白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせしました、次話です!


第15話 Smells Like Bad Spirits My Boy!

 ___________

 

 渡辺家 視点

 ___________

 

 時期は梅雨時の6月。

 

 詳しく記すと、6月17日。

 

 だが『原作』とは違い、黒崎真咲は生きているので黒崎家は平常運転。

 違いがあると言えばその日、黒崎クリニックにマイのシフトが入っていた事か?

 

 これは以前の『喋るインコ』事件で傷付いたチャドを見かねて、近くの黒崎クリニックで応急処置を手伝った事から始まり、臨時バイトのナースとしてマイは雇われた。

 

 黒崎真咲も了承していたので一心の他意は無い筈。

 

 恐らく。

 

「あのぅ、制服のサイズが少し…………キツイ気がするんですけど~?」

 

「いえいえ、マイさん! グッドでs────」

 

 「────あなた? 少しお話があるのですけれど?」

 

「あ」

 

 ………………多分。

 

 そんなジメジメとする日の中、一護、ルキア、チエ、そして三月は浦原商店に足を運ばせていた。

 

「らっしゃい────って姉貴達じゃねえか」

 

「い、いらっしゃいお姉ちゃん達」

 

「こんにちはジン太にウルル! 浦原さん、起きている?」

 

 三月に頭を撫でられて嬉しがるウルルと不服そうな(素直じゃない)ジン太の後ろから大きな影が姿を現す。

 

「店長なら今は()()()()()です」

 

 ヌッとお店の奥からテッサイがヒヨコエプロンを着けながらニカッと、明らかに作った(力んだ)笑い顔をする。

 

「テッさん? もうちょっと顔の筋肉を緩くして?」

 

「むぅ、まだ駄目ですか」

 

「後マイは今日バイト入っているから遅く来るかも知れないよ?」

 

「分かりました。 して、本日の用件は()()ですかな?」

 

「流石テッサイ殿だな、話が早い」

 

「恐縮です、チエ殿」

 

 そこに浦原の姿が現れる。

 

「いや~、お待たせしました! 地下の準備、出来たッス!」

 

「お、おい地下で間違いないのか? 今日はお手本を見せるんじゃなかったのか? あの()()って奴の?」

 

「『鬼道』だ、一護」

 

「そう、それ」

 

 この日、前に『一護と手合わせする』と言っていたチエの申し出を最初は反対していた一護だったが、この頃の虚との戦いがあまりにも白兵戦のみという事にルキアは不安を感じていた(あと口にはしなかったが一護本人も感じていた事である)。*1

 

 そこで前にテッサイと夜一に鬼道、歩法、そして白打を教わっていた頃、浦原商店の地下にある訓練場を浦原に使えるかどうかチエが尋ねると────

 

「────大歓迎っす♪」

 

 ────と言った勢いで即オーケーが出た。

 

 と言うのも未だにチエと三月がたまに()()()()()()()()を使うのを観察(分析)するのが今では蒲原の一種の楽しみと化していた。

 

 女性陣が先に地下へと通じる梯子を降りた後から男性陣達が続いた。

 

 最初一護は何故このような順番で梯子を降りるのか分からなかったが、

 

「ハァ? あんたバカァ?」と三月がジト目で言い放ち、

「察せ、この戯け!」とルキアが続いて、

 決め手である浦原の愉快そうな「皆お年頃ッスね~」でやっと気付いた模様で若干赤くなっていた。

 

 そしてただいまだだっ広い訓練場へと立ちながらポカ~ンとする一護とルキア、そしてひょっこりと頭を一護のカバンから出していたコンだった。

 

「アッハッハッハ! そのびっくりしている顔に大満足ですよ僕は! しかしこれだけではないですよ? 見てください、この閉塞感を無くす為の空の風景を表す天然素材から作ったペイントから溢れ出る微弱な回道に────!!!」

 

「────いや、そのような事を────」

 

「────心に潤いを与える為の自然からもぎ取った木々と岩! このボクの配慮の現れが更に────!!!」

 

「────浦原は人の話を無視しながら話を進める奴なのか?」

 

 延々と胸を張りながら自作品を自慢し続ける浦原(発明家)を無視してルキアがチエ達に聞く。

 

「「うん/ああ」」

 

 三月とチエが同時にコクリと頭を頷きながらルキアに即答する。

 

 こんなナリ(駄菓子屋の店長)でもかつてはソウル・ソサエティの開発部のトップを務めていた正真正銘の天才。

 

「ルキア」

 

「何だ、チエ?」

 

「『天才は奇人なり』と言うコトワザを知っているか?」

 

 ちなみに渡辺家とルキアは今ではかなりフランクな名呼び同士になっている。

 

「ああ、成程。 その類(変人)か」

 

「そ。 その類(奇人)よ」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 あれからずっと喋る続ける浦原を無理矢理三月が止めて(今回の止める材料は秘かに浦原が進めていたとある女性(人型の夜一)の入浴場覗き作戦)、一護の体に入ったコンとルキア、浦原と三月が向き合うチエと死神化した一護を見る。

 

 そこでチエは鬼道の基礎を一通り一護に説明していた(ほぼテッサイの受け売りだが)。

 

「へぇー、凄いんだな鬼道って」

 

「さて一護、説明を終えた今の私は鬼道()()()お前に対して攻撃しない。 霊圧の変化などを感じ取れ」

 

「うわ。もう始めるのか、チエ?!」

 

「これでも説明した後なのだが?」

 

「いやそれでもさ────!」

 

「────『縛道の一・塞』」

 

 一護の手足が縛れて、彼はバランスを崩して倒れる。

 

「のわぁ?! ぬぎぎぎぎぎぎぎ!」

 

「『破道の一・衝』」

 

「ゴフ?!」

 

 丁度一護のお腹に衝撃波のようなものが当たる。

 

「ゴホッ! ちょま、まっ────」

 

「────『破道の一・衝』、『破道の一・衝』、『破道の一・衝』、『破道の一・衝』、『破道の一・衝』────」

 

 無表情のままチエの続けるなぶり殺しを 『訓練』を観戦していたコンが青くなっていく。

 

「な、なあ三月さん? あれって飛ばしすぎじゃね?」

 

「何言ってんスか? あれでも緩いッスよ?」

 

 浦原がニカニカと笑いながらコンに答える。

 

「う~ん、コンの言う事も分からなくも無いんだけど、チエは実戦式の手合わせしかしないからね~………もしこれが実戦だったら一護の体に穴が開いているよ?」

 

「うえ゛」

 

 「ふんがぁぁぁぁぁぁぁ!!! こなクソォォォォォ!!!」

 

 一護が体を跳ねさせてチエの鬼道を避けながら力ずくで縛道を破る。

 

「どうだ?!」

 

「『縛道の四・這縄』」

 

「ぐあ?! マジか!」

 

 そこから一護はチエの破道を避けては縛道を破るといった事を10回ほど繰り返してはチエが手を止めて鬼道を解除する。

 

「これで破道と縛道については理解出来たか?」

 

「何時にも増して滅茶苦茶だな、オイ?!」

 

「だが本番(実戦時)よりはマシだろう?」

 

「…………」

 

「虚の中でもこのような術や策を使う()()()()()()()()()()。 その時も踏まえての事だ。 では最後に回道だな」

 

 チエが近づいて一護が気を張るが、彼女の手からは優しい光が彼の体の擦り傷や打撲の痛みが引いていくのを感じた。

 

「す、すげぇな…マジで()()だな、おい」

 

「………ルキアから聞いたかもしれないが、死神は基本的にこのような術を100程知っている。 しかも一つ一つに独自のアレンジなど施せるので多様性もある」

 

「…ありがとう」

 

「ああ。 ちなみに規模は今の小技みたいなモノから…………そうだな、当世での『()()()()()()()()』っぽいモノもあるぞ、『飛竜撃賊震天雷砲(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)』とか…………………見るか?」

 

 「全力で遠慮しておく」

 

「今のは冗談のつもりだったのだが………」

 

「「「「「真顔で冗談を言うな!」」」」」

 

 観戦者&一護が全力でツッコむ。

 

「チエよ、一つ聞きたい」

 

「ん?」

 

「それ等の鬼道、誰に教えられたのだ?」

 

「(ああ、まあうん。 そうなっちゃうね)」

 

「どういう事だルキア?」

 

「一護も感じた様に、鬼道は使い手によっては脅威だ。 故に本来の死神達が統学院で習うのは基本的に6、70番台の物までだ。 それ以上となると、自らの限界を知らずに使って身を滅ぼす者も出て来るからな」

 

 ルキアはチラリと浦原の方を見てから続ける。

 

「つまりそれ以上の鬼道は『師』が無くては習えぬモノばかり。 隊長や副隊長の様な者だ。 チエは()()()()()()()()戦い方を出来るが…………そのような状態で80番台の『飛竜撃賊震天雷砲』を知っている者を私は護廷十三隊で噂も聞いた事が無い。 ()()()()()()()()()()()()私が覚えている限りは」

 

「ルキア?」

 

 一護が険しい顔をするルキアの様子に?マークを出す。

 

「一護。 ソウル・ソサエティに現世への『永久追放』という罪科がある。 それはソウル・ソサエティ全体に害を及ばす()()()()に下される()()だ。 前から怪しいとは思っていたが……浦原、貴様もテッサイもチエ達もそうなのだろう?」

 

「「……………」」

 

 ルキアの問いに対して黙っていた事を彼女は肯定とみなしたのか、言葉を続ける。

 

「とすれば貴様らは犯罪者、またはソウル・ソサエティの()────」

 

「────じゃあ聞くけど、危険だからと言って()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かしら?」

 

 ここで三月の発した言葉に僅かにだが浦原の目がピクリと反応する。

 

「な、何を────」

 

「────或いは、『持ち得る力を仲間の命を救う為に振舞ったのが罪』、とか」

 

「「「……………………」」」

 

 皆それぞれ思う所があったのか、沈黙が辺りを支配していた。

 

 そして数秒後、それが破られる事となる。

 意外な人物に。

 

「ルキア」

 

 一護だった。

 

「ソウル・ソサエティの事だから、俺が言うのもなんだが…………確かにチエ達は変な奴らだよ?」

 

「え、ちょっと待って。 それって(三月)も入っているの? 割と『普通』だとおm────」

 

「────素はかw────『スゲェ』のに、学校や家の外ではわざと徹底的な芝居掛かった見た目と性格している奴のどこが『普通』なんだ?」

 

「う」

 

「まあ、変だけど悪い奴らじゃない」

 

「………何が貴様にそう言わせる? 根拠は?」

 

「俺はソウル・ソサエティの事なんかさっぱり分からねえ。  けど少なくともチエと三月とマイさんの三人の事はそれなりに分かっているつもりだ、三人とはガキの頃からの付き合いだからな」

 

 そこから一護は自分の知っている三人を語り始める。

 

 例えばマイは真咲の様に分け隔てなく皆に優しいし気配り上手だが、どこか抜けていてたまに危なっかしい。

 三月は先程も彼が言ったように『色々とスゲェ奴』のくせにワザと目立たない芝居をするが、いざ周りの人達に助けが必要な時は全力を出す。

 チエはぶっきらぼうでたまに何考えているか分からないが裏表のない、真っ直ぐで誰もが付き合いやすい奴。

 

 等々。

 

 それは聞いている三月が「え? そこまで見ていたの?」的な内容に────

 

「────いやぁ、若いって良いっスねぇ!」

 

「「「「……………」」」」

 

 ニヤニヤと笑みを浮かべる浦原の広げていた扇子には『青春』の二文字。

 

「友の助言に過ちを認め、胸奥にしまっていたモノを告白して相互理解を深める! 正に若さゆえの素晴らしい一場面! それで、次は殴り合いですか? それとも────?」

 

「────新しい隠し場所は一階の廊下の壁と壁の間────」

 

「────ファ?!」

 

 三月がまたも浦原の言葉を遮る。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

『ボハハハハー!!』

 

「ボハハハハー!!」

 

「ボ…………ボハハハ…………」

 

 テレビから出た声にジン太、そしてウルルが続いて反応する。

 

「はて? どこかで聞いたような声。 ボリボリボリボリ」

 

 三月が?マークを出しながらちゃぶ台の上にあった近くの袋からおかきを取って食べる。

 

「ああ! アタシのおかきが?!」

 

 訂正、浦原のであった。

 

「え? でもそうやってちゃぶ台の上に広げていたら皆の分じゃない?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

「ねぇ~ジン太君?」

 

「あ?」

 

 マイがテレビのコマーシャル中にジン太に声をかける。

 

「この、『ドン・観音寺』ってそんなに面白いのかしら?」

 

「マーの姉貴は女だから分からねえんだよ」

 

「で、でもジン太君。 私────」

 

「────ウルルはノーカン! とにかくカッコいいんだよ! 『スメルズ ライク バッドスピリッツ』ってな!」

 

 マイと三月の両方が全力で英語の発音に関してツッコみたい気持ちをグッと堪える。

 

『ドン・観音寺(かんおんじ)』、本名を『観音寺美幸雄(みさお)』という暴力的にまで個性的な芸能人で霊能力者。

 

「ぶらり霊場、突撃の旅」という視聴率25%を超えてそれをキープする超人気テレビ番組で『除霊』を行う、ある一種のスターで性別や歳に関係ない人気者。

 

「テッさん?」

 

「ハイ、なんでしょう三月殿?」

 

「私の見間違いじゃなければあの人────」

 

「────ええ、地区担当の死神の苦労が目に浮かびます」

 

 そこでテッサイはニカッと笑いながらサムズアップをする。

 

「(怖っ?! 普通に怖い?!) な、何でサムズアップ?」

 

「ん? チエ殿の真似────」

 

「────帰ったら彼女と話をするわ」

 

 テレビのテロップには次回の生放送は空座町の廃病院がロケになる事が示される。

 

Oh(オウ) noooooooooooo(ノー!)!!!」

 

「アッハッハッハ! ご愁傷さまです!」

 

 明らかに嫌な顔をする三月に浦原がケラケラと笑う。

 ちなみに広げた扇子には『残念賞』の文字が書かれてあった。

 

 そして数日後、空座町担当の死神(達?)が苦労する事となるのを知らずに空座高校は祭り騒ぎ状態だった。

 

 少なくとも一護のクラスはだが。

 

「ボハハハハー!!」

 

「…………」

 

「三月ちゃんも観た?!」

 

「(無視していたのに何で話を続けるの?!)うん。観た」

 

「反応薄いぞ!  ボハハハハー!!」

 

「ごめんね三月? 織姫も悪気はないんだと思う」

 

 竜貴の手によって三月から引き剥がされた織姫はめげずに話す。

 

「ほら、竜貴ちゃんと三月ちゃんも一緒に!  ボハハハハー!!」

 

「アタシはそういうの興味ないから」

 

「左と同じく」

 

 そして一護の隣で────

 

「────ボハハハハー」

 

「ボハハハハー!!」

 

 棒読みのチエとルキアがいた。

 

「お前達………それ、楽しいか?」

 

「さぁ?」

 

「ノリが悪いぞ、チエ! 悪くないだろう?!」

 

「おお! 朽木さんもチエちゃんに分からせるとはやりますなー!」

 

 チエを見事巻き込んだのが意外だったのか織姫の言葉にクラスのドン・観音寺ファンが群がる。

 

「でかした朽木さん! それでチエさんも生放送いくの?」

 

「分からん。 その日は少し用事があってな」

 

 啓吾の顔が少し落ち込む。

 

 そして少し後にドン・観音寺に『一番弟子』呼ばわりを盛大に渡辺家にお邪魔して愚痴る一護の姿があった。

 

 なお、アパートだが住み込んだ際に()()手を加えて壁、床、天井の防音機能は上昇していたので近所迷惑になる事は無かった。

 

「よしよし、一護君も頑張ったわね~」

 

「マ、マ、マイさんッ?!」

 

「一護テメェこの野郎! 俺と変わりやがれ!」

 

 マイが天然で一護を子ども扱いして頭をギュ~っとするのを見たコンが怒った。

 

 「……………ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 突然三月が料理中に素っ頓狂な声を上げ、皆の視線を浴びる。

 

「あ、ごめん。 その、買い出しの買い忘れを思い出して。 ア、アハハハハ~。(そうだよ! ドン・観音寺の声ってばそのまま『桑原〇真』じゃん?! …………エセ英語使うから全然結びつかなかったわ~)」

 

 そしてその夜『微笑みの爆弾』を入浴中、鼻歌で懐かしみながら歌う三月だったが────

 

「────待てよ? 確かあの世界でも霊力って────」

 

 尚三月がお風呂でのぼせるまで凡そ1920秒。

 

 そして心配したマイがバスルームのドアを蝶番ごと取り除くまで2082秒であった。

*1
第13話より




作者:防音あってよかったね!

マイ:そうですね~

三月:これを修理するこっちの身になってみてよ?!

チエ:のぼせるお前が悪い

作者:なおただいまもう一度読み直し中ですが誤字以外変わらない筈……………です。
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