白と黒の世界は夢を見る   作:haru970

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第16話 「兄」と呼ばれたメガネ

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 三月 視点

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 場は変わり、夜の空座町で言い合う一護とルキアの姿に近づく人影が挨拶をするところから始まる。

 

「こんばんは、黒崎君に朽木さん」

 

「だ、誰だお前? 何で、俺等の名前────?」

 

「────君は霊が見えるんだよね?」

 

「「なッ?!」」

 

 少年の────『石田雨竜』の言葉に動揺する一護とルキア。

 

 この三人の姿とやり取りを見ていた第三者がいた。

 

 またも姿()()()()()()()()()()()()()

 

「(『石田雨竜』………か)」

 

 三月は近くの電柱柱の上から、石田雨竜が夜の空座町を彷徨っている一護達接触しているのを見ながら彼と初めて出会った日を思い出していた。

 

 

 

 場所と時はもう一度一転し、空座高校に入学して間もない頃へと戻る。

 

「渡辺三月ちゃんだよね?! 私、井上織姫! よろしくねー!」

 

 突然急接近して来て、満面の笑顔になりながら大人しく読書をしていた三月に自己紹介をして来た織姫を三月は見上げながら戸惑っていた。

 

「……………??? (え? 『井上織姫』? な、なんで? い、いやここは取り敢えず挨拶を返し────)────あれ? 私の名前────?」

 

「────わりぃ三月、織姫に伝えたらこの子すぐすっ飛んで行ったからさ」

 

 織姫の後を追った様に竜貴が続く。

 

「……えっと────?」

 

「────あのさ、あのさ! 三月ちゃんはさ、手が器用なんだって?!」

 

「え? なんで────」

 

「前に暖房器具直していたって竜貴ちゃんが言ってたんだ! 凄いね~!」

 

「………………………………………………………」

 

「ア、アハハハハ」

 

 三月がジト目で竜貴を見て、彼女は目を逸らしながら乾いた笑いを出す。

 

 実はと言うと、前回一護がルキアに説明していたように三月は『スゲェ奴』で、学校内や近所で壊れた小物や機械類で困っていた人を見ては直す事などをしていた。

 

 昔からよく一護と共にチエを道場に誘ったり、渡辺家とつるんでいたからこそ外では『地味な子』演出する三月にこのような特技があるのを竜貴も知っていたが………

 

 まさか高校生活が始まって数日以内に何故か三月をジーっと見ていた織姫が彼女の名を竜貴に聞いて上記の状況になるとは思わなかった。

 

「ねえ竜貴ちゃん? あの子、誰か知っている?」

 

「ん? ああ、あの子? 渡辺だよ」

 

「竜貴ちゃんは知っているの? あれ? 渡辺って…渡辺チエと────?」

 

「うん、姉妹なんだあの二人。 あっちの金髪は渡辺三月で、ちょっと地味っぽいけど実は凄い奴なんだ。 こう、『能ある鷹は爪を隠す』的な?」

 

「へー、そうなんだ」

 

「そうだよ? 子供の頃からの付き合いだけど、アイツ色々知っている上に()()()()()で────って織姫?!」

 

 これが一連の出来事で、織姫は即机から立ち上がってはピューッと三月の居る所に行っては猛烈(?) な自己紹介をしていた。

 

「へー…………()()、後で話があるからヨロ~♡」

 

「い゛?!」

 

 実にニッコリとした、良い笑顔で()()()()()三月に竜貴は青くなる。

 

 が、織姫はそんなことをお構いなしに────

 

「────三月ちゃんってさ、手芸部に興味ないかな?!」

 

「えっと、わt────」

 

「────今日の午後丁度部活の日なんだ! 一緒に行かない?!」

 

「だk────」

 

「────じゃあ決まりね! ♪~」

 

 そして愉快な笑顔で鼻歌を歌っていた織姫は嵐の様に突然来ては去った。

 

 困惑した三月を置いていきながら。

 

「……………………………………………………………()()()()?」

 

 どうやら無視されて人の話を聞かないといった行為の『受ける側』は慣れていなかった模様の三月であった。

 

 

 その日の午後、離脱逃走撤退……すぐに帰ろうとした三月の手首をがっしりと織姫に掴み取られ、彼女に連行 物理的に引っ張られていった。

 

「石田k────じゃなくて、『部長』~~! 新入部員連れて来ました~~~!」

 

「お、お、織姫さん? 私はまだ────」

 

 二人が入っていった手芸部の中には眼鏡を掛けた黒髪の少年が一人刺繍をしていた。

 

 困惑&困っていた三月が抗議を上げ始めるが、新たに聞こえて来た少年の声にピタリとやめる。

 

「────あれ? 井上さん? こんなに早く来るとは珍しいですね、それに僕を『部長』呼ばわりs────」

 

 「────()()()()()?」

 

「「え?」」

 

 この発言に少年と織姫が同時に声の持ち主を見る。

 

 それは今どきの年齢に反して珍しい言い方からなどではなく、純粋に声のトーンからだった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………………ハッ?! ムグッ」

 

 今更自分が何を言ったのを気付いたのか、三月はハッとしながら両手で口を塞ぎながら次第に耳までカァ~ッと真っ赤になっていく。

 

 「(えええぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?! 嘘やろぉぉぉぉぉぉ?! ナ、ナ、ナンデ? 何でよりにもよって石田雨竜(ムッツリ眼鏡)()()()()の声なのよぉぉぉぉぉ?!)」

 

 三月はとても何時もの調子や余裕など既に無かったどころか内心パニックにさっそく陥っていた。

 

「どういうこっちゃ」や「どないしよ」や「何やねんこれぇぇぇぇ?!」や「えらいこっちゃ」と言うような内心状態である。

 

「あれ? 君は確か、同じクラスの────」

 

「────渡辺三月です、部長!」

 

 織姫の(物凄く)元気のいい紹介に一瞬たじろぐ少年────石田雨竜。

 

「あ、ああ。 ありがとう井上さん。 僕は石田雨竜────あれ、大丈夫ですか?」

 

 雨竜がさらに赤くなっていく三月の安否を案じているのか、地面へと俯いた彼女の顔を下から覗き込む。

 

「ひぅ?! はにゃぁwせdrft~~~」

 

 変なテンションになっていた上に緊張感マックスだった三月にこの最後の行為がダメ押しだったようで、彼女は目をグルグルと回し、意味不明な声を出しながらその場で倒れた。

 

「「渡辺さん?!/三月ちゃん?!」」

 

 その日気を失った三月の看病で手芸部どころでは無くなかった。

 

 尚、三月の「クドクド説教」を覚悟していた竜貴は彼女の姿が見えなかった事にホッとしながらやっと空手の手合わせ試合に本腰を入れられるようになって相手を瞬殺した。

 

 そして保健室にて気が付いた三月に雨竜が謝り、織姫の表情は何時もの笑顔ではなく複雑だった。

 

()()()()()』。

 

 三月が確かに()()()()でそう言った事に何か思っていたみたいで、次の日から何かと三月を手芸部に誘って(連行して)は絡んでくる事となった。

 

 ちなみに雨竜を『()()()()()』呼ばわりしたのを知っているのは雨竜本人、その場にいた織姫、そして竜貴だけだった。

 

 何故竜貴も知っているかと言うと、織姫が三月の『お兄ちゃん』呼びの事を竜貴に尋ねてみたのだが、竜貴にも渡辺姉妹に『兄』がいる事は初耳みたいでビックリしていた。

 

 もしこれが子供の頃ならかつての一護みたいに躊躇なく直接本人に訊いていただろうが、もう高校生にもなる年頃で『空気が読める』事が出来、三月本人がその話題に触れない事から『何かの事情がある』と察した三人達(雨竜、織姫、竜貴)だったので詳しい事は分からず終い。

 

 最初は部活に気乗りではなかった三月だが、他の部員の針と糸の使い方や素材の選び方が雑だったのが気になり、口を挟んでいく内に手芸部に馴染んでいった。

 

 ただやはりは雨竜と目が合わせにくく、彼が周りにいると赤くなりながら未だに緊張して言動がギクシャクとしていた。

 

 これを聞いて、実際に見学に来た竜貴の開口一番は────

 

「────ま、まさか………これが噂に聞く『惚の字』?!」

 

 これが以前に記入した三月と『石田雨竜』の面識である。*1

 

 

 

 そして余談ではあるが期末テストの結果は()()『原作』通りであった。

 女子の方で織姫は堂々の3位。

 チエは26位で三月は25位。

 

 男子では石田雨竜が1位、チャドが11位、そして一護が2()7()()だった。

『原作』よりも成績が低くなった一護。

 その原因は────

 

「(────これって多分、私達の所為よね~)」

 

()()』なら黒崎真咲は死んでいて、グレては徘徊する街のチンピラや不良、果ては学校の先生にまでオレンジ色の頭で絡まれる一護は一時期家に籠っては勉強に没頭していた。

 

 だが黒崎真咲は生きているどころか、『()()』無かった()()()()()()()()にも時間を割いていたので勉強する時間が少なくなっていたので成績は落ちていた。

 

「シッ!」

 

 雨竜が霊子兵装(れいしへいそう)の弓矢を構えては矢を放ち、遠くの虚を撃墜する様子に三月の意識は記憶の中から現在へと戻る。

 

「(おっとっと、もう少しで見落とす所だったよ…………よし、『()()』完了)」

 

「僕は石田雨竜。 滅却師。 そして僕は死神を……………君を、『黒崎一護』を憎む」

 

「(お兄────じゃなくて、石田さん…………………)」

 

 三月は憎しみの籠った視線を送る雨竜を見て、彼が何故これだけ一護を…………と言うよりは『死神』に憎悪を感じていたのか『()()()()』として理解はしていた。

 

 以前に記したとおり、石田雨竜は黒崎真咲と同じ数少ない『滅却師』。

 

 そして彼の師であると同時に祖父の石田宗弦(そうけん)がその昔大量の虚に襲われ、死神達に救助要請を出したにもかかわらず、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 しかもこれらは必死に気配と自信の霊力を消していた雨竜は事の一部始終を子供の頃に実際に見ていた。

 

 そんな幼くも賢明な彼にこの出来事はあまりにもショックで、一種のトラウマ(呪い)になりかけていた程。

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 翌日の日、手芸部での雨竜はそんなそぶりは見せずにただ読書をしていた。

 

 と言うよりはチラチラと目線を時たま別の部員達と話す三月を見ていた。

 単純に気になっていたからだ。

 

 彼は滅却師でも霊圧の探知に長けていて、一護が()()()()()から死神へと変化した事も霊圧の違いによって分かっていた。

 

 そんな彼が何故三月に注目していたかと言うと、初めて会った時()()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 

この世界(BLEACH)』ではどんな存在でも微弱ながらに霊圧を持っている。

 それは小さな虫でさえも例外ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()の物が()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 今でこそ彼女から霊圧は周りの人達と大差ない程が漏れ出していたが、意識を失って逆に霊圧が無くなる事は雨竜にとって今までになかった前例だったので、気になってはいた。

 

「(何で雨竜(眼鏡)はこっちを見ているのよ~~~~?!)」

 

 このチラ見に気付かない筈の三月は必死に『普通』を演じながら内心ハラハラしていて、逆にドアから覗き込む一護と織姫に気付かなかった。

 

 ___________

 

 チエ 視点

 ___________

 

 チエはその日浦原商店の店番をウルルとジン太でしていて、奥では浦原とテッサイがルキアに『滅却師』の事を説明していた。

 

「────彼ら滅却師は死神と違い、徹底的に虚を殺す事に拘った。 至極、『人間的』な判断でしてね。 虚は人間の魂を喰らい、仲間や身内を傷つけた。 そんな奴らを『なんで安らかにソウル・ソサエティなんぞに送ってやらにゃならんのか?』と彼らにしてみりゃ当然な思い。 だから彼ら『滅却師』は頑なに虚を徹底的に殺そうとした。 『同胞の仇を討つ』という信念を持ってね?」

 

「………………」

 

「だけどその信念ゆえに彼らは滅ぶ事になったんス」

 

 浦原が説明を続けてチエが聞き耳を時々立たせていたが、彼女は突然箒を落として鼻を両手で押さえ、俯く。

 

「チ、チーの姉貴?!」

 

「チー姉ちゃん?!」

 

 これを見たジン太とウルルが佇むチエの様子に心配する声を出す。

 

「く、()()! 鼻がもげるッッッ?! (何だ?! 何なのだ、この()()は?!)」

 

 その後ろではルキアの伝令神機が虚探知の音を出しては反応が消えてはまた鳴り出していたりと忙しく、彼女は様子のおかしい空座町へと駆け出して行った。

 

「何だこれは、一体何が────?!」

 

『チーちゃん聞こえる?!』

『くぁwせdrftgyふじこlp』

 

 三月の声が頭の中で響いていたが、今のチエに答える余裕はなかった。

 

 読者達にも分かりやすく記入すると、今の彼女の鼻を襲っていた匂いは長らく洗濯していないお年寄りの靴下をスポンジ代わりに便器を拭いた布をマスク代わりに顔に着けているようなものである(合掌)。

 

「さて…ウルルにジン太、戦闘準備を。 テッサイさんも。 皆さん、出陣です」

 

 浦原が立ち上がって、何時もの調子ではなく、真剣な表情を浮かべていた。

 

 

 ___________

 

 三月 視点

 ___________

 

『チーちゃん、返事はしなくても良いから()()()()()()()()! 絶対に()()()空座高校と公園に行っちゃ駄目よ!』

 

 三月は身を浦原特製の霊圧遮断外套のフード付きローブを身に纏いながら忙しく()()()()()()()を引いて一護と雨竜の射程距離外の虚を攻撃しながら念話を飛ばしていた。

 

『マイ! 黒崎家はどういう状況?!』

『今のところ大丈夫よ! でも、夏梨がまだ帰って来なくて────!』

『────何ですって?!』

 

 三月は一瞬焦って夏梨の霊圧を探る。

 

「…………これは…チャド? そういえばそんな場面も────」

 

 僅かにだがチャドが虚から逃げて公園で夏梨と会って、彼女を守ろうとした事で能力を開花した場面を思い出す。

 

「■■■■■!」

 

「────ええい、鬱陶しい!」

 

 新たに表れる虚の咆哮に三月はイライラしながら矢を乱れ射る。

 

 何故今回はドン・観音寺や以前の出来事の様に三月は観戦していないかと言うと範囲の問題で、『有り得るかも知れない被害』を抑える為だった。

 

 確かに(プラス)や人が犠牲になる描写はマンガなどには無いが、石田雨竜の撒き餌は()()空座町と言う『特殊な地域』と共鳴して雨竜本人の予想をはるかに超えた数の虚が()()()()()()()()()()()()()

 

「何が『虚は僕が全部倒す』よ! あんのムッツリ眼鏡、義兄さんの声で良く────ッ?!」

 

 突然空座町内で爆発的に増大した霊圧に三月はびっくりする。

 

 だがその霊圧の元がチャドと織姫の二人と分かり、顔が緩む。

 

「(よし、『原作』通りね。 第一関門クリア!)」

 

 本当なら裏方仕事のように動きたくはないが、直接介入して身の回りの皆になるべく怪我を負わないように事を進めたかったが、そのせいで以前の織姫の兄の様に『世界の修正力』が働けば今後の出来事がどう変わるか計り知れない。

 

 とはいえ、チャドを追う虚を最初の一体の『バルバスG』だけに限定して彼ら(チャドと夏梨)に気付いた他の虚を撃墜したり、織姫達がいる空座高校は原作通りで直接の殺傷能力が平均的に低い『ナムシャンデリア』のみに対して()()()()()()()、誘導したりと忙しかった。

 

 それも彼女がイライラする理由の一つ。

 

 だが最大のイラつきの理由は────

 

あああ、もう! あのムッツリ眼鏡ぇぇぇぇぇぇ!!!!!

 

 ────別にあった。

 

 

 ___________

 

 チエ 視点

 ___________

 

「……………………」

 

 「なあ井上、チエってこんなに静かだったか?」

 

 「う、うん。 そうだよ? 茶渡君はあまり話した事ないの?」

 

 「ああ、あまり無いな。どちらかと話すと言うと、もう一人(三月)の方だ」

 

 チエ、チャド、そして織姫の三人は少し離れた場所から巨大な虚、『大虚(メノスグランデ)』が歩いていたのを歩道橋の上から眺めていた。

 

 チエは未だにヒリヒリと痛む鼻を我慢しながら二人(チャドと織姫)の護衛を浦原に頼まれた事で、彼らと一緒に居た。

 

「……………『私達の歩む道』、か…………」

 

「井上……」

 

 先程浦原に言われた事を二人は考えていた。

 彼は二人に死神や虚の事、そして彼らの能力が虚相手に有効だと言う事を簡易的に説明していた。

 

「……渡辺は、虚や死神の事を何時知ったんだ?」

 

 そこでチャドが少しでも第三者の意見を聞く為に先程浦原から聞いた、オカルトめいた話題を振る。

 

()()()()()()()

 

「「え?」」

 

 チエの即答に織姫とチャドが両方目を見開いて、無表情の彼女を見る。

 

「ず、『ずっと前』って?」

 

「言葉通りの意味だ。 そうだな…………かれこれ()()()ぐらいか? (この世界単位で言えば)」

 

「「……………………」」

 

 これに何とも言えない顔になる織姫と、そしてあのチャドでさえも黙り込む。

 

「……ねえチエちゃん、聞いていいかな?」

 

「何だ、織姫?」

 

「その………三月ちゃんが前に石田君の事を『お兄ちゃん』って呼んだんだけど……あ! 答えにくい事なら別に────」

 

「────構わない。 だが少し意外だ、アイツが人前でそんな事を言うのは」

 

「あ…………やっぱり…………事情があるの?」

 

「ああ、()()()

 

「そう、なのか」

 

 これを聞いたチャドの表情は変わっていなかったが、内心かなりびっくりしていた。

 

 と言うのも、彼は巨体(190cm)の割に可愛いものに目が無く、手芸部に入ったと耳にしてから三月と話し始めると二人はかなり馬が合い、『喋るインコ事件』からは特に話し合うような仲になった。

 

 逆にチエは物静かで話す事自体あまりないが、他のクラスメイト達から聞いた話からの印象は悪くなく、ただどう接すれば良いのか分からなかっただけだった(挨拶などは交わすが)。

 

 そんな彼女達に『兄』がいる事は初耳で、『事情がある』と聞いたチャドは一瞬自分の事を重ねた。

 

茶渡泰虎(さどやすとら)』、通称『チャド』(一護命名)。

 彼は黒崎一護のクラスメイトで、中学生時代からの親友で、メキシコ人の祖父を持つクォーターの浅黒い肌男。

 そんな彼は幼い頃に両親を亡くし、それ故の反動からか幼い頃はとにかく乱暴だった。

『気に入らない』と言うだけで彼は暴力を振るい、周りからは『悪ガキ』とレッテルを張られた。

 祖父に諭されて以来『自分の為の暴力』は無くなったが。

 

「………………込み入った事情なのか?」

 

「ふむ……………(珍しいな、三月が()の事を人前で出すのは。 だが出したからには、『ある程度話しても良い』という事の筈。 更にその事を私に『言っていない』という事は自己の判断で決めて良いという事の筈)」

 

 もし三月がこの事を知っていたのなら全力でやめさせていただろう。

 

「ちゃうねん! ものすっご忘れてただけやねん!」と言うような、変な言葉使いへと崩れながら。

 

 だが生憎彼女はいなかったのでチエは話を続けた。

 

「………良いだろう。 詳しい事は話せないが────」

 

 …………………

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 そこからチエは詳細を省いた『三月の義理の兄』の事を織姫とチャドに話している間、メノスグランデが撤退して行った。

 

「「……………………………………」」

 

「…………………どうした二人とも、黙り込んだまま────」

 

 チエが横を見ると体がビクッと跳ねた。

 

 何故ならそこにはポロポロと涙で泣き崩れていた織姫と、表情を全く変えずに同じくポロポロと目から雫を流していたチャドがいた。

 

「お、おい────」

 

 「────三月ちゃん、何て健気な子なのー?! うわーん!」

 

「……………………………ああ」

 

 泣く二人にチエが珍しくオロオロしていた(二人は泣いていた事によりチエの様子に気付かなかった)。

 

「ん? あれは三月?」

 

「「グスッ…え?」」

 

 チエの指摘に織姫とチャドが見ると地面に座り込んだ石田雨竜に近づいていく三月似の人が────

 

 

 

 

 

 

 

 ────どこから出したのか、巨大なハリセンで雨竜の頭を思いっきり叩いていた。

 

「「「痛そう」」」

 

 これにチエ、チャド、織姫の三人が同時にコメントをする。

*1
第12話より




リカ(天の刃体):ほう、これは興味深いですね

作者:Oh、またもめんどくさい奴が来たよ

リカ(天の刃体):失敬な。ボクは探求心が強いだけです

作者:自覚持っているじゃねえか?! Σ(゚□゚;)

市丸ギン:なんや、またおもろそうな子が来よったやないか?

作者:Oh my God! Nooooooooo!!!

リカ(天の刃体):む。あなたは……………………『13kmや』の人

市丸ギン:『市丸ギン』や。 何やねんそのR-18っぽいあだ名は?!

リカ(天の刃体):お詫びにこの干し芋を────

市丸ギン:いらんわ、そないなもん!

作者:(あの市丸ギンが手玉に取られている?)

ツキミ(天の刃体):で?いつまでそのコント続くねん?

リカ(天の刃体):あ、わかりました?

市丸ギン:なんやノリの悪い奴やなぁ

ツキミ(天の刃体):ツッコみ担当やからな

作者:演技だったんかい…
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