いつもお読み頂きありがとうございます。
楽しんで頂ければ幸いです。
___________
??? 視点
___________
一護たちが視線を向けている方向では死神と破面たちがいる場所。
彼らはさっきから増えた『母上』一体一体に対して数では勝っていたことからか力量でも勝っていた。
筈だった。
誰もがそう直感や本能で感じていたにも関わらず、彼らの大半の攻撃は
彼らの攻撃が不意打ちであれ、真正面からの全力であれ、『暖簾に腕押し』をするかのようなものに似ていた感覚だけが返ってくる。
殆どの者たちが未経験の出来事に戸惑いを感じながらそれぞれ試行錯誤気味にアプローチを変えたりしていた。
数名の破面たちを除いて。
「「「(この感覚、あの
今の状況を、彼ら彼女らは虚圏の砂漠で対峙したキルゲと似ていたことに不思議がっていた。
「無駄よ」
「貴方たちは所詮、負けを持っている」
「例外を除いて負けもしなければ、勝ちもしない」
「何せ、
それぞれの『
「(あの方たち……方? はさっきからなぜ私だけを?)」
七緒は内心、上記の自分に向けられる視線を不思議に思いながらも次の鬼道を練り上げていく。
「(なんでアイツら、七緒を見てるんや?
無論、彼女の近くにいたリサもこの視線に気付かない訳はない。
というのも、『
「来たわね」
『
「それでも────」
「────『
カリンの紅い槍が『
「ガフッ! (クソ、『戦闘続行(A)』でも無理が来たか?!)」
上記とほぼ同時刻、ツキミとリカも同じく各々が残る『
上記のカリンがさしたのを『
「(同じアサシンならいける筈!) 秘剣、『燕返し』!」
フォン!
「かぱ……」
斬魄刀を横取り拝借したツキミは軋む関節や悲鳴を上げる筋肉を無視し三方向から剣筋が同時に繰り出される。
剣術風で言うと
「(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛。 めっさしんど)」
そう内心では愚痴るツキミとは別に、未だにワチャワチャと音を出す竜牙兵に囲まれたリカはただボーっと空中を浮遊しながら攻撃をかわす『
「さて、貴方は何をするつもりかしら?」
「う~ん。 『
カツーン!
リカは持っていた杖を両手で持ち上げて先端を地面にたたきつけると耳をつんざく音とおともに周りの竜牙兵は溶けるようにいなくなる。
「『
ここで地面に何らかの陣が浮かんでいたことに初めて気が付けたと思えば、リカの前方から何時かグリムジョーとスタークが披露した『
「あら、そっちでも平行思考がでk────」
ドパァン!
カリンが背後から刺した『
ザシュウ!
ツキミが切った『
ゴォォォォォ!!!
「「どわぁぁぁぁ?!」」
「気をつけぬかこの戯けがぁぁぁぁ?!」
「あちちちちちちち?! 髪の毛が焦げるぅぅぅぅぅ?!」
「汗が一瞬で蒸発したぞこらぁぁぁぁ?!」
リカのメガ粒子砲にも似た大口径のビームの余波に当たりそうになった死神たちが抗議を上げている間、宙の歪みから
「ぬお?! なんじゃ?!」
「総隊長、こr────って落ちるぅぅぅぅ?!」
「現世だと?! さっきまで、霊王宮だった筈じゃ?!」
「う~ん、なんか二日酔いにも似ているけど嫌な方のヤツだったね~」
「「「「隊長!」」」」
上記のように、次から次へと『
「(人間マトリョーシカですね……いえ、限定的な強制憑依とでも呼びましょうか。 それにしてもマユマユから渡されたアンプルも残りわずか……ん?)」
未だにヌボ~っと冴えない表情をし、アンプルの蓋を次々と片手で割り開けて栄養ドリンクのように飲み干しながらこの光景を見るリカは、困惑する隊長たちが姿を現したことで嬉しがる者たちやびっくりする者たちの輪から抜け出す雛森の姿を見かけた。
「(あの方向には何かあるのですか? 気にはなりますが流石に今の状態で使い魔を一から作成して飛ばすのは疲れる────)────はて?」
リカが今度見たのは俯きながらおずおずと横道から出てくる少女の姿。
「あ、
「ッ」
リカの声がかけられて羽織っていた外套ごとビクッと、『本体』と呼ばれた少女────『三月』の体が跳ねて、恐る恐ると目だけを上げていく。
「ぁ……」
目がリカと合ってはサッと視線を外す。
「???? (何かおかしいですね~? 本体ってばこんなんでしたっけ? ……………………ま、とりあえずマイの布石が功を現したという事でオッケーとしましょうか)」
リカがトテトテと『三月』の近くに行くと、彼女はわずかにだが戸惑いを行動に表すかのように後ずさる。
「??? 本体?」
「………………おねえちゃん、だれ?」
ズキュュュン!!!
リカの問いかけに答えた『三月』の言葉に、巨大なメタ矢がリカの胸を射抜く。
「(……なるほど。 通りで『お姉ちゃん呼び』に固執するわけです。 『知的』と『合理性』が一つでもレベルが低かったら即死でした)」
だが無性に止めどなく湧き上がってくる嬉しい衝動をリカはグッと抑え込む。
それでも言語がどこぞの仮面付き彗星のように変わったが。
「ま、『
リカがズンズンと『三月』へとさらに近づくと少女は怖気づいたかのように足がもつれて尻餅をつき、震える両手でギュッと瞼を閉じた顔をそらして覆いながらプルプルと体中が震えだす。
「────ひ」
その姿を例えるのなら、まるで世に生まれたばかりの小鹿の様子だった。
「────う、ぁ。 や、めて────」
「────やめません。 『
リカは『三月』の頭を両手で自分へと向けさせた後、閉じていた瞼を無理やり開けて二人の目は互いの目線をしっかりと合わせられる。
するとまるでスイッチが入れられたように、『三月』の大きく開いていた瞳孔と表情からみるみると『怯え』が消えていく。
「…………はぁ~。 ありがとう
やがて三月はため息を吐き出し、頭痛がするのかこめかみに指をあてる。
「どういたしまして~。 (『なのだわ』?)」
そしてリカは彼女の語尾に違和感を持ちながらも来た言葉に答えた。
…………
………
……
…
上記から少し離れている場所では、未だに閉じる様子のない穿界門を前に立っていたチエと彼女と門、そして近くの茶渡とコンへと互いに視線を交わしていた。
「ん────?」
「────クソ眼鏡と
「相変わらずアネットさんは僕だけに当たり強いね?!」
「恐縮です、クソ眼鏡」
「全くもって褒めていないんだが?」
「茶渡k────!」
「おっさん、無事か────?!」
「「────って、
チエが何かに気付いたかのように道を見ると驚くことに、雨竜とアネットに続いて織姫と夏梨もその場に駆けつけていた。
「お、お前ら?! つうか何でここに夏梨まで?!」
「うお?!」
初めて異変が起きて一護、雨竜、織姫、茶渡の四人、そして戦闘姿である彼らを見る夏梨。
彼女は数秒間程皆を見てから自分の兄を見ると────
「────前のデケェ刀から黒い刀に変えたってことは……ペンキ塗りでもし始めた?」
「してねぇよ?!」
「そうだぞ夏梨。 得物に塗りを入れるのは武器に対しての冒涜だ」
「そっちも違う……」
「先に行っているぞ────」
「「「「────え?」」」」
その場を置き去りにするかのようにチエは躊躇する様子も見せることなく穿界門の中へと一足先に入っていった。
___________
チエ 視点
___________
「(ここは空座町か?)」
自分は穿界門の中へ入ったはずだが気付けば『半壊』と呼ぶには温く、それより悪化した『廃墟』と化した空座町へと出てきていた。
それに『廃墟』だけでは言葉が足りないな。
『水没しかけた廃墟』になるのか?
「(それにしては……空気も違う。 あの『霊王宮』と似ているが……霊力が歪んでいる?)」
どう説明すればいいのか分からないが『そう感じた』としか感想が出ない。
そう思いながら地形関係で段差が今立っている場所より低いところでチャプチャプと音を鳴らせる水の中に手を────
「────ッ」
違う。
これは『水』であって水ではない。
断じて。
「────陛、下」
横から聞こえてきた弱々しい声に視線を反射的に向けると、かなり衰弱しやつれた姿のポテ────ハッシュヴァルトと彼に肩を貸した………………
………………なんだ?
「鳥頭?」
「モヒカンだ」
私が思わず声に出した言葉に鳥頭『もひかん』が低い声を出す。
どこかで見覚えが……
「良いんだ……バズ。 彼女は……そういう人なんだ」
「良くねぇよ」
「
「無視かよ、おい」
鳥頭『もひかん』はこの際無視して明らかに弱っているハッシュヴァルトへ疑問を投げる。
「ここは……死神たちが『霊王宮』と呼んでいた場所……だと思われます」
やはりか。
だが見た目が以前と全く異なる。
よく見ると空座町の外れにある高層ビル、それと近くにはそれらしい街並みもあるが遠くには無いはずの山、そして地面には場違いにも虚圏の砂漠っぽいのがチラホラとある。
砂があるのは別に珍しくないが、それらが完全な円形でまるで突然その場に浮き出たような形は異質だ。
「私は…………僕はできる限り、滅却師完聖体で彼らの妨害をしていましたが…………もう、限界のようです……このままでは、世界が………………」
「そうか」
そう言いながら、懐に忍ばせていた日記を取り出して『ハッシュヴァルト』の項目があるページを開けて早読みをする。
『ハッシュヴァルトの聖文字は“
ならば本来は個人レベルの能力を、ハッシュヴァルトはどうやら『滅却師完聖体』とやらで藍染たちの妨害をしていたのか。
「
「「え?」」
そう言うと二人は呆気に取られるような視線を私に向ける。
何故だ?
礼儀で労いの言葉を投げただけだぞ?
まぁ良い。
「あとは、私が────」
そう言いながら二人を横通ると、背後からさっきの二人とは違う声が聞こえてくる。
「────チエ!」
「────チエさん!」
一護と……雛森か。
「うお?! 空座町か、ここ?」
「でもでもなんか違うよ拳西~」
「こりゃまたけったいな場所やのぉ」
「なんか世紀末っぽいな」
「ラヴが言うのならそうなんだろうね」
「ローズも相変わらずマイペースやな」
「平子もたいがいやけどな」
そこから穿界門の中から次々と
彼らはやはり長い間現世にいたからか、突然の急変への対応が他より早かった。
「なんだ、ここは?」
そこで彼らの後ろから意外と日番谷の声が聞こえて来たのは意外だった。
察するに、『雛森の後を追った』と言ったところか?
…………丁度いい。
「雛森、『
「え?」
私の頼みに彼女は目を白黒させる。
突然のことだ、無理もない。
「『
「え、あ、はい! ほ、補足者は?」
やはり瀞霊廷の者は突然のことに弱いな。
だが今の私にとっては好都合だ。
「味方の死神、及び破面たち全員だ」
「……開きました、どうぞ!」
流石は雛森、一瞬で霊力が歪んでいるのを察知して鬼道を調節してやってのけるとは鬼道の才が飛びぬけているな。
『……死神たち、そして破面たち。 私を知っている、知らないものでも耳を貸せ』
自分の声が大気の霊力に乗るのを感じると先ほどの思惑が実感できた。
『やはり強い流れに弱い』、と。
『空座町での開いたままにある穿界門、その先に現在の元凶が居る。
私は今から、その元へ向かう。
その際、総員に私から一つだけ伝えることがある。
この先は、文字通りの地獄だ。 圧倒的な“死”が待っている。
よって────』
一護や雛森は期待するような眼を私に向ける。
平子たちに緊張感が増したのか体が硬直する。
姿を現した日番谷が困惑するような顔をする。
だが私のやることは変わらない。
『────総員、
「…………………………え?」
ドッ!
「ひぅい?!」
「な?!」
「雛森!」
ドサッ!
呆然とした雛森の首に峰内を当てて昏倒させると一護が慌て、日番谷がすぐさま倒れそうになる雛森を抱きかかえる。
「日番谷隊長、
「おい、渡辺! 何をする気だテメェ?!」
「そこの穿界門は藍染、または奴が死ねば消える……筈だ」
「だから俺の────!」
「────少なくとも、今起きている異変は収束する。
ここからは、
「渡辺……お前────」
────いつも通りだ。
私は、『もしもの時の為に
後はどうでも良い。
___________
??? 視点
___________
「♪~」
穿界門の向こう側にある廃墟と変わった空座町を、仮に『向こうの町』と定義しよう。
チエたちが出てきた『向こうの町』の場所から少し離れたところで、水浸しの瓦礫の中で孤島のように浮いていた破片の上でに女性の歌声が響く。
女性────『
彼が見ていたのはグルグルと回ったり、ぐにゃりと歪んだり渦まく大気そのモノ。
「あ。 ソウちゃん」
何かを思い出したかのように『
「今
「尸魂界東梢局瀞霊廷の死神たち、及び魂魄の残存総兵力が役2800名。
虚圏の虚、純破面が800体。
そして────」
ジャリッ。
「────
小さな物音が聞こえてくるよりも前に、藍染は『
「やぁ、ようこそ」
彼の挨拶を新しくその場に現れたチエは無言でただ藍染を見てから『
「お前は、居てはダメだ」
「フフ♪ それはどうかしら?」
「例えお前がここの『星の意思』だとしても、関わってはならなかった」
『星の意思』という単語に、『
「……お前に何が分かる? 『関わってはならなかった』────? 」
フッ。
チエが消えたと思えば『
ギィィィン!
だが彼女とほぼ同じ速度で動いた藍染が斬魄刀で攻撃を真正面から受けてから彼女ごと跳ね返す。
「────ならば貴方の方こそどうなの? 悪戯に好き勝手やらかしたじゃない?」
「だとしても、お前たちの所為で奴と奴の護りたい場所が脅かせるのならその肉、最後の一片までもを絶滅させよう」
「そう……どうしても敵対するのね……ソウちゃん、先へ行っていてくれるかしら?」
「よろしいのですか?」
「
「ではそのように」
藍染が背中を見せると同時に、『
この勢いのまま次話を書いてきます。
尚この話で出てきた専門用語の辞書的なものが以下となります。
『ルールブレイカー』:
別名『破戒すべき全ての符』。 『裏切りの魔女』としての逸話が実体化/具現化した短剣。
切りつけた対象のありとあらゆる魔術効果を強制的に初期化するある意味名の通りのチート。
ただし対象は『魔術』。
『神官魔術式・灰の花嫁』:
本来は魔力をベースにした大口径砲。 今作ではリカが霊力を魔力の代わりに変換して使った技。 メガ粒子砲魔力バージョン。
糸状の小鳥:
とある世界では『天使の詩』、または『エンゲルリート』とも。
髪を媒介にして使い魔を作成する魔術。
タイトルを今更変えるのは不愉快ですか?
-
はい
-
いいえ
-
変えたら不具合アリですぞ
-
その他(感想欄orメッセージ)