戦へと突入した。

 

「…………………………今度は君たちの出番だ」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 一護は次々と湧いて出てくるような死人たち(眼前の脅威)を斬っていく。

 

「(……なんだこれは?)」

 

 違和感を持ちながら。

 

「(体が軽い?)」

 

 彼が感じていたのは今の状況へと不信感や、死体同然の人型の『何か』を斬る後ろめたさでもなく、所謂自分の順応への戸惑いだった。

 

「(後ろ?!)」

 

 一護は背後から来る感覚に振り向きながら、迫る刀を受け流す。

 

「ッ?! つ、月島?!」

 

 一護が思わず刀の持ち主を見て名を呼ぶ。

 

「(いや違う。 似ちゃいるが、どこか()()!)」

 

 スーツにサスペンダーを着た青年は確かに月島と見違えるほど姿は似ていた。

 

 だがそのうつろな目からは生気が感じられず、無表情の顔は何の感情も見受けられなかった。

 

「ッ……………………あ、アンタもかよ」

 

 一護は月島(?)の後ろから、ゆったりとした足取りで姿を現す二人目に奥歯を噛みしめる。

 

「銀、城………………」

 

 巨大な両手剣と、骸骨を模したスーツ姿の銀城空吾。

 彼も、月島(?)と同じ様子のまま一護へと襲い掛かる。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「(誰だこいつは?)」

 

 少し距離を置き、右腕を急遽近くにあったありあわせの物で作った副子を折れた右腕の固定をしていたところに、一護が相対していた月島と同じ様子の獅子河原が立っていた。

 

 ヒュ!

 

「(遅いな)」

 

 獅子河原(?)が繰り出すパンチをチエは難なく躱すが、今度は()()()()さっきまで副子を作るために拾い集めていた小物に足を滑らせ、第二のパンチを受けてしまう。

 

 ゴッ!

 

「グ、ムグッ?!」

 

 繰り出されたパンチとは似つかわしくない、鈍い音がチエの耳朶に響き、彼女は喉にせりあがって来る液体を無理やり飲み込みなおす。

 

「(こいつ……)」

 

 チエが見た目と全然違う動作と結果を見て、自分の懐から出したノートを素早く片手でペラペラとページをめくる。

 

「(なるほど、『因果律の操作』か?)」

 

 彼女はノートを素早く戻し、獅子河原(?)と対峙する。

*1
88話より




思ったよりも蛇足展開で申し訳ない気持ちがいっぱいです……
早く休暇を取りたいのですが、今の状況だけに取りにくいし……

皆さんも外出の際、周りに気を付けましょう。

タイトルを今更変えるのは不愉快ですか?

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