白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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お待たせいたしました、上手く内容と描写が伝わるかどうか不安ですが次話です。

………………(汗

いつもお読み頂き誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


第175話 (前提条件ありの)『対等』

 ___________

 

 ??? 視点

 ___________

 

「『虚に襲われて死ぬ運命』だった筈の黒崎真咲が『生き残った』。 これは今まで繰り返されてきた物語に書き残されていない前例だった。 つまり、今までは一つの線路(レール)を辿ることしか出来なかった列車(物語)が脱線できると分かった私は、思わず歓喜に度々発狂しそうだった。 実際、震えだして笑いを口に出したこともあった。 何せ今までは『仕方がない』、『変えることは不可能』と思い知らされてきたことが『変えることが可能な事実』として証明されたのだ、共感できないだろうか?」

 

 藍染は未だに目からハイライトが消えたまま沈黙化した三月を見る。

 

「更にそこで彼女はいい実験台(サンプル)となった。 彼女は『母上(三号)』と同等、あるいは脅かす存在だと目星をつけるのはさほど難しくなかった。 

 何せ、それを斬魄刀経由で私に語ったのは他でもない『母上(三号)』が訴えて来たからね……およそ()()()()()()()()*1。」

 

『二千年前。』

 つまりはチエが初めて尸魂界に現れ、山本元柳斎と右之助と会ったころ。*2

 

「そこから私は書き残された物語(BLEACH)内での行動を沿い、物語が変わりすぎてしまったことをなるべく『母上(三号)』に悟られないよう慎重に慎重を重ねて調整しながら『来るべきタイミング』に、『絶対に偽りの物語(BLEACH)を延々と繰り返させる黒幕(三号)()せる』よう、様々な試行錯誤を(おこな)った。

 ロイド・ロイドを影武者に仕立て、ユーハバッハを失くした滅却師達の再利用、物語が変わって『母上』が覚醒し始めた為に順序(イベント)の前倒し。

 後に『母上(三号)』に有効打を打つため、『三月』とやらが様々な形での『不運』にあったのはそれが理由、実験の過程だった。

『三月』とやらがやたら(藍染)を警戒していたことで彼女の行動範囲は読みやすく、把握しやすく、結果的に私の助けとなった。

 流石に『井上昊を生かそうとした』のは焦ったよ? 

 何せ『黒崎真咲』の場合、結果的に黒崎一護に『周りの者たちを護る』という思想は生まれたが、『井上昊』は後にアシッドワイヤー()となり井上織姫を襲い、彼女の中に眠っていた力の覚醒と方向性を決め付ける要因で替えは効かない。

 だからこそ彼の精神を不安な状態に陥れ、軽トラックの運転手に幻覚を見せて歩道と道を入れ替えて事故を意図的に起こすしかなかった。*3

 結果的に、『三月』が罪悪感からか井上昊と井上織姫を引き合わせることができるように、流魂街の巡回に手を入れて、井上昊の保護に手を回したりして。

 このように、彼女(三月)が起こそうとした変化を取り入れながら『BLEACH(原作)』の流れに調整をその都度、施した。

 彼女……いや、彼女たちが必死になり、自分たちなりに変化を最小限に抑えようとしたのも助かった。」

 

「あー、それで時々(わろ)てたんですね?*4

 

「ああ。 あの時は内心、冷や冷やしたよ市丸。 何せ私の行動は四六時中警戒されていたからね。 君や瀞霊廷、三月たち然り。」

 

 市丸は藍染の視線を真っ向から受け、半笑いを浮かべる。

 

「さて……崩玉がどう『死神と虚の闘争』を終わせるか伝える前に、今度は滅却師の話をしよう。」

 

 藍染はさっきから黙っ(呆け)て聞いていたハッシュヴァルトたちを見る。

 

「先ほどの『終わりのないイタチごっこ』自体、完全な永久機関と『形』としては整っていた。 

 だが『物語(BLEACH)』通りにある日、『突然変異体』が人間の間に生まれてくることとなる。 それら『突然変異体』は生身のまま、大気に漂う霊子を使うことが出来るだけでなく、霊体に直接関与できる攻撃方法まで編み出してしまった挙句、『終わりのないイタチごっこ』の原因である魂魄を()()()()()()()()()()()()()。」

 

「それは……まさか────?」

「────そうだ、石田雨竜。 滅却師のことだ。

『滅却師』とは、『完璧に物語(BLEACH)を再現した箱庭(偽りの世界)の存続』にとって、唯一の脅威(バグ)だ。 

 特に誰もが不自然に思わないほどの霊子を長い(とき)の中で吸収しなければ『箱庭』を再現できない『母上(三号)』にとってはね。 

 その証拠に、『今回のユーハバッハ(最大のバグ)』が早く退場するきっかけを私に作れと命じて、彼女(チエ)たちを誘導した。*5

 だが滅却師たちが虚を邪険にしていた理由(虚の毒)も、先ほど渡した崩玉があれば感染者から毒を取り除けることができる。

 その上、虚の『空腹感』や『虚無感』を取り除けば彼らは自己的に人間や魂魄を襲わない。 『理由が無い』からだ……ホワイトなどのように強者に命令されることや、『弱肉強食からくる生存競争に敗北しなければ』、だが。」

 

 ここで、藍染は長い語りに休憩を挟むかのように大きく息を吸ってから吐き出す。

 或いは、彼は時間を与えたかったのかもしれない。

 

 大量の情報を処理しようと容量オーバーになったのか目をグルグルと回している者たちに。

 

 だがその間もせいぜいが数秒間ほど続いただけだった。

 

「────。」

 

 藍染が『昔話』を中断すると、いまだに胸を刀で貫かれた上に抉られたまま地面に横たわる『三号』がパクパクと口を動かす。

 

「……さすがに丈夫だ。 到底、『生物』ではたどり着けない生命力。 前の世界から、死者の魂を表現させて使役するだけのことはある。」

 

 ザンッ!

 

「いや、『あった』というべきか? これで、本当に『夢の終わり』だよ『母上』。」

 

 藍染は『三号』が口にしたことt晴らし着物を言いながら刀で『三号』の首をはねた。

 

「…………………………死神と虚の闘争(使命)。 滅却師と虚の闘争(因縁)。 そして、『繰り返される世界(一本道の線路)』と言う、役割(ロール)を全うせざるを得ない闘争の世界(箱庭)

 それら全てからの解放、『線路(レール)からの脱線(脱出)』がついに今、成就された。 されたのだが……」

 

 藍染はチエをジッと見降ろす。

 

「今までの例外や事変などの中でも、『離反者の居た隊の隊長代理』が起きたことは一度もなく、それがどうしても腑に落ちないのだよ。 特例であっても、特に部外者同然の者……特に、その者のおかげで五番隊が思っていた以上に戦力が増加されていたとなればなおさらだ……そういえば護廷十三隊の隊長になる条件を、君は知っているかい?」

 

「………………いや?」

 

「だろうね。 隊長になるためには主に三つの方法がある。

『隊首試験に合格する。』 これが一般的な方法だが空きがなければ試験は無い。

『複数の隊長からの推薦を受け、総隊長と減隊長二人以上との面接に合格すること。』 これも空き、もしくはあくことが知っていなければ無理なことだ。

 最後は、最も簡単で困難な手段で更木剣八がとった方法────

 

 

 

 

 

 

 ────『隊員200人以上の立会いのもとに、現隊長を一対一の対決で殺す』。」

 

「……………………それは────」

 

 そう口にしたのは一護。

 だが彼が口を開けたこと藍染は気にしなかったように山本元柳斎たちを見渡す。

 

「────ここに200人の隊員がいるかどうかはともかく、観戦者としての数は足りている。 そして私自身、市丸や東仙要のように四十六室から直接隊長の座を剥奪されてはいない。 ここまで話せば、君ならもうわかるだろう?」

 

「そうだな。」

 

 チエはそっと一護の手を自分からどかし、立ち上がると藍染が持っていた彼女の刀を構える。

 

「重国。 井上や茶渡に石田とロバたち。 手を出すな、死ぬぞ。」

 

「え────」

「────借りるぞ、一護。 あと、離れていろ。」

 

 そう言いながらチエは彼の手に握られた刀をとり、それを構える。

 

「どうやら、奴は二人きりの勝負をご所望だ。」

 

「この場合、『手合わせ願いたい』とでも私は言うべきかな?」

 

「言葉にせずとも、お前がこれを望んでいたことは分かる。」

 

「そうだ。 種の闘争に終止符を打つ準備も出来、世界は新たな(レール)を辿る……辿るが、私個人での『闘争』はまだだ。 総隊長、山本元柳斎重國が書物に書かれているより強かった理由、直に見せてもらおうか。」

 

 さっき、この辺りが戦場だった時よりさらに緊張感が漂う。

 

 特に切羽詰まったその空気に当てられた近くの者たちの額や体中から汗が噴き出るほど。

 

 一護の頬を伝った汗が顎から離れる。

 

 フッ。

 

 その瞬間、藍染が動くと落ちていく汗の動きが止まったかのように辺りはスロ-モーションになる。

 

 藍染が突き出した平手打ちの刀を、チエは紙一重で峰のほうへと避けると藍染はそれを予想していたかのように即座に肘打ちを繰り出す。

 

 チエはしゃがみ込むながら、ゼロ距離の藍染に足払いを食らわせようとすると彼は既にターンをしながら距離を取り、刀を構え直していた。

 

 ピチョン。

 

 ここで一護の顎から落ちた汗が地面に落ちた。

 時間にして一秒未満。

 

「なるほど。」

 

 不意に、藍染めが口を開ける。

 

「君も()()()()()()か────」

「────ぬん! (『弐ノ型・極点────』!)」

 

 藍染の言葉を遮るように、今度はチエが刀を突きだすと藍染は敢えて刃のある方向によけるような動きをする。

 

「(────からの、『壱ノ型・龍閃』!)」

 

 彼女の刃は薙ぎ払うかのように、片手になりながらも藍染をそのまま追跡する。

 

 ギィン

 

 彼女と藍染の刀がぶつかり響きあい、背景に鈴が鳴るような音が続くこと数分。

 

 藍染とチエはありとあらゆる斬撃を互いに受け流し、互いに繰り出すも均衡状態は続いていた。

 

「「…………………………………………」」

 

 やがて再び間を開けながら、二人は構えをして互いをじっと見る。

 

 整えられてオールバックに流された髪の毛と、おおざっぱにまとめられたポニーテイルスタール。

 

 同じ刀に白い死覇装と黒い死覇装。

 

 その二人が次に出た行動は同じ。

 

 ヒュ!

 ギィィィィィィン

 ドパァン!

 

 ()()()()()()が宙でぶつかり合い、回転する中で二人の繰り出された拳が衝突して弾かれる。

 

 どうやら、さっきのやり取りだけで漸術での戦いでは千日手と悟ったのか、白打へと移行した。

 

「フッ!」

 

 同じ構えから同じ拳がぶつかったが、チエと藍染では決定的な違いがあった。

 

 186㎝、76㎏の彼に対してチエは160㎝、42㎏。

 

 若干体重が低いチエは腕が弾かれて体が回転することで生まれた遠心力を逆手に取り、開回転蹴りを繰り出す。

 

 すると藍染はがっしりと彼女の足を腕で受け止め、するりと胴体の近くまで近付かせてから肘打ちと膝蹴りで彼女の膝を折ろうと試みる。

 

 ドシッ!

 

 チエはつま先を力ませて足の位置をズラすと藍染の肘と膝が鈍い音を出す。

 

 二人はよろけながらも白打の構えをし、チエが掌打を藍染の胸めがけて突き出すと藍染は腕を掴んで彼女を地面へと転がせるモーションのまま、彼女の胸へと拳を振り落とす。

 

 ドッ!

 

 チエが肘打ちを地面にしてそれを回避すると、地面から重い音が発し、藍染は地面にめり込んだ拳を出す。

 

 土に出来たヒビの数が少ないそれはいかにどれだけ鋭く、重い一撃だったかを語る。

 

「グッ!」

 

 これに負けじとチエはパンチを藍染の顔へと繰り出し、彼が彼女の腕を捻るように腕を使うと、チエの『裏拳』ならず『裏肘』が彼の顔に当たり、二人は構えをしないしてからじりじりと動き、対峙する。

 

 ガッ!

 

「「ガッ!」」

 

 今度は体重差にモノを言わせようとしたのか、藍染が取っ組み合いをするようにチエの両肩を掴むとチエが彼のお腹に膝蹴りを入れて『くの字』に折れた藍染の体を仰向けに回転させて寝かすように動くと、藍染はその体勢からチエの肩と頭に蹴りを入れて怯ませ、m立ち上がる。

 

「……フ。」

 

「ッ!」

 

 藍染がニヤリとしてからチエに急接近すると今度は大振りの、力のこもったフックを右、左、右と休みなく繰り出す。

 

 体重で劣るチエは避けようにも最初の拳を受け止めた時点から嵐のように、ひっきりなしに来る拳を余儀なくガードして受け止めていく。

 

「ッ?!」

 

 だが思わず右と左からくる打撃をガードする為に上げた両腕を掻い潜るかのように藍染めの重いアッパーが彼女のお腹に直撃────

 

「ブァ?!」

 

 ────する前に何とかそれも防ごうとしたにも関わらず、藍染の重い右アッパーの一発はそのガードの上からチエに当たってしまう。

 

 威力は減少していたが、それでも彼女に声を出させるには十分で、今度は左手でチエの頬を殴り、チエは首を回転してこの打撃の威力の減少も試みるが、さっき無理やり息を吐きだされて酸素が行き渡っていないまま頭部に受けたダメージは実際の衝撃より大きい効果を発揮していた。

 

 彼女の視界はブレ、目の焦点は合わない隙に藍染は二発目、三発目とよろけそうになるチエのアバラを殴っていく。

 

 チエが後ろへと倒れそうになったのを見た藍染はダメ押しに彼女の顔を殴ろうとするが、チエはそれを流すだけどころか力を入れて藍染の大振りの勢いが彼の予想以上になったことで彼は背中をチエに見せてしまう。

 

 ガッ!

 

 だがさっきまで視界が定まらなかったチエがこの好機に便乗するには一足遅く、彼女は逆に彼の腕を自分の腕に絡ませて彼の肩に打撃を入れ始め、脱骨を図る。

 

 ドッ! ドッ! ドッ!

 

 とは言え、身長差もあるので彼女の繰り出す打撃の衝撃では上手く行かず、藍染の肘打ちをチエは受けてしまう。

 

 ガッ! 

 

 脱骨は無理と悟ったチエが今度は藍染の頭部に肘打ちを繰り出す、無理やり距離を開けさせてから右キックを繰り出し、藍染はそれを防いだ勢いを逆に利用して両足をしっかりと地面につけたチエがパンチを繰り出す。

 

 藍染の大振りより、コンパクトで彼より華奢な腕はガードの間を狙ったそれは彼の顔へと直撃し始めると、チエが大振りな右ストレートを試しに突き出すとそれも直撃する。

 

 それを見た彼女は右ストレートの勢いを再利用して身体の回転がついた左手の裏拳で藍染の顔を殴る。

 

「グァ?!」

 

「ヌァァァァァ!!!」

 

 チエの猛攻はそこで止まらず、回転と勢いをさらに利用した蹴りを続けた。

 

 頭部へのハイキックを藍染は防ぐが、それはフェイントだったらしく思ったより衝撃が少なかった。

 

 チエはすぐさま同じ足で彼の腰を蹴り、よろける彼を逆回転蹴りで今度の打撃は見事彼の顔に当たる。

 

 さっきの続きと言わんばかりにチエはまたも回転蹴りを藍染のお腹に直撃させて今までより一際大きい距離が二人の間に空く。

 

「「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」」

 

 息を切らしたのか、あるいは今までの衝撃に備えるために直撃の瞬間、筋肉を力んで息を止めていたための息継ぎをするかのような、荒い息遣いを二人はする。

 

 先ほど刀を互いに投げてここまで一分足らず。

 

 カシャン。

 

「「ん?」」

 

 二人が立ち上がるために足を動かすと二人の足は同時に先ほど投げて弾かれた刀に当たる。

 

 チエと藍染、二人は横目でそれを見てから互いを見ると同時に刀を手にして────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────ガシャン!

 

 それをさらに遠くへと投げ捨てていた。

 

「「……フ。」」

 

 これを見ては不意に、二人は笑いのような音を同時に出す。

 

「「フ……フフ………フフフフ………フハハハハハ!」」

 

『笑いのような音』から次第に『笑い』へと進化したそれはチエと藍染の二人から出ていた。

 

「(そうだ! これだ! これを待っていた!)」

「(その通りだ! 武器や能力に頼るのは野暮! そしてこの痛み!)」

「「(()()()()!)」」

「(もっとだ! もっと痛みを私にくれ! もっと! もっとだ!)」

「「(私に思い出させる! この実感! ()()()()()()()()!!!)」」

 

「「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」」

 

 狂ったような笑いをチエと藍染は出し、二人は構えをとる。

 

 藍染は正式な死神ならば見知った白打を。

 

 チエは、彼女の故郷独特の構えを。

 

 一人は圧倒的な強さを生まれ持ちながら、『普通の死神』としての生を夢にまで見た。

 

 もう一人は望まぬ強さを身に付けながら、『普通の人生』を。

 

 そんな二人は今この時この瞬間、見つかる筈のない『()()()()()』を前に胸が熱くなっていた。

*1
1話、2話より

*2
1話、2話より

*3
10話より

*4
58話など

*5
41、42話より




リアル忙しすぎて短くて申し訳ございません…… (汗

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